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第22話:シャレルのお陰で~ダーウィン視点~
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「ダーウィン、今まで本当にごめんなさい。私はあなたの母親失格ね」
「母上、どうかもう謝らないで下さい。僕は気にしていませんから。それよりも、母上もずっと苦しんできたのですね。どうかこれからは、心穏やかに暮らしてください」
「まあ、なんて優しい子なの。こんな優しい子に、私は。ダーウィン、今日は一緒に寝ましょう。あなたとは一度も一緒に寝たことがなかったわね。これからは、少しずつ親子の溝を埋めていかないと」
「いえ…さすがに一緒に寝るのはちょっと。僕はもう、11歳ですし」
「そんな事を言わずに、一緒に寝ましょう。さあ、こっちにいらっしゃい」
11歳にして、初めて母上と寝る事になるだなんて。正直恥ずかしいのだが…ただ、こんな風に僕に笑顔を向けてくれる母上は初めてだ。
僕がずっと欲しかった、母上の笑顔。僕に決して向けられることがなかったのだ、今だけは受け入れてもいいのかもしれない。
そんな思いで、ベッドに入った。
「ダーウィン、いつの間にかこんなに大きくなって…やり直せるのなら、11年前に戻りたいわ」
「どうか過ぎた過去の事は、気にしないで下さい。過ぎたことはどうしようもありません、未来を見ていきましょう。きっとシャレルなら、こう言うでしょう」
「シャレル嬢、あの子、本当にすごい子ね。あの子のお陰で、あなたとこんな風に今過ごせるのね。私、今までシャレル嬢をずっと無視してきたのに。とはいえ、私の為にやった訳ではないのよね。きっとダーウィンの為にやったのよね」
「僕の為に…」
「あら、だってシャレル嬢、ダーウィンの事が大好きじゃない。見ていてわかるわ。ただ、ジョーンがシャレル嬢に気がある様なのよね。兄弟で争いなんてして欲しくないし、ジョーンにも早くいい子を見つけてあげないと」
確かにジョーンは、シャレルに好意があるようだ。でも当のシャレルは…
「どうして僕なんかを、シャレルは大切にしてくれるのでしょうか?やはり、婚約者だからでしょうか?」
「そうではない様よ。お姉様に宛てた手紙には、ダーウィンの良いところがたくさん書かれていた様よ。それこそ、便箋2枚分びっしりと。よほどダーウィンの事が好きなのねって、お姉様も笑っていたわ」
そう言って笑った母上。正直僕は、どうして彼女がそこまで僕を愛してくれるのか、よくわからない。僕なんて、どうしようもないほどダメな人間なのに…
「ダーウィン、人を好きになるという事は、理屈ではないのよ。少なくともシャレル嬢が、ダーウィンの事が好きだという事は事実なの。あなただって、シャレル嬢の事が好きなのでしょう?」
「僕もシャレル嬢の事が…」
大好きだ。
美しい銀色の髪に、真っ青な瞳。初めて見た時、あまりの美しさに目を奪われた。それでいて、凛としていて、大人たちにも自分の意見をしっかり伝えられる子。しっかり者で頭もよく、王妃教育も次々とこなしていく。
僕のちょっとした変化も見逃さず、誰よりも僕の事を見てくれる子。
あまりにも完璧すぎて、正直僕は自信を無くしかけていた時、王都の街で事件が起きた。夢中でお店を見て回るシャレルは、年相応の幼い子供に見えた。周りが見えなくなり、勝手にどこかに行ってしまったシャレル。
見失った時は、生きた心地がしなかった。やっと見つけたと思ったら、子供の様に泣きじゃくり、僕にしがみついて来た時は、可愛くて仕方がなかった。僕なんかに抱かれたくないだろうと思い、護衛に運ぶ様に頼んだのだが、必死に僕にしがみついてくる姿。
その必死な顔を思い出しただけでも、笑いがこみ上げてくる。そんな彼女を抱きかかえ、馬車まで向かった。いつも凛としていて、僕よりずっと大きく見えていた彼女は、僕の腕の中にハマるくらい小さい女の子だった。
僕の首に腕を回し、必死に引っ付いていたと思ったら、次第にぐったりしていったと思ったら、いつの間にか眠っていたシャレル。
初めて見る、シャレルの寝顔、こうやって見ると、まだ本当に幼い少女だ。この子は完璧なんかじゃない、この子も人間なんだ。
何だかそんな気がした。
