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第32話:どこまでも魅力的な子~ダーウィン視点~
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「殿下、申し訳ございません。まさかシャレルがこのような我が儘を、殿下に申し上げていただなんて」
「ガスディアノ公爵殿、頭を上げて下さい。僕の方こそ、まだ結婚もしていないのに、シャレルの部屋に入ってしまい、申し訳ございません」
「シャレルが我が儘を申したと聞いております。さあ、どうぞ殿下、こちらへ」
ガスディアノ公爵に促され、スッと立ち上がった。前の前には気持ちよさそうにスヤスヤ眠るシャレルの姿が。月の光に照らされ、何とも神秘的だ。こんなに美しい子が僕の婚約者になってくれただけでなく、僕を愛してくれている。それが未だに信じられない。
今日はシャレルに頼まれ、眠るまで傍にいると約束したのだ。シャレルの寝顔を拝めるだなんて。
「殿下、どうかこちらへ」
「ええ、すぐに行きます」
中々来ない僕を心配したガスディアノ公爵が、再び僕の元にやって来たのだ。名残惜しいが、そろそろ部屋から出るか。そう思ったのだが…
「あれ?手が離れない」
ガッチリつかまれた手を、中々振りほどく事が出来ないのだ。
「シャレル、お前って娘は。ほら、離しなさい」
ガスディアノ公爵も手伝ってくれたのだが、中々離れない。この光景、見覚えがあるぞ。婚約して間もない頃、王都で怖い思いをしたあの時も、こうやって僕から離れなかったな。
あの頃からきっと、シャレルは僕の事を…
「なんて力だ。本当に眠っているのか?お前たちも手伝ってくれ」
数人がかりで僕とシャレルの手を引き離そうとしている。何とか引き離すことに成功したが、無意識に僕の手を探しているシャレルの姿を見たら、胸が痛い。結局シャレルのお気に入りのぬいぐるみが与えられ、落ち着いた様だ。
「殿下、本当に申し訳ございません。どうやらシャレルは、恐ろしいほど殿下に執着している様で。私は子供の頃から、あの子を厳しく躾て参りました。母親がいない事で負い目を感じさせない様にと、必要以上に厳しくしてきたのです。
そのせいか、子供の頃から大人びていて、人に甘えるという事を知りません。ですが、どうやら殿下には甘えられる様で…あのような娘ですが、どうかよろしくお願いいたします」
確かにシャレルは、年齢以上に大人びて見える。ただ、時折見せる無邪気な表情や、甘えん坊な姿がまたたまらない。そうか、父親にもあまり見せない姿を、僕には見せてくれているのか。
どうしてここまで僕を慕ってくれるのか、よくわからない。それでもシャレルが僕の事を好いていてくれるのは事実。いつまでもネガティブな感情を抱いていないで、これからはシャレルを幸せにすることだけを考えたい。
「公爵殿、シャレルに執着しているのは、むしろ僕の方です。僕はもう、シャレルがいないと生きていけない程、彼女を愛しております。僕はまだまだ未熟ですが、どうか今後もお力添えを頂ければと思っております。少し今後の話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんです。ここ数年の殿下の成長っぷりは、本当に素晴らしいものです。現に第二王子派だった貴族たちも、今や殿下を一目置いているほど」
「その件なのですが…」
僕はある事を公爵に依頼した。今日の様子からして、ジョーンはどうやらシャレルに物凄く執着している様だ。僕や両親が何度も令嬢との婚約を進めてきたが、頑なに頷かないのは、きっとシャレルをいずれ手に入れたいと考えているからだろう。
僕だってジョーンに黙って、シャレルを取られるほどバカではない。ジョーンは昔からそうだ。僕のものを何でも持って行ってしまう。でも、シャレルだけは、絶対に渡す訳にはいかない。
「ダーウィン殿下のお気持ちは分かりました。私の方でも、至急調べてみます」
「ありがとうございます、公爵殿。どうかこれからも、お力添えを頂ければと考えております」
「もちろんです。あなた様の安定が、シャレルの幸せにもつながるのです。この命に代えても、あなた様をお守りいたします」
ガスディアノ公爵殿には、感謝してもしきれない程の恩がある。だからこそ、彼の為にも絶対に幸せになってみせる。シャレルと共に…
「それでは僕はこれで失礼いたします。あの…もう一度だけ、シャレルの姿を見せていただいてもよろしいですか?」
僕の言葉に、一瞬目を大きく見開いた公爵だったが、すぐに笑顔に戻ると
「シャレルはあなた様の婚約者です。あなた様の思う様にしてください」
そう言ってくれた。
早速シャレルの部屋へと向かう。ぬいぐるみをしっかり抱きしめ、スヤスヤと眠っているシャレル。そんなシャレルのおでこに口づけを落とす。
「シャレル、お休み」
再びシャレルに触れると、そのまま公爵家を後にした。本当にシャレルは、どこまで僕を虜にするつもりだろう。さっき寝顔を見たばかりなのに、会いたくてたまらないだなんて。
僕はすっかりシャレルの虜になってしまったな。まあ、あんな素敵な令嬢の虜にならない方がおかしいが。
