【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』

ぽんぽこ@3/28新作発売!!

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6/6話 ちゃんと見ているから

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 式典の賑わいが去った王城の裏庭。
 紅く染まりゆく空の下、レオンとミレイアが静かに並んで歩いていた。

「……初めてだった。否定されなかったのは」

 ぽつりと落ちたレオンの言葉は、彼の背に陽が差して柔らかく見える。

「貴族になってからも、誰かに本当の意味で認められたことなんてなかった。強さも、筋肉も、努力も……ただ、笑われるだけだった」

 ミレイアは彼を見上げ、笑った。


「それは見る目がない人たちの話。レオンさんの筋肉と中身、両方に惚れ込む人だって、ここにちゃんといるよ」

 レオンは思わず立ち止まり、彼女を見つめる。
 目が合うと、自然と頬が熱を帯びた。

「……お前は本当に……」

「なになに? 続き聞きたいなぁ」

 レオンは気恥ずかしそうに咳払いし、再び歩き出す。


「……なぜだろうな。お前と話していると、不思議と呼吸がしやすい」

「それはきっと、私が騎士団の胃袋も心も掴んでるからじゃない?」

 彼女の冗談にレオンは少し笑い、そして足を止める。
 真っ直ぐな瞳で、ミレイアを見た。

「……ミレイア。俺と……一緒に暮らしてくれないか」

 ミレイアの目がわずかに見開かれ、やがてふっと笑みが零れる。

「うーん、それってどういう意味かなぁ?」

「お前がそばにいると、俺は……強くなれる気がする」

 その声は剣よりまっすぐで、どこまでも誠実だった。


「じゃあまずは、筋肉の部位ごとに愛でるルーティン作ろうか♪」

 彼女の言葉に、レオンは面食らったように瞬きをする。

「……それはどういう意味だ」

「毎日違うところ愛でたいってこと。火曜日は上腕、木曜は腹筋……金曜は大腿四頭筋!」

 耳まで真っ赤に染まったレオンは、うつむきながらぽつりと呟く。

「……お前は本当に……」

「ん~? 続き聞かせて?」

「……やっぱり、言わなくていい」

 今のままで十分すぎるほど幸せだと、レオンは思った。


 石垣の裏、団員たちの声がひそひそと聞こえる。

「団長……ご武運を……」
「これもうプロポーズでいいでしょ」
「週末の筋肉が無事であることを祈る……」

 ミレイアは楽しそうに笑い、その声は夕暮れの空へと溶けていった。
 レオンの背中はいつもより少しだけ、やわらかく丸く見えた。

  強さとは、誰かに肯定されることで、初めて意味を持つものなのかもしれない。
 筋肉と姉御と、少しだけ不器用な恋のはじまりは、こうして静かに幕を上げた。

★あとがき★

筋肉と胃袋と恋が交差する、そんな物語はいかがでしたか?
彼女の笑顔と、彼の不器用な優しさが、少しでも皆さまの胸に響いていたら幸いです。

――それでは、またどこかの物語でお会いしましょう!
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感想 3

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みんなの感想(3件)

ブラック
2025.08.15 ブラック

読んで痛快でした!私も筋肉フェチなので凄く共感でした!動く筋肉💪素敵です!

解除
うめ3
2025.04.07 うめ3

ああ〜2人の関係の続きが読みたい!

解除
ゆう
2025.04.07 ゆう

筋肉を愛するいいですね

解除

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