ただ、その日からシャレルは罰としてずっと部屋にこもりっきりで、ろくに外に出してもらえなくなった。王宮にいるのに、すれ違いばかり。寂しくて会いたくてたまらなかった。
そして迎えたシャレルの誕生日、シャレルの為に準備したバラ園に、ネックレスのプレゼント。シャレルは喜んでくれるだろうか。
そんな不安が、僕を襲った。いてもたってもいられなくてシャレルを迎えに行くと、そこにはジョーンといるシャレルの姿が。
「母上、どうかもう謝らないで下さい。僕は気にしていませんから。それよりも、母上もずっと苦しんできたのですね。どうかこれからは、心穏やかに暮らしてください」
「まあ、なんて優しい子なの。こんな優しい子に、私は。ダーウィン、今日は一緒に寝ましょう。あなたとは一度も一緒に寝たことがなかったわね。これからは、少しずつ親子の溝を埋めていかないと」
「いえ…さすがに一緒に寝るのはちょっと。僕はもう、11歳ですし」
「そんな事を言わずに、一緒に寝ましょう。さあ、こっちにいらっしゃい」
11歳にして、初めて母上と寝る事になるだなんて。正直恥ずかしいのだが…ただ、こんな風に僕に笑顔を向けてくれる母上は初めてだ。
僕がずっと欲しかった、母上の笑顔。僕に決して向けられることがなかったのだ、今だけは受け入れてもいいのかもしれない。
そんな思いで、ベッドに入った。
「ダーウィン、いつの間にかこんなに大きくなって…やり直せるのなら、11年前に戻りたいわ」
「どうか過ぎた過去の事は、気にしないで下さい。過ぎたことはどうしようもありません、未来を見ていきましょう。きっとシャレルなら、こう言うでしょう」
「シャレル嬢、あの子、本当にすごい子ね。あの子のお陰で、あなたとこんな風に今過ごせるのね。私、今までシャレル嬢をずっと無視してきたのに。とはいえ、私の為にやった訳ではないのよね。きっとダーウィンの為にやったのよね」
「僕の為に…」
「あら、だってシャレル嬢、ダーウィンの事が大好きじゃない。見ていてわかるわ。ただ、ジョーンがシャレル嬢に気がある様なのよね。兄弟で争いなんてして欲しくないし、ジョーンにも早くいい子を見つけてあげないと」
確かにジョーンは、シャレルに好意があるようだ。でも当のシャレルは…
「どうして僕なんかを、シャレルは大切にしてくれるのでしょうか?やはり、婚約者だからでしょうか?」
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そう言って笑った母上。正直僕は、どうして彼女がそこまで僕を愛してくれるのか、よくわからない。僕なんて、どうしようもないほどダメな人間なのに…
「ダーウィン、人を好きになるという事は、理屈ではないのよ。少なくともシャレル嬢が、ダーウィンの事が好きだという事は事実なの。あなただって、シャレル嬢の事が好きなのでしょう?」
「僕もシャレル嬢の事が…」
大好きだ。
美しい銀色の髪に、真っ青な瞳。初めて見た時、あまりの美しさに目を奪われた。それでいて、凛としていて、大人たちにも自分の意見をしっかり伝えられる子。しっかり者で頭もよく、王妃教育も次々とこなしていく。
僕のちょっとした変化も見逃さず、誰よりも僕の事を見てくれる子。
あまりにも完璧すぎて、正直僕は自信を無くしかけていた時、王都の街で事件が起きた。夢中でお店を見て回るシャレルは、年相応の幼い子供に見えた。周りが見えなくなり、勝手にどこかに行ってしまったシャレル。
見失った時は、生きた心地がしなかった。やっと見つけたと思ったら、子供の様に泣きじゃくり、僕にしがみついて来た時は、可愛くて仕方がなかった。僕なんかに抱かれたくないだろうと思い、護衛に運ぶ様に頼んだのだが、必死に僕にしがみついてくる姿。
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何だかそんな気がした。
ただ、その日からシャレルは罰としてずっと部屋にこもりっきりで、ろくに外に出してもらえなくなった。王宮にいるのに、すれ違いばかり。寂しくて会いたくてたまらなかった。
そして迎えたシャレルの誕生日、シャレルの為に準備したバラ園に、ネックレスのプレゼント。シャレルは喜んでくれるだろうか。
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