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第36話:15歳のお誕生日を迎えました

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「お嬢様、15歳のお誕生日、おめでとうございます。いよいよ本日、ルドルフ様と正式に婚約を結ばれるのですね」

「ええ、そうよ。色々あったけれど、やっとルドルフ様と婚約が出来ると思うと、嬉しいわ」

今日は私の15歳のお誕生日、そしてルドルフ様と正式に婚約を結ぶ日だ。お互いの勘違いですれ違ってしまった事もあったけれど、それでもまた昔の様な関係に戻れた事。そして今日、こうやって晴れやかな気持ちで15歳のお誕生日を迎えられた事。

本当に幸せに思っている。思い返してみれば、ルドルフ様に冷たくされ、さらに嫌われていると勘違いして身も心もボロボロだったあの頃。何度も何度もルドルフ様を忘れようともがき苦しみ、やっと前を向けたと思っても、やっぱりルドルフ様が忘れられなくて苦しんだ日々。

あの頃は本当に辛かったけれど、それもいい思い出だ。そう思えるほど、今はとても幸せなのだ。

「アメリナお嬢様、ダーウィズ侯爵様とご夫人、ルドルフ様がいらっしゃいましたよ」

「あら、もうそんな時間なのね。分かったわ、すぐに行くわ」

急いで部屋から出ると、そこにはルドルフ様が立っていた。

「ルドルフ様、わざわざ部屋まで迎えに来てくださったのですか?」

「ああ…アメリナがやっぱり俺との婚約が嫌になって、逃げだしたりしないか心配で、迎えに来たのだよ」

「もう、私はそんな事をしませんわ」

「そうかい?俺はずっとアメリナに避けられていた時の事が、頭から離れなくてね。心配でたまらないのだよ」

「あの時はその…ルドルフ様だって、ずっと私に冷たくしていたではありませんか?お互い様ですわ」

「そうだね、分かったよ。それじゃあ、行こうか」

ルドルフ様と手を繋ぎ、客間へと向かった。客間に入ると、両親とルドルフ様のご両親が楽しそうに話していた。この人たち、元々親友同士で、ずっと私とルドルフ様を婚約させたがっていたものね。

「今日の主役の2人がやっと来たわね。一時はどうなる事かと思ったけれど、元の関係に戻ってよかったわ」

「本当よね。さあ、アメリナちゃんの気が変わらないうちに、さっさとサインをしてしまいましょう」

「おば様、どういう意味ですか?私は元々ルドルフ様の事をお慕いしていたのです」

すかさずルドルフ様のお母様に抗議をした。

「ごめんね。ただ、ルドルフの落ち込み様を見ていたら、なんだか私まで不安で。さあ、こっちに来てサインをして頂戴。後はルドルフとアメリナちゃんのサインだけだから」

ルドルフ様のお母様が渡してくれた紙を見る。これが婚約届なのね。初めて見たわ。

まずはルドルフ様がサインをし、次に私もサインをする。間違ったらいけないと思うと、つい緊張してしまうのよね。

「皆のサインが済んだな。至急この書類を提出して来てくれ」

「かしこまりました」

執事が婚約届を受け取ると、足早に部屋から出て行った。

「これで晴れてルドルフとアメリナ嬢は婚約者同士だ。よかったな、ルドルフ。もうこれで安心だ」

ちょっと、おじ様、これで安心とはどういう意味ですか?そう聞きたいが、さすがに聞けない。

「無事婚約届も出したし、次は夜会の準備だ。ルドルフ殿、アメリナのエスコートを頼んでもいいかい?」

「もちろんですよ。アメリナ、今日のドレス、俺がデザインしたものだ。ぜひ着てほしい」

「私の為に、ドレスをデザインしてくださったのですか?ありがとうございます。それは楽しみですわ。それでは私は準備がありますので、これで」

一旦客間を出て自室に戻ろうとした時だった。

「アメリナ、部屋まで送るよ。それから、今日俺と婚約してくれて本当にありがとう。絶対に幸せにするからね」

「こちらこそ、私をルドルフ様の婚約者にして下さり、ありがとうございます。私、とても幸せですわ」

「俺もだよ。これでやっと、アメリナが俺のものになった。もう絶対に離さないからね。今日の夜会も、俺から離れてはいけないよ。それじゃあ、また後でね」

部屋まで送ってくれたルドルフ様が、私のおでこに口づけをして出て行ったのだ。ルドルフ様ったら。

そっとルドルフ様の唇が触れたおでこを触った。

「お嬢様、そんなところに突っ立っていないで、お着替えをしましょう」

そうだわ、この後夜会があるのだ。そこで私とルドルフ様が、正式に婚約を結んだことが発表されるのだ。

その後着替えを済ませ、無事夜会に参加した私とルドルフ様。私達の婚約が正式に発表されると、沢山の人がお祝いしてくれた。

特にサーラとグリーズ様は、まるで自分の事の様に喜んでくれたのだ。こうやって大切な人たちに祝福されるだなんて、本当に幸せね。これからもずっと、この幸せが続いていくのだろう。そう確信したのだった。
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