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16アーロン
「改めて自己紹介するね。私はエリカ、田中恵梨香だよ。こことは違う世界の日本って国に住んでたの」
「エリカ‥‥。あ、俺はアーロン・スカイロードだ。このスカイロード王国の第二王子だ」
「うん、エリーゼの記憶を覗いたからだいたいのことは解ってるよ。エリーゼとアーロン様はお互い大嫌いで、だから婚約破棄をしようとしたんだよね?」
「ああ、その通りだ」
「でもさ、あんなやり方しなくてもよくない?」
ぷくっと頬を膨らませて俺を睨み不機嫌そうな顔をしているが、全く恐ろしくない。
エリーゼの、まるでナイフを突き付けられているような鋭い睨みとは全然違う。
「アーロン様は王様から怒られちゃうでしょ?キャメロンだって一家処刑とか大変な事になるとこだったじゃん」
エリカは自分が冤罪をかけられたことも婚約破棄されそうになったことも、もうどうでもいとばかりに俺とキャメロンの心配をする。
この世界でエリーゼとして生きていけるのかと、心配になってしまう。
「‥‥ああする他無かったんだ。確かにキャメロンには申し訳ないことをしたが‥‥‥。だが、エリカが何処まで理解しているかは解らないがこの婚約は王命だから」
「うん、知ってる。でもちゃんと話せば王様も分かってくれるでしょ?可愛い息子の将来がかかってるんだもん」
「いや、王命を破ることは大罪なんだ。俺とエリーゼの結婚は絶対だった。だから俺はキャメロンとの不貞を理由に婚約破棄をしようとしたんだ」
「ん?不貞なら許されるの?ちょっと意味が分かんない」
「俺の不貞なら全て俺の責任での婚約破棄とできる。エリーゼは王命を破るわけではないから罪に問われない」
「え、アーロン様は全部自分のせいにしようとしたの?」
「そうしなければ俺はエリーゼと結婚するしかない」
「じゃあ全部の責任を被ったアーロン様はどうなるの?」
「廃嫡の上、王家から除籍だろうな」
「はあぁ!?!なにそれ!もうちょっと穏便に出来ないの?」
「出来ない。それがこの国の王族、貴族の在り方だ。体面や面子を何よりも重んじる。たとえ血の繋がった子であろうとも家名に泥を塗る行為は絶対に許されないんだ」
「うえー、この世界ってマジでキモい!!さっき私たちを探ってきた人たちも最悪だったし、キャメロンを馬鹿にする態度も吐き気がしたよ!それに比べてアーロン様は王子様なのに優しいよね」
「だ、たから俺は優しくなどないと‥‥」
「え?優しいって!だって嫌いなエリーゼの為に自分を犠牲にしようとしたんでしょ?」
ヤバいくらい優しいじゃん、と笑うエリカ。
俺は本当に優しくなどない。
俺はエリーゼと結婚したくなかった。
エリーゼと夫婦になるのだけはどうしても嫌だった。
何を無くしても、全てを捨てても。
王族としての責任も放り投げて、キャメロンのその後のことも何も考えずに利用して、ただエリーゼから逃げようとした。
俺はまさに『ハズレの第二王子』だ。
馬鹿で浅はかで愚かな人間だ。
「え、ちょっと待って、私、婚約破棄を無かったことにしちゃったよね。ってことは、この後どうなるの?」
こうなってしまった以上、もう俺たちは結婚するしかない、などと言えるはずも無い。
エリカがこの国とは違う世界から来たということは明白だ。
疑う余地もない。
彼女の行動、話し方、考え方の全てがそれを物語っている。
何も知らない子どものように、純粋で無垢で優しいエリカ。
きっと、こことは違う自由な世界で生きていたのだろう。
そんなエリカがエリーゼの人生を背負わされて、こんな俺と結婚させられるなんて可哀想過ぎる。
「もう一度婚約破棄をする。何とか俺一人のの責任になるように計画を立て直すから安心しろ。もう不貞というカードは使えないが、何かしら方法はあるはずだ」
「え、それじゃ結局アーロン様は廃嫡されて除籍じゃん!駄目だよ!!アーロン様も幸せになる方法を考えようよ!!」
「いや、幸せにはなれない。王命を破ることは大罪だと言っただろう?王子である俺だから廃嫡除籍で済まされるんだ。一貴族なら毒杯で処刑、平民なら一家全員市中引き回しの上、断首刑だ」
「あわわわわわ!何それ、何それ、何この世界!恐すぎるし!!」
