お金の為に優しい殿下の恋人役を引き受けたのですが…実は自己中俺様王子だなんて聞いていません

Karamimi

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第8話:マナーレッスンは天国です

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馬車に乗り動き出した瞬間、再び本性を露わにしたジャクソン様。

「おい、お前は少し顔に出すぎだ。いいか、俺のこの性格に今すぐ慣れろ。いいな。大体お前のマッサージは下手糞なんだよ。明日はもっとマシなマッサージを行えよ。あぁ、喉が渇いた。カモミールティをよこせ」

「今は馬車の中です。そんなものはありません」

「あぁ?!俺が喉が渇いたと言えばすぐに出せ!いいな、今日は初日だから許してやるが、明日からはきちんと準備しておけよ」

そう言うと、靴を脱ぎ捨て私の膝の上に乗せた。何なのよ、こいつは。感じの悪い事この上ない!まあ、よく考えてみたらそう簡単に5億ゼニーもの大金、手に入る訳ないわよね。

「おい、知っているか?遠くの国では、足の裏もマッサージするらしい。お前、やってみろ」

またこいつは、無理難題を言い出して…でもやらないと、また怒り出しそうね。仕方ない。正直触りたくもないが、靴下を丁寧に脱がせた。足の裏のマッサージってどうやるのかしら?よくわからないので、軽くもむ。すると

「止めろ、くすぐったい。この下手糞!王宮の図書館にマッサージの本があるから、それでも読んで勉強しろ!」

そう言って怒られてしまった。だったらやらせないで欲しいわ。そんなやり取りをしているうちに、王宮に着いた。初めて来た王宮。なんだか一気に緊張してきた。

背筋をピンと伸ばし、ゆっくり馬車から降りた。

「ティアラ、緊張しているのかい?大丈夫だよ。僕がそばに居るからね。さあ、行こう」

それにしてもこの人の切り替えのうまさは天才的ね。本当にすごいわ。表の顔で対応するジャクソン様に連れられ、王宮内に入っていく。初めて入る王宮は、物凄く立派だ。つい周りをキョロキョロしてしまう。

「ティアラは王宮は初めてかい?でも、あまりキョロキョロするのはよくないよ。これから毎日来られるのだからね」

笑顔でそう言ったジャクソン様。でも目が笑っていない。これは後で怒られるかもしれない。

「申し訳ございません。以後気を付けますわ」

「謝らなくていいんだよ。さあ、この部屋だ」

部屋に入ると、お母様世代の女性が待っていた。

「お待たせして、すまなかったね。彼女が伯爵令嬢で僕の恋人の、ティアラ・フェースティン嬢だ。申し訳ないけど、彼女の教育を頼めるかい?」

「ティアラ、フェースティンと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

そう言うと、カーテシーを決めた。これでも伯爵令嬢としてある程度のマナーは学んできたのだ。

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。それにしてもジャクソン殿下、本当にティアラ様に王妃教育と同じ教育を受けさせるのですか?」

「ああ、彼女には完璧な女性になってもらいたいからね。それに、彼女もそれを望んでいるんだ」

「わかりましたわ。さすがジャクソン殿下、ご自分の恋人にも王妃様並みの教育を受けさせたいだなんて。任せて下さい。立派な令嬢に育て上げますから」

なぜか張り切る先生。

「では早速始めましょう」

「それじゃあ、ティアラ。また後で迎えに来るから頑張ってね」

そう言って去っていったジャクソン様。早速マナーレッスン開始だ。

「そうです、お上手ですよ。ティアラ様。さあ、少し休憩しましょう」

1時間ほどレッスンを受けた後、いったん休憩だ。

「さすがジャクソン殿下が見初めただけの事はありますわ。物凄く筋がよろしいです。それにしても、あんなにもお優しいジャクソン殿下に愛されて、ティアラ様はお幸せですわね」

やはり先生もあの鬼畜に完全に騙されている様だ。本当に、外面だけは素晴らしいものね。私も完全に騙されたわ。おっと、背筋を伸ばして、ゆっくりお茶を飲むのよね。確か休憩中も気を抜いてはいけないと、以前マナーの先生に教えられた。

「ティアラ様、あなた様は随分としっかり教育を受けていらしたのね。通常休憩と聞くと、つい気を緩めてしまう令嬢が多いのです。でも、ティアラ様は気を緩めることなく、しっかりマナーを意識していらっしゃる。ある程度の基礎も出来ておりますし、本当に素晴らしいですわ」

なぜか絶賛してくれる先生。あぁ、何て優しい先生なのかしら?あの鬼畜と今まで一緒にいたせいか、先生が女神様に見える。その後も1時間マナーレッスンを受けた。ちょうど日も沈んだ頃

「ティアラ、迎えに来たよ。お疲れ様」

やって来たのは鬼畜…ではなくジャクソン様だ。

「ジャクソン殿下、ティアラ様は本当に素晴らしいですわ。教えた事をその場でやってしまわれますのよ」

「それは本当かい?ティアラ、凄いじゃないか。さすが僕の恋人だ」

ニコニコしながらそう言ったジャクソン様。とりあえず、レッスンはうまくこなせてよかったわ。それにしても、ずっとマナーレッスンを受けていたいくらい先生が優しかった。この分だと、マナーレッスンは問題なさそうね。
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