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第33話:マリアを手に入れるために~ライアン視点~
貴族学院に入学して以降、マリアの人気は高く、少しでもマリアに近づこうと男どもが必死だ。そんな男どもをけん制しつつ、マリアを守っている。
特に王太子殿下のマリアに対する執着はすさまじく、自分の誕生日パーティーでは、皆の前でマリアを誘い出し、ダンスを踊っていた。
そもそもマリアは王妃にはなりたくないとはっきり言っているのに、どうして殿下はこうも諦めが悪いんだ!そのせいで、マリアは令嬢たちに暴言を吐かれたというのに!
そんな中、また事件が起きた。なんと男爵令嬢でもあるクラシエ・ディースティンが、あろう事かマリアにありもしない事で、いちゃもんを付けて来たのだ。
この女はバカなのか?たとえクラシエ嬢が訴えた事をマリアが行っていたとしても、相手は侯爵令嬢。自分よりずっと身分の高い相手に対し、文句を言うなんてあり得ない事だ。
俺は腸が煮えくり返るくらい、怒りを覚えた。それなのにマリアは、“きっと勘違いしたのね”なんて言って、特に罪に問わなかった。全く、どこまでお人好しなんだ。
あの一件以来、さらにマリアの評判はうなぎ登り。
“名前の通り、聖母マリア様みたいに優しい令嬢だ”
“見た目が美しいだけでなく、心まで美しいなんて”
と、よく令息たちが噂をしている。さらに、公爵令息でもあるグランディオ様まで、マリアに注目し始めた。彼の家は、この国で3本の指に入る大貴族だ。そんな家から婚約の申し込みがあれば、もちろん断る事なんて出来ないだろう。
クソ、どいつもこいつもマリアの事を見つめやがって…
とにかく、マリアが15歳になったらすぐに婚約を申し込んで、さっさと婚約しないと。
その為には、まずはグランディオ様を諦めさせなければいけない。幸い彼は騎士団に所属している。
俺はそっとグランディオ様に近づいた。
「グランディオ様、お疲れ様です」
「やあ、ライアンか。お疲れ様。そういえば君は、マリア嬢と仲がいい様だね。僕も一度彼女と話しがしたいと思ってね。でも急に話しかけたらびっくりするだろう?だから、君から取り持ってくれないだろうか?」
案の定、俺にマリアを紹介しろと言って来たのだ。
「あ~、グランディオ様。実はあいつ、ああ見えてすっげー怠け者なんですよ。それに、俺には文句ばかり言っているし。本当にどうしようもないやつなんですよ。それから、実は俺たち、親同士が仲が良くって、お互いの子供を結婚させようという話になっていて。だから…その…」
「なるほど。だから僕にマリア嬢の事を諦めて欲しいんだね。わかったよ、僕も既に内内で婚約が決まっている令嬢を手に入れようとは思わないし。それよりライアン、いくら僕にマリア嬢を諦めて欲しいからって、嘘はいけないね。彼女は努力家で誰にでも優しいという事は知っているからね」
そう言ってクスクス笑っているクランディオ様。くっ…バレていたのか…
「でも、それだけ君が彼女の事を大好きという事だよね。ライアン、ライバルが多そうだけれど、頑張ってね」
そう言ってグランディオ様は去って行った。嘘はバレてしまったが、どうやらマリアの事は諦めてくれた様だ。グランディオ様がいい人で助かった。
その後も俺は、マリアの様子を逐一監視するとともに、マリアに近づこうとする令息を片っ端から排除していった。と言っても、マリアに近づこうとする令息を睨んでいると、自然とその場を去っていく。
さらにクラスメートも味方につる事にした。
「皆、俺はマリアが大好きなんだ。マリア以外結婚するつもりはない。もしマリアと結婚できなかったら、俺は一生独身だ。どうか協力して欲しい」
恥を忍んで皆に頭を下げたのだ。
「今頃何を言っているんだよ。ライアンがマリアちゃんを好きな事なんて、とっくの大昔から知っているぞ」
「そうですわ。でもマリアは鈍いから、きっとライアン様の気持ちに気が付いていないでしょうね…」
確かにマリアは俺の気持ちには、これっぽっちも気付いていないだろう。
「とにかく、私たちも協力しますわ。ですから、ライアン様も頑張ってくださいね」
