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第42話:私はどうしたらいいのでしょう
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馬車から降りると、先に待っていた騎士たちに案内され、病院の中へと入っていく。
「殿下、ガスディアノ公爵殿は今、緊急手術に入っております。それから、執事とメイドも今、手術中との事。ただ、御者は数時間前に亡くなっていた様です」
「数時間前に亡くなっていただって?という事は…」
「要するに、既に私たちが馬車に乗った時には、我が家の御者は殺害されていたという事ですね。何者かに雇われた人物が、馬車を操縦し、あの場所に向かわせた。という事でよろしいですか?」
何者かとは、きっとジョーン殿下だ。あの男は、冷酷非道で血も涙もない人物。完全に侮っていたわ。でも、まさか私とお父様を襲うだなんて。
「それで公爵の様子はどうなんだ?大丈夫なのか?」
「それが…非常に危険な状態の様で…とにかく、手術に時間がかなりかかりそうとの事ですので、一度湯あみを。このままでは風邪をひいてしまわれます。病院側がお部屋を準備してくださっております。どうぞこちらへ」
「今は湯あみなんてしている場合ではない。シャレルの父親が生きるか死ぬかの瀬戸際なのだよ。とてもではないが、この場所を離れる事は出来ない」
よく見たらダーウィン様もずぶ濡れだ。万が一彼が風邪をひいたら、大変だわ。
「ダーウィン様、お気遣いありがとうございます。ですが、このままでは本当に風邪をひいてしまわれますわ。私も湯あみをして参りますので、どうかダーウィン様も一度着替えて来てください。きっとまだ、手術に時間がかかるでしょうし」
「しかし…」
「あなた、すぐに湯あみをさせてくれるかしら?このままだと本当に風邪をひいてしまいそうだわ。それではダーウィン様、後ほど」
困惑するダーウィン様に軽く会釈をすると、そのまま病院側が準備してくれた部屋へと向かった。部屋につくなり、近くのイスに席を下ろした。
1度目の生の時の事を思い出す。あの男はお父様に無実の罪を着せ、殺害した。そして実の兄でもあるダーウィン様までも手にかけたのだ。そう考えると、お父様や私の命を狙う事など、彼にとっては大したことではないだろう。
という事は…
あの男は、どこまで恐ろしい男なのだろう。この国で一番権力を持っているお父様を失った私は、一気に権力を失うだろう。その上、顔に大きな傷を負ったとしたら、その事を理由に、私をダーウィン様の婚約者から引きずりおろそうという動きが出るのは、火を見るより明らか。
我が国では、顔に傷がある令嬢は結婚に影響が出る。特に王太子殿下でもあるダーウィン様の婚約者でもある私の顔に、万が一傷がついてしまったら、外面の気にする貴族なら大騒ぎをするだろう。
もちろん、今の私に公爵家の維持をしていく力はない。完全に孤立無援になった私に、手を差し伸べるふりをして…
そこまでしてまで、私を手に入れたいの?なんて恐ろしい男なの。私のせいで、お父様が。このままいけばきっと、ダーウィン様にも被害が及ぶ。
私は無力だわ。ジョーン殿下が水面下で動き出している事を知っていながら、まんまと彼の罠にはまってしまったのだから…
私は本当に、あの人からダーウィン様を守れるの?いっその事、私が彼の傍から消えた方が、ダーウィン様は幸せになれるのではないのかしら?
