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第55話:このままではシャレルが壊れてしまう~ダーウィン視点~
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「お願い、ダーウィン様を助けて下さい。あなた様の言う通りにします。だから…」
「いやぁぁ、ダーウィン様、死なないで。お願い、置いて逝かないで」
涙を流しながら、必死に手を伸ばすシャレル。今日も悪夢にうなされている様だ。そんな彼女の手をギュッと握った。
「シャレル、大丈夫かい?起きて、シャレル」
パチッと目を覚ましたシャレルは、泣きながら僕にしがみついて来た。そんな彼女を宥め、もう一度寝かせた。
シャレルが泣きながら一緒に逃げようと僕に訴えてから、1週間。彼女は毎日悪夢にうなされていると、使用人が言っていた。心配で今日、様子を見に来たが、やはり今日も悪夢にうなされている様だ。
眠りも浅く、毎日狂ったように何かを調べているシャレル。このままではきっと、シャレルは壊れてしまう。完全に冷静な判断が出来なくなっているシャレルを、どうすれば助ける事が出来るのだろうか…
「ダーウィン殿下、娘は今日も悪夢にうなされているみたいですね…一体何をそんなに怯えているのでしょうか?」
話しかけてきたのは、ガスディアノ公爵だ。
「シャレルは勘のいい子です。きっと何か、感じるものがあるのでしょう」
「殿下に“一緒に逃げよう”というだなんて、完全に正常な判断が出来なくなっている様です。もしかして私が、厳しく育てすぎたせいでしょうか?私のせいで、シャレルは壊れてしまったのかもしれません。私はあの子にとって、決して良い父親ではありませんでした」
「しっかりしてください。決して公爵殿のせいではありません。僕が不甲斐ないばかりに。とにかく、このままではシャレルが壊れてしまいます。早く手を打たないといけません。シャレルがおかしなことをしない様に、引き続きシャレルを見張っていてください」
「分かりました」
いつも冷静でどんと構えているガスディアノ公爵が、こんなに動揺するだなんて。よほどシャレルの事が心配なのだろう。
確かに今のシャレルの精神状態は、最悪だ。いつ壊れてしまってもおかしくない。ただ…
彼女がそうなる理由も、わからなくはないな…
再びシャレルの部屋へと向かった。すると、また悪夢にうなされていたのだ。そんなシャレルを強く抱きしめた。すると、安心したのか今度はスヤスヤと眠り出したのだ。
よかった。僕の温もりでシャレルが安心して眠ってくれるのなら、毎日こうやって抱きしめてあげたら、シャレルの心も少しは楽になるのかな?
そう思っていたのだが、再び悪夢を見始めたのだ。どうやらダメだったようだ。そっとシャレルのベッドから出る。さすがにシャレルのベッドに入ったのはまずかっただろう。その後も、シャレルが起きるまで、手を握り続けた。
翌朝
「シャレル、おはよう。今日は一緒に朝食を食べよう」
「ダーウィン様、どうしてこちらに。でも嬉しいです。はい、食べましょう」
2人手を繋いで、食堂へとやって来た。でも、シャレルはサラダを少し食べただけで、食べるのをやめてしまったのだ。
「もういらないのかい?」
「はい、食欲がなくて。申し訳ございません、やらなければいけない事があるので、私はこれで失礼いたします」
「待って、シャレル、今日も王宮に来ないのかい?」
「はい…申し訳ございません。今日も体調が思わしくないので、屋敷におりますわ」
「わかったよ、それじゃあ、ゆっくり休んでくれ」
「それでは失礼します」
急ぎ足で去っていくシャレルの後を、そっと付ける。今日も図書館棟に籠り、必死に調べ物をしていた。この一週間、毎日朝早くから夜遅くまで、狂ったように図書館棟に籠っているシャレル。
この1週間で、随分と痩せてしまったのだ。
シャレルが心配で、ずっと傍にいたいが、僕は王太子。やらなければいけない事が、沢山ある。後ろ髪を引かれる思いで、王宮に戻ってきた。
「殿下、シャレル嬢はどうですか?」
「相変わらずだよ。ディン、ジョーンの様子は?」
「相変わらず完璧な守りを見せておりますね。ただ、そろそろ動き出して来るのではないですか?あなた様とシャレル嬢が、国を出る準備をしていると思っていらっしゃっているでしょうし」
「そうだね、少なくともシャレルの様子は、ジョーンは把握しているだろうし。僕の部屋もしっかり見ているだろう。この部屋だけが、安息の地という訳か…」
ジョーンはシャレルの家はもちろん、僕の部屋ですら盗撮しているだろう。ただ、この部屋だけは、ジョーンも盗撮する事が出来ない。もちろん、スパイも近づけない。あいつの隠し部屋と、同じ造りなのだから。
