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第40話 ルックスは似ていても
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「はい! 私、フィオレ・ツィオーネと言います!」
ってことは、まさか……。
「あのー。ということはもしかして、フィオちゃんはコルティヴァ王の妹君ですか……?」
「はいっ。不精のお兄様ですわ!」
「おい、不精っていうな!」
な、なるほど? 確かによく見てみれば、ちょっと似ているかも。
それにしても兄妹揃って美形なのね……って。
「え? コルテ様が愛していた御方って、そういう意味だったんですか?」
「まぁ!? お兄様、私の知らないところでヴェルデお姉様にそんな恥ずかしいことを!?」
「そ、それは……その、なんだ……僕は……」
コルテ様は急にしどろもどろになってしまった。
えっと、つまり。コルテ様は妹としてフィオレ様を大事に想っていただけで……私はそんなフィオレ様に嫉妬していたってこと……?
とんでもない勘違いをしていたと気付き、急に恥ずかしくなって顔が真っ赤になってしまう。しかもそんな理由で私は城を飛び出してしまったということで……。
「ふぅん。そうなのですね。分かりましたわ。まぁ、今回はそう言うことにしておきましょう」
「なんっ、なんだよそれ!」
「さて、それよりも。どうやらお兄様は無自覚にヴェルデお姉様を傷付けていたようなのですが?」
「あっ、ちょっとフィオちゃん!?」
そこはあまり突っ込んでほしくなかったというか、私が勝手に勘違いしたのが悪かっただけで……。
だけど私がアワアワとしているうちに、フィオレ様はずずいとコルテ様に迫る。そしてそのままぐいぐいと詰め寄り、至近距離で睨み付けた。
「僕がヴェルデを……?」
「まったく、相変わらずお兄様は女心に無頓着なんですから。あっ、私はヴェルデお姉様の味方ですからね!?」
「……僕だってそうだよ。ヴェルデは大事な友人だ。それにヴェルデは……僕の、その、気になる人でもあるから……」
「え……?」
今、何ておっしゃったの?
聞き間違えじゃなければ、コルテ様が私のことを気になるって……!?!?
「あら、まぁ! じゃあ、私のヴェルデお姉様とお兄様は両想いということですのね!? キャーッ!!」
「えぇい! 抱き着くな!! 暑苦しい!」
「もうっ、照れちゃって~可愛いんだからっ」
う、嘘でしょ……?
こんな展開があっていいのだろうか。まさかの展開すぎて思考回路が完全にショートしてしまう。
これって夢じゃないよね?
でも目の前にいるコルテ様は真っ赤になって照れてるし、フィオレ様は嬉しそうにはしゃいでいて……。
これは現実なのだと実感すると同時に、胸の奥がきゅんとする。嬉しい気持ちと切ない気持ちがない交ぜになり、思わず涙が出そうになった。……あぁ、やっぱり私、この人のことが好きなんだ。
「なんだか、フィオのノリがオーキオ姉さんに似てきた気がする」
「……は? 今、なんて言いました?」
「な、なんでもないよ。それより、ヴェルデはこの森の畑で何をしていたんだ?」
コルテ様は誤魔化すように話題を変える。
それはたぶん彼の照れ隠しだったんだと思うんだけど、さっきまで浮かれていたフィオレ様の声音が一気に氷点下になった気がした。……怖い。まるで親の仇を見るような目つきになっている。
フィオレさんとオーキオさんって仲が悪いのかな……でも聞くわけにもいかないし。
「えっと、実は……」
私は正直に打ち明けることにした。
「この森にある野菜の種を植えていました。あとは薬草の採取もしてますね」
「どうしてヴェルデがそんなことを?」
「それは、その……アルベルトさんにこの畑をどうにかできないかと頼まれまして」
「は? そのアルベルトって誰だ」
こんどはコルテ様が不機嫌な表情になった。
あれ? コルテ様は彼の名前を知らないのかしら?
