58 / 62
ヒューゴとマリアのIFストーリー
作戦は順調に進んでいます
しおりを挟む
母上がマリアを呼び出してから、1ヶ月が過ぎた。さすがの母上も色々と思う事があったのか、あれ以来マリアを呼び出すことはない。マリアも屋敷で大人しく過ごしている様で、特にトラブルはない様だ。
さらに、一夫多妻制に関する報告書が上がって来た。
早速目を通す。
なるほど、やはり王族が増えた事で、かなり財政を圧迫している様だ。そして父上の側室が産んだ子供たちだが、行き場を無くしている人たちもいる様だ。王女たちはそれぞれ嫁に出すことが決まっているが、あまり良い待遇ではないらしい。王子たちは何人かは既に養子先が決まっているが、行き先が決まらず、宙ぶらりんになっている者もいるとの事。
中には30歳以上も年上の未亡人の元に、養子に入るという王子もいるらしい。なるほど、側室たちが産んだ王子たちは、かなり厳しい環境に置かれているという訳か…
さらに王族が管理する土地も、過去の側室たちの子供たちに分け与えてしまったため、随分と減ってきているとの事。それでもまだ、ある程度は残しているらしいが、今後分け与え続ければ、いずれ無くなるだろう。
一夫多妻制は王家を繁栄させるどころか、衰退させているではないか…
調べれば調べるほど、一夫多妻制は良くない制度に思えてきた。これは早急に手を打たないと!
「君もわかるだろう?一夫多妻制は多大な問題を発生させ、今や王家の力を衰えさせる原因になっているという事を。とにかくこれ以上、野放しには出来ない。早速父上や貴族を集め、一夫多妻制に対する議論を進めようと思っているんだ」
専属執事に僕の考えを話した。すると…
「わかりました。私も協力いたします。実を言うと、私は殿下がただマリア様だけを愛したいという我が儘から、一夫多妻制を廃止したいとのお考えと思っておりました。ですが、こうやって一夫多妻制の問題点と向き合い、より王家を繁栄するために働きかけようとしているのであれば、話は別です。ただ…この情報だけでは、いささか不十分です。支出だけでなく、一夫多妻制を廃止する事でどれだけの金額が浮くのかも計算いたしましょう。」
なぜか目を輝かせてそう言った執事。
「ありがとう。君が協力してくれると、本当に助かるよ。それから、僕は側室たちが産んだ王子や王女たちの処遇も、改善できればいいと考えている。彼らもまた、一夫多妻制の犠牲者なのだから…」
異母兄弟とはいえ、血がつながった家族だ。少しでも彼らが望む方向へ進んでくれたら…
「そうですね。彼らの処遇も何とか改善できないかも、合わせて考えていきましょう。それから、今現在の側室たちが産んだ王子や王女たちが、どういった生活を送っているのかも調べてみます。さあ、こうしちゃいられません。私は調査がありますので、これで失礼いたします」
小走りで僕の部屋から出て行った執事を見送った。
そして数日後、僕は貴族学院に入学した。もちろん、マリアと同じクラスだ。ただ、マリア同様お妃候補に名乗りを上げている令嬢たちもいる。予想通り、僕にすり寄って来る令嬢たちを軽くあしらい、僕はずっとマリアと一緒にいた。
たまにライアンの視線を感じる事がある。きっとライアンは、お妃候補に名乗りを上げた今でも、マリアが好きなのだろう。でも、悪いが譲るつもりはない。とにかくマリアと一緒にいたくて、片時も離れなかった。
「マリア、これを付けていてくれるかい?」
居場所が特定できる宝石付きのブローチを、マリアに渡した。マリアの瞳の色と同じく、ルビーのブローチだ。さすがに録音機能は付いていないが、マリアには常に護衛騎士が付いているから、万が一誰かに襲われても大丈夫だろう。
「こんなにも素敵なブローチを頂いてもよろしいのですか?ありがとうございます。ヒューゴ様」
嬉しそうに笑ったマリア。そう、この顔だ。僕がずっと求めていたマリアの笑顔。
「ねえ、マリア。ずっと僕の傍にいてくれるかい?どこかへ行ってしまったりしないかい?」
正直マリアが僕の傍にいる事が未だに信じられなくて、そんなバカな事を聞いてしまった。
「ええ、もちろんです。ヒューゴ様が私を求め続けてくれる限り、ずっと傍にいますわ」
そう言うと、それはそれは可愛らしい笑顔を見せてくれた。それが嬉しくてたまらない。やっぱり僕は、マリアが大好きだ。絶対に彼女を離さない!改めてそう思った。
そんな楽しい日々を送っているうちに、気が付けば貴族学院に入学して、2ヶ月が過ぎた。予想通り、マリアを快く思っていない令嬢たちから、マリアは嫌がらせを受けた。でも、黙って見ているつもりはない。