そう言ってくれたのだ。こうして俺は、クラスメートを味方につける事に成功した。
着々とマリアの囲い込みを行っているうちに月日は流れ、俺の誕生日を迎えた。
事前にマリアの専属メイドには、俺の贈ったドレスを着させるように頼んでおいた。そのお陰で、真っ赤なドレスを着て来たマリア。やっぱりマリアは、赤が良く似合っている。
とにかくマリアは俺のものだという事を、貴族たちに改めて知らしめるため、ずっとマリアを側に置いておいた。マリアもなぜかこの日は、俺から離れようとしなかった。
自分で言うのもなんだが、仲睦まじい様子を皆に見せつけた事で、きっと俺とマリアが婚約するという認識を持ってくれたと思っている。
そしてその日の夜。
「ライアン、見ろ。もうこんなにお前と婚約したいという令嬢の家から、申し込みが来ているぞ」
父上が嬉しそうに俺に婚約申込状を見せて来た。はっきり言って俺はマリア以外興味がない。
「父上、全て…」
「断るんだろう?わかっている、そんな事は。マリアの誕生日まで後3ヶ月だな。もちろん、マリアの誕生日には婚約を申し込むつもりだろう。既にレィークス侯爵家とも話が付いていて、いつお披露目のパーティーをするか、母さんと夫人で話し合っているところだ」
「おい、もうそんなところまで話は進んでいるのか?」
「もちろんだ。お前が令息どもを排除している事も耳に入っているし、マリアも特に気になる令息もいない様だしな。それに今日のお前たちの仲の良さは半端なかったし。何人かの貴族に聞かれたよ。2人はいずれ婚約するのですか?てな」
やっぱり今日の姿は、他の貴族にもインパクトを与えた様だ。
「それにお前とマリアが婚約すれば、さすがに王太子も諦めるだろう。実は陛下や王妃様からも、マリアの誕生日と同時に婚約してくれって頼まれていてな。どうやら王太子が、“マリア嬢が誰かと婚約するまでは、お妃候補を決めない”と言っているらしいんだよ。本当に往生際の悪い王太子だ」
王太子殿下はそんな我が儘を言っていたのか。でも、まさか王族からもそんなお願いが来ているなんて。増々マリアは俺と婚約するしかなくなったな。
マリアの誕生日まで後3ヶ月…
早く3ヶ月が過ぎてくれないかな…
特に王太子殿下のマリアに対する執着はすさまじく、自分の誕生日パーティーでは、皆の前でマリアを誘い出し、ダンスを踊っていた。
そもそもマリアは王妃にはなりたくないとはっきり言っているのに、どうして殿下はこうも諦めが悪いんだ!そのせいで、マリアは令嬢たちに暴言を吐かれたというのに!
そんな中、また事件が起きた。なんと男爵令嬢でもあるクラシエ・ディースティンが、あろう事かマリアにありもしない事で、いちゃもんを付けて来たのだ。
この女はバカなのか?たとえクラシエ嬢が訴えた事をマリアが行っていたとしても、相手は侯爵令嬢。自分よりずっと身分の高い相手に対し、文句を言うなんてあり得ない事だ。
俺は腸が煮えくり返るくらい、怒りを覚えた。それなのにマリアは、“きっと勘違いしたのね”なんて言って、特に罪に問わなかった。全く、どこまでお人好しなんだ。
あの一件以来、さらにマリアの評判はうなぎ登り。
“名前の通り、聖母マリア様みたいに優しい令嬢だ”
“見た目が美しいだけでなく、心まで美しいなんて”
と、よく令息たちが噂をしている。さらに、公爵令息でもあるグランディオ様まで、マリアに注目し始めた。彼の家は、この国で3本の指に入る大貴族だ。そんな家から婚約の申し込みがあれば、もちろん断る事なんて出来ないだろう。
クソ、どいつもこいつもマリアの事を見つめやがって…
とにかく、マリアが15歳になったらすぐに婚約を申し込んで、さっさと婚約しないと。
その為には、まずはグランディオ様を諦めさせなければいけない。幸い彼は騎士団に所属している。
俺はそっとグランディオ様に近づいた。
「グランディオ様、お疲れ様です」
「やあ、ライアンか。お疲れ様。そういえば君は、マリア嬢と仲がいい様だね。僕も一度彼女と話しがしたいと思ってね。でも急に話しかけたらびっくりするだろう?だから、君から取り持ってくれないだろうか?」
案の定、俺にマリアを紹介しろと言って来たのだ。