早く明日にならないかな、明日になったらまた、シャレルに会えるから…
「ガスディアノ公爵殿、頭を上げて下さい。僕の方こそ、まだ結婚もしていないのに、シャレルの部屋に入ってしまい、申し訳ございません」
「シャレルが我が儘を申したと聞いております。さあ、どうぞ殿下、こちらへ」
ガスディアノ公爵に促され、スッと立ち上がった。前の前には気持ちよさそうにスヤスヤ眠るシャレルの姿が。月の光に照らされ、何とも神秘的だ。こんなに美しい子が僕の婚約者になってくれただけでなく、僕を愛してくれている。それが未だに信じられない。
今日はシャレルに頼まれ、眠るまで傍にいると約束したのだ。シャレルの寝顔を拝めるだなんて。
「殿下、どうかこちらへ」
「ええ、すぐに行きます」
中々来ない僕を心配したガスディアノ公爵が、再び僕の元にやって来たのだ。名残惜しいが、そろそろ部屋から出るか。そう思ったのだが…
「あれ?手が離れない」
ガッチリつかまれた手を、中々振りほどく事が出来ないのだ。
「シャレル、お前って娘は。ほら、離しなさい」
ガスディアノ公爵も手伝ってくれたのだが、中々離れない。この光景、見覚えがあるぞ。婚約して間もない頃、王都で怖い思いをしたあの時も、こうやって僕から離れなかったな。
あの頃からきっと、シャレルは僕の事を…
「なんて力だ。本当に眠っているのか?お前たちも手伝ってくれ」
数人がかりで僕とシャレルの手を引き離そうとしている。何とか引き離すことに成功したが、無意識に僕の手を探しているシャレルの姿を見たら、胸が痛い。結局シャレルのお気に入りのぬいぐるみが与えられ、落ち着いた様だ。
「殿下、本当に申し訳ございません。どうやらシャレルは、恐ろしいほど殿下に執着している様で。私は子供の頃から、あの子を厳しく躾て参りました。母親がいない事で負い目を感じさせない様にと、必要以上に厳しくしてきたのです。
そのせいか、子供の頃から大人びていて、人に甘えるという事を知りません。ですが、どうやら殿下には甘えられる様で…あのような娘ですが、どうかよろしくお願いいたします」
確かにシャレルは、年齢以上に大人びて見える。ただ、時折見せる無邪気な表情や、甘えん坊な姿がまたたまらない。そうか、父親にもあまり見せない姿を、僕には見せてくれているのか。
どうしてここまで僕を慕ってくれるのか、よくわからない。それでもシャレルが僕の事を好いていてくれるのは事実。いつまでもネガティブな感情を抱いていないで、これからはシャレルを幸せにすることだけを考えたい。
「公爵殿、シャレルに執着しているのは、むしろ僕の方です。僕はもう、シャレルがいないと生きていけない程、彼女を愛しております。僕はまだまだ未熟ですが、どうか今後もお力添えを頂ければと思っております。少し今後の話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ええ、もちろんです。ここ数年の殿下の成長っぷりは、本当に素晴らしいものです。現に第二王子派だった貴族たちも、今や殿下を一目置いているほど」
「その件なのですが…」
僕はある事を公爵に依頼した。今日の様子からして、ジョーンはどうやらシャレルに物凄く執着している様だ。僕や両親が何度も令嬢との婚約を進めてきたが、頑なに頷かないのは、きっとシャレルをいずれ手に入れたいと考えているからだろう。
僕だってジョーンに黙って、シャレルを取られるほどバカではない。ジョーンは昔からそうだ。僕のものを何でも持って行ってしまう。でも、シャレルだけは、絶対に渡す訳にはいかない。
「ダーウィン殿下のお気持ちは分かりました。私の方でも、至急調べてみます」
「ありがとうございます、公爵殿。どうかこれからも、お力添えを頂ければと考えております」
「もちろんです。あなた様の安定が、シャレルの幸せにもつながるのです。この命に代えても、あなた様をお守りいたします」
ガスディアノ公爵殿には、感謝してもしきれない程の恩がある。だからこそ、彼の為にも絶対に幸せになってみせる。シャレルと共に…
「それでは僕はこれで失礼いたします。あの…もう一度だけ、シャレルの姿を見せていただいてもよろしいですか?」
僕の言葉に、一瞬目を大きく見開いた公爵だったが、すぐに笑顔に戻ると
「シャレルはあなた様の婚約者です。あなた様の思う様にしてください」
そう言ってくれた。
早速シャレルの部屋へと向かう。ぬいぐるみをしっかり抱きしめ、スヤスヤと眠っているシャレル。そんなシャレルのおでこに口づけを落とす。
「シャレル、お休み」
再びシャレルに触れると、そのまま公爵家を後にした。本当にシャレルは、どこまで僕を虜にするつもりだろう。さっき寝顔を見たばかりなのに、会いたくてたまらないだなんて。
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早く明日にならないかな、明日になったらまた、シャレルに会えるから…
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