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第31話:アルフレッド様を不安にさせてしまいました
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ものすごい勢いでアルフレッド様が部屋に入って来たかと思うと、私をギュッと抱きしめた。そして
「ディスティーヌ嬢、一体何をしに来たのだい?もしかしてクリスティーヌに酷い事を…クリスティーヌ、大丈夫かい?使用人からディスティーヌ嬢が訪ねてきていると聞いて、飛んで帰って来たのだよ」
なんと!わざわざ私を心配して帰って来てくださるだなんて。本当にアルフレッド様ったら!あまりにもアルフレッド様が愛おしすぎて、ギュッと彼を抱きしめた。ふといっちゃん…じゃなくてレイチェル様の方を見ると、嬉しそうに微笑んでいた。
「アルフレッド様、ご心配をおかけしてごめんなさい。実は今日の苺大福の件で、レイチェル様と意気投合いたしましたの。それにレイチェル様は、今後私たちに協力してくれるとの事ですわ。ですから、どうかご安心ください」
「僕たちに協力だって?あれほどまでにクリスティーヌを嫌っていたのにかい?ディスティーヌ嬢、悪いが帰ってくれるかい?それから、これから連絡を取ってから我が家には来て欲しい」
アルフレッド様ったら、いくら彼女がずっと私を嫌っていたからって、そんな言い方をするだなんて…でも、それだけ私を大切に思っていてくれているのだろう。その事を誰よりも理解しているレイチェル様。
「アルフレッド様の言う事は最もですわ。確かに以前までの私を見ているアルフレッド様からしたら、不安になるのも当然ですもの。それでは私は帰りますわ。アルフレッド様、不安な気持ちにさせて申し訳ございませんでした。クリスティーヌ様、後はよろしくお願いいたします。それでは」
笑顔でぺこりと頭を下げて、レイチェル様が出て行った。後はよろしくというのは、不安がっているアルフレッド様の心のケアをしろとの事だろう。さすがね。
「アルフレッド様、不安な思いをさせてしまってごめんなさい。ただ、本当にレイチェル様は私達に協力してくださるそうですわ。それに王太子殿下やカリーナ殿下とも接点はありませんし。どうかご安心を」
「…クリスティーヌを手なずけるだなんて、あの女、中々やるな…ディスティーヌ嬢に何を言われたか知らないが、僕は彼女を信用する事が出来ない。それから、2人で何の話をしていたのだい?いつも付けていると約束していたブローチも外している様だし…」
「それは…ごめんなさい。ちょっと不手際で取れてしまったのですわ…」
「クリスティーヌは嘘が下手だね。そんなにディスティーヌ嬢との会話を、僕には聞かせたくはなかったのかい?僕にも話せない程の、大切な話をしていたのかい?」
悲しそうな瞳で私を見つめるアルフレッド様。お願い、そんな悲しそうな顔をしないで。そんなお顔を見たら、胸が張り裂けそうになるのだ。でも、レイチェル様との会話の内容を話すことは出来ない。
「実はレイチェル様のある秘密を知ってしまいまして…それで、さすがにレイチェル様の秘密を、アルフレッド様に知られる訳にはいかないと思いまして…と言っても、そんな大それたことはございませんわ。まあ、よくある令嬢の秘密ですわ」
本当は前世からの大親友だったという、大それた内容なのだが、さすがにそんな事は言えない。
「令嬢同士の秘密か…分かったよ、令嬢には令嬢の話があるのだよね…ただ、やはりあの女はまだ信用できないから、あまり会わないで欲しい」
「分かりましたわ、極力会わない様に致します。アルフレッド様、不安な気持ちにさせてしまい、本当に申し訳ございません。ですが私が愛しているのは、アルフレッド様ただ1人ですわ。レイチェル様も、アルフレッド様との幸せな未来の為に、必要な人物だと考えたので、仲良くする事にしたのです。ただそれだけですわ」
そう、私もレイチェル様も、ただアルフレッド様を幸せにしたい!それだけなのだ。
「クリスティーヌがそこまで言うなら、僕は信じるよ」
