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金貨の章
♦12 奪われた本
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「え、そうなの!?」
「あの現場に居たのかよ……」
立夏曰く、カズオとは連絡は取らないようにしていたらしい。自分の身体目的なのがあからさま過ぎて、さすがに距離をとったようだ。
そしてカレイドスコープが運営しているビルへ直接向かうことにした。
「そしたら、殺人事件があったっぽくて。丁度良いネタだったからアタシ、配信しながらそこで色々情報を集めてたんだよね」
「そういえば、警察に注意されている奴がいたなぁ……」
「えっ、もしかして見られてたぁ? はっず! あ、私は顔バレNGだから写真撮ってリークすんのやめてね!?」
「しないよ、そんなこと……」
マスクをしていたから分からなかったが、あれが立夏だったらしい。
なんというか、どれだけ配信するのが好きなんだか……。
今さらになってメイクをしていなかったことを恥ずかしがり始めた立夏を、悠真と紅莉は冷めた目で見つめていた。
その後、お互いに簡単な自己紹介をすることになった。
彼女は病院の看護師をしている姉とここで二人暮らしをしているらしい。
高校はすでに中退しているらしく、将来は配信者を仕事として生きていく予定なのだとか。だからこそ、配信に命を賭けていると言っていた。
だが命を賭けても狙われるのは嫌だったらしい。
殺人鬼が本を探していると聞いて、さすがにショックを受けていた。
「私達は、立夏さんを助けたいの。だから、協力してくれない?」
紅莉がそう伝えると、彼女は蒼白の顔でコクコクと頷いた。
「あの本は、たまたまリスナーさんがオークションに面白そうな本が出ているよって教えてくれたんだ。アタシ、配信で占いもやり始めていたからさ」
今の世の中、大手の動画配信サイトに人気が集まり過ぎて、配信者が一気に増えたらしい。
業界が盛り上がるのは嬉しいことなのだが、同業者が増えれば必然的にライバルが増える。
数千人のリスナーを抱える立夏でさえ、まだまだ駆け出しなのだそうだ。
彼女は更に高みを目指すため、いろんなジャンルに手を出して新規客を開拓しようとした。
「占いってリスナーとの距離が近いしさー。当たっていても外れていても、ウケが取れて良かったんだよね。それでこれ買っておけば絶対当たる!っていう本があるからって紹介されたからさ……アタシ、それまでバイトで稼いだお金とかで買ったんだよ」
意外だった。立夏はこう見えて、自分の目指す仕事が簡単なものではないという認識はあったようだ。何かあった時の為に、コツコツと貯金をしていたようだ。
「やっと本を手に入れてさー、いざ試してみたんだけど。これがビックリするほど当たったんだよ~。リスナーを占ったら、『宝くじ当たったよー』とか『恋人できた』って報告されまくり! マジっぱなくない?」
「あぁ、それは本物だったんだろうな」
「間違いないよ、悠真君。それ、悪魔の愛読書だ……」
占星術がどういったものかは分からないが、読んだだけでそこまで当たる占いができるというのなら当たりだったのだろう。高い買い物ではあったが、それに見合うだけの効果があった。
それから彼女は占星術にどっぷり嵌まったそうだ。たしかに、この部屋には占いに関連していそうなグッズがたくさんある。
誕生年を計算するための西暦表や天体図、可愛らしい電卓や水晶。星座の一覧をコピーして壁に貼ったものなど。彼女は割と真面目に取り組んでいた様子が見受けられる。
だが、悠真は気が付いてしまった。
その肝心の本が無いのだ。
そしてそれは、紅莉も同様だったようだ。
「ね、ねぇ立夏さん。その本はどこに……?」
「それが……」
立夏は言いにくそうに目を彷徨わせながら、こう続けた。
「あの本ね――持っていかれちゃったの」
「あの現場に居たのかよ……」
立夏曰く、カズオとは連絡は取らないようにしていたらしい。自分の身体目的なのがあからさま過ぎて、さすがに距離をとったようだ。
そしてカレイドスコープが運営しているビルへ直接向かうことにした。
「そしたら、殺人事件があったっぽくて。丁度良いネタだったからアタシ、配信しながらそこで色々情報を集めてたんだよね」
「そういえば、警察に注意されている奴がいたなぁ……」
「えっ、もしかして見られてたぁ? はっず! あ、私は顔バレNGだから写真撮ってリークすんのやめてね!?」
「しないよ、そんなこと……」
マスクをしていたから分からなかったが、あれが立夏だったらしい。
なんというか、どれだけ配信するのが好きなんだか……。
今さらになってメイクをしていなかったことを恥ずかしがり始めた立夏を、悠真と紅莉は冷めた目で見つめていた。
その後、お互いに簡単な自己紹介をすることになった。
彼女は病院の看護師をしている姉とここで二人暮らしをしているらしい。
高校はすでに中退しているらしく、将来は配信者を仕事として生きていく予定なのだとか。だからこそ、配信に命を賭けていると言っていた。
だが命を賭けても狙われるのは嫌だったらしい。
殺人鬼が本を探していると聞いて、さすがにショックを受けていた。
「私達は、立夏さんを助けたいの。だから、協力してくれない?」
紅莉がそう伝えると、彼女は蒼白の顔でコクコクと頷いた。
「あの本は、たまたまリスナーさんがオークションに面白そうな本が出ているよって教えてくれたんだ。アタシ、配信で占いもやり始めていたからさ」
今の世の中、大手の動画配信サイトに人気が集まり過ぎて、配信者が一気に増えたらしい。
業界が盛り上がるのは嬉しいことなのだが、同業者が増えれば必然的にライバルが増える。
数千人のリスナーを抱える立夏でさえ、まだまだ駆け出しなのだそうだ。
彼女は更に高みを目指すため、いろんなジャンルに手を出して新規客を開拓しようとした。
「占いってリスナーとの距離が近いしさー。当たっていても外れていても、ウケが取れて良かったんだよね。それでこれ買っておけば絶対当たる!っていう本があるからって紹介されたからさ……アタシ、それまでバイトで稼いだお金とかで買ったんだよ」
意外だった。立夏はこう見えて、自分の目指す仕事が簡単なものではないという認識はあったようだ。何かあった時の為に、コツコツと貯金をしていたようだ。
「やっと本を手に入れてさー、いざ試してみたんだけど。これがビックリするほど当たったんだよ~。リスナーを占ったら、『宝くじ当たったよー』とか『恋人できた』って報告されまくり! マジっぱなくない?」
「あぁ、それは本物だったんだろうな」
「間違いないよ、悠真君。それ、悪魔の愛読書だ……」
占星術がどういったものかは分からないが、読んだだけでそこまで当たる占いができるというのなら当たりだったのだろう。高い買い物ではあったが、それに見合うだけの効果があった。
それから彼女は占星術にどっぷり嵌まったそうだ。たしかに、この部屋には占いに関連していそうなグッズがたくさんある。
誕生年を計算するための西暦表や天体図、可愛らしい電卓や水晶。星座の一覧をコピーして壁に貼ったものなど。彼女は割と真面目に取り組んでいた様子が見受けられる。
だが、悠真は気が付いてしまった。
その肝心の本が無いのだ。
そしてそれは、紅莉も同様だったようだ。
「ね、ねぇ立夏さん。その本はどこに……?」
「それが……」
立夏は言いにくそうに目を彷徨わせながら、こう続けた。
「あの本ね――持っていかれちゃったの」
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