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第15話:増々惚れてしまいました
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サンドウィッチを食べ終わった後は、再び市場を見て回る。それにしても、凄い人ね。それに凄い熱気。
何だか楽しくなってきたわ。
「見て下さい、ダーウィン様。あそこに可愛らしいお店がありますわ」
キラキラと光る綺麗な石を使ったアクセサリーのお店を見つけたのだ。人をかき分け、急いで向かう。
「待って、シャレル…」
後ろでダーウィン様の声が聞こえたが、そのままアクセサリーのお店に向かった。あら?お隣のお店も素敵ね。あら、あっちも。1度目の生の時は、こういったお店には全然来なかったものね。
つい夢中で、お店を見て回る。
「ダーウィン様、見て下さい。とても可愛いネックレスですわ…あら?ダーウィン様?」
辺りを見渡すが、ダーウィン様はおろか、使用人や護衛の姿もないのだ。皆一体どこにいってしまったのかしら?
一気に不安になり、皆を探しに歩き出した。あら?ここら辺から、一気に人が減ったわ。
その時だった。
「お嬢ちゃん、1人かい?そんな不安そうな顔をして、もしかして迷子かい?」
私に話しかけてきたのは、見るからに悪そうな男たちだ。ニヤニヤと私を見ている。何なの、この人たち。
「別に迷子ではありませんわ。それでは私はこれで」
「待ちなよ、俺たちがお家まで送ってあげるよ。それにしても、綺麗な子だな。こんな可愛い子、初めて見たよ」
「イヤ、触らないで!」
必死に振り払おうとするが、全く歯が立たない。どうしよう…
恐怖から涙が込みあげてきた。
「シャレルから離れろ!」
この声は!
「ダーウィン様!!」
こっちに向かって走って来るのは、ダーウィン様だ。よかった。男性たちから私を引き離すと、私を背に庇う様に立ったダーウィン様。
「何だ、ちび助。この子の知り合いか?」
「彼女は僕の婚約者だ。シャレルに近づくと、僕が許さないぞ」
「婚約者だって?ははは、どう許さないか、見せてみろよ」
笑いながら男たちが近づいてくる。どうしよう、このままだとダーウィン様も。そう思った時だった。
「「ぎゃぁぁぁ」」
男たちが次々とダーウィン様になぎ倒されていくではないか。この人、こんなに強かったの?
大きな図体をした男たちが、地面に転がっている。
「このガキ…」
再び男たちが立ち上がろうとした時だった。
「殿下、シャレル嬢!」
護衛と使用人たちが、こちらにやって来たのだ。彼らの姿を見た瞬間、一気に安ど感に包まれる。
そんな私の方をクルリと向いたのは、ダーウィン様だ。
「シャレル、どうして勝手に行ってしまったのだい?街には悪い奴も沢山いるのだよ。公爵令嬢でもある君が、万が一誘拐なんてされたらどうなるかくらい、君だってわかっているだろう?」
いつも私と目すら合わせないダーウィン様が、真っすぐ私を見つめて怒っている。その瞬間、一気に涙が溢れだした。
「ごめんなさい、ダーウィン様。私…」
ギュッとダーウィン様に抱き着き、声を上げて泣いた。
「怖かったです、助けて下さってありがとうございます」
泣きながら何度も何度もお礼を言う。声を上げてビービー泣く私の頭を、ダーウィン様が優しく撫でてくれた。
「ごめん、少し言い過ぎたよ。助けるのが遅くなってごめんね。さあ、そろそろ帰ろう」
私の頭を優しく撫でながら、ダーウィン様が呟いた。ただ、今さらながら恐怖から、足がすくんで動かないのだ。
「シャレル、動けないのかい?君、すまないがシャレルを運んでくれるかい?」
近くにいた護衛に声をかけるダーウィン様。急いで私の方にやって来た護衛が、ダーウィン様から私を引き離そうとする。
嫌よ、まだくっ付いていたい。そんな思いで、ダーウィン様にしがみついた。
「殿下…」
「仕方ないな。それじゃあ、僕が運ぶよ」
ダーウィン様が私を抱きかかえたのだ。まさかダーウィン様自ら、私を運んでくださるだなんて。嬉しくてたまらないが、重くて大変ではないかしら?
それでもせっかくこうやってダーウィン様が、私を抱きかかえてくれているのだ。このチャンス、逃がしたくはない。
そんな思いで、ダーウィン様にしがみついた。こうやって見ると、ダーウィン様の体、とても鍛えられているのね。18歳のダーウィン様の肉体も素敵だったけれど、11歳のダーウィン様の肉体も、素敵だわ。
「ダーウィン様、改めて助けていただき、ありがとうございました。今日もあなた様は、とてもカッコよくて、素敵でしたわ」
再びダーウィン様にお礼を言った。
「ぼ…僕は当たり前の事をしただけだ。だから、気にしないでくれ」
相変わらず私の目は見ないが、下からダーウィン様の姿を見上げているせいか、彼の表情はバッチリ見える。どうやら照れている様だ。
照れるダーウィン様も素敵ね。
男たちに絡まれた事は怖かったけれど、カッコいいダーウィン様が見られたから、まあいいか。
ただ、私の軽率な行動はお父様や教育係の耳にも入る事になり、お父様からはかなり怒られ、教育係からは1日中反省文をかかされたあげく、恐ろしいほどの課題が与えられた。さらに、しばらくは街に出る事も禁止されたのだった。
何だか楽しくなってきたわ。
「見て下さい、ダーウィン様。あそこに可愛らしいお店がありますわ」
キラキラと光る綺麗な石を使ったアクセサリーのお店を見つけたのだ。人をかき分け、急いで向かう。
「待って、シャレル…」
後ろでダーウィン様の声が聞こえたが、そのままアクセサリーのお店に向かった。あら?お隣のお店も素敵ね。あら、あっちも。1度目の生の時は、こういったお店には全然来なかったものね。
つい夢中で、お店を見て回る。
「ダーウィン様、見て下さい。とても可愛いネックレスですわ…あら?ダーウィン様?」
辺りを見渡すが、ダーウィン様はおろか、使用人や護衛の姿もないのだ。皆一体どこにいってしまったのかしら?
