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第13話:グラディオンのお節介
騎士団に再入団して早1ヶ月。朝早くから夜遅くまで、毎日訓練に明け暮れている。そのお陰か、皆と同じように練習メニューをこなせる様になった。
「やっぱりジャンヌは強いな」
「本当だよ。騎士団に戻ってまだ1ヶ月なのに、俺たちより強くなっているのだからな…」
ぐったりと倒れている騎士団員たちが呟いている。
「何を言っているの?私はまだまだよ。グラディオンには全く歯が立たないし。4年前は、私の方が強かったのに…」
グラディオンったら、いつからあんなに強くなったのかしら?何度か手合わせをしてもらっているが、全く歯が立たないのだ。
「グラディオン隊長は、滅茶苦茶強いからな。ジャンヌが抜けた4年間で、それこそ血のにじむ様な稽古を重ねていたぞ。そう簡単に、グラディオン隊長には勝てないよ」
他の団員がそう教えてくれた。そうか、グラディオンは私がシャーロン様にうつつを抜かしている間に、必死に稽古に励んでいたのね。
でも、私だって負けていられないわ。
この日も稽古が終わった後、1人自主練習をするため、稽古場に残っていると
「ジャンヌ、今日も自主練をしているのか?ディーノから聞いたが、この1ヶ月、朝早くから夜遅くまでずっと稽古に明け暮れているそうではないか?いくら何でも無理をしすぎだ。少しは休まないと、体がもたないぞ」
私の元にやって来たのは、グラディオンだ。
「私は4年ものブランクがあるのよ。休んでいる暇はないの」
「何をそんなに焦っているのだい?手だって豆が潰れて血が出ているじゃないか?無理は良くない。ジャンヌはこの1ヶ月で、グングン頭角を現している。そんなに焦らなくても大丈夫だよ。ほら、手当てをするからここに座って」
いつの間にか救急箱を持ってきているグラディオン。
「私は平気…」
「これは隊長命令だ。とにかく座ってくれ」
グラディオンに強く言われて、しぶしぶその場に座った。
「こんなにひどくなるまで竹刀を振るうだなんて…本当にジャンヌは何を考えているのだい?かなり痛かっただろう」
そう言って手の手当てをしてくれる。
「これくらい平気よ。昔は私がよくグラディオンの手当てをしていたわね。グラディオンったら、私の忠告を無視して、無理な稽古を続けて。あの時のグラディオンの手の方が酷かったわ」
ふと昔の事を思い出す。昔のグラディオンは、無茶ばかりしていて、目が離せなかったな。
懐かしい…
「あの頃は、ジャンヌよりも強くなりたくて必死だったから…今はジャンヌが無理をして、俺に手当てされているじゃないか。昔のジャンヌの方が大人だったな」
そう言ってグラディオンが笑った。
「昔の方が大人とはどういう意味よ。私はただ、4年のブランクを取り戻したいだけよ。私ね、なんだか寂しいの…グラディオンがものすごく強くなっていて、なんだか1人置いてきぼりをくらった様で。だから早く、グラディオンに追いつきたいの」
ずっと騎士団で一緒に頑張って来たグラディオン。そんな彼が、なんだか遠い存在になってしまった様で、悲しいのだ。だから早く、グラディオンに追いつきたい。
「ジャンヌ、そんな心配をしなくても大丈夫だ。俺はずっとお前を…いいや、何でもない。とにかく、無理は禁物だ。ジャンヌだってよく“無理をしても身につかないわ。しっかり休むことも大切なのよ”て、俺に言っていただろう?とにかくあまり無理はするな。さあ、今日はもう帰るぞ。送ってやるよ」
私の腕を握り、グラディオンが歩き出した。
「ちょっと、グラディオン。私はまだ稽古を…」
「こんな手で竹刀なんか握っても、身にならないだろう。本当にジャンヌは。とにかく今日は帰るんだ。それから、怪我が治るまで、竹刀を握るのは禁止だ。いいな」
「そんな…グラディオンの意地悪!」
頬を膨らませて、グラディオンに抗議をする。すると、私の顔を見てほほ笑んだグラディオン。
「ジャンヌは今も昔も、全く変わっていないな…とにかくそんな顔で抗議しても無駄だ。俺は隊長として、隊員の事を考えないといけない立場だからな」
そう言われてしまったのだ。
グラディオンめ、隊長という肩書をここぞとばかりに使って。
「ほら、馬車についたぞ。団長とディーノに話しがあるから、俺も一緒に乗らせてもらう」
そう言って、なぜかグラディオンまで馬車に乗り込んできたのだ。
「ちょっと、お父様とディーノにも、私が竹刀を握らない様に言うつもりでしょう。そこまでしなくても、私は大丈夫よ」
「いいや、お前が素直に俺の言う事を聞くとは思えない。団長とディーノにも、しっかり見張ってもらわないと。いいか、ジャンヌ。無理は禁物だ。分かったな。無理をして怪我が悪化して、一生竹刀を握れなくなったら、それこそ騎士生命が終わるぞ。俺はジャンヌに、そんな思いをして欲しくないんだよ。分かったな」
グラディオンが真剣な表情で訴えてくる。そんな顔をされたら、これ以上何も言えないじゃない。
