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第23話:いなくてはならない大切な子~ダーウィン視点
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ジョーンは僕の双子の弟。見た目はよく似ているが、性格は僕と真逆。きっとシャレルも、ジョーンの方がいいのだろう。ついそんな事を考えてしまう。
ただ、シャレルはそうではなかった様だ。さっさとジョーンをあしらうと、嬉しそうに僕の方に飛んできたのだ。さらにジョーンに、僕以外の男に興味がない。そうはっきりと告げていた。
嬉しかった、こんな風にシャレルの気持ちを聞けるだなんて。僕は今までずっと孤独だった。父上からは愛されていたものの、母上には嫌われ、家臣たちからも人気がない。
こんな僕と婚約させられたシャレルが気の毒だとも思った。でも彼女は、そんな僕に好意を抱いてくれていたのだ。貴族社会からも一目置かれている彼女が、僕を…
そう、彼女は誰からも愛されている素敵な女性だ。それなのに、自分は愛されていないと落ち込むシャレル。皆から信頼され、一目置かれている彼女でも、そんな事を考えるのだな。そう思ったら、なんだか無性に愛おしくなった。
彼女をもっと大切にしたい、もっと傍にいたい。でも…
本当に僕なんかでいいのかな?そんな不安も、ぬぐえなかった。
そんな中、今日の事件だ。シャレルが伯母上を連れて来た事で、母上と僕の関係も一気に改善した。どうやらシャレルは、僕と母上の関係をずっと気にしてくれていた様だ。伯母上に手紙まで送ってくれた彼女。
今まで真っ暗だった僕の世界は、シャレルによって少しずつ灯りがともされていく。シャレルによって、温かな世界へと変わっていく。
彼女は僕にとって、かけがえのない大切な人なのだ。彼女がいれば、僕はどんな困難でも乗り越えて行ける。なんだかそんな気がする。
シャレルに会いたいな…
早く明日にならないかな…
「ダーウィン、なんだか嬉しそうね。さあ、そろそろ寝ましょう」
僕にギュッとしがみついてくる母上。確かに母上と和解できたのは嬉しいが、こうやって抱き着かれるのはなんだか違う気がする。
僕が抱きしめたいのは、シャレルなのだが…
その時だった。
「ダーウィン、マリーヌを知らないかい?」
僕の部屋にやって来たのは、父上だ。
「あなた、一体どうしたの?」
「やっぱりダーウィンの部屋にいたのだな。君は極端な性格をしているから、きっとダーウィンの部屋にいると思ったよ。ダーウィン、悪いが母さんは連れて行くよ」
「あなた、今日はダーウィンと一緒に過ごそうと思っているのです。邪魔しないで下さい」
「ダーウィンはもう11歳だ。君と一緒に眠る歳ではないだろう?」
「ですが、私はこの子と一度も一緒に寝たことがないのです。ですから、今日くらいは一緒にと思いまして…」
「そうか、それなら僕も、ダーウィンの部屋で寝よう。そうだ、ジョーンも一緒に…」
「父上、母上、僕は1人で寝られますので。2人はどうぞ寝室でゆっくり休んでください。それでは、おやすみなさい」
「待って、ダーウィン…」
何かを言いかけている母上と父上を部屋から追い出し、1人ベッドに入った。家族4人で寝るだなんて、さすがに勘弁して欲しい。
ただ、母上の気持ちは嬉しい。ずっと振り向いて欲しかった母上が、やっと僕の方を向いてくれたのだ。それもこれも、シャレルのお陰だな…
シャレル、今頃なにをしているのだろう。ついシャレルの事を考えてしまう。
正直今でも、自分に自信がない。僕なんかが次期国王なんて務まるのかな?そう思う事もある。でも…
シャレルが傍にいてくれるだけで、僕は頑張れそうな気がする。彼女は僕の、やる気の源だ。
