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初めての光
しおりを挟む「すごい……コレが光、というものなのですね」
瞑ったままの目からつぅ、と涙を一筋流すリアラ。
彼女は生まれて初めて、ありのままの世界を見ていた。
それを可能にしたのが僕が今発動している祝福だった。
僕の祝福は『コネクト』。
自分の見たモノを、触れた相手と共有できるといった能力だ。
彼女は僕を通して流れてきた映像を見ることで、光と色を感じ取っていた。僕の右手をしっかりと握りながら、彼女は感動に打ち震えている。
「僕の『コネクト』があれば、キミは他の人と同じように生活ができる。それどころか、その『創造』の祝福があれば裕福な暮らしも可能だろう。しかし……」
今ではリアラにお試しで作ってもらった物がベッドの周りに溢れている。
キラキラと輝く新品の剣や盾、宝石や土偶まで、何でも思い通りに作れるようだ。
……いや、土偶は必要ないと思うけれど。
そんな素晴らしい能力も、残念ながら能力を解除したら消えてしまうというデメリットがあった。
更に他にも問題はある。乱用し過ぎれば必ず目立つし、彼女を狙う人物だって現れるはず。そうすれば彼女を狙う者たちだって噂を聞きつけてここへとやってくるだろう。
だからこの能力を隠し通しながら暮らすのは、かなり難しい。
それになにより……
「――はい。私は……シーラを助けに行きたいです」
「そうか……」
彼女に残された家族はもはやそのメイドだけだ。
助けてやりたいと思う気持ちも当然だよな。
「恐らく、この子の国を狙ったのはバーラック王国だよ。最近戦争を起こしたって噂を聞いた。バーラックとウチの国は交易もあるから、いつか情報がバレて連れ戻されるだろうね」
「……そうだね。だから僕は、ミードのダンジョンへ行こうと思う」
「――なんだって!? ちょ、アンタ死ぬ気なのかい!?」
僕の言葉にゴーンは目を見開き、悲鳴にも似た声を上げた。
一方のリアラは意味が分からず、一人でアタフタとしている。
「あの、そのミードっていったい……?」
「コイツが言ったのはミードというダンジョンさ。通称『冒険者の楽園』と呼ばれている。そのダンジョンの最奥には、死者さえも蘇生するエリクサーがあるとかっていう、曰くつきのダンジョンなんだよ。……だけどね。アタシから言わせたら、ありゃあただの地獄だ。命が幾つあっても足りやしないよ」
そんなこと、僕だって分かっている。
だけどたった二人じゃ、あの王国に太刀打ちなんてできっこない。
だからあのダンジョンの秘宝が必要なんだ。
エリクサーを使ってリアラの目を治せば、彼女は完全な存在となる。
その証拠に、彼女が試しに作った剣は簡単に鉄を切った。なんでも、メイドに読み聞かせてもらった物語に出てきた万物を斬る英雄の剣をモデルにしたそうだ。
視力さえ戻れば、持ち前の想像力と合わせてもっと凄い武器だって作れるようになるだろう。
メイドの一人を救うぐらい、どうとでもなるに違いない。
それにリアラの為だけじゃない。
僕にとっても、あのダンジョンを攻略する価値がある。
あの最難関のダンジョンを攻略したという名声があれば、僕は胸を張って実家に戻れる……。
そうすればきっと、僕が彼女のメイドを救う手助けだってできるようになるんだ。
「僕と君が組めば、何だってできる。だから僕と一緒に、ダンジョンを踏破してくれないか?」
リアラは瞑ったままの瞳で僕の顔を見つめている。
それは悩んでいるのか、はたまた僕のことを見極めようとしているのか。
あまりの緊張で、彼女と繋いでいる僕の手は汗でビッチャビチャになっている。
暫し無言の時間が過ぎ、僕が手を離してしまおうかと思った頃。
リアラは覚悟を決めた表情で、重たい口を遂に開いた。
「……私の命、全てメージュさんに預けます」
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