異世界の美少女と入れ替わったらいきなり婚約破棄を突き付けられたんですけど‥‥。無問題!私、幸せになるんで!!

むぎてん

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「エリーゼは最低だ。エリカの体だけでなく、エリカがこれまで生きてきた人生の全てをかすめ取った。エリーゼの人生を生きることがどれだけ困難か解っていて、それをエリカに背負わせたんだ」


アーロンさんは初めからずっと私のためにエリーゼに怒っている。

でも私は別にエリーゼ対して怒ってはいない。
死にそうなとこ助けて貰ったし、エリーゼもまた、知らない世界でエリカとして生きていくのは苦労の連続だと思うから。


アーロンさんはとにかく優しすぎるのだ。


エリーゼからトラウマになるくらいの扱いを受けてたのに、その事は何も言わずに自分ひとりで全てを背負って婚約破棄をしようとした。

私がエリカだってことも疑わずに信じてくれたし、結構(かなり?)失礼な言動をしてるのにそれも怒ったりしない。


優しさは時に、情けなく優柔不断に映ることがある。
アーロンさんは18歳という若さ故、経験が足りなくて考えの甘い処も確かにある。

自分にも他人にも厳しいエリーゼは、そんなアーロンさんが歯がゆくてイライラして、どうしようもなかったのかも知れない。

『余計なことをなさらないで』
『もう黙っていて下さい』

この言葉にエリーゼのイライラの全てが詰まっている気がする。

エリーゼの目には、アーロンさんの優しさは稚拙で浅はかで愚かに映ってたんだろう。


エリーゼ、あんたホントに見る目ない。


よし、優しいアーロンさんの為に、私もエリーゼに怒ってる振りをしよう。
アーロンさんも一緒に怒ればいいよ!

私の為じゃなく、自分の為にエリーゼに怒ればいい。



「私ってね、単純でノー天気でチャランポランな性格なの。楽しけりゃ大概のことは解決するってね。実際は何にも解決しないんだけどさ、あはは」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

「エリーゼみたいな完璧主義者には私みたいな生き方は許せないだろうね。でも今はもうエリーゼがエリカだから」

「‥‥‥‥‥」

「私が嫌なことから目をそらしてチャランポランに生きてきたツケはぜーんぶエリーゼが払わなきゃいけないんだよ!」


ほら、
『それはいい気味だな!あっはっは!!』
って笑いなよ。


「でもそれはエリーゼが望んだことじゃん?」

「‥‥‥‥‥‥」

「そして、エリカになったエリーゼはもう魔法は使えないんだよ?あの血まみれの部屋も自分でぞうきん持って掃除しなきゃいけないんだよ?絶対エリーゼの方が割食ってるよね、あはは!」


ねぇ、
『そうだな、エリーゼめ、せいぜい苦労すればいい!!』
って言ってすっきりしなよ。

何で何も言わないのさ。
何で怒らないのさ!



「‥‥エリカは‥何故怒らない?」

「え?怒ってるじゃん」

「怒ってないだろう」

「あれ?もしかして怒ってる振りバレてる?」

「振りをしているようにすら見えないが?エリカは優しすぎるだろう」

うぐっっ!!
なんか心臓に来た。
全部見透かされたみたいでドキドキする。
ていうか、それはこっちのセリフだよ!
優しすぎるのはアーロンさんでしょうが!!

「でも、そうだな。エリーゼを許せない反面、感謝もしている。俺はエリカと結婚できるんだから」


ズッキューーン!!


ちょっと!
なにそのめちゃ嬉しそうな満面の笑顔!
その顔は反則じゃない?
おまけに耳も首まで真っ赤にして可愛すぎるでしょ!!


てか、ズッキューーンって何さ!!
25歳にもなって18歳の男の子にドキドキとかズッキューーンとか!!
意味分かんないし!!!



私は急に熱くなっていく顔を誤魔化そうと、
目の前のワインをグビッと飲んだ。

「あー、やっぱりこの世界のワインは美味しいなー!ほら、アーロン様も飲も?チーズもめちゃ美味しいし!日本のチーズはこんなに濃厚じゃなかったよ!それにしてもチーズとワインの組み合わせって最高だよね!ワインにはチーズ、ビールには枝豆、日本酒にはイカの塩辛ってね!」

そしてどうでもいいことをベラベラと喋りまくったのだった。

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