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20アーロン
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「気になってたこと聞いて良い?」
エリカが俺を見てたずねる。
俺は何かを聞かれることが苦手だ。
エリーゼは俺に何かをたずねても、答えている途中で
『もういいですわ』
と遮るから。
「な、何でも聞け」
それでも俺に答えられることは何でも答えよう。
この世界のことが分からないエリカにはきっと聞きたいことが沢山あるだろう。
「アーロン様はどうしてそんなに整髪料を付けてるの?」
は?整髪料?
気になったのは俺の頭の整髪料?
「お、俺の髪の毛は巻き毛なんだ。だから整髪料で真っ直ぐに伸ばしている」
「え?アーロン様は天パなの?クルクルなの?」
「ク、クルクルというほどではないが、
‥‥クルッとしている」
俺は自分の髪の毛が大嫌いだ。
昔エリーゼから言われたんだ。
『殿下の髪の毛は殿下の頭の中と同じように散らかってますのね』
と。
「見たい!アーロン様の髪がクルッとしてるとこ、見たい。ダメ?」
何故‥‥
俺の散らかった髪の毛を見ても何も楽しくないだろう。
いや、楽しいのか?
『変な頭』と言って笑うのか?
でもエリカが楽しいならいいのか?
楽しいのは幸せらしいからな。
「駄目ではない。待ってろ」
「あ、ちょっと待って!」
バスルームに入ろうとする俺をエリカが止める。
「ねぇ、私魔法使いになったんだけど、まだエリーゼの記憶を覗く魔法しか使ってないの。試しに魔法でアーロン様の整髪料落としてもいい?」
試しに‥‥いや、もう、何も言うまい。
エリカが楽しくて幸せなら何でもいい‥‥
エリカは俺の後ろに立って、両の手のひらを頭の上にかざす。
そして叫んだ。
「アーロン様の頭のベチャベチャ消えろー!」
な、なんだ、その掛け声は。
それにベチャベチャって‥‥
ふわりと頭が軽くなった。
「凄い、魔法使えた!アーロン様の髪の毛、ふわっとしてクルッとしてる!可愛い!」
そう言って俺の散らかった髪をわしゃわしゃとさらに散らかす。
か、可愛いってなんだ!
恥ずかしいじゃないか!
‥‥でも、嬉しくて、心がフワフワして。
こんな気持ちは初めてで、でも‥‥心地いい。
「アーロン様はクルクルの髪の方が似合ってるよ?」
「そ、そうか?」
「うん!」
エリカがそう言うなら、もう整髪料は付けない。
他の誰にどう言われようと、もうどうでもいい。
「アーロン様って優しいし可愛いよね。エリーゼは男見る目ないね。馬鹿だなぁ」
エリカの言葉はまるで砂糖菓子のように俺の心を甘くする。
俺はもう認めるしかない。
完全にエリカに落ちてる。
もしも次に会ったときエリカがエリーゼに戻っていたら、俺はもう生きてはいけないだろう。
だが、それでもやっぱりエリーゼのしたことは許せない。
「エリーゼは最低だ。エリカの体だけでなく、エリカがこれまで生きてきた人生の全てをかすめ取った。エリーゼの人生を生きることがどれだけ困難か解っていて、それをエリカに背負わせたんだ」
エリカが俺を見てたずねる。
俺は何かを聞かれることが苦手だ。
エリーゼは俺に何かをたずねても、答えている途中で
『もういいですわ』
と遮るから。
「な、何でも聞け」
それでも俺に答えられることは何でも答えよう。
この世界のことが分からないエリカにはきっと聞きたいことが沢山あるだろう。
「アーロン様はどうしてそんなに整髪料を付けてるの?」
は?整髪料?
気になったのは俺の頭の整髪料?
「お、俺の髪の毛は巻き毛なんだ。だから整髪料で真っ直ぐに伸ばしている」
「え?アーロン様は天パなの?クルクルなの?」
「ク、クルクルというほどではないが、
‥‥クルッとしている」
俺は自分の髪の毛が大嫌いだ。
昔エリーゼから言われたんだ。
『殿下の髪の毛は殿下の頭の中と同じように散らかってますのね』
と。
「見たい!アーロン様の髪がクルッとしてるとこ、見たい。ダメ?」
何故‥‥
俺の散らかった髪の毛を見ても何も楽しくないだろう。
いや、楽しいのか?
『変な頭』と言って笑うのか?
でもエリカが楽しいならいいのか?
楽しいのは幸せらしいからな。
「駄目ではない。待ってろ」
「あ、ちょっと待って!」
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「ねぇ、私魔法使いになったんだけど、まだエリーゼの記憶を覗く魔法しか使ってないの。試しに魔法でアーロン様の整髪料落としてもいい?」
試しに‥‥いや、もう、何も言うまい。
エリカが楽しくて幸せなら何でもいい‥‥
エリカは俺の後ろに立って、両の手のひらを頭の上にかざす。
そして叫んだ。
「アーロン様の頭のベチャベチャ消えろー!」
な、なんだ、その掛け声は。
それにベチャベチャって‥‥
ふわりと頭が軽くなった。
「凄い、魔法使えた!アーロン様の髪の毛、ふわっとしてクルッとしてる!可愛い!」
そう言って俺の散らかった髪をわしゃわしゃとさらに散らかす。
か、可愛いってなんだ!
恥ずかしいじゃないか!
‥‥でも、嬉しくて、心がフワフワして。
こんな気持ちは初めてで、でも‥‥心地いい。
「アーロン様はクルクルの髪の方が似合ってるよ?」
「そ、そうか?」
「うん!」
エリカがそう言うなら、もう整髪料は付けない。
他の誰にどう言われようと、もうどうでもいい。
「アーロン様って優しいし可愛いよね。エリーゼは男見る目ないね。馬鹿だなぁ」
エリカの言葉はまるで砂糖菓子のように俺の心を甘くする。
俺はもう認めるしかない。
完全にエリカに落ちてる。
もしも次に会ったときエリカがエリーゼに戻っていたら、俺はもう生きてはいけないだろう。
だが、それでもやっぱりエリーゼのしたことは許せない。
「エリーゼは最低だ。エリカの体だけでなく、エリカがこれまで生きてきた人生の全てをかすめ取った。エリーゼの人生を生きることがどれだけ困難か解っていて、それをエリカに背負わせたんだ」
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