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第53話:絶対にアントアーネは渡さない~ラドル視点~
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数日後、執事が調査報告書を持って僕の元にやって来た。
「ラドル坊ちゃま、どうやらディーストン伯爵は、アントアーネ嬢をリューズ王国に行かせる予定みたいです。アントアーネ嬢が、リューズ王国で暮せるように、手続きをとっていることが分かりました。
アントアーネ嬢の兄上の様に留学申請ではなく、永住申請をしている様で…」
「永住申請だって!ふざけるな、そんな事がある訳ないだろう。そもそもブラッド殿とアントアーネは、まだ婚約すら結んでいないのだよ。それなのに、リューズ王国に永住するだなんて。
伯爵は何を考えているのだ。アントアーネは、その事を承諾しているのか?」
「ええ、承諾している様です。調査によると、貴族学院を卒業した次の日に、リューズ王国に2人で旅立つ様で。そしてリューズ王国で婚約を結び、婚約披露パーティもそちらで行うとの事です」
「そんな…それではアントアーネは…」
僕を置いて、リューズ王国に行ってしまうというのか…そんな…
「坊ちゃま、アントアーネ様はもう、リューズ王国で暮すことを決められている様です。どうかもう、アントアーネ様の事は諦めて…」
「どうして僕が、諦めにといけないのだ!絶対に嫌だ。アントアーネは僕のものだ。誰にも絶対に渡さない!」
「そうはおっしゃっれましても、坊ちゃまとアントアーネ様は、半年前に婚約を解消していらっしゃるのです。今更坊ちゃまがどうこうできる問題ではありません。もうアントアーネ様の事は諦めて…」
「うるさい!もういい、部屋から出て行ってくれ」
執事を部屋から追い出し、再び調査結果に目を通す。
どうして…どうしてこんな事になったのだろう。僕はアントアーネを、ただ愛していただけなのに…アントアーネのいない世界で、僕はこれからどうやって生きていけばいいのだろう…
ふと近くに飾ってあった、アントアーネの写真を手に取る。子供の頃から今までの写真が、部屋中所狭しと飾られている。
写真の中のアントアーネは本当に幸せそうで、はじけんばかりの笑顔を向けている。隣にはいつも僕の姿が。
懐かしいな、この日は僕の12歳の誕生日だったな。僕の為に、料理長と一緒にケーキを作ってくれたのだ。腕にやけどをしながら、一生懸命作ってくれたケーキの味は、格別だった。
こっちは貴族学院に入学した時のものだ。入学式の日、目を輝かせて学院を見つめていたアントアーネ。その姿が可愛いいのなんのって。つい見とれてしまった。
次々と楽しかった日々の思い出が溢れ出す。僕の思い出の中には、常にアントアーネがいた。そしてこれからも、アントアーネが当たり前のように隣にいてくれると思っていた。
それが当たり前だと。
アントアーネは僕にとって、何よりも大切な人。アントアーネがいれば、僕は何もいらない。彼女の存在こそが、僕の生きる希望なのだ。
アントアーネのいない世界など、僕にとって生きる価値のない世界だ。そう、僕はもう死んだも同然。
そっと近くにあった、アントアーネと僕の写真を手に取った。幸せそうに笑う2人。いつかまた、こんな風に笑えたらいいな…
どんなに時間がかかっても、2人で一緒にいれば、いつかこんな風に笑い合える日が来るかもしれない。
そうだ、諦めるのはまだ早い。まだアントアーネは、この国にいる。それに、ブラッド殿と婚約もしていない。
まだ取り戻せるはずだ…
「アントアーネ、待っていてね。必ず君を取り戻すから…」
※次回、アントアーネ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
「ラドル坊ちゃま、どうやらディーストン伯爵は、アントアーネ嬢をリューズ王国に行かせる予定みたいです。アントアーネ嬢が、リューズ王国で暮せるように、手続きをとっていることが分かりました。
アントアーネ嬢の兄上の様に留学申請ではなく、永住申請をしている様で…」
「永住申請だって!ふざけるな、そんな事がある訳ないだろう。そもそもブラッド殿とアントアーネは、まだ婚約すら結んでいないのだよ。それなのに、リューズ王国に永住するだなんて。
伯爵は何を考えているのだ。アントアーネは、その事を承諾しているのか?」
「ええ、承諾している様です。調査によると、貴族学院を卒業した次の日に、リューズ王国に2人で旅立つ様で。そしてリューズ王国で婚約を結び、婚約披露パーティもそちらで行うとの事です」
「そんな…それではアントアーネは…」
僕を置いて、リューズ王国に行ってしまうというのか…そんな…
「坊ちゃま、アントアーネ様はもう、リューズ王国で暮すことを決められている様です。どうかもう、アントアーネ様の事は諦めて…」
「どうして僕が、諦めにといけないのだ!絶対に嫌だ。アントアーネは僕のものだ。誰にも絶対に渡さない!」
「そうはおっしゃっれましても、坊ちゃまとアントアーネ様は、半年前に婚約を解消していらっしゃるのです。今更坊ちゃまがどうこうできる問題ではありません。もうアントアーネ様の事は諦めて…」
「うるさい!もういい、部屋から出て行ってくれ」
執事を部屋から追い出し、再び調査結果に目を通す。
どうして…どうしてこんな事になったのだろう。僕はアントアーネを、ただ愛していただけなのに…アントアーネのいない世界で、僕はこれからどうやって生きていけばいいのだろう…
ふと近くに飾ってあった、アントアーネの写真を手に取る。子供の頃から今までの写真が、部屋中所狭しと飾られている。
写真の中のアントアーネは本当に幸せそうで、はじけんばかりの笑顔を向けている。隣にはいつも僕の姿が。
懐かしいな、この日は僕の12歳の誕生日だったな。僕の為に、料理長と一緒にケーキを作ってくれたのだ。腕にやけどをしながら、一生懸命作ってくれたケーキの味は、格別だった。
こっちは貴族学院に入学した時のものだ。入学式の日、目を輝かせて学院を見つめていたアントアーネ。その姿が可愛いいのなんのって。つい見とれてしまった。
次々と楽しかった日々の思い出が溢れ出す。僕の思い出の中には、常にアントアーネがいた。そしてこれからも、アントアーネが当たり前のように隣にいてくれると思っていた。
それが当たり前だと。
アントアーネは僕にとって、何よりも大切な人。アントアーネがいれば、僕は何もいらない。彼女の存在こそが、僕の生きる希望なのだ。
アントアーネのいない世界など、僕にとって生きる価値のない世界だ。そう、僕はもう死んだも同然。
そっと近くにあった、アントアーネと僕の写真を手に取った。幸せそうに笑う2人。いつかまた、こんな風に笑えたらいいな…
どんなに時間がかかっても、2人で一緒にいれば、いつかこんな風に笑い合える日が来るかもしれない。
そうだ、諦めるのはまだ早い。まだアントアーネは、この国にいる。それに、ブラッド殿と婚約もしていない。
まだ取り戻せるはずだ…
「アントアーネ、待っていてね。必ず君を取り戻すから…」
※次回、アントアーネ視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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