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Karamimi

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ヒューゴとマリアのIFストーリー

作戦は順調に進んでいます

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母上がマリアを呼び出してから、1ヶ月が過ぎた。さすがの母上も色々と思う事があったのか、あれ以来マリアを呼び出すことはない。マリアも屋敷で大人しく過ごしている様で、特にトラブルはない様だ。

さらに、一夫多妻制に関する報告書が上がって来た。

早速目を通す。

なるほど、やはり王族が増えた事で、かなり財政を圧迫している様だ。そして父上の側室が産んだ子供たちだが、行き場を無くしている人たちもいる様だ。王女たちはそれぞれ嫁に出すことが決まっているが、あまり良い待遇ではないらしい。王子たちは何人かは既に養子先が決まっているが、行き先が決まらず、宙ぶらりんになっている者もいるとの事。

中には30歳以上も年上の未亡人の元に、養子に入るという王子もいるらしい。なるほど、側室たちが産んだ王子たちは、かなり厳しい環境に置かれているという訳か…

さらに王族が管理する土地も、過去の側室たちの子供たちに分け与えてしまったため、随分と減ってきているとの事。それでもまだ、ある程度は残しているらしいが、今後分け与え続ければ、いずれ無くなるだろう。

一夫多妻制は王家を繁栄させるどころか、衰退させているではないか…

調べれば調べるほど、一夫多妻制は良くない制度に思えてきた。これは早急に手を打たないと!

「君もわかるだろう?一夫多妻制は多大な問題を発生させ、今や王家の力を衰えさせる原因になっているという事を。とにかくこれ以上、野放しには出来ない。早速父上や貴族を集め、一夫多妻制に対する議論を進めようと思っているんだ」

専属執事に僕の考えを話した。すると…

「わかりました。私も協力いたします。実を言うと、私は殿下がただマリア様だけを愛したいという我が儘から、一夫多妻制を廃止したいとのお考えと思っておりました。ですが、こうやって一夫多妻制の問題点と向き合い、より王家を繁栄するために働きかけようとしているのであれば、話は別です。ただ…この情報だけでは、いささか不十分です。支出だけでなく、一夫多妻制を廃止する事でどれだけの金額が浮くのかも計算いたしましょう。」

なぜか目を輝かせてそう言った執事。

「ありがとう。君が協力してくれると、本当に助かるよ。それから、僕は側室たちが産んだ王子や王女たちの処遇も、改善できればいいと考えている。彼らもまた、一夫多妻制の犠牲者なのだから…」

異母兄弟とはいえ、血がつながった家族だ。少しでも彼らが望む方向へ進んでくれたら…

「そうですね。彼らの処遇も何とか改善できないかも、合わせて考えていきましょう。それから、今現在の側室たちが産んだ王子や王女たちが、どういった生活を送っているのかも調べてみます。さあ、こうしちゃいられません。私は調査がありますので、これで失礼いたします」

小走りで僕の部屋から出て行った執事を見送った。


そして数日後、僕は貴族学院に入学した。もちろん、マリアと同じクラスだ。ただ、マリア同様お妃候補に名乗りを上げている令嬢たちもいる。予想通り、僕にすり寄って来る令嬢たちを軽くあしらい、僕はずっとマリアと一緒にいた。

たまにライアンの視線を感じる事がある。きっとライアンは、お妃候補に名乗りを上げた今でも、マリアが好きなのだろう。でも、悪いが譲るつもりはない。とにかくマリアと一緒にいたくて、片時も離れなかった。

「マリア、これを付けていてくれるかい?」

居場所が特定できる宝石付きのブローチを、マリアに渡した。マリアの瞳の色と同じく、ルビーのブローチだ。さすがに録音機能は付いていないが、マリアには常に護衛騎士が付いているから、万が一誰かに襲われても大丈夫だろう。

「こんなにも素敵なブローチを頂いてもよろしいのですか?ありがとうございます。ヒューゴ様」

嬉しそうに笑ったマリア。そう、この顔だ。僕がずっと求めていたマリアの笑顔。

「ねえ、マリア。ずっと僕の傍にいてくれるかい?どこかへ行ってしまったりしないかい?」

正直マリアが僕の傍にいる事が未だに信じられなくて、そんなバカな事を聞いてしまった。

「ええ、もちろんです。ヒューゴ様が私を求め続けてくれる限り、ずっと傍にいますわ」

そう言うと、それはそれは可愛らしい笑顔を見せてくれた。それが嬉しくてたまらない。やっぱり僕は、マリアが大好きだ。絶対に彼女を離さない!改めてそう思った。

そんな楽しい日々を送っているうちに、気が付けば貴族学院に入学して、2ヶ月が過ぎた。予想通り、マリアを快く思っていない令嬢たちから、マリアは嫌がらせを受けた。でも、黙って見ているつもりはない。

護衛騎士から連絡を受けると、すぐにマリアの元に駆けつけ、令嬢たちからマリアを守った。そして、これ以上マリアを傷つけるようなことをするなら、僕が許さない!そう伝え続けた結果、随分とマリアに手を出すものは居なくなった。

それでもみんな、王妃になれなくても側室になって、優雅な生活を送りたいと考えているのだろう。側室になったからと言って、彼女たちが思っている程優雅な生活は送れないとも知らずに…

そんな事は知らない令嬢たちは、僕へのアピール合戦を未だ続いている。彼女たちの為にも、早めに一夫多妻制を廃止させないと。
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