その後グラディオンがお父様やディーノに訴えたことで、騎士団内ではもちろん、家でも竹刀を握る事を禁止されてしまったのだった。
「やっぱりジャンヌは強いな」
「本当だよ。騎士団に戻ってまだ1ヶ月なのに、俺たちより強くなっているのだからな…」
ぐったりと倒れている騎士団員たちが呟いている。
「何を言っているの?私はまだまだよ。グラディオンには全く歯が立たないし。4年前は、私の方が強かったのに…」
グラディオンったら、いつからあんなに強くなったのかしら?何度か手合わせをしてもらっているが、全く歯が立たないのだ。
「グラディオン隊長は、滅茶苦茶強いからな。ジャンヌが抜けた4年間で、それこそ血のにじむ様な稽古を重ねていたぞ。そう簡単に、グラディオン隊長には勝てないよ」
他の団員がそう教えてくれた。そうか、グラディオンは私がシャーロン様にうつつを抜かしている間に、必死に稽古に励んでいたのね。
でも、私だって負けていられないわ。
この日も稽古が終わった後、1人自主練習をするため、稽古場に残っていると
「ジャンヌ、今日も自主練をしているのか?ディーノから聞いたが、この1ヶ月、朝早くから夜遅くまでずっと稽古に明け暮れているそうではないか?いくら何でも無理をしすぎだ。少しは休まないと、体がもたないぞ」
私の元にやって来たのは、グラディオンだ。
「私は4年ものブランクがあるのよ。休んでいる暇はないの」
「何をそんなに焦っているのだい?手だって豆が潰れて血が出ているじゃないか?無理は良くない。ジャンヌはこの1ヶ月で、グングン頭角を現している。そんなに焦らなくても大丈夫だよ。ほら、手当てをするからここに座って」
いつの間にか救急箱を持ってきているグラディオン。
「私は平気…」
「これは隊長命令だ。とにかく座ってくれ」
グラディオンに強く言われて、しぶしぶその場に座った。
「こんなにひどくなるまで竹刀を振るうだなんて…本当にジャンヌは何を考えているのだい?かなり痛かっただろう」
そう言って手の手当てをしてくれる。
「これくらい平気よ。昔は私がよくグラディオンの手当てをしていたわね。グラディオンったら、私の忠告を無視して、無理な稽古を続けて。あの時のグラディオンの手の方が酷かったわ」
ふと昔の事を思い出す。昔のグラディオンは、無茶ばかりしていて、目が離せなかったな。
懐かしい…
「あの頃は、ジャンヌよりも強くなりたくて必死だったから…今はジャンヌが無理をして、俺に手当てされているじゃないか。昔のジャンヌの方が大人だったな」
そう言ってグラディオンが笑った。
「昔の方が大人とはどういう意味よ。私はただ、4年のブランクを取り戻したいだけよ。私ね、なんだか寂しいの…グラディオンがものすごく強くなっていて、なんだか1人置いてきぼりをくらった様で。だから早く、グラディオンに追いつきたいの」
ずっと騎士団で一緒に頑張って来たグラディオン。そんな彼が、なんだか遠い存在になってしまった様で、悲しいのだ。だから早く、グラディオンに追いつきたい。
「ジャンヌ、そんな心配をしなくても大丈夫だ。俺はずっとお前を…いいや、何でもない。とにかく、無理は禁物だ。ジャンヌだってよく“無理をしても身につかないわ。しっかり休むことも大切なのよ”て、俺に言っていただろう?とにかくあまり無理はするな。さあ、今日はもう帰るぞ。送ってやるよ」
私の腕を握り、グラディオンが歩き出した。
「ちょっと、グラディオン。私はまだ稽古を…」
「こんな手で竹刀なんか握っても、身にならないだろう。本当にジャンヌは。とにかく今日は帰るんだ。それから、怪我が治るまで、竹刀を握るのは禁止だ。いいな」
「そんな…グラディオンの意地悪!」
頬を膨らませて、グラディオンに抗議をする。すると、私の顔を見てほほ笑んだグラディオン。
「ジャンヌは今も昔も、全く変わっていないな…とにかくそんな顔で抗議しても無駄だ。俺は隊長として、隊員の事を考えないといけない立場だからな」
そう言われてしまったのだ。
グラディオンめ、隊長という肩書をここぞとばかりに使って。
「ほら、馬車についたぞ。団長とディーノに話しがあるから、俺も一緒に乗らせてもらう」
そう言って、なぜかグラディオンまで馬車に乗り込んできたのだ。
「ちょっと、お父様とディーノにも、私が竹刀を握らない様に言うつもりでしょう。そこまでしなくても、私は大丈夫よ」
「いいや、お前が素直に俺の言う事を聞くとは思えない。団長とディーノにも、しっかり見張ってもらわないと。いいか、ジャンヌ。無理は禁物だ。分かったな。無理をして怪我が悪化して、一生竹刀を握れなくなったら、それこそ騎士生命が終わるぞ。俺はジャンヌに、そんな思いをして欲しくないんだよ。分かったな」
グラディオンが真剣な表情で訴えてくる。そんな顔をされたら、これ以上何も言えないじゃない。
その後グラディオンがお父様やディーノに訴えたことで、騎士団内ではもちろん、家でも竹刀を握る事を禁止されてしまったのだった。
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