だから本心が話せるのは、ここでのみ。
「いやぁぁ、ダーウィン様、死なないで。お願い、置いて逝かないで」
涙を流しながら、必死に手を伸ばすシャレル。今日も悪夢にうなされている様だ。そんな彼女の手をギュッと握った。
「シャレル、大丈夫かい?起きて、シャレル」
パチッと目を覚ましたシャレルは、泣きながら僕にしがみついて来た。そんな彼女を宥め、もう一度寝かせた。
シャレルが泣きながら一緒に逃げようと僕に訴えてから、1週間。彼女は毎日悪夢にうなされていると、使用人が言っていた。心配で今日、様子を見に来たが、やはり今日も悪夢にうなされている様だ。
眠りも浅く、毎日狂ったように何かを調べているシャレル。このままではきっと、シャレルは壊れてしまう。完全に冷静な判断が出来なくなっているシャレルを、どうすれば助ける事が出来るのだろうか…
「ダーウィン殿下、娘は今日も悪夢にうなされているみたいですね…一体何をそんなに怯えているのでしょうか?」
話しかけてきたのは、ガスディアノ公爵だ。
「シャレルは勘のいい子です。きっと何か、感じるものがあるのでしょう」
「殿下に“一緒に逃げよう”というだなんて、完全に正常な判断が出来なくなっている様です。もしかして私が、厳しく育てすぎたせいでしょうか?私のせいで、シャレルは壊れてしまったのかもしれません。私はあの子にとって、決して良い父親ではありませんでした」
「しっかりしてください。決して公爵殿のせいではありません。僕が不甲斐ないばかりに。とにかく、このままではシャレルが壊れてしまいます。早く手を打たないといけません。シャレルがおかしなことをしない様に、引き続きシャレルを見張っていてください」
「分かりました」
いつも冷静でどんと構えているガスディアノ公爵が、こんなに動揺するだなんて。よほどシャレルの事が心配なのだろう。
確かに今のシャレルの精神状態は、最悪だ。いつ壊れてしまってもおかしくない。ただ…
彼女がそうなる理由も、わからなくはないな…
再びシャレルの部屋へと向かった。すると、また悪夢にうなされていたのだ。そんなシャレルを強く抱きしめた。すると、安心したのか今度はスヤスヤと眠り出したのだ。
よかった。僕の温もりでシャレルが安心して眠ってくれるのなら、毎日こうやって抱きしめてあげたら、シャレルの心も少しは楽になるのかな?
そう思っていたのだが、再び悪夢を見始めたのだ。どうやらダメだったようだ。そっとシャレルのベッドから出る。さすがにシャレルのベッドに入ったのはまずかっただろう。その後も、シャレルが起きるまで、手を握り続けた。
翌朝
「シャレル、おはよう。今日は一緒に朝食を食べよう」
「ダーウィン様、どうしてこちらに。でも嬉しいです。はい、食べましょう」
2人手を繋いで、食堂へとやって来た。でも、シャレルはサラダを少し食べただけで、食べるのをやめてしまったのだ。
「もういらないのかい?」
「はい、食欲がなくて。申し訳ございません、やらなければいけない事があるので、私はこれで失礼いたします」
「待って、シャレル、今日も王宮に来ないのかい?」
「はい…申し訳ございません。今日も体調が思わしくないので、屋敷におりますわ」
「わかったよ、それじゃあ、ゆっくり休んでくれ」
「それでは失礼します」
急ぎ足で去っていくシャレルの後を、そっと付ける。今日も図書館棟に籠り、必死に調べ物をしていた。この一週間、毎日朝早くから夜遅くまで、狂ったように図書館棟に籠っているシャレル。
この1週間で、随分と痩せてしまったのだ。
シャレルが心配で、ずっと傍にいたいが、僕は王太子。やらなければいけない事が、沢山ある。後ろ髪を引かれる思いで、王宮に戻ってきた。
「殿下、シャレル嬢はどうですか?」
「相変わらずだよ。ディン、ジョーンの様子は?」
「相変わらず完璧な守りを見せておりますね。ただ、そろそろ動き出して来るのではないですか?あなた様とシャレル嬢が、国を出る準備をしていると思っていらっしゃっているでしょうし」
「そうだね、少なくともシャレルの様子は、ジョーンは把握しているだろうし。僕の部屋もしっかり見ているだろう。この部屋だけが、安息の地という訳か…」
ジョーンはシャレルの家はもちろん、僕の部屋ですら盗撮しているだろう。ただ、この部屋だけは、ジョーンも盗撮する事が出来ない。もちろん、スパイも近づけない。あいつの隠し部屋と、同じ造りなのだから。
だから本心が話せるのは、ここでのみ。
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