「えっと、あの、私を助けてくれた人です。世界樹の森に住んでいるんです。それで、世界樹の衰弱で作物が育たなくなったから、なんとかならないかって……」
「ほう? そいつは今、どこに?」
「……え? さっきからコルテ様の隣りにいますけど」
コルテ様はそれだけ言うと黙り、首を私が指差している方向へと向けた。
「まさか……その、アルベルトというのは……コイツのことか?」
「はい。ドライアードのアルベルトさんです」
そういうとコルテ様は目を瞠った後、頭痛がした時のように額に手を当てた。
ってことは、まさか……。
「あのー。ということはもしかして、フィオちゃんはコルティヴァ王の妹君ですか……?」
「はいっ。不精のお兄様ですわ!」
「おい、不精っていうな!」
な、なるほど? 確かによく見てみれば、ちょっと似ているかも。
それにしても兄妹揃って美形なのね……って。
「え? コルテ様が愛していた御方って、そういう意味だったんですか?」
「まぁ!? お兄様、私の知らないところでヴェルデお姉様にそんな恥ずかしいことを!?」
「そ、それは……その、なんだ……僕は……」
コルテ様は急にしどろもどろになってしまった。
えっと、つまり。コルテ様は妹としてフィオレ様を大事に想っていただけで……私はそんなフィオレ様に嫉妬していたってこと……?
とんでもない勘違いをしていたと気付き、急に恥ずかしくなって顔が真っ赤になってしまう。しかもそんな理由で私は城を飛び出してしまったということで……。
「ふぅん。そうなのですね。分かりましたわ。まぁ、今回はそう言うことにしておきましょう」
「なんっ、なんだよそれ!」
「さて、それよりも。どうやらお兄様は無自覚にヴェルデお姉様を傷付けていたようなのですが?」
「あっ、ちょっとフィオちゃん!?」
そこはあまり突っ込んでほしくなかったというか、私が勝手に勘違いしたのが悪かっただけで……。
だけど私がアワアワとしているうちに、フィオレ様はずずいとコルテ様に迫る。そしてそのままぐいぐいと詰め寄り、至近距離で睨み付けた。
「僕がヴェルデを……?」
「まったく、相変わらずお兄様は女心に無頓着なんですから。あっ、私はヴェルデお姉様の味方ですからね!?」
「……僕だってそうだよ。ヴェルデは大事な友人だ。それにヴェルデは……僕の、その、気になる人でもあるから……」
「え……?」
今、何ておっしゃったの?
聞き間違えじゃなければ、コルテ様が私のことを気になるって……!?!?
「あら、まぁ! じゃあ、私のヴェルデお姉様とお兄様は両想いということですのね!? キャーッ!!」
「えぇい! 抱き着くな!! 暑苦しい!」
「もうっ、照れちゃって~可愛いんだからっ」
う、嘘でしょ……?
こんな展開があっていいのだろうか。まさかの展開すぎて思考回路が完全にショートしてしまう。
これって夢じゃないよね?
でも目の前にいるコルテ様は真っ赤になって照れてるし、フィオレ様は嬉しそうにはしゃいでいて……。
これは現実なのだと実感すると同時に、胸の奥がきゅんとする。嬉しい気持ちと切ない気持ちがない交ぜになり、思わず涙が出そうになった。……あぁ、やっぱり私、この人のことが好きなんだ。
「なんだか、フィオのノリがオーキオ姉さんに似てきた気がする」
「……は? 今、なんて言いました?」
「な、なんでもないよ。それより、ヴェルデはこの森の畑で何をしていたんだ?」
コルテ様は誤魔化すように話題を変える。
それはたぶん彼の照れ隠しだったんだと思うんだけど、さっきまで浮かれていたフィオレ様の声音が一気に氷点下になった気がした。……怖い。まるで親の仇を見るような目つきになっている。
フィオレさんとオーキオさんって仲が悪いのかな……でも聞くわけにもいかないし。
「えっと、実は……」
私は正直に打ち明けることにした。
「この森にある野菜の種を植えていました。あとは薬草の採取もしてますね」
「どうしてヴェルデがそんなことを?」
「それは、その……アルベルトさんにこの畑をどうにかできないかと頼まれまして」
「は? そのアルベルトって誰だ」
こんどはコルテ様が不機嫌な表情になった。
あれ? コルテ様は彼の名前を知らないのかしら?
「えっと、あの、私を助けてくれた人です。世界樹の森に住んでいるんです。それで、世界樹の衰弱で作物が育たなくなったから、なんとかならないかって……」
「ほう? そいつは今、どこに?」
「……え? さっきからコルテ様の隣りにいますけど」
コルテ様はそれだけ言うと黙り、首を私が指差している方向へと向けた。
「まさか……その、アルベルトというのは……コイツのことか?」
「はい。ドライアードのアルベルトさんです」
そういうとコルテ様は目を瞠った後、頭痛がした時のように額に手を当てた。
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