護衛騎士から連絡を受けると、すぐにマリアの元に駆けつけ、令嬢たちからマリアを守った。そして、これ以上マリアを傷つけるようなことをするなら、僕が許さない!そう伝え続けた結果、随分とマリアに手を出すものは居なくなった。
それでもみんな、王妃になれなくても側室になって、優雅な生活を送りたいと考えているのだろう。側室になったからと言って、彼女たちが思っている程優雅な生活は送れないとも知らずに…
そんな事は知らない令嬢たちは、僕へのアピール合戦を未だ続いている。彼女たちの為にも、早めに一夫多妻制を廃止させないと。
さらに、一夫多妻制に関する報告書が上がって来た。
早速目を通す。
なるほど、やはり王族が増えた事で、かなり財政を圧迫している様だ。そして父上の側室が産んだ子供たちだが、行き場を無くしている人たちもいる様だ。王女たちはそれぞれ嫁に出すことが決まっているが、あまり良い待遇ではないらしい。王子たちは何人かは既に養子先が決まっているが、行き先が決まらず、宙ぶらりんになっている者もいるとの事。
中には30歳以上も年上の未亡人の元に、養子に入るという王子もいるらしい。なるほど、側室たちが産んだ王子たちは、かなり厳しい環境に置かれているという訳か…
さらに王族が管理する土地も、過去の側室たちの子供たちに分け与えてしまったため、随分と減ってきているとの事。それでもまだ、ある程度は残しているらしいが、今後分け与え続ければ、いずれ無くなるだろう。
一夫多妻制は王家を繁栄させるどころか、衰退させているではないか…
調べれば調べるほど、一夫多妻制は良くない制度に思えてきた。これは早急に手を打たないと!
「君もわかるだろう?一夫多妻制は多大な問題を発生させ、今や王家の力を衰えさせる原因になっているという事を。とにかくこれ以上、野放しには出来ない。早速父上や貴族を集め、一夫多妻制に対する議論を進めようと思っているんだ」
専属執事に僕の考えを話した。すると…
「わかりました。私も協力いたします。実を言うと、私は殿下がただマリア様だけを愛したいという我が儘から、一夫多妻制を廃止したいとのお考えと思っておりました。ですが、こうやって一夫多妻制の問題点と向き合い、より王家を繁栄するために働きかけようとしているのであれば、話は別です。ただ…この情報だけでは、いささか不十分です。支出だけでなく、一夫多妻制を廃止する事でどれだけの金額が浮くのかも計算いたしましょう。」
なぜか目を輝かせてそう言った執事。
「ありがとう。君が協力してくれると、本当に助かるよ。それから、僕は側室たちが産んだ王子や王女たちの処遇も、改善できればいいと考えている。彼らもまた、一夫多妻制の犠牲者なのだから…」
異母兄弟とはいえ、血がつながった家族だ。少しでも彼らが望む方向へ進んでくれたら…
「そうですね。彼らの処遇も何とか改善できないかも、合わせて考えていきましょう。それから、今現在の側室たちが産んだ王子や王女たちが、どういった生活を送っているのかも調べてみます。さあ、こうしちゃいられません。私は調査がありますので、これで失礼いたします」
小走りで僕の部屋から出て行った執事を見送った。
そして数日後、僕は貴族学院に入学した。もちろん、マリアと同じクラスだ。ただ、マリア同様お妃候補に名乗りを上げている令嬢たちもいる。予想通り、僕にすり寄って来る令嬢たちを軽くあしらい、僕はずっとマリアと一緒にいた。
たまにライアンの視線を感じる事がある。きっとライアンは、お妃候補に名乗りを上げた今でも、マリアが好きなのだろう。でも、悪いが譲るつもりはない。とにかくマリアと一緒にいたくて、片時も離れなかった。
「マリア、これを付けていてくれるかい?」
居場所が特定できる宝石付きのブローチを、マリアに渡した。マリアの瞳の色と同じく、ルビーのブローチだ。さすがに録音機能は付いていないが、マリアには常に護衛騎士が付いているから、万が一誰かに襲われても大丈夫だろう。
「こんなにも素敵なブローチを頂いてもよろしいのですか?ありがとうございます。ヒューゴ様」
嬉しそうに笑ったマリア。そう、この顔だ。僕がずっと求めていたマリアの笑顔。
「ねえ、マリア。ずっと僕の傍にいてくれるかい?どこかへ行ってしまったりしないかい?」
正直マリアが僕の傍にいる事が未だに信じられなくて、そんなバカな事を聞いてしまった。
「ええ、もちろんです。ヒューゴ様が私を求め続けてくれる限り、ずっと傍にいますわ」
そう言うと、それはそれは可愛らしい笑顔を見せてくれた。それが嬉しくてたまらない。やっぱり僕は、マリアが大好きだ。絶対に彼女を離さない!改めてそう思った。
そんな楽しい日々を送っているうちに、気が付けば貴族学院に入学して、2ヶ月が過ぎた。予想通り、マリアを快く思っていない令嬢たちから、マリアは嫌がらせを受けた。でも、黙って見ているつもりはない。
