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第45話:絶対に許さない~ダーウィン視点~
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「誰に頼まれたんだ。早く吐いた方が楽になるぞ」
「本当に…知らないんだ。俺たちはただ、頼まれただけで…知っている事はすべて話した」
「貴様!」
「殿下、あまり無茶をなさいますと、こいつらの命が…」
「そうだね、そう簡単に死なせる訳にはいかないから、これくらいにしておくよ」
ぐったりとしている男たち。ちょっと痛めつけすぎたかな。でも、あの程度では、僕の腹の虫がおさまらない。
「ダーウィン殿下、奴らからはあれ以上の情報を引き出すのは難しいでしょう。とはいえ、引き続き尋問を続けます。それにしても、まさか殿下があのような取り調べを行うだなんて」
「騎士団員たちと同じような取り調べをしただけですよ。それにあの程度では、僕の腹の虫は到底収まらない。僕の可愛いシャレルを傷つけ、悲しませたのだから」
思い出しただけでも、腸が煮えくりかえる。シャレルが今回の件で、どれほど怖い思いをして、どれほど傷ついたか。そのせいで、僕の傍から離れようとしたのだ。シャレルのあの言葉、思い出しただけでも怒りがこみ上げてくる。
「殿下はシャレル嬢の事になると、人が変わりますね。ですが、優しさだけではとても国王は務まりません。時には非道さも必要かと。あなた様の姿を見て、私も安心いたしました」
「騎士団長、安心している場合ではないですよ。僕の婚約者でもあるシャレルを襲ったのだ。それが何を意味するか…必ず犯人を見つけ出し、制裁を加えないと。それから、ディンの件も、きっとあいつらが絡んでいるはずです。その件も、しっかり調査をしないと」
きっとジョーンが裏で絡んでいるはずだ。ただ、ジョーンが裏で手を引いているという証拠はない。くそ、あれほど徹底的にマークしていたはずなのに。どうしてこんな事に…
「殿下、その件に関しては我々騎士団にお任せください。騎士団の名に懸けて、必ずや非道な犯人をあぶり出して見せます。今回あろう事か、ガスディアノ公爵とシャレル嬢、さらにはガブディアン公爵令息のディン様まで手にかけようとするだなんて、絶対に許せることではないからな」
ニヤリと笑った騎士団長。その瞳には、怒りが滲んでいる。鬼の騎士団長と言われたレスティナ侯爵、きっと何が何でも犯人を暴き出すだろう。
でも、騎士団長にばかり負担をかける訳にはいかない。
とにかく早く犯人を見つけないと。
着替えを済ませ、次に向かった先はガブディアン公爵家だ。
「ダーウィン殿下、今日も来てくださったのですか?どうぞこちらへ」
出迎えてくれたのは、ディンの奥さんだ。
「夫人、今回の件、僕のせいでディンを危険に晒してしまい、申し訳ございませんでした。身重な夫人にまで、多大な負担をかけてしまった事、深くお詫び申し上げます」
夫人に頭を下げた。出産間近でただでさえ気を張っている中、こんな事件に巻き込んでしまった事、本当に申し訳なく思っている。
「殿下、どうか頭を上げて下さい。私の事まで心配して下さり、ありがとうございます。主人、殿下のお傍に仕えさせていただいてから、とても生き生きとしているのですよ。どうかこれからも、主人をよろしくお願いします」
穏やかな表情を浮かべ、僕に頭を下げてきた夫人。
「主人はこちらにおります。どうぞ」
夫人に連れられ部屋に通された。そこにはベッドに横たわるディンの姿が。
「殿下、わざわざ来てくださったのですか?それで、シャレル嬢と公爵は、無事だったのですか?」
怪我をしている体を、必死に起こそうとしているディン。
「ディン、どうか横になっていてくれ。君は大けがをしているのだから。君のお陰で、何とか最悪の事態だけは避けられたよ」
あの日酷い怪我を負い、病院で治療を受けていたディン。僕の顔を見るなり
“殿下…すぐにシャレル嬢の元に向かってください…なんだか嫌な予感がするのです…早く…”
声にならない声で、必死に訴えてきたディン。慌ててシャレルの居場所を確認すると、明らかにシャレルの家とは違う場所に向かっている馬車。
実は僕は、シャレルの居場所がすぐにわかる様に、シャレルに位置が特定できるブローチを、密かに付けさせているのだ。
あの時ディンが訴えてくれなければ、きっと最悪な事態になっていただろう。そう思うと、彼には感謝してもしきれない。
「最悪の事態と言う事は…やはり何らかの事件が起きたのですね。申し訳ございません、私が完全に油断したばかりに」
「君のせいじゃないよ。それよりも、僕のせいで君まで大けがを負わせてしまって、本当にすまなかった。それで、馬車の事故の原因は?」
「はい、どうやら脱輪する様に、小細工がしてあったようです。それでシャレル嬢は?」
「あの後、シャレルと公爵が乗った馬車が襲われて、公爵は酷い怪我を負ったよ。ディンが教えてくれたお陰で、すぐに助けに行けた。犯人は生け捕りにして、今騎士団長が取り調べを行っている。ただ、裏で操っていた人間までは、たどり着けそうになくてね」
「そうですか…」
遠い目で窓の外を見たディン。なんだかんだ言って、彼はシャレルをとても気にかけてくれている。シャレルがジョーンやマリア嬢に会わない様に、人一倍気を使ってくれているのもディンだ。
