異世界の美少女と入れ替わったらいきなり婚約破棄を突き付けられたんですけど‥‥。無問題!私、幸せになるんで!!

むぎてん

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9アーロン

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そして迎えた卒業パーティー。

今日は迎えもエスコートも無視したからエリーゼは一人で入場したはずだ。

きっと烈火の如く怒っているだろう。
それは俺のエスコートを望んでいるからでは決してない。
恥を掻かされたからだ。
エリーゼにとってプライドを損なわれるというのは、何よりも許せない事なのだ。

俺は怯みそうになる自分を叱咤激励しながら
エリーゼを探す。


いた!
エリーゼは会場の端の壁際に一人で立っていた。
手に持つ扇子を開いたり閉じたり、
きっともの凄くイライラしているのだろう。

そこに給仕役の後輩がエリーゼにぶつかった。
みるみる真っ青になり、ガタガタと震え出す後輩。

「ももも申し訳ございません!!」

青を通り越して真っ白な顔は、正に顔面蒼白。

当然だ。
いくら学園の先輩後輩とはいえ、エリーゼは公爵令嬢。
その上、上下関係は絶対だという考えを持つ選民意識の塊のような女だ。

『無礼者!このわたくしにぶつかるとは何事ですか!!抗議文を送ります、名を名乗りなさい!』

目をつり上げて叫ぶエリーゼの姿が目に浮かぶ。

あわてて二人の元へ駆け寄った。


「ほんの軽くぶつかっただけですもの。全く問題はございませんわ。わたくしもぼんやりしておりましたから。こちらこそごめんなさいね」

‥‥は?
エリーゼは今何と言った?
ごめんなさい?
エリーゼが他人に謝る姿など見たこともない!!

目玉が零れんばかりに驚愕している後輩にニッコリ微笑むエリーゼ。

な、何だ!
何が起こっている?

いや、落ち着け!

とにかく俺は今日の目的を果たすんだ!
エリーゼに婚約破棄を叩きつけるんだ!


「エリーゼ!!貴様!後輩の者を虐めているのか!!」

大声を出してエリーゼと後輩の間に立ち塞がった。

「今日という今日はもう我慢ならん!お前とは婚約破棄だ!!」

よし!!
言った!言ってやった!!

眉間に皺を寄せて蔑むように俺を睨み付けるエリーゼの顔がまた目に浮かんだが‥‥

しかし‥‥
訳が分からないと言うように、キョトンと首を傾げ、
「は?虐めてなどおりませんが?」

って、何だ!何なんだよ!
いつもなら

『殿下は状況の把握も碌に出来ないのですか?浅はかにもほどがありましてよ?それでこの国の第二王子などと‥‥王家の格を下げる言動も大概になさいませ』

などと言ってため息をつくではないか!!


「だ、黙れ!とにかくお前とは婚約破棄だ!俺は賢くて美人だからといって生意気なお前が昔から大嫌いだったんだ!俺は素直で可愛らしいキャメロンと婚約を結び直す!お前はキャメロンを男爵令嬢のくせにと言って虐めていたそうだな!お前にはキャメロンを虐めた罰を与える!北の修道院に入るか平民になるか選べ!」

とにかく今日の婚約破棄に向けて必死で考えてきたセリフを一気に捲し立てた。

しかしエリーゼは首を傾げたまま何も言い返さない。
黙ったままのエリーゼが逆に恐ろしい。

「おい!エリーゼ!!何とか言ったらどうなんだ!!」

恐ろしさに震える体を鼓舞するように右足をダン!と床に打ち付けた。


「修道院か平民ですか?じゃあ、平民で」

なっ!何を言っている!!
生粋の高位貴族の公爵令嬢であるエリーゼが、平民になどなれるわけがないだろう!!

「‥‥い、いや、待て!まさかいくら何でもそれはっ‥‥」

「アーロン様ぁ、わたくしの為にエリーゼさんに罰を与えてくれてありがとうございますぅ!」

「あ‥?ああ!これくらい、この俺なら朝飯前だ!ふはははは!!」

などと言ってはみるが、俺の体は震えが止まらず大量の脂汗がしたたり落ちる。

「エリーゼさん!頑張ってくださいね!何も出来ない貴女が平民として生きていけるとは思えませんけど、ふふっ!最後にこれまでわたくしを虐めたことを謝ってください!ほら、早く!土下座して謝って!」

お、おい!キャメロン!!
それは流石にマズい!!!

下位貴族の男爵令嬢が、強い権力を持つブレスリン公爵家のエリーゼに土下座の強要など!
お家取り潰しどころか、一家全員処刑されてもおかしくないぞ!!

どうすればいいんだ!

俺が軽い気持ちでキャメロンを利用したばかりに、キャメロンもキャメロンの両親もみんな不幸にしてしまう!!

ど、どうすれば‥‥
俺は‥‥どうすればいいんだ‥‥‥‥

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