次こそあなたと幸せになると決めたのに…中々うまくいきません

Karamimi

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第11話:相変わらずのダーウィン様です

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「シャレル嬢、さっきはありがとう。君のお陰で、話しが早くまとまったよ。話には聞いていたが、シャレル嬢がここまで優秀とは。ガスディアノ公爵は、彼女にどんな教育を受けさせたのだい?」

 会議が終わった後、陛下が話しかけて下さったのだ。1度目の生の時もそうだったが、陛下は私に好意的だった。

「私も今日のシャレルの発言には、驚いております。まさかあのような場所で、堂々と発言をするだなんて。とにかく、話しがまとまってよかったですな」

「ああ、これも全てシャレル嬢のお陰だ。そうそう、ダーウィンを紹介しないとな。ダーウィン、こっちに来なさい」

 陛下に呼ばれたダーウィン様が、私たちの元にやって来たのだ。10歳のダーウィン様が、不安そうにこちらを見つめている。

「ダーウィン、君の婚約者になる事が決まった、シャレル嬢だ。シャレル嬢、息子のダーウィンだ。どうか仲良くしてあげて欲しい」

「ダーウィン殿下、お初にお目にかかります。シャレル・ガスディアノと申します。どうか私の事は、シャレルとお呼びください。これから、仲良くしてくださいませ」

 笑顔でカーテシーを決める。

「ダーウィン・グレイズ・ファレオです。あの…こちらこそ、よろしくお願いします」

 俯き加減に挨拶をしたダーウィン様、そうそう、初めて会った時も、こんな感じだったわね。懐かしいわ。あの時の私は、ダーウィン様に嫌われていると思っていたのよね。それでもめげずに最初は色々と話しかけてきたのだけれど…

 懐かしい気持ちが蘇って来る。ただ、今の私はダーウィン様の気持ちを知っているのだ。

「すまない、シャレル嬢、ダーウィンは緊張している様だ。そうだ、ダーウィン、中庭を案内してあげなさい」

「はい、父上。シャレル…こちらへ」

 ダーウィン様が、私の名前を呼んでくれたわ。それが嬉しくてたまらない。相変わらずぎこちないが、2人で中庭へと向かった。ダーウィン様は前をスタスタ歩いている様に見えて、私の歩調に合わせてくれている。

 時折後ろを見ながら、私が付いてきているか確認しているのだ。不器用だけれど、優しいダーウィン様が大好きだった。あの頃と変わっていないダーウィン様に、涙が込みあげてくる。

「ここが王宮の中庭だよ。その…いつでも好きな様に見てもらって構わないから。もし植えて欲しいお花があれば、庭師に言えば植えてくれるよ」

「まあ、なんて素敵な中庭なのかしら?ダーウィン様、案内して下さり、ありがとうございます。せっかくなので、ダーウィン様と一緒に、ゆっくり見たいですわ」

 あの時と同じセリフを口にした。そんな私に…

「僕が紹介するよりも、庭師に案内させるよ。その方が、分かりやすいから」

 そうそう、自分ではなく庭師に案内させると言ったのよね。あの時は、私と関わりたくないのだとショックを受けたけれど、今ならわかるわ。きっと自分といるよりも、プロの庭師に案内させた方がいい、そんな彼の優しさなのだろう。

「私は、ダーウィン様に案内して欲しいのです。さあ、参りましょう」

 すっとダーウィン様の手を取った。温かくて少しゴツゴツ下手。一生懸命剣の握っていらっしゃるのよね。本当にダーウィン様は、頑張り屋なのだ。

「この様に手を握るのは…」

「あら、私たちは婚約する事が決まったのです。手ぐらい、普通に握りますわ」

「だが、僕の手はゴツゴツしているし、あちらこちらに豆だって出来ていて、触り心地が良くない」

「そうですね、ゴツゴツしている、頑張り屋の手ですね。私、頑張り屋さんは大好きですわ」

 だからどうか、私を受け入れて。そんな思いで、にっこり微笑んだのだが、すっと目をそらさせてしまった。急に距離を縮めようとしても、難しいか。

 仕方がない、長期戦で行こう。

 それでも手を繋いで、2人で中庭を見て回る。1度目の生の時は、庭師に案内してもらった。そう考えると、少し前進したという事だろう。

 焦りは禁物だ、少しずつ距離を縮めていこう。とはいえ、早く私を受け入れてくれると嬉しいな。
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