次こそあなたと幸せになると決めたのに…中々うまくいきません

Karamimi

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第26話:デビュータントを迎えました

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「お嬢様、今日はついにデビュータントの日ですね。お嬢様も、今日から立派なレディですよ」

「もう、レディだなんて。なんだか恥ずかしいわ。でも、やっと私も、夜会デビューできるのね」

 ダーウィン様と婚約をしてから早6年、私も14歳になった。そして今日は、私のデビュータントの日。私はこの日を待ちわびていたのだ。我が国では、14歳で夜会デビューが出来る。

 その為、2歳年上のダーウィン様は、一足先に夜会デビューをしている。きっと既に、色々な令嬢たちとダンスを踊っているのだろう。正直ダーウィン様のデビュータントに参加できなかったのは悲しい。

 でも、そればかりはどうしようもない事なのだ。

 とはいえ、私のデビュータントには、ダーウィン様がエスコートしてくれることになっている。1度目の生の時も確か、ダーウィン様がエスコートしてくれた。

 そして、1曲だけ一緒に踊ったのだったわ。懐かしいわね。

「お嬢様、準備が整いましたよ。本当にお美しい事」

「皆、ありがとう。それじゃあ行ってくるわね」

 今日の夜会の舞台は、王宮だ。早速王宮に向かうため、玄関へと向かう。

 すると

「シャレル」

 この声は!

「ダーウィン様、迎えに来てくださったのですか?今日の会場は王宮ですので、わざわざ迎えに来てくださらなくてもよかったのに」

「今日は君の大切なデビュータントの日だからね。公爵家からしっかりとエスコートしたかったのだよ。今日のシャレルは、その…とても綺麗だよ」

 少し恥ずかしそうに呟くダーウィン様。この6年で、私たちの仲は随分と深まったと言える。とはいえ、ダーウィン様の照れ屋は、相変わらずだ。

「ダーウィン様、素敵なドレスをありがとうございます。王妃様にも、イヤリングとブレスレットを頂きましたし」

 今日の為に、ダーウィン様がドレスを贈って下さったのだ。その上、王妃様からも、ネックレスが贈られた。このネックレスは、王妃様が輿入れするときに、当時のディーラス王国の陛下、王妃様のお父様から贈られたものらしい。

 そんな大切なものを、私が受け取ってもよいのかと思ったが、王妃様がぜひ受け取って欲しいとの事だったので、恐縮しながら頂いた。

 あの事件以降、人が変わったようにすっかり優しくなった王妃様。今では私の事を、本当の娘の様に大切にしてくれているのだ。

 きっと今の王妃様なら、ジョーン殿下の悪事を許さず、ダーウィン様を陥れる手助けをする事はないだろう。ただ、あのジョーン殿下の事だ。いずれ動き出すことを考え、十分警戒しないと。

「シャレル、母上がごめんね。どうやら母上は、シャレルの事を本当の娘の様に思っているみたいで…迷惑だったら、断ってもらってもいいのだよ」

「迷惑だなんて、そんな事はありませんわ。私は実母の温もりを知りません。ですから王妃様が私を娘の様に可愛がってくださるのが、嬉しくてたまらないのです」

「それならいいのだが…母上は少し強引なところがあるから」

 少し困った顔のダーウィン様。彼はずっと王妃様から疎まれ、冷遇されていた。でも今は、嘘の様に大切にされている。1度目の生の時はいつも悲しそうな顔をしていたダーウィン様。でも今回は、なんだかんだ言って、幸せそうだ。

 ダーウィン様の幸せそうな顔を見られただけでも、私のやり直し人生は成功だと言える。

「そろそろ行こうか。万が一遅刻したら大変だからね」

「はい」

 ダーウィン様の手を取り、2人で馬車へと乗り込んだ。

「こうやって夜にダーウィン様と一緒に、馬車に乗れるだなんて。なんだか新鮮ですわね」

「いつも君は夜、1人で馬車に乗って帰っているのだったね。ごめんね、気が付かなくて。よく考えたら、女の子を夜に1人で帰らせるだなんて。僕が軽率だったよ。明日から僕が、送っていくから」

「ごめんなさい、そんなつもりで申したわけではありませんわ。1人と言っても、使用人も御者もおりますので。どうぞお気になさらないで下さい」

 私ったら、ダーウィン様に気を使わせてしまったわ。

「しかし…」

「ダーウィン様、王宮に着きましたわ。さあ、参りましょう」

 とにかく話題を変えないと、そう思ったタイミングで、王宮に着いた。気を取り直して、2人で馬車を降りた。
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