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第44話:一命は取り留めた様です
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「シャレル、もう二度とこんな事を言わないと約束してくれるね?」
「はい、もちろんです。本当にごめんなさい」
改めてダーウィン様に頭を下げた。
「僕が頼りないのは十分承知しているよ。でもどうか、もう少しだけ僕の事を頼って欲しい。それとも、僕じゃあ頼りないかい?」
「そんな、頼りないだなんて。そんな事はありませんわ」
「それじゃあ、これからは勝手に1人で決めずに、何でも僕に相談して欲しい。約束だよ」
「はい、分かりましたわ」
「随分と体が冷えてしまったね。すぐに湯あみをしておいで。君たち、シャレルを頼むよ」
「「はい、かしこまりました」」
メイドたちに連れられ、そのまま浴槽にやって来た。結局私は、ダーウィン様からは離れられないのだろう。でも、私が彼の傍にいるせいで、きっとこれから、本格的に始まるだろう。ジョーン殿下との戦いが…
「お嬢様、随分と体が冷えてしまいましたね。それよりもお嬢様、私共はどんなことがあっても、お嬢様に付いていきますわ」
「そうですわ、勝手にお1人でどこかに行かないで下さいね」
メイドたちが、なぜか嬉しそうに話しかけてきたのだ。きっとさっきの話を聞いていたのだろう。
「あなた達にも、いらない心配をかけてごめんなさい」
「どうか謝らないで下さい。ただ私たちは、こんな風に大切に思って下さっているという事が嬉しかったのです」
「あなた達…」
「さあ、お嬢様、そろそろ上がりましょう。風邪をひいては大変です、すぐに髪の毛を乾かしましょう」
手際よく私の髪を乾かしてくれる使用人たち彼女たちの為にも、お父様にはまだまだ長生きしてもらわないと困る。
それに何よりも、私の為にも。
湯あみが終わり、急いでダーウィン様の元へと向かう。すると
「シャレル、こっちだよ。どうやら手術はうまくいったようだ。公爵は一命をとりとめた様だよ」
「それは本当ですか?よかった」
一命を取り留めてくれた。それが嬉しくて、涙が溢れそうになる。そんな私を、抱きしめてくれるのはダーウィン様だ。
「シャレル、よかったね。これで僕から逃げられなくなったね」
「私は別に逃げようとはしておりませんわ」
「本当かい?僕は今日君に言われた事、今も根に持っているのだよ。それくらい僕にとっては、悲しい事だったからね」
「ごめんなさい、私…」
「ごめんごめん、ちょっと虐めすぎたかな。さあ、公爵の元に行こう」
ダーウィン様に連れられ、お父様の病室へと向かった。目を閉じたままのお父様の姿が。
「お父様!」
急いでお父様の元へと駆け寄った。どうやら意識はない様だ。そっと手を握る。温かいわ、よかった、生きている。
「シャレル・ガスディアノ嬢ですね。ガスディアノ公爵殿はもう大丈夫ですよ」
優しそうなお医者様が、話しかけてきたのだ。
「それは本当ですか?ですが、意識がないようですが?」
「今は眠っているだけですよ。すぐに目覚めるでしょう。それにしても、公爵殿の生命力はすごいですね。それに強運の持ち主です。後10分病院への到着が遅れていたら、助からなかったでしょう」
あと10分遅れていたら、お父様は…もしあの時、ダーウィン様が来てくださらなかったら、お父様はきっと、助からなかった。
一気に血の気が引いていくのを感じる。改めてダーウィン様が助けに来てくれて、本当によかったわ。
「先生、父を助けていただき、ありがとうございました」
「お礼ならすぐに対応してくださった、ダーウィン殿下に言って差し上げて下さい。それでは私はこれで失礼します。すぐにお目覚めになられるかと思いますので、目覚められたら連絡してください」
そう言うとお医者様は、足早に去って行った。
「まだメイドと執事の治療が続いている様だ。彼らも助かるとよいのだが…」
まだ2人は、治療中なのね。どうか助かって欲しい。
その時だった。
「シャレル…殿下…」
「お父様!」
「ガスディアノ公爵殿」
お父様が目覚めた様だ。嬉しくてお父様に抱き着いた。よかった、本当に助かったのね。
「シャレル…殿下も…心配をおかけして申し訳ございませんでした」
「本当ですよ、公爵殿。公爵殿にもしもの事があったら、シャレルは僕を捨ててどこかに行くつもりだった様です。シャレルが僕から逃げない様に、どうかこれからも長生きしてくださいね」
ダーウィン様、あなたって人は…私がさっき言った事を、よほど根に持っているのだろう。目覚めたばかりのお父様に、そんな事を言うだなんて。
「シャレルは…そんな事を言ったのかい?シャレル、ダーウィン殿下からはもう逃げられないから、諦めなさい」
そう言って笑ったお父様。よかった、笑う事も出来るのね。
「お父様、あなた様は酷い怪我をしているのです。どうかもう、休んでください」
「ああ、そうだな。まさか私を襲ってくるだなんて。早く元気になって、犯人には百倍返しにしてやらないと」
ニヤリと笑ったお父様。
「公爵殿、気持ちは分かりますが、後は僕に任せて下さい。実行犯も生け捕りにしていますから。今騎士団が尋問をしている頃でしょう。この後、僕も加わるつもりです。特にシャレルに触れたあの男、ただでは済まさないからな…」
ダーウィン様がニヤリと笑ったのだ。なんだか悪そうな顔をしているけれど、大丈夫かしら?