「あ~、グランディオ様。実はあいつ、ああ見えてすっげー怠け者なんですよ。それに、俺には文句ばかり言っているし。本当にどうしようもないやつなんですよ。それから、実は俺たち、親同士が仲が良くって、お互いの子供を結婚させようという話になっていて。だから…その…」
「なるほど。だから僕にマリア嬢の事を諦めて欲しいんだね。わかったよ、僕も既に内内で婚約が決まっている令嬢を手に入れようとは思わないし。それよりライアン、いくら僕にマリア嬢を諦めて欲しいからって、嘘はいけないね。彼女は努力家で誰にでも優しいという事は知っているからね」
そう言ってクスクス笑っているクランディオ様。くっ…バレていたのか…
「でも、それだけ君が彼女の事を大好きという事だよね。ライアン、ライバルが多そうだけれど、頑張ってね」
そう言ってグランディオ様は去って行った。嘘はバレてしまったが、どうやらマリアの事は諦めてくれた様だ。グランディオ様がいい人で助かった。
その後も俺は、マリアの様子を逐一監視するとともに、マリアに近づこうとする令息を片っ端から排除していった。と言っても、マリアに近づこうとする令息を睨んでいると、自然とその場を去っていく。
さらにクラスメートも味方につる事にした。
「皆、俺はマリアが大好きなんだ。マリア以外結婚するつもりはない。もしマリアと結婚できなかったら、俺は一生独身だ。どうか協力して欲しい」
恥を忍んで皆に頭を下げたのだ。
「今頃何を言っているんだよ。ライアンがマリアちゃんを好きな事なんて、とっくの大昔から知っているぞ」
「そうですわ。でもマリアは鈍いから、きっとライアン様の気持ちに気が付いていないでしょうね…」
確かにマリアは俺の気持ちには、これっぽっちも気付いていないだろう。
「とにかく、私たちも協力しますわ。ですから、ライアン様も頑張ってくださいね」
そう言ってくれたのだ。こうして俺は、クラスメートを味方につける事に成功した。
着々とマリアの囲い込みを行っているうちに月日は流れ、俺の誕生日を迎えた。
事前にマリアの専属メイドには、俺の贈ったドレスを着させるように頼んでおいた。そのお陰で、真っ赤なドレスを着て来たマリア。やっぱりマリアは、赤が良く似合っている。
とにかくマリアは俺のものだという事を、貴族たちに改めて知らしめるため、ずっとマリアを側に置いておいた。マリアもなぜかこの日は、俺から離れようとしなかった。
自分で言うのもなんだが、仲睦まじい様子を皆に見せつけた事で、きっと俺とマリアが婚約するという認識を持ってくれたと思っている。
そしてその日の夜。
「ライアン、見ろ。もうこんなにお前と婚約したいという令嬢の家から、申し込みが来ているぞ」
父上が嬉しそうに俺に婚約申込状を見せて来た。はっきり言って俺はマリア以外興味がない。
「父上、全て…」
「断るんだろう?わかっている、そんな事は。マリアの誕生日まで後3ヶ月だな。もちろん、マリアの誕生日には婚約を申し込むつもりだろう。既にレィークス侯爵家とも話が付いていて、いつお披露目のパーティーをするか、母さんと夫人で話し合っているところだ」
「おい、もうそんなところまで話は進んでいるのか?」
「もちろんだ。お前が令息どもを排除している事も耳に入っているし、マリアも特に気になる令息もいない様だしな。それに今日のお前たちの仲の良さは半端なかったし。何人かの貴族に聞かれたよ。2人はいずれ婚約するのですか?てな」
やっぱり今日の姿は、他の貴族にもインパクトを与えた様だ。
「それにお前とマリアが婚約すれば、さすがに王太子も諦めるだろう。実は陛下や王妃様からも、マリアの誕生日と同時に婚約してくれって頼まれていてな。どうやら王太子が、“マリア嬢が誰かと婚約するまでは、お妃候補を決めない”と言っているらしいんだよ。本当に往生際の悪い王太子だ」
王太子殿下はそんな我が儘を言っていたのか。でも、まさか王族からもそんなお願いが来ているなんて。増々マリアは俺と婚約するしかなくなったな。
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※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。