よし、明日からも、もっともっと頑張ろう。シャレルが嫁いできた時に、少しでも居心地の良い環境を与えられる様に…
俄然やる気が出て来たぞ。
そんな思いで、その日は眠りについた。
翌日、シャレルが王妃教育を終えるのを、今か今かと待ちわびる。
ただ…この日はどうやらシャレルは、伯母上と母上と3人で出かけていた様だ。すっかり打ち解けた女性陣達。
母上とシャレルが仲良くしてくれるのは嬉しいが、なんだか心がモヤモヤする。何だろう、この気持ちは…
翌日も、その翌日も、伯母上の相手をするシャレル。結局1週間、ほぼシャレルと関わる事が出来なかった。
そして伯母上の帰国の日。
「お姉様、気を付けて帰ってくださいね。どうかお元気で」
「マリーヌも体には気を付けるのよ。もしこの国が嫌になったら、いつでも帰って来なさい」
「義姉上、マリーヌはこの国を嫌にはなりませんので、ご安心を」
父上が母上の肩を抱きながら、伯母上にはっきりと告げている。心なしか、母上も嬉しそうだ。
「クラスィーズ公爵夫人様、私の我が儘を聞いて下さり、本当にありがとうございました」
「シャレル嬢、こちらこそ教えてくれてありがとう。どうかこれからも、ダーウィンと仲良くね。ダーウィン、シャレル嬢を大切にするのよ。またいつか、ディーラス王国にも遊びに来て頂戴。今度は私が、街を案内するわ」
「ありがとうございます、伯母上。必ずシャレルと一緒に、遊びに行きます」
「ジョーン、あなたも素敵な婚約者が出来る事を祈っているわ。もしこの国にいい子がいなかったが、我が国で妻を見つけてもいいわよ。私が素敵な女性を紹介しましょうか?」
「伯母上、お気遣いありがとうございます。ですが、自分の婚約者は自分で見つけますよ」
「そう、ジョーンならきっと、素敵な婚約者を見つけられるわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」
笑顔で去っていく伯母上。伯母上を乗せた馬車に手を振る。伯母上には感謝しているが、なんだかホッとしている自分もいるのだ。
ただ、シャレルはそうではなかった様だ。さっさとジョーンをあしらうと、嬉しそうに僕の方に飛んできたのだ。さらにジョーンに、僕以外の男に興味がない。そうはっきりと告げていた。
嬉しかった、こんな風にシャレルの気持ちを聞けるだなんて。僕は今までずっと孤独だった。父上からは愛されていたものの、母上には嫌われ、家臣たちからも人気がない。
こんな僕と婚約させられたシャレルが気の毒だとも思った。でも彼女は、そんな僕に好意を抱いてくれていたのだ。貴族社会からも一目置かれている彼女が、僕を…
そう、彼女は誰からも愛されている素敵な女性だ。それなのに、自分は愛されていないと落ち込むシャレル。皆から信頼され、一目置かれている彼女でも、そんな事を考えるのだな。そう思ったら、なんだか無性に愛おしくなった。
彼女をもっと大切にしたい、もっと傍にいたい。でも…
本当に僕なんかでいいのかな?そんな不安も、ぬぐえなかった。
そんな中、今日の事件だ。シャレルが伯母上を連れて来た事で、母上と僕の関係も一気に改善した。どうやらシャレルは、僕と母上の関係をずっと気にしてくれていた様だ。伯母上に手紙まで送ってくれた彼女。
今まで真っ暗だった僕の世界は、シャレルによって少しずつ灯りがともされていく。シャレルによって、温かな世界へと変わっていく。
彼女は僕にとって、かけがえのない大切な人なのだ。彼女がいれば、僕はどんな困難でも乗り越えて行ける。なんだかそんな気がする。
シャレルに会いたいな…
早く明日にならないかな…
「ダーウィン、なんだか嬉しそうね。さあ、そろそろ寝ましょう」
僕にギュッとしがみついてくる母上。確かに母上と和解できたのは嬉しいが、こうやって抱き着かれるのはなんだか違う気がする。
