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杖の章
♧12 アンラッキーボーイ
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日々子は次の標的を飯田直樹に決めた。
禍星の子を透影とすることで力を集めていた日々子だったが、彼女の身体にある変化が起きていた。
まず、疲れなくなった。
それは人の肉体から乖離しつつあったのかもしれない。
夫である啓介を絞め殺したあの日以来。帰る場所を捨てた彼女はロクに休まず、本と禍星の子を探しさ迷い歩いていた。
屋内で軟禁状態だった頃の貧弱な体力では、半日歩けばもう半日は動けなくなるほどだったのだが、悠真の影を奪ったあたりから不思議と疲れにくくなった。
彼女は自分の事にあまり関心がない。
しかし、数日眠っていないことには気が付いた。
思えば食事も摂った記憶がない。
目的を果たすこと以外に興味の無かった彼女はこの現象をとても喜んだ。
それに、彼女が扱っている呪術も強力になっていた。
最初は影を奪う程度だったものが、透影となった人間を供物に呪術を行うようになってから格段にできる範囲が増えた。
人の目を誤魔化したり、物体を都合の思うように動かしたりすることが可能になったのだ。
おかげで彼女は誰にも邪魔されることもなく、禍星の子の影を奪えるようになった。
彼女は優秀な鬼でありながら、隠れることに関しても優れていた。
影を集めることに関しては順風満帆だったのだが、彼女は不満を抱いていた。
皮肉にも、それは悠真や紅莉たちとも同じ不満。
本を手に入れられていないのである。
なにしろ、一番の目的が本である。
にもかかわらず、現在所持しているのは呪術の本のみ。そのたった一冊だけだった。
早く全ての本を集め、あの人に捧げたい。
本当は今からでも会いに行きたいが、今の自分では会う資格がない。
だから、一刻も早く。
その一心で彼女は次の本を狙う。
「ふふ……感じる……あの人の欠片が……」
欲求不満な日々子は、確実に本を所持しているであろう人物に会いに行くことにした。
それが飯田直樹だったのだ。
カレイドスコープが所持していた占い師のリスト。これににあった人物は、すでに全て回った。
もちろん、リストに載っていない禍星の子も多くいる。
啓介が居た、本拠地のビルに出入りしない連中……そいつらは憎たらしいことに、自分の居場所を隠しているのだ。
今の時代、パソコンやスマートフォンがある。
カレイドスコープもネット上のホームページを運営していた。このサイトで予約から占い、支払いまでできるようになっていた。
つまり、直接対面でなくとも、占いはできるのだ。
彼らは禍星の子が狙われやすいこと、そして本の価値を十分に知っている。だからこそ、危ない橋は渡らない。
だが日々子は諦めなかった。
殺した禍星の子が持っていたスマートフォンで、残党を調べたのだ。奴らは横のつながりは大事にしていたようで、助かった。
もちろん、住所は記載されておらず、電話は警戒されるので使わない。
仕方がなく、日々子は自分の足で向かうことにした。
とはいえ、日々子には策があった。
探すのに多少の時間と労力が必要だったが、直樹に関しては確実に居場所を発見できると踏んでいた。理由は簡単。直樹は生粋の風水師であるからだ。
禍星の子を透影とすることで力を集めていた日々子だったが、彼女の身体にある変化が起きていた。
まず、疲れなくなった。
それは人の肉体から乖離しつつあったのかもしれない。
夫である啓介を絞め殺したあの日以来。帰る場所を捨てた彼女はロクに休まず、本と禍星の子を探しさ迷い歩いていた。
屋内で軟禁状態だった頃の貧弱な体力では、半日歩けばもう半日は動けなくなるほどだったのだが、悠真の影を奪ったあたりから不思議と疲れにくくなった。
彼女は自分の事にあまり関心がない。
しかし、数日眠っていないことには気が付いた。
思えば食事も摂った記憶がない。
目的を果たすこと以外に興味の無かった彼女はこの現象をとても喜んだ。
それに、彼女が扱っている呪術も強力になっていた。
最初は影を奪う程度だったものが、透影となった人間を供物に呪術を行うようになってから格段にできる範囲が増えた。
人の目を誤魔化したり、物体を都合の思うように動かしたりすることが可能になったのだ。
おかげで彼女は誰にも邪魔されることもなく、禍星の子の影を奪えるようになった。
彼女は優秀な鬼でありながら、隠れることに関しても優れていた。
影を集めることに関しては順風満帆だったのだが、彼女は不満を抱いていた。
皮肉にも、それは悠真や紅莉たちとも同じ不満。
本を手に入れられていないのである。
なにしろ、一番の目的が本である。
にもかかわらず、現在所持しているのは呪術の本のみ。そのたった一冊だけだった。
早く全ての本を集め、あの人に捧げたい。
本当は今からでも会いに行きたいが、今の自分では会う資格がない。
だから、一刻も早く。
その一心で彼女は次の本を狙う。
「ふふ……感じる……あの人の欠片が……」
欲求不満な日々子は、確実に本を所持しているであろう人物に会いに行くことにした。
それが飯田直樹だったのだ。
カレイドスコープが所持していた占い師のリスト。これににあった人物は、すでに全て回った。
もちろん、リストに載っていない禍星の子も多くいる。
啓介が居た、本拠地のビルに出入りしない連中……そいつらは憎たらしいことに、自分の居場所を隠しているのだ。
今の時代、パソコンやスマートフォンがある。
カレイドスコープもネット上のホームページを運営していた。このサイトで予約から占い、支払いまでできるようになっていた。
つまり、直接対面でなくとも、占いはできるのだ。
彼らは禍星の子が狙われやすいこと、そして本の価値を十分に知っている。だからこそ、危ない橋は渡らない。
だが日々子は諦めなかった。
殺した禍星の子が持っていたスマートフォンで、残党を調べたのだ。奴らは横のつながりは大事にしていたようで、助かった。
もちろん、住所は記載されておらず、電話は警戒されるので使わない。
仕方がなく、日々子は自分の足で向かうことにした。
とはいえ、日々子には策があった。
探すのに多少の時間と労力が必要だったが、直樹に関しては確実に居場所を発見できると踏んでいた。理由は簡単。直樹は生粋の風水師であるからだ。
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