一気に不安になり、皆を探しに歩き出した。あら?ここら辺から、一気に人が減ったわ。
その時だった。
「お嬢ちゃん、1人かい?そんな不安そうな顔をして、もしかして迷子かい?」
私に話しかけてきたのは、見るからに悪そうな男たちだ。ニヤニヤと私を見ている。何なの、この人たち。
「別に迷子ではありませんわ。それでは私はこれで」
「待ちなよ、俺たちがお家まで送ってあげるよ。それにしても、綺麗な子だな。こんな可愛い子、初めて見たよ」
「イヤ、触らないで!」
必死に振り払おうとするが、全く歯が立たない。どうしよう…
恐怖から涙が込みあげてきた。
「シャレルから離れろ!」
この声は!
「ダーウィン様!!」
こっちに向かって走って来るのは、ダーウィン様だ。よかった。男性たちから私を引き離すと、私を背に庇う様に立ったダーウィン様。
「何だ、ちび助。この子の知り合いか?」
「彼女は僕の婚約者だ。シャレルに近づくと、僕が許さないぞ」
「婚約者だって?ははは、どう許さないか、見せてみろよ」
笑いながら男たちが近づいてくる。どうしよう、このままだとダーウィン様も。そう思った時だった。
「「ぎゃぁぁぁ」」
男たちが次々とダーウィン様になぎ倒されていくではないか。この人、こんなに強かったの?
大きな図体をした男たちが、地面に転がっている。
「このガキ…」
再び男たちが立ち上がろうとした時だった。
「殿下、シャレル嬢!」
護衛と使用人たちが、こちらにやって来たのだ。彼らの姿を見た瞬間、一気に安ど感に包まれる。
そんな私の方をクルリと向いたのは、ダーウィン様だ。
「シャレル、どうして勝手に行ってしまったのだい?街には悪い奴も沢山いるのだよ。公爵令嬢でもある君が、万が一誘拐なんてされたらどうなるかくらい、君だってわかっているだろう?」
いつも私と目すら合わせないダーウィン様が、真っすぐ私を見つめて怒っている。その瞬間、一気に涙が溢れだした。
「ごめんなさい、ダーウィン様。私…」
ギュッとダーウィン様に抱き着き、声を上げて泣いた。
「怖かったです、助けて下さってありがとうございます」
泣きながら何度も何度もお礼を言う。声を上げてビービー泣く私の頭を、ダーウィン様が優しく撫でてくれた。
「ごめん、少し言い過ぎたよ。助けるのが遅くなってごめんね。さあ、そろそろ帰ろう」
私の頭を優しく撫でながら、ダーウィン様が呟いた。ただ、今さらながら恐怖から、足がすくんで動かないのだ。
「シャレル、動けないのかい?君、すまないがシャレルを運んでくれるかい?」
近くにいた護衛に声をかけるダーウィン様。急いで私の方にやって来た護衛が、ダーウィン様から私を引き離そうとする。
嫌よ、まだくっ付いていたい。そんな思いで、ダーウィン様にしがみついた。
「殿下…」
「仕方ないな。それじゃあ、僕が運ぶよ」
ダーウィン様が私を抱きかかえたのだ。まさかダーウィン様自ら、私を運んでくださるだなんて。嬉しくてたまらないが、重くて大変ではないかしら?
それでもせっかくこうやってダーウィン様が、私を抱きかかえてくれているのだ。このチャンス、逃がしたくはない。
そんな思いで、ダーウィン様にしがみついた。こうやって見ると、ダーウィン様の体、とても鍛えられているのね。18歳のダーウィン様の肉体も素敵だったけれど、11歳のダーウィン様の肉体も、素敵だわ。
「ダーウィン様、改めて助けていただき、ありがとうございました。今日もあなた様は、とてもカッコよくて、素敵でしたわ」
再びダーウィン様にお礼を言った。
「ぼ…僕は当たり前の事をしただけだ。だから、気にしないでくれ」
相変わらず私の目は見ないが、下からダーウィン様の姿を見上げているせいか、彼の表情はバッチリ見える。どうやら照れている様だ。
照れるダーウィン様も素敵ね。
男たちに絡まれた事は怖かったけれど、カッコいいダーウィン様が見られたから、まあいいか。
ただ、私の軽率な行動はお父様や教育係の耳にも入る事になり、お父様からはかなり怒られ、教育係からは1日中反省文をかかされたあげく、恐ろしいほどの課題が与えられた。さらに、しばらくは街に出る事も禁止されたのだった。
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