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第48話:シャレルは何を隠しているのだろう~ダーウィン視点~
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「イヤ…お願い…死なないで、お願い」
ん?シャレルの声?
ゆっくり瞼を上げると、見覚えのない天井が。確かシャレルが酷い熱を出していて、僕は…
そうだ、シャレルの家に泊まっていたのだった。
「ダーウィン様、お願い、死なないで…お願いします、ジョーン殿下、あなたの言う通りにします。ですから、どうかダーウィン様を助けて」
えっ?今なんて言った?
ビックリしてシャレルの方を向いた。すると、涙をポロポロと流しながら、必死に訴えていたのだ。ただ、瞼は閉じたまま。どうやら夢を見ている様だ。
すると次の瞬間、シャレルが急に泣き叫び出したのだ。
「ダーウィン様、目を開けて下さい。どうして…」
ポロポロと涙を流しながら、必死に何かに縋っている様だ。そして
「ふざけないで下さい…誰があなたの愛人になんてなるものですか。あなただけは、絶対に許さない!絶対に!」
シャレルは何を言っているのだ?まるで誰かと話をしている様だ。相手は、ジョーン?愛人とは、一体どういうことだ?訳が分からず、固まってしまった。すると次の瞬間
「誰があなたと戦うと言いましたか?ダーウィン様、私も今、あなた様の元に向かいます」
そう叫ぶと、切なそうに微笑んだのだ。さらに喉元に何かを突き刺すような動きを見せている。これは一体…ただ、物凄い汗をかいているうえ、苦しそうだ。きっと悪夢を見ているのだろう。
「シャレル、しっかりしろ。大丈夫かい?シャレル」
シャレルを抱きかかえ、訴えた。するとパチリと目を覚ましたシャレル。そして
「ダーウィン様?よかった、生きていらしたのね」
僕に抱き着き、再び泣きだしたのだ。
「可哀そうに、怖い夢を見たのだね。もう大丈夫だよ。それにしても、凄い汗だ、一度着替えをしよう」
すぐに使用人を呼んで着替えをさせようと思ったのだが
「ダーウィン様、どうか…どうか今は私の傍にいて下さい。お願いします」
小刻みに震えているシャレル。きっとよほど怖い夢を見たのだろう。そう思い、シャレルが落ち着くまで強く彼女を抱きしめた。
「もう大丈夫ですわ。取り乱してごめんなさい」
本当に大丈夫なのか?まだ不安そうだ。その後、どうしてもシャレルが心配で、そっとシャレルを抱きしめて眠った。そのお陰か、その日は悪夢を見る事はなかった様だ。
ただ、翌日もその翌日も、熱は下がらず、さらに悪夢にうなされる日々。最初はただの悪夢だと思っていたのだが、毎回同じ内容なうえ、セリフが一字一句同じなのだ。まるで自分が体験したかのような言動。
シャレルのセリフから推測する限り、どうやら僕はジョーンによって瀕死の状態に。さらにシャレルは、ジョーンに愛人になる様に迫られていた。僕を助けるために愛人契約を受け入れようとした矢先に、僕は殺されてしまう。
全てに絶望したシャレルは、自ら命を絶つという恐ろしい内容なのだ。
どうして毎日、こんな悪夢を見るのだろう。どうしても気になって、それとなく精神科医に質問をした。
すると
「病気の時や精神が病んでいる時は、ネガティブな感情が悪夢となって現れる事はよくあります。ただ、毎日同じ夢を見るという事は、トラウマに繋がる過去が、悪夢として表れているのかもしれません。特に内容が鮮明な場合は、過去に起きた辛い体験の場合が多いです」
そう教えられたのだ。
過去に起きた辛い体験、そんな事は絶対にありえない。僕はジョーンに殺されていないし、シャレルだって今、生きている。それでも僕は、どうしてもシャレルが見ている悪夢が、ただの悪夢ではないような気がしてならないのだ。
一体シャレルは、何を隠しているのだろう。もしかしたら僕が想像をも出来ない程の、深い心の傷を抱えているのかもしれない。
そう思うと、胸が締め付けられそうになる。
僕はシャレルが大好きだ。いいや、大好きや愛しているという言葉では表せない程、シャレルを大切に思っている。シャレルの為なら、たとえ鬼でも悪魔でもなれる。シャレルが望むのなら、どんな事だってできる。
シャレル、君が何かを隠している事は分かったよ。きっとそれは、僕が想像もできない程、辛いものなのだろう。その辛い原因を作ったのは、ジョーンだよね?
ジョーンがいる限り、シャレルは幸せになれない。それならば僕がやれなければいけない事は…
※次回、シャレル視点に戻ります。
よろしくお願いします。
ん?シャレルの声?