エリカの顔が一瞬で青く染まった。
「エリカ‥‥。あ、俺はアーロン・スカイロードだ。このスカイロード王国の第二王子だ」
「うん、エリーゼの記憶を覗いたからだいたいのことは解ってるよ。エリーゼとアーロン様はお互い大嫌いで、だから婚約破棄をしようとしたんだよね?」
「ああ、その通りだ」
「でもさ、あんなやり方しなくてもよくない?」
ぷくっと頬を膨らませて俺を睨み不機嫌そうな顔をしているが、全く恐ろしくない。
エリーゼの、まるでナイフを突き付けられているような鋭い睨みとは全然違う。
「アーロン様は王様から怒られちゃうでしょ?キャメロンだって一家処刑とか大変な事になるとこだったじゃん」
エリカは自分が冤罪をかけられたことも婚約破棄されそうになったことも、もうどうでもいとばかりに俺とキャメロンの心配をする。
この世界でエリーゼとして生きていけるのかと、心配になってしまう。
「‥‥ああする他無かったんだ。確かにキャメロンには申し訳ないことをしたが‥‥‥。だが、エリカが何処まで理解しているかは解らないがこの婚約は王命だから」
「うん、知ってる。でもちゃんと話せば王様も分かってくれるでしょ?可愛い息子の将来がかかってるんだもん」
「いや、王命を破ることは大罪なんだ。俺とエリーゼの結婚は絶対だった。だから俺はキャメロンとの不貞を理由に婚約破棄をしようとしたんだ」
「ん?不貞なら許されるの?ちょっと意味が分かんない」
「俺の不貞なら全て俺の責任での婚約破棄とできる。エリーゼは王命を破るわけではないから罪に問われない」
「え、アーロン様は全部自分のせいにしようとしたの?」
「そうしなければ俺はエリーゼと結婚するしかない」
「じゃあ全部の責任を被ったアーロン様はどうなるの?」
「廃嫡の上、王家から除籍だろうな」
「はあぁ!?!なにそれ!もうちょっと穏便に出来ないの?」
「出来ない。それがこの国の王族、貴族の在り方だ。体面や面子を何よりも重んじる。たとえ血の繋がった子であろうとも家名に泥を塗る行為は絶対に許されないんだ」
「うえー、この世界ってマジでキモい!!さっき私たちを探ってきた人たちも最悪だったし、キャメロンを馬鹿にする態度も吐き気がしたよ!それに比べてアーロン様は王子様なのに優しいよね」
「だ、たから俺は優しくなどないと‥‥」
「え?優しいって!だって嫌いなエリーゼの為に自分を犠牲にしようとしたんでしょ?」
ヤバいくらい優しいじゃん、と笑うエリカ。
俺は本当に優しくなどない。
俺はエリーゼと結婚したくなかった。
エリーゼと夫婦になるのだけはどうしても嫌だった。
何を無くしても、全てを捨てても。
王族としての責任も放り投げて、キャメロンのその後のことも何も考えずに利用して、ただエリーゼから逃げようとした。
俺はまさに『ハズレの第二王子』だ。
馬鹿で浅はかで愚かな人間だ。
「え、ちょっと待って、私、婚約破棄を無かったことにしちゃったよね。ってことは、この後どうなるの?」
こうなってしまった以上、もう俺たちは結婚するしかない、などと言えるはずも無い。
エリカがこの国とは違う世界から来たということは明白だ。
疑う余地もない。
彼女の行動、話し方、考え方の全てがそれを物語っている。
何も知らない子どものように、純粋で無垢で優しいエリカ。
きっと、こことは違う自由な世界で生きていたのだろう。
そんなエリカがエリーゼの人生を背負わされて、こんな俺と結婚させられるなんて可哀想過ぎる。
「もう一度婚約破棄をする。何とか俺一人のの責任になるように計画を立て直すから安心しろ。もう不貞というカードは使えないが、何かしら方法はあるはずだ」
「え、それじゃ結局アーロン様は廃嫡されて除籍じゃん!駄目だよ!!アーロン様も幸せになる方法を考えようよ!!」
「いや、幸せにはなれない。王命を破ることは大罪だと言っただろう?王子である俺だから廃嫡除籍で済まされるんだ。一貴族なら毒杯で処刑、平民なら一家全員市中引き回しの上、断首刑だ」
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エリカの顔が一瞬で青く染まった。
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