とにかくお父様が一命をとりとめたのだ。本当によかったわ。
お父様の顔を見て、心底ほっとしたのだった。
※次回、ダーウィン視点です。
よろしくお願いします。
「はい、もちろんです。本当にごめんなさい」
改めてダーウィン様に頭を下げた。
「僕が頼りないのは十分承知しているよ。でもどうか、もう少しだけ僕の事を頼って欲しい。それとも、僕じゃあ頼りないかい?」
「そんな、頼りないだなんて。そんな事はありませんわ」
「それじゃあ、これからは勝手に1人で決めずに、何でも僕に相談して欲しい。約束だよ」
「はい、分かりましたわ」
「随分と体が冷えてしまったね。すぐに湯あみをしておいで。君たち、シャレルを頼むよ」
「「はい、かしこまりました」」
メイドたちに連れられ、そのまま浴槽にやって来た。結局私は、ダーウィン様からは離れられないのだろう。でも、私が彼の傍にいるせいで、きっとこれから、本格的に始まるだろう。ジョーン殿下との戦いが…
「お嬢様、随分と体が冷えてしまいましたね。それよりもお嬢様、私共はどんなことがあっても、お嬢様に付いていきますわ」
「そうですわ、勝手にお1人でどこかに行かないで下さいね」
メイドたちが、なぜか嬉しそうに話しかけてきたのだ。きっとさっきの話を聞いていたのだろう。
「あなた達にも、いらない心配をかけてごめんなさい」
「どうか謝らないで下さい。ただ私たちは、こんな風に大切に思って下さっているという事が嬉しかったのです」
「あなた達…」
「さあ、お嬢様、そろそろ上がりましょう。風邪をひいては大変です、すぐに髪の毛を乾かしましょう」
手際よく私の髪を乾かしてくれる使用人たち彼女たちの為にも、お父様にはまだまだ長生きしてもらわないと困る。
それに何よりも、私の為にも。
湯あみが終わり、急いでダーウィン様の元へと向かう。すると
「シャレル、こっちだよ。どうやら手術はうまくいったようだ。公爵は一命をとりとめた様だよ」
「それは本当ですか?よかった」
一命を取り留めてくれた。それが嬉しくて、涙が溢れそうになる。そんな私を、抱きしめてくれるのはダーウィン様だ。
「シャレル、よかったね。これで僕から逃げられなくなったね」
「私は別に逃げようとはしておりませんわ」
「本当かい?僕は今日君に言われた事、今も根に持っているのだよ。それくらい僕にとっては、悲しい事だったからね」
「ごめんなさい、私…」
「ごめんごめん、ちょっと虐めすぎたかな。さあ、公爵の元に行こう」
ダーウィン様に連れられ、お父様の病室へと向かった。目を閉じたままのお父様の姿が。
「お父様!」
急いでお父様の元へと駆け寄った。どうやら意識はない様だ。そっと手を握る。温かいわ、よかった、生きている。
「シャレル・ガスディアノ嬢ですね。ガスディアノ公爵殿はもう大丈夫ですよ」
優しそうなお医者様が、話しかけてきたのだ。
「それは本当ですか?ですが、意識がないようですが?」
「今は眠っているだけですよ。すぐに目覚めるでしょう。それにしても、公爵殿の生命力はすごいですね。それに強運の持ち主です。後10分病院への到着が遅れていたら、助からなかったでしょう」
あと10分遅れていたら、お父様は…もしあの時、ダーウィン様が来てくださらなかったら、お父様はきっと、助からなかった。
一気に血の気が引いていくのを感じる。改めてダーウィン様が助けに来てくれて、本当によかったわ。
「先生、父を助けていただき、ありがとうございました」
「お礼ならすぐに対応してくださった、ダーウィン殿下に言って差し上げて下さい。それでは私はこれで失礼します。すぐにお目覚めになられるかと思いますので、目覚められたら連絡してください」
そう言うとお医者様は、足早に去って行った。
「まだメイドと執事の治療が続いている様だ。彼らも助かるとよいのだが…」
まだ2人は、治療中なのね。どうか助かって欲しい。
その時だった。
「シャレル…殿下…」
「お父様!」
「ガスディアノ公爵殿」
お父様が目覚めた様だ。嬉しくてお父様に抱き着いた。よかった、本当に助かったのね。
「シャレル…殿下も…心配をおかけして申し訳ございませんでした」
「本当ですよ、公爵殿。公爵殿にもしもの事があったら、シャレルは僕を捨ててどこかに行くつもりだった様です。シャレルが僕から逃げない様に、どうかこれからも長生きしてくださいね」
ダーウィン様、あなたって人は…私がさっき言った事を、よほど根に持っているのだろう。目覚めたばかりのお父様に、そんな事を言うだなんて。
「シャレルは…そんな事を言ったのかい?シャレル、ダーウィン殿下からはもう逃げられないから、諦めなさい」
そう言って笑ったお父様。よかった、笑う事も出来るのね。
「お父様、あなた様は酷い怪我をしているのです。どうかもう、休んでください」
「ああ、そうだな。まさか私を襲ってくるだなんて。早く元気になって、犯人には百倍返しにしてやらないと」
ニヤリと笑ったお父様。
「公爵殿、気持ちは分かりますが、後は僕に任せて下さい。実行犯も生け捕りにしていますから。今騎士団が尋問をしている頃でしょう。この後、僕も加わるつもりです。特にシャレルに触れたあの男、ただでは済まさないからな…」
ダーウィン様がニヤリと笑ったのだ。なんだか悪そうな顔をしているけれど、大丈夫かしら?
とにかくお父様が一命をとりとめたのだ。本当によかったわ。
お父様の顔を見て、心底ほっとしたのだった。
※次回、ダーウィン視点です。
よろしくお願いします。
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