ゆっくり瞼を上げると、見覚えのない天井が。確かシャレルが酷い熱を出していて、僕は…
そうだ、シャレルの家に泊まっていたのだった。
「ダーウィン様、お願い、死なないで…お願いします、ジョーン殿下、あなたの言う通りにします。ですから、どうかダーウィン様を助けて」
えっ?今なんて言った?
ビックリしてシャレルの方を向いた。すると、涙をポロポロと流しながら、必死に訴えていたのだ。ただ、瞼は閉じたまま。どうやら夢を見ている様だ。
すると次の瞬間、シャレルが急に泣き叫び出したのだ。
「ダーウィン様、目を開けて下さい。どうして…」
ポロポロと涙を流しながら、必死に何かに縋っている様だ。そして
「ふざけないで下さい…誰があなたの愛人になんてなるものですか。あなただけは、絶対に許さない!絶対に!」
シャレルは何を言っているのだ?まるで誰かと話をしている様だ。相手は、ジョーン?愛人とは、一体どういうことだ?訳が分からず、固まってしまった。すると次の瞬間
「誰があなたと戦うと言いましたか?ダーウィン様、私も今、あなた様の元に向かいます」
そう叫ぶと、切なそうに微笑んだのだ。さらに喉元に何かを突き刺すような動きを見せている。これは一体…ただ、物凄い汗をかいているうえ、苦しそうだ。きっと悪夢を見ているのだろう。
「シャレル、しっかりしろ。大丈夫かい?シャレル」
シャレルを抱きかかえ、訴えた。するとパチリと目を覚ましたシャレル。そして
「ダーウィン様?よかった、生きていらしたのね」
僕に抱き着き、再び泣きだしたのだ。
「可哀そうに、怖い夢を見たのだね。もう大丈夫だよ。それにしても、凄い汗だ、一度着替えをしよう」
すぐに使用人を呼んで着替えをさせようと思ったのだが
「ダーウィン様、どうか…どうか今は私の傍にいて下さい。お願いします」
小刻みに震えているシャレル。きっとよほど怖い夢を見たのだろう。そう思い、シャレルが落ち着くまで強く彼女を抱きしめた。
「もう大丈夫ですわ。取り乱してごめんなさい」
本当に大丈夫なのか?まだ不安そうだ。その後、どうしてもシャレルが心配で、そっとシャレルを抱きしめて眠った。そのお陰か、その日は悪夢を見る事はなかった様だ。
ただ、翌日もその翌日も、熱は下がらず、さらに悪夢にうなされる日々。最初はただの悪夢だと思っていたのだが、毎回同じ内容なうえ、セリフが一字一句同じなのだ。まるで自分が体験したかのような言動。
シャレルのセリフから推測する限り、どうやら僕はジョーンによって瀕死の状態に。さらにシャレルは、ジョーンに愛人になる様に迫られていた。僕を助けるために愛人契約を受け入れようとした矢先に、僕は殺されてしまう。
全てに絶望したシャレルは、自ら命を絶つという恐ろしい内容なのだ。
どうして毎日、こんな悪夢を見るのだろう。どうしても気になって、それとなく精神科医に質問をした。
すると
「病気の時や精神が病んでいる時は、ネガティブな感情が悪夢となって現れる事はよくあります。ただ、毎日同じ夢を見るという事は、トラウマに繋がる過去が、悪夢として表れているのかもしれません。特に内容が鮮明な場合は、過去に起きた辛い体験の場合が多いです」
そう教えられたのだ。
過去に起きた辛い体験、そんな事は絶対にありえない。僕はジョーンに殺されていないし、シャレルだって今、生きている。それでも僕は、どうしてもシャレルが見ている悪夢が、ただの悪夢ではないような気がしてならないのだ。
一体シャレルは、何を隠しているのだろう。もしかしたら僕が想像をも出来ない程の、深い心の傷を抱えているのかもしれない。
そう思うと、胸が締め付けられそうになる。
僕はシャレルが大好きだ。いいや、大好きや愛しているという言葉では表せない程、シャレルを大切に思っている。シャレルの為なら、たとえ鬼でも悪魔でもなれる。シャレルが望むのなら、どんな事だってできる。
シャレル、君が何かを隠している事は分かったよ。きっとそれは、僕が想像もできない程、辛いものなのだろう。その辛い原因を作ったのは、ジョーンだよね?
ジョーンがいる限り、シャレルは幸せになれない。それならば僕がやれなければいけない事は…
※次回、シャレル視点に戻ります。
よろしくお願いします。
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