そんなディンに酷い怪我を負わせた犯人を、絶対に許せない。
「本当に…知らないんだ。俺たちはただ、頼まれただけで…知っている事はすべて話した」
「貴様!」
「殿下、あまり無茶をなさいますと、こいつらの命が…」
「そうだね、そう簡単に死なせる訳にはいかないから、これくらいにしておくよ」
ぐったりとしている男たち。ちょっと痛めつけすぎたかな。でも、あの程度では、僕の腹の虫がおさまらない。
「ダーウィン殿下、奴らからはあれ以上の情報を引き出すのは難しいでしょう。とはいえ、引き続き尋問を続けます。それにしても、まさか殿下があのような取り調べを行うだなんて」
「騎士団員たちと同じような取り調べをしただけですよ。それにあの程度では、僕の腹の虫は到底収まらない。僕の可愛いシャレルを傷つけ、悲しませたのだから」
思い出しただけでも、腸が煮えくりかえる。シャレルが今回の件で、どれほど怖い思いをして、どれほど傷ついたか。そのせいで、僕の傍から離れようとしたのだ。シャレルのあの言葉、思い出しただけでも怒りがこみ上げてくる。
「殿下はシャレル嬢の事になると、人が変わりますね。ですが、優しさだけではとても国王は務まりません。時には非道さも必要かと。あなた様の姿を見て、私も安心いたしました」
「騎士団長、安心している場合ではないですよ。僕の婚約者でもあるシャレルを襲ったのだ。それが何を意味するか…必ず犯人を見つけ出し、制裁を加えないと。それから、ディンの件も、きっとあいつらが絡んでいるはずです。その件も、しっかり調査をしないと」
きっとジョーンが裏で絡んでいるはずだ。ただ、ジョーンが裏で手を引いているという証拠はない。くそ、あれほど徹底的にマークしていたはずなのに。どうしてこんな事に…
「殿下、その件に関しては我々騎士団にお任せください。騎士団の名に懸けて、必ずや非道な犯人をあぶり出して見せます。今回あろう事か、ガスディアノ公爵とシャレル嬢、さらにはガブディアン公爵令息のディン様まで手にかけようとするだなんて、絶対に許せることではないからな」
ニヤリと笑った騎士団長。その瞳には、怒りが滲んでいる。鬼の騎士団長と言われたレスティナ侯爵、きっと何が何でも犯人を暴き出すだろう。
でも、騎士団長にばかり負担をかける訳にはいかない。
とにかく早く犯人を見つけないと。
着替えを済ませ、次に向かった先はガブディアン公爵家だ。
「ダーウィン殿下、今日も来てくださったのですか?どうぞこちらへ」
出迎えてくれたのは、ディンの奥さんだ。
「夫人、今回の件、僕のせいでディンを危険に晒してしまい、申し訳ございませんでした。身重な夫人にまで、多大な負担をかけてしまった事、深くお詫び申し上げます」
夫人に頭を下げた。出産間近でただでさえ気を張っている中、こんな事件に巻き込んでしまった事、本当に申し訳なく思っている。
「殿下、どうか頭を上げて下さい。私の事まで心配して下さり、ありがとうございます。主人、殿下のお傍に仕えさせていただいてから、とても生き生きとしているのですよ。どうかこれからも、主人をよろしくお願いします」
穏やかな表情を浮かべ、僕に頭を下げてきた夫人。
「主人はこちらにおります。どうぞ」
夫人に連れられ部屋に通された。そこにはベッドに横たわるディンの姿が。
「殿下、わざわざ来てくださったのですか?それで、シャレル嬢と公爵は、無事だったのですか?」
怪我をしている体を、必死に起こそうとしているディン。
「ディン、どうか横になっていてくれ。君は大けがをしているのだから。君のお陰で、何とか最悪の事態だけは避けられたよ」
あの日酷い怪我を負い、病院で治療を受けていたディン。僕の顔を見るなり
“殿下…すぐにシャレル嬢の元に向かってください…なんだか嫌な予感がするのです…早く…”
声にならない声で、必死に訴えてきたディン。慌ててシャレルの居場所を確認すると、明らかにシャレルの家とは違う場所に向かっている馬車。
実は僕は、シャレルの居場所がすぐにわかる様に、シャレルに位置が特定できるブローチを、密かに付けさせているのだ。
あの時ディンが訴えてくれなければ、きっと最悪な事態になっていただろう。そう思うと、彼には感謝してもしきれない。
「最悪の事態と言う事は…やはり何らかの事件が起きたのですね。申し訳ございません、私が完全に油断したばかりに」
「君のせいじゃないよ。それよりも、僕のせいで君まで大けがを負わせてしまって、本当にすまなかった。それで、馬車の事故の原因は?」
「はい、どうやら脱輪する様に、小細工がしてあったようです。それでシャレル嬢は?」
「あの後、シャレルと公爵が乗った馬車が襲われて、公爵は酷い怪我を負ったよ。ディンが教えてくれたお陰で、すぐに助けに行けた。犯人は生け捕りにして、今騎士団長が取り調べを行っている。ただ、裏で操っていた人間までは、たどり着けそうになくてね」
「そうですか…」
遠い目で窓の外を見たディン。なんだかんだ言って、彼はシャレルをとても気にかけてくれている。シャレルがジョーンやマリア嬢に会わない様に、人一倍気を使ってくれているのもディンだ。
そんなディンに酷い怪我を負わせた犯人を、絶対に許せない。
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