魔性の王と奴隷契約 〜世界を救った聖女ですが、結婚予定の勇者に乗り移った魔王に溺愛されて困っています~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!

文字の大きさ
44 / 55

5-3 交わる二人

しおりを挟む
「はぁ……分かった。なら余も覚悟を決めよう」
「では……!!」

「あぁ。だがどうする。女神は許したとしても、後の子らが困るようでは本末転倒であるぞ」

 元々は不要な争い事を防ぐために子を為していたのだ。
 勇者も、聖女も、王族もすべては家族である、という絆をって。


「……えぇ。ですから私ももう少し身体を張ろうかと思いまして」
「おい、まさか」

「陛下……今の私ではご不満でしょうか。こんな年増では……」
「そんなことはない。そんなことはないが……」

 するり、とローブを脱ぐと煽情的な下着姿となるレジーナ。
 ふだん教会では決して見せないような、大人の女性の恰好だ。
 絹の様な滑らかな肌にくびれのある腰回り。
 とても娘二人を生んだ体型とは思えない美貌に、フレイ王の淫棒も言葉とは裏腹に驚くほど屹立していた。

「私はあの晩、貴方様に一度抱かれたきりでしたが、それでもずっとお慕いしておりましたのよ」
「そ、そうか……」

 椅子に座ったままの王の背後に近寄ると、その白くたおやかな手で彼の首元を撫でまわす。
 もしもモナが見たら卒倒するような光景だ。
 しかし、これも母であるレジーナの本性。
 彼女もれっきとした熟成されたオンナなのである。

「もし……また子種を頂けるのでしたら、その子を陛下に……」
「はぁ、そういうことか。……分かった。聖女である其方に、これ以上恥をかかせる訳にもいかぬだろうな」
「陛下ぁ……」

 甘ったるい香りがレジーナから漂う。
 フレイ王もすっかりその気になったのか、レジーナの顎を片手で摘まむと、彼女の挑発に乗り始めた。

「――だが、覚悟しろよ。あの晩の様にまた気をやってしまっても看病はせぬ」
「ふふふ、お手柔らかにお願いいたしますわ」



 ネットリと重ね合う二人。
 ふだん立場もある二人は冠も聖衣も脱ぎ去って裸のまま絡み合う。
 嬌声も肉をぶつけ合う粘着音も、二人だけの空間であればそれはもう興奮のスパイスとなっていた。

 そんな情事を小さなのぞき穴からコッソリと覗いている者たちがいた。

「そんな……まさか父上が……モナの……」
「そうだ。これがこの英雄たちが行ってきたことの真実だ」
「くそっ、このままじゃ僕はモナを手に入れられないじゃないか」

 おそらく王とレジーナさえも知らない、隠し部屋の更に裏側。
 そこに居たのは王子ミケと、仮面の人物だった。

 実の父がモナと血縁で繋がっていたこと、そしてしきたりを廃止しようとしていることを知り、ミケは憤怒に震えていた。
 この世界では姉弟同士の婚姻は禁止されてはいないが、重婚は許されていない。
 つまり、しきたりが当代で消失すれば、ミケがモナと結ばれることは出来ないということだ。

「いや、王子。勇者と聖女を仲違いさせればいいのだ。そして王子が聖女を助け、心の支えとなれば正式に妻となるだろう」
「そ、それは本当ですか!?」
「あぁ。そなたにも、真なる女神の祝福を与えよう……」

 そういって仮面の人物は懐から何かを取り出し、ミケに手渡す。

「こ、これは……もしかして!」

 怪しげな小瓶を受け取ったミケはそれが何か分かると、ニヤりと昏い笑みを浮かべるのであった。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜

紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま! 聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。 イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか? ※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています ※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...