僕が抱きしめたいのは、シャレルなのだが…
その時だった。
「ダーウィン、マリーヌを知らないかい?」
僕の部屋にやって来たのは、父上だ。
「あなた、一体どうしたの?」
「やっぱりダーウィンの部屋にいたのだな。君は極端な性格をしているから、きっとダーウィンの部屋にいると思ったよ。ダーウィン、悪いが母さんは連れて行くよ」
「あなた、今日はダーウィンと一緒に過ごそうと思っているのです。邪魔しないで下さい」
「ダーウィンはもう11歳だ。君と一緒に眠る歳ではないだろう?」
「ですが、私はこの子と一度も一緒に寝たことがないのです。ですから、今日くらいは一緒にと思いまして…」
「そうか、それなら僕も、ダーウィンの部屋で寝よう。そうだ、ジョーンも一緒に…」
「父上、母上、僕は1人で寝られますので。2人はどうぞ寝室でゆっくり休んでください。それでは、おやすみなさい」
「待って、ダーウィン…」
何かを言いかけている母上と父上を部屋から追い出し、1人ベッドに入った。家族4人で寝るだなんて、さすがに勘弁して欲しい。
ただ、母上の気持ちは嬉しい。ずっと振り向いて欲しかった母上が、やっと僕の方を向いてくれたのだ。それもこれも、シャレルのお陰だな…
シャレル、今頃なにをしているのだろう。ついシャレルの事を考えてしまう。
正直今でも、自分に自信がない。僕なんかが次期国王なんて務まるのかな?そう思う事もある。でも…
シャレルが傍にいてくれるだけで、僕は頑張れそうな気がする。彼女は僕の、やる気の源だ。
よし、明日からも、もっともっと頑張ろう。シャレルが嫁いできた時に、少しでも居心地の良い環境を与えられる様に…
俄然やる気が出て来たぞ。
そんな思いで、その日は眠りについた。
翌日、シャレルが王妃教育を終えるのを、今か今かと待ちわびる。
ただ…この日はどうやらシャレルは、伯母上と母上と3人で出かけていた様だ。すっかり打ち解けた女性陣達。
母上とシャレルが仲良くしてくれるのは嬉しいが、なんだか心がモヤモヤする。何だろう、この気持ちは…
翌日も、その翌日も、伯母上の相手をするシャレル。結局1週間、ほぼシャレルと関わる事が出来なかった。
そして伯母上の帰国の日。
「お姉様、気を付けて帰ってくださいね。どうかお元気で」
「マリーヌも体には気を付けるのよ。もしこの国が嫌になったら、いつでも帰って来なさい」
「義姉上、マリーヌはこの国を嫌にはなりませんので、ご安心を」
父上が母上の肩を抱きながら、伯母上にはっきりと告げている。心なしか、母上も嬉しそうだ。
「クラスィーズ公爵夫人様、私の我が儘を聞いて下さり、本当にありがとうございました」
「シャレル嬢、こちらこそ教えてくれてありがとう。どうかこれからも、ダーウィンと仲良くね。ダーウィン、シャレル嬢を大切にするのよ。またいつか、ディーラス王国にも遊びに来て頂戴。今度は私が、街を案内するわ」
「ありがとうございます、伯母上。必ずシャレルと一緒に、遊びに行きます」
「ジョーン、あなたも素敵な婚約者が出来る事を祈っているわ。もしこの国にいい子がいなかったが、我が国で妻を見つけてもいいわよ。私が素敵な女性を紹介しましょうか?」
「伯母上、お気遣いありがとうございます。ですが、自分の婚約者は自分で見つけますよ」
「そう、ジョーンならきっと、素敵な婚約者を見つけられるわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」
笑顔で去っていく伯母上。伯母上を乗せた馬車に手を振る。伯母上には感謝しているが、なんだかホッとしている自分もいるのだ。
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