救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!

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閑話

――――――――――――
【ハンナ婆さんの台所】

まったく……。
鍋は三つ、焼き物は二皿、煮物に漬物、焼きたてのパンまで並べちまって。

(ふぅ、こんなもんかねぇ)

ハンナ婆さんは腰に手を当て、湯気の立つ食卓を見渡した。

昔なら、家族が集まる日でもなきゃ、こんな量は作らなかった。息子が死んでからは、そんなこともめっきりなくなっていたが――。


「わぁ……!」

戸口から、ぱっと花が咲いたような声。

「ハンナおばあちゃん、すごい!」

マールだ。
椅子に座るや否や、目をきらきらさせて料理を見回している。

(……孫がいたら、こんな感じだったのかねぇ)

胸の奥が、じんわりと温かくなる。

「ほら、冷めないうちにお食べ」
「うん!」

素直な返事と一緒に、ぱくり。

「……おいしい!」

それだけで、苦労が全部報われるんだから、安いもんさね。

マールは夢中で食べ進め、やがて――

「ふぅ……」

小さなお腹を、ぽんぽこりんと撫でた。

「た、食べすぎちゃった……」

苦しそうなのに、顔は嬉しそうで。

「ハンナおばあちゃんのごはん、マール大好き!」

――ずるいね、この子は。
胸が、きゅっと締めつけられる。

(初めて会った時は……)

ガリガリで、痩せっぽちで、男の子みたいな格好をしていて。

レグルスは“訳ありだ”と言っていたけれど、どんな目に遭えばあんな姿になるのか。親か、それとも――


「どうしたの、ハンナおばあちゃん?」

口元に食べかすをつけたまま、無垢な顔で首を傾げる。

(……いいや。過去なんてどうでもいい。今、この子が笑ってる。それで十分さね)

「さぁさ。お茶を出すから、もう少し休んでいきな」

そう言ってから、残った料理を見て、苦笑い。

「しかし……さすがに作りすぎたかねぇ」

――その時。

「マール、いるか?」

扉の向こうから、聞き慣れた声がした。


「ちょうどいいところに来たね。アンタたちも、食べていきな」

 ぞろぞろとやってきたレグルス隊の面々に、ハンナ婆さんは声をかけた。

「えっ!? 婆さんが俺たちを食事に誘うなんて珍しい!」 

フリッツが目を丸くする。

「なんだい、文句があるなら帰りな」
「モグモグ……そうだぞフリッツ」

 すでにテーブルの料理に手を付け始めたアッポロが、なぜか同調する。

「まっさか!」

フリッツは慌てて椅子に座った。

「最近、金欠で困ってたんだ。ありがたいっすよ~!」
「……すまない。助かる」

レグルスは、どこか愁傷な顔で頭を下げる。

「……ふん」

ハンナ婆さんは鼻を鳴らす。

「いいから、アンタもさっさと食べな」


さっきまでと打って変わって、ガヤガヤと賑やかになる食卓。やれやれと息をつきながら、ハンナ婆さんはお茶の準備を始めた。

(まぁ……たまには、こんな日も悪くないさね)

 そんなことを思うハンナ婆さんの表情は、どこか少し嬉しそうだった。

――――――――――――
読者の皆さまへ、日ごろの感謝を込めて特別SSを書かせていただきました。
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。

本作は現在、“年に一度開催されるカクヨム最大のコンテスト”に応募中です。
読者の皆さまからの評価や応援は、作品が多くの方の目に触れ、書籍化へのチャンスが広がる大切な力になります。

もし「面白い」「続きが気になる」と感じていただけましたら、評価をしていただけますと、とても励みになります。

もちろん、無理のない範囲で大丈夫です。
ここまで一緒に物語を楽しんでくださったこと自体が、何よりの支えです。

改めまして、いつも温かい応援をありがとうございます。
これからも、マールと仲間たちの物語を見守っていただけましたら幸いです。


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感想 5

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