アルフレッド様が少し悲しそうに微笑んだ。きっとまだレイチェル様の事が心配なのだろう。この人は、本当にびっくりする程心配性なのだ。それでも私に嫌われたくなくて、私の言う事を受け入れてくれたのだろう。
本当はすべてアルフレッド様に話したい!レイチェル様は、私の前世からの大親友で、誰よりもアルフレッド様の幸せを願っている女の子なのよって。でも、そんな事は言えない。
だから今、私が出来る事は…
「お疲れになったでしょう。今日はもう、お出掛けはしなくてもいいのですよね。それなら、ずっとお傍におりますわ。寝るときもずっと一緒です」
彼が不安な気持ちの時は、極力一緒に過ごす。それが私にできる事。本当ならいっちゃんも、大好きなアルフレッド様の傍にいて自分で支えたかっただろう。でも、レイチェルというモブですらない令嬢に転生してしまったのだ。
だからこそ、悪役ヒロイン、クリスティーヌに転生した私を全力でサポートすると言ってくれている。彼女の為にも、前世アルフレッド様を推していた全ての人の為にも、そして何より私自身の為にも、やれることは何でもやる。
それに私自身も、アルフレッド様の傍にいられることが、幸せでたまらないのだ。こうやってアルフレッド様に触れるだけで、私は幸せでたまらない。ぎゅっとアルフレッド様に抱き着いた。
「ありがとう、クリスティーヌ。君は本当に優しい子だね。それじゃあ、一緒にお茶にしよう。すまない、苺大福という奴はないけれど…」
「そういえばレイチェル様が、アルフレッド様にでしたら、苺大福のレシピを教えるとおっしゃっておりましたわ。殿下には絶対に教えたくないとおっしゃっておりました」
「それは本当かい?早速明日、ディスティーヌ嬢に聞いてみるよ。でも、2人きりでは会わない様にするから、安心して欲しい」
急にぱぁっと明るくなったアルフレッド様。本当はそんな話をしていないが、きっとレイチェル様なら、喜んでアルフレッド様にレシピを教えるだろう。あの子はそんな子だ。それに私ばかりアルフレッド様を独り占めしていては申し訳ないものね。
レイチェル様にも、少しでもアルフレッド様と交流を持って欲しい。
その後すっかり機嫌がなおったアルフレッド様だったが、この日は宣言通り、ずっとアルフレッド様の傍にいたのだった。
「ディスティーヌ嬢、一体何をしに来たのだい?もしかしてクリスティーヌに酷い事を…クリスティーヌ、大丈夫かい?使用人からディスティーヌ嬢が訪ねてきていると聞いて、飛んで帰って来たのだよ」
なんと!わざわざ私を心配して帰って来てくださるだなんて。本当にアルフレッド様ったら!あまりにもアルフレッド様が愛おしすぎて、ギュッと彼を抱きしめた。ふといっちゃん…じゃなくてレイチェル様の方を見ると、嬉しそうに微笑んでいた。
「アルフレッド様、ご心配をおかけしてごめんなさい。実は今日の苺大福の件で、レイチェル様と意気投合いたしましたの。それにレイチェル様は、今後私たちに協力してくれるとの事ですわ。ですから、どうかご安心ください」
「僕たちに協力だって?あれほどまでにクリスティーヌを嫌っていたのにかい?ディスティーヌ嬢、悪いが帰ってくれるかい?それから、これから連絡を取ってから我が家には来て欲しい」
アルフレッド様ったら、いくら彼女がずっと私を嫌っていたからって、そんな言い方をするだなんて…でも、それだけ私を大切に思っていてくれているのだろう。その事を誰よりも理解しているレイチェル様。
「アルフレッド様の言う事は最もですわ。確かに以前までの私を見ているアルフレッド様からしたら、不安になるのも当然ですもの。それでは私は帰りますわ。アルフレッド様、不安な気持ちにさせて申し訳ございませんでした。クリスティーヌ様、後はよろしくお願いいたします。それでは」
笑顔でぺこりと頭を下げて、レイチェル様が出て行った。後はよろしくというのは、不安がっているアルフレッド様の心のケアをしろとの事だろう。さすがね。
「アルフレッド様、不安な思いをさせてしまってごめんなさい。ただ、本当にレイチェル様は私達に協力してくださるそうですわ。それに王太子殿下やカリーナ殿下とも接点はありませんし。どうかご安心を」