もしお父様が命を落とすことがあれば、私はダーウィン様にとって、ただの役立たず。権力を失った令嬢など、ダーウィン様にとって、お荷物以外何物でもない。
そうなったら私は…
「お嬢様、あの…湯あみを行いましょう。このままでは風邪をひいてしまわれます」
心配そうに話しかけてきたのは、公爵家のメイドだ。私の為に、わざわざ病院まで来てくれたのだろう。
「ありがとう。でも今は、何もする気がしないの。どうかこのままいさせて」
困惑するメイドに笑顔を向ける。公爵家にはたくさんの使用人が働いている。もしお父様が亡くなり、公爵家が維持できなくなったら、この人たちは路頭に迷うのね。
それだけは何とか阻止しないと。
すっと立ち上がり、ふと窓の方まで歩いていく。窓の外を見ると、さっきまでの大雨とは打って変わって、今度は星が出ているではないか。
「なんて綺麗な星なのかしら?そうだわ、私、マーラル王国に行こうかしら?1度目の生の時に夢見た、あの国に…」
1度目の生の時、マーラル王国で幸せな暮らしを夢見ていたあの頃。辛い事も沢山あったけれど、あの1週間だけは、幸せだったな…
「シャレル、まだ湯あみをしていなかったのかい?とにかく、すぐに湯あみを…」
私の元にやって来たのは、ダーウィン様だ。1度目の生の時から、大好きだった人。今度こそ彼を幸せにしたいと願った大切な人。
彼の幸せの為に、私が出来る事は…
「ダーウィン様、もし父が命を落としたら、どうか私との婚約を解消してください」
「殿下、ガスディアノ公爵殿は今、緊急手術に入っております。それから、執事とメイドも今、手術中との事。ただ、御者は数時間前に亡くなっていた様です」
「数時間前に亡くなっていただって?という事は…」
「要するに、既に私たちが馬車に乗った時には、我が家の御者は殺害されていたという事ですね。何者かに雇われた人物が、馬車を操縦し、あの場所に向かわせた。という事でよろしいですか?」
何者かとは、きっとジョーン殿下だ。あの男は、冷酷非道で血も涙もない人物。完全に侮っていたわ。でも、まさか私とお父様を襲うだなんて。
「それで公爵の様子はどうなんだ?大丈夫なのか?」
「それが…非常に危険な状態の様で…とにかく、手術に時間がかなりかかりそうとの事ですので、一度湯あみを。このままでは風邪をひいてしまわれます。病院側がお部屋を準備してくださっております。どうぞこちらへ」
「今は湯あみなんてしている場合ではない。シャレルの父親が生きるか死ぬかの瀬戸際なのだよ。とてもではないが、この場所を離れる事は出来ない」
よく見たらダーウィン様もずぶ濡れだ。万が一彼が風邪をひいたら、大変だわ。
「ダーウィン様、お気遣いありがとうございます。ですが、このままでは本当に風邪をひいてしまわれますわ。私も湯あみをして参りますので、どうかダーウィン様も一度着替えて来てください。きっとまだ、手術に時間がかかるでしょうし」
「しかし…」
「あなた、すぐに湯あみをさせてくれるかしら?このままだと本当に風邪をひいてしまいそうだわ。それではダーウィン様、後ほど」
困惑するダーウィン様に軽く会釈をすると、そのまま病院側が準備してくれた部屋へと向かった。部屋につくなり、近くのイスに席を下ろした。
1度目の生の時の事を思い出す。あの男はお父様に無実の罪を着せ、殺害した。そして実の兄でもあるダーウィン様までも手にかけたのだ。そう考えると、お父様や私の命を狙う事など、彼にとっては大したことではないだろう。
という事は…
あの男は、どこまで恐ろしい男なのだろう。この国で一番権力を持っているお父様を失った私は、一気に権力を失うだろう。その上、顔に大きな傷を負ったとしたら、その事を理由に、私をダーウィン様の婚約者から引きずりおろそうという動きが出るのは、火を見るより明らか。
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もちろん、今の私に公爵家の維持をしていく力はない。完全に孤立無援になった私に、手を差し伸べるふりをして…
そこまでしてまで、私を手に入れたいの?なんて恐ろしい男なの。私のせいで、お父様が。このままいけばきっと、ダーウィン様にも被害が及ぶ。
私は無力だわ。ジョーン殿下が水面下で動き出している事を知っていながら、まんまと彼の罠にはまってしまったのだから…
私は本当に、あの人からダーウィン様を守れるの?いっその事、私が彼の傍から消えた方が、ダーウィン様は幸せになれるのではないのかしら?
もしお父様が命を落とすことがあれば、私はダーウィン様にとって、ただの役立たず。権力を失った令嬢など、ダーウィン様にとって、お荷物以外何物でもない。
そうなったら私は…
「お嬢様、あの…湯あみを行いましょう。このままでは風邪をひいてしまわれます」
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「ありがとう。でも今は、何もする気がしないの。どうかこのままいさせて」
困惑するメイドに笑顔を向ける。公爵家にはたくさんの使用人が働いている。もしお父様が亡くなり、公爵家が維持できなくなったら、この人たちは路頭に迷うのね。
それだけは何とか阻止しないと。
すっと立ち上がり、ふと窓の方まで歩いていく。窓の外を見ると、さっきまでの大雨とは打って変わって、今度は星が出ているではないか。
「なんて綺麗な星なのかしら?そうだわ、私、マーラル王国に行こうかしら?1度目の生の時に夢見た、あの国に…」
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「シャレル、まだ湯あみをしていなかったのかい?とにかく、すぐに湯あみを…」
私の元にやって来たのは、ダーウィン様だ。1度目の生の時から、大好きだった人。今度こそ彼を幸せにしたいと願った大切な人。
彼の幸せの為に、私が出来る事は…
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