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第39話 理解不能
しおりを挟む婚約解消!?
行き違いって何があったのかしら?
「そ、それは……だって、私はドワーフですし、フィオレ様の方がお美しいですから……。私なんかよりフィオレ様をお選びになるかと思って」
「私を呼びましたか……?」
「え?」
後ろから声を掛けられたかと思い、振り返る。
「フィオレ様!?」
「あぁ、愛しのヴェルデお姉様……。こうしてお会いできて光栄ですわ!」
「お、おねえさま……??」
そこには、先日まで病床にいたはずのフィオレ様が立っていた。しかもなぜか私の顔を見た瞬間、神にでも祈るように跪いてしまった。
こ、これは夢じゃないわよね……。
「ど、どうしてこちらにフィオレ様が!?」
「いやですわ、ヴェルデお姉様! 私のことはフィオとお呼びください!」
「ふぃ、フィオ様……」
「フィオちゃんです!」
物凄い剣幕で押し切られてしまった。この人、本当に先日まで死に掛けていた人物と同じなのかしら。
「それよりも、お身体は大丈夫なのですか!? あんなに苦しそうだったのに!?」
「ああ、ヴェルデお姉様はやっぱりお優しいです……会ったばかりの私を心配してくださるのですね……」
「え、えぇ……。あの、それで、お身体の方はもうよろしいのでしょうか?」
コルテ様の方を見ると、苦笑いを浮かべて頷いている。どうやらフィオレ様はコルテ様の後をついてきたようだ。
「はい! ヴェルデお姉様に助けていただいたおかげです!」
「そ、それは良かったです……わね?」
「ぷっ……ヴェルデ、驚きすぎて口調がおかしくなってるよ?」
私まで彼女の口調が移ってしまった。コルテ様が笑いを堪えるように口を手で塞いでいる。
「ヴェルデお姉様には本当に感謝しております。ヴェルデお姉様は私にとって命の恩人なんです」
フィオレ様は私の手を握ってきた。そんなことを言われても、ちょっと戸惑ってしまう。
「い、いえ……私なんて……」
「いいえ。ヴェルデお姉様は素晴らしい方です。死にゆく運命だった私を、あっという間にお救いくださいました……いえ、ヴェルデお姉様と出逢うことが私の運命だったのですね……!」
キラキラとした瞳を向けられる。この子は、ほとんど意識も無かったはずなのに……。どうしてそこまでして私に感謝できるのだろうか?
「そ、そんなことありませんよ。たまたま私が近くにいただけですし。それにあなたを今まで助けてくれていたのはコルテ様でしょう?」
そう言うと、彼女は首を横に振って否定する。
「いいえ。お兄様はいつも世界樹につきっきりで、私の元には全然来なかったではありませんか。どうせ私のことなんて、どうでも良かったのでしょう?」
「おい、それは酷くないか? 僕はお前とこの国を救うためにだなぁ……」
え、ちょっと待ってください?
「フィオちゃん……今、コルテ様のことをお兄様って言いました……?」
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