「…クリスティーヌを手なずけるだなんて、あの女、中々やるな…ディスティーヌ嬢に何を言われたか知らないが、僕は彼女を信用する事が出来ない。それから、2人で何の話をしていたのだい?いつも付けていると約束していたブローチも外している様だし…」
「それは…ごめんなさい。ちょっと不手際で取れてしまったのですわ…」
「クリスティーヌは嘘が下手だね。そんなにディスティーヌ嬢との会話を、僕には聞かせたくはなかったのかい?僕にも話せない程の、大切な話をしていたのかい?」
悲しそうな瞳で私を見つめるアルフレッド様。お願い、そんな悲しそうな顔をしないで。そんなお顔を見たら、胸が張り裂けそうになるのだ。でも、レイチェル様との会話の内容を話すことは出来ない。
「実はレイチェル様のある秘密を知ってしまいまして…それで、さすがにレイチェル様の秘密を、アルフレッド様に知られる訳にはいかないと思いまして…と言っても、そんな大それたことはございませんわ。まあ、よくある令嬢の秘密ですわ」
本当は前世からの大親友だったという、大それた内容なのだが、さすがにそんな事は言えない。
「令嬢同士の秘密か…分かったよ、令嬢には令嬢の話があるのだよね…ただ、やはりあの女はまだ信用できないから、あまり会わないで欲しい」
「分かりましたわ、極力会わない様に致します。アルフレッド様、不安な気持ちにさせてしまい、本当に申し訳ございません。ですが私が愛しているのは、アルフレッド様ただ1人ですわ。レイチェル様も、アルフレッド様との幸せな未来の為に、必要な人物だと考えたので、仲良くする事にしたのです。ただそれだけですわ」
そう、私もレイチェル様も、ただアルフレッド様を幸せにしたい!それだけなのだ。
「クリスティーヌがそこまで言うなら、僕は信じるよ」
アルフレッド様が少し悲しそうに微笑んだ。きっとまだレイチェル様の事が心配なのだろう。この人は、本当にびっくりする程心配性なのだ。それでも私に嫌われたくなくて、私の言う事を受け入れてくれたのだろう。
本当はすべてアルフレッド様に話したい!レイチェル様は、私の前世からの大親友で、誰よりもアルフレッド様の幸せを願っている女の子なのよって。でも、そんな事は言えない。
だから今、私が出来る事は…
「お疲れになったでしょう。今日はもう、お出掛けはしなくてもいいのですよね。それなら、ずっとお傍におりますわ。寝るときもずっと一緒です」
彼が不安な気持ちの時は、極力一緒に過ごす。それが私にできる事。本当ならいっちゃんも、大好きなアルフレッド様の傍にいて自分で支えたかっただろう。でも、レイチェルというモブですらない令嬢に転生してしまったのだ。
だからこそ、悪役ヒロイン、クリスティーヌに転生した私を全力でサポートすると言ってくれている。彼女の為にも、前世アルフレッド様を推していた全ての人の為にも、そして何より私自身の為にも、やれることは何でもやる。
それに私自身も、アルフレッド様の傍にいられることが、幸せでたまらないのだ。こうやってアルフレッド様に触れるだけで、私は幸せでたまらない。ぎゅっとアルフレッド様に抱き着いた。
「ありがとう、クリスティーヌ。君は本当に優しい子だね。それじゃあ、一緒にお茶にしよう。すまない、苺大福という奴はないけれど…」
「そういえばレイチェル様が、アルフレッド様にでしたら、苺大福のレシピを教えるとおっしゃっておりましたわ。殿下には絶対に教えたくないとおっしゃっておりました」
「それは本当かい?早速明日、ディスティーヌ嬢に聞いてみるよ。でも、2人きりでは会わない様にするから、安心して欲しい」
急にぱぁっと明るくなったアルフレッド様。本当はそんな話をしていないが、きっとレイチェル様なら、喜んでアルフレッド様にレシピを教えるだろう。あの子はそんな子だ。それに私ばかりアルフレッド様を独り占めしていては申し訳ないものね。
レイチェル様にも、少しでもアルフレッド様と交流を持って欲しい。
その後すっかり機嫌がなおったアルフレッド様だったが、この日は宣言通り、ずっとアルフレッド様の傍にいたのだった。
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