護衛騎士から連絡を受けると、すぐにマリアの元に駆けつけ、令嬢たちからマリアを守った。そして、これ以上マリアを傷つけるようなことをするなら、僕が許さない!そう伝え続けた結果、随分とマリアに手を出すものは居なくなった。
それでもみんな、王妃になれなくても側室になって、優雅な生活を送りたいと考えているのだろう。側室になったからと言って、彼女たちが思っている程優雅な生活は送れないとも知らずに…
そんな事は知らない令嬢たちは、僕へのアピール合戦を未だ続いている。彼女たちの為にも、早めに一夫多妻制を廃止させないと。
104
あなたにおすすめの小説
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。
MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。
記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。
旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。
屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。
旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。
記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ?
それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…?
小説家になろう様に掲載済みです。
【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
新聞と涙 それでも恋をする
あなたの照らす道は祝福《コーデリア》
君のため道に灯りを点けておく
話したいことがある 会いたい《クローヴィス》
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
2025.2.14 後日談を投稿しました
【完結】出来損ないと罵られ続けた“無能な姫”は、姉の代わりに嫁ぐ事になりましたが幸せです ~あなた達の後悔なんて知りません~
Rohdea
恋愛
──隠されていた私の真実(ほんとう)の力はあなたに愛されて知りました。
小国の末姫、クローディアは、王族なら誰もが持つはずの特殊能力を授からなかったせいで、
誰からも愛されず“無能な姫”と罵られて来た。
そんなある日、大国の王から姉に縁談話が舞い込む。
王妃待遇だけど後妻、年齢も親子ほど離れている為、
泣いて嫌がった姉は自分の身代わりとしてクローディアを嫁がせればいいと言う。
反発するクローディア。
しかし、国としてクローディアは身代わりとして嫁ぐ事が決定してしまう。
罪悪感に苛まれたまま、大国に嫁いでいくクローディア。
しかし、何故かそんなクローディアを出迎えたのは……
(あれ? 私、後妻になるのでは??)
それだけでなく、嫁ぎ先での生活は想像したものと大きく違っていた。
嫁いだ先でクローディアは愛される事を知り、
また、自分に隠された真実(ほんとう)の力を知る事になる。
一方、何も知らず“無能な姫”だと言ってクローディアを手放した祖国の者達は──……
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
愛する旦那様が妻(わたし)の嫁ぎ先を探しています。でも、離縁なんてしてあげません。
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
【清い関係のまま結婚して十年……彼は私を別の男へと引き渡す】
幼い頃、大国の国王へ献上品として連れて来られリゼット。だが余りに幼く扱いに困った国王は末の弟のクロヴィスに下賜した。その為、王弟クロヴィスと結婚をする事になったリゼット。歳の差が9歳とあり、旦那のクロヴィスとは夫婦と言うよりは歳の離れた仲の良い兄妹の様に過ごして来た。
そんな中、結婚から10年が経ちリゼットが15歳という結婚適齢期に差し掛かると、クロヴィスはリゼットの嫁ぎ先を探し始めた。すると社交界は、その噂で持ちきりとなり必然的にリゼットの耳にも入る事となった。噂を聞いたリゼットはショックを受ける。
クロヴィスはリゼットの幸せの為だと話すが、リゼットは大好きなクロヴィスと離れたくなくて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる