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3章 第3部 学園生活
102話 生徒会
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陣は昼食後、カナメとクレハを連れ、星海学園の生徒会室へと来ていた。
中は広々とした部屋の中心に長テーブルが置かれ、奥のほうには生徒会長用の立派な机が。そんな各席や棚といった家具、機材などここにあるものどれもが一級品。給湯室まで完備され、もはや学園の生徒会室としては最上級の一室といってよかった。
「来たか」
大和はだるそうに生徒会長席へ深く座りながら、視線を陣たちの方へと向けてくる。
彼はセナの兄であり蓮杖家次期当主、蓮杖大和。彼は陣より二つ年上であり、無気力でめんどうごとが嫌いな少年である。星海学園高等部の生徒会長を務めているが、その人がらからあまり向いていそうになかった。ちなみに中等部のときも生徒会に入っており、そのときも生徒会長だったという。
「いらっしゃい、陣くん、カナメくん、わっ、クレハちゃんも来たんだ♪」
ディオナは親しげに笑いかけながら、出迎えてくれる。
彼女は断罪者の最上位層に位置するエリストン家の少女。ディオナ・エリストン。陣たちより一つ年上であり、気さくで美人なお姉さんという印象が強い少女。中等部、さらに高等部でも生徒会に入っており、現在は副会長である。
大和もディオナも陣たちの幼馴染メンバーであり、小さいころはよく一緒に遊んだ仲なのであった。
「前はレイヴァース家当主としての視察で来たからね。今度は陣たちの付き添いで、遊びに来たんだけどいい?」
「もちろん、大歓迎だよ! この三人がそろってるのを見ると、なんだかとても感慨深い気持ちになってくるなー」
ディオナが陣たちを見て、懐かしそうに目を細める。
「昔は、陣くん、カナメくん、セナちゃんがやんちゃして、クレハちゃんといろはちゃんがその後ろをついていき、私と大和さんは見守ってたよねー。目を閉じれば今でもその情景が、鮮明に思い返せるよ」
「そうだな。みんな元気すぎて、めんどうをみるのが大変だった」
「めんどうみてたのはほとんど私で、大和さんは寝ころびながらボーと空を眺めてただけでしょ」
「そうだったか?」
ディオナのジト目の主張に、大和は首をひねる。
実際めんどうみて、いろいろよくしてくれていたのはディオナであった。大和はボーとおだやかな時間を満喫しながら、離れたところで陣たちを見守っていただけという。
「あー、それにしてもあんなに小さかったのに、こんなに大きく立派になって。お姉さんうれしいよー」
ディオナは腕を組みながら、うんうんとしみじみうなずく。
「ディオナさん、大げさすぎない? なんか近所のおばさんみたいよ」
「だってキミたちはかわいい妹分、弟分なのよ。親身になるのは当然でしょ」
「ははは、確かにディオナさんには、小さいころからはもちろん、星海学園で再会してからもいっぱい世話になったな」
「ハハハ、だよね」
「ふふふ、ワタシもいろいろ相談に乗ってもらってるし、ディオナさんはみんなの頼れるお姉さんね」
「もう、みんなったら」
陣たちの慕いように、テレくさそうにするディオナ。
「おい、おまえら、ディオナばっかり持ち上げて、俺はどうした?」
「いや、大和さんの場合、めんどう見てくれるというより、逆に押し付けてくるばっかだったような」
「ハハハ、いろいろ苦労させられた思い出があるね」
学園内でよく生徒会などの雑用を、押し付けられたのを思い出す。
「ふむ、おかしいな」
大和は不思議そうに首をひねる。どうやらディオナぐらい慕われてると思っていたようだ。とはいえ陣もカナメも、彼のことをけっこう尊敬はしていた。めんどくさがり屋だが有能であり、創星術師としてのウデはもはや天賦のレベルなのだから。
「それで用ってなんすか?」
「ああ、一つは高等部への入学を祝おうと思ってな。そしてもう一つ、陣、カナメ、生徒会に入る気はないか?」
大和はシンヤたちへと手を差し出し、たずねてくる。
「ふふふふ、今生徒会は人手不足でね。だから優秀なキミたちをスカウトしようかなって」
「オレはパス。そういうみんなのためがんばるみたいなの、性にあってないんで。あと神代側の仕事や事務所の依頼で忙しいし、辞退させてもらうよ」
「そうか、わかった」
陣の主張に、大和はあっさりうなずく。
カナメもその流れに乗ろうと、断ろうとするが。
「ボクも遠慮しておこうかな。自分の時間を大切にしたいし」
「いや、一応聞いてはみたが、カナメはもう生徒会入り確定してるぞ」
だが大和はさぞ当たり前のように告げた。
「え!? どういうことだい!?」
「陣は神代側の人間で、いろいろ忙しいのは知ってるからな。さすがに無理強いはできん。だがカナメはどうせ放課後とかもフラフラするだけで、ヒマを持てあましているだろ」
「そ、そんなことないよ。ボクもボクで最近忙しくてさ、ハハハ」
「いや、カナメはヒマ人だろ。放課後とか毎度毎度オレの事務所に入り浸って、だらだらしてるじゃないか」
図星を突かれあたふたするカナメに、ツッコミを。
「陣!? 話を合わせてくれよ!?」
「やはりな。中等部のころは見逃してやったが、今回は逃がさん」
「――くっ……、そもそもなんでボクなんだい?」
「この学園に通っていたら、魔法や星詠み関係のいざこざが多々あるだろ。基本風紀委員が対応してくれるが、生徒の代表として生徒会も介入しないといけない場面もある。そのとき力と権力を有していれば、向こうも怖じ気づきことがスムーズに進むものだ。カナメは力はもちろん雨宮家の権力も持っている。これほど適した人材はそういない」
「大和さんやディオナさんがいれば、その話は十分だと思うんだけど」
「今の神代側、レーヴェンガルト側の動きがかなり怪しくなっている。さらにレイヴァース当主であるクレハも来たことで、この先なにが起こるかわからん。戦力が多いに越したことはないということだ」
大和はまっとうな理由をかたり、カナメの逃げ場をなくしていく。
「でもボクも案外いい加減なところがあるからさ! 生徒会役員は、向いていないような気がするんだけど」
「なにを言っている。むしろ一番向いていない人間がここにいるだろ。俺はみんなが知っての通り、情熱などほとんど持ち合わせていない無気力極まりない男だ。本来ならめんどくさい生徒会の業務など、もってのほか。放課後はなにもせず、草むらに寝ころびボーとしていたいというのに」
なんとか逃げようとするカナメに対し、大和はさぞうんざりしたように本音を漏らす。
そう、彼は非常に無気力で怠惰的。めんどうごとも大っ嫌いであり、人の上に立つ性格ではないのだ。そのためよく蓮杖家の次期当主に選ばれたことを、嘆いていたという。
「ははは、大和さんが生徒会に入ったって初めて聞いたとき、一瞬耳を疑ったぐらいだからな」
「ワタシも、あのめんどうごと大嫌いな大和さんがってなった」
「父上が勝手に学園側に根回ししててな。蓮杖家の次期当主なら、生徒会長ぐらいの肩書きは当たり前だと。気づけば生徒会の席が用意されてたというわけだ。本来なら頼まれても絶対やらんというのに」
苦虫を潰したような顔で、愚痴をこぼす大和。
もはや心の底から嫌がっているのが見て取れた。
「ははは、大和さんも苦労してるんすね」
「だからカナメ、生徒会に入り業務を手伝え。弟分のおまえなら、気兼ねなく仕事を押し付けられる。俺が少しでも楽できるように、がんばってくれ」
「おおい、大和さん!? もしかして自分が楽したいから、ボクを無理やり生徒会に入れようとしてないかい!?」
「むろんだ」
「平然と言ってのけた……。ディオナさん、助けてよー」
カナメはあまりのひどい扱いに、ディオナへと泣きつきだす。
「ごめんね、カナメくん。キミは人気者だから、生徒会のイメージアップにもつながる。それになにより、気兼ねなく仕事量を増やせる人手がほしいんだ。大和さんは生徒会長のくせにあまり仕事をしてくれないから、私大変で大変で」
しかしディオナはほおに手を当て肩をすくめながら、同情心を誘ってくる。
どうやら助け船は出すつもりはなく、カナメをなんとしてでも生徒会に加入させる気のようだ。
「――最後の頼みの綱が切れた……」
「ははは、生徒会入りおめでとう、カナメ。応援してやるぞ」
「フフフ、がんばりなさい、カナメ。大和さん、ディオナさんの力になってあげて」
陣とクレハは彼の両肩に手を置き、おもしろがりながらエールを。
これには悔しそうにうったえてくるカナメ。
「陣、クレハ、キミら他人事だと思って!」
「では生徒会はカナメを快く受け入れる」
「くわしい話は放課後にするから、カナメくんはまたここに来てね♪」
大和とディオナは涼やかな笑みを浮かべ、話を進めていく。
「――はぁ……、わかったよ……」
カナメは逃げられないと諦め、肩を落しながらうなずいた。
「話は以上だ。戻っていいぞ」
「陣くん、クレハちゃん、ヒマなときは生徒会に遊びにおいで。キミたちならいつでも歓迎するよ!」
ディオナはにっこりほほえみながら、手を振り見送ってくれる。
「また遊びにくるね」
「ははは、カナメがまじめに仕事してるところもみたいしな」
「くー、陣、覚えてろよー」
カナメを茶化しながら、生徒会室を出ようとすると。
「そうだ。陣、最後に一つ。ようやく望んだ輝きを手に入れたようだが、あまり表立って魔道の求道をするなよ。俺が断罪者として出向くことになったら、蓮杖家の次期当主として手加減は許されん。本気で仕留めにいかねばならん」
「そうだね。私ならうまくうやむやにしてあげられるけど、大和さんはさすがにそうはいかないものね」
「まあ、そうなったら死ぬ気で逃げろ。おまえを殺したくはないからな」
大和とディオナが真剣な面持ちで、陣の身を案じてくれる。
実際のところもしこの二人と戦うことになった場合、今の創星術師になりたての陣では勝ち目が薄いといっていい。それほどまでに彼らの力量はすさまじく、神代側から要注意人物として恐れられているのだ。とくに断罪者トップに君臨する蓮杖家の次期当主である大和は、ほかとケタ違いの創星術師らしい。
「ちょっと二人とも、断罪者としてあるまじき発言をしてる自覚がある?」
クレハは二人にいぶかしげな視線を向ける。
「えー、そうはいってもクレハちゃんだって、かなり陣くんに肩入れしまくってるでしょ。この前の件とか陣くんのために必死に手を回して、大事になるのを避けてたし」
ディオナがニヤニヤしながら、ツッコミを入れた。
「――べ、別に必死になってなかったし!?」
「ふふふふ、クレハちゃんはかわいいねー」
顔を真っ赤にしてそっぽを向くクレハ。
ディオナはそんな彼女の頭をなでながら、ほほえましそうにする。
「陣くん、あまりクレハちゃんに心配かけないようにね」
「まあ、一応善処はするよ」
「もう、陣ってば人の気も知らないで!」
陣の適当な返事に、クレハはムッとしだす。そしてそのまま彼女はぷんすかしながら、生徒会室を出ていってしまった。
「陣くーん」
恵奈がジト目でなにやらうったえてくる。
早くフォローしにいかないと、と言いたげだ。
「わかったよ、ディオナさん」
そんなふうにお姉さんにたしなめられたら、行くしかない。クレハを追いかける陣なのであった。
中は広々とした部屋の中心に長テーブルが置かれ、奥のほうには生徒会長用の立派な机が。そんな各席や棚といった家具、機材などここにあるものどれもが一級品。給湯室まで完備され、もはや学園の生徒会室としては最上級の一室といってよかった。
「来たか」
大和はだるそうに生徒会長席へ深く座りながら、視線を陣たちの方へと向けてくる。
彼はセナの兄であり蓮杖家次期当主、蓮杖大和。彼は陣より二つ年上であり、無気力でめんどうごとが嫌いな少年である。星海学園高等部の生徒会長を務めているが、その人がらからあまり向いていそうになかった。ちなみに中等部のときも生徒会に入っており、そのときも生徒会長だったという。
「いらっしゃい、陣くん、カナメくん、わっ、クレハちゃんも来たんだ♪」
ディオナは親しげに笑いかけながら、出迎えてくれる。
彼女は断罪者の最上位層に位置するエリストン家の少女。ディオナ・エリストン。陣たちより一つ年上であり、気さくで美人なお姉さんという印象が強い少女。中等部、さらに高等部でも生徒会に入っており、現在は副会長である。
大和もディオナも陣たちの幼馴染メンバーであり、小さいころはよく一緒に遊んだ仲なのであった。
「前はレイヴァース家当主としての視察で来たからね。今度は陣たちの付き添いで、遊びに来たんだけどいい?」
「もちろん、大歓迎だよ! この三人がそろってるのを見ると、なんだかとても感慨深い気持ちになってくるなー」
ディオナが陣たちを見て、懐かしそうに目を細める。
「昔は、陣くん、カナメくん、セナちゃんがやんちゃして、クレハちゃんといろはちゃんがその後ろをついていき、私と大和さんは見守ってたよねー。目を閉じれば今でもその情景が、鮮明に思い返せるよ」
「そうだな。みんな元気すぎて、めんどうをみるのが大変だった」
「めんどうみてたのはほとんど私で、大和さんは寝ころびながらボーと空を眺めてただけでしょ」
「そうだったか?」
ディオナのジト目の主張に、大和は首をひねる。
実際めんどうみて、いろいろよくしてくれていたのはディオナであった。大和はボーとおだやかな時間を満喫しながら、離れたところで陣たちを見守っていただけという。
「あー、それにしてもあんなに小さかったのに、こんなに大きく立派になって。お姉さんうれしいよー」
ディオナは腕を組みながら、うんうんとしみじみうなずく。
「ディオナさん、大げさすぎない? なんか近所のおばさんみたいよ」
「だってキミたちはかわいい妹分、弟分なのよ。親身になるのは当然でしょ」
「ははは、確かにディオナさんには、小さいころからはもちろん、星海学園で再会してからもいっぱい世話になったな」
「ハハハ、だよね」
「ふふふ、ワタシもいろいろ相談に乗ってもらってるし、ディオナさんはみんなの頼れるお姉さんね」
「もう、みんなったら」
陣たちの慕いように、テレくさそうにするディオナ。
「おい、おまえら、ディオナばっかり持ち上げて、俺はどうした?」
「いや、大和さんの場合、めんどう見てくれるというより、逆に押し付けてくるばっかだったような」
「ハハハ、いろいろ苦労させられた思い出があるね」
学園内でよく生徒会などの雑用を、押し付けられたのを思い出す。
「ふむ、おかしいな」
大和は不思議そうに首をひねる。どうやらディオナぐらい慕われてると思っていたようだ。とはいえ陣もカナメも、彼のことをけっこう尊敬はしていた。めんどくさがり屋だが有能であり、創星術師としてのウデはもはや天賦のレベルなのだから。
「それで用ってなんすか?」
「ああ、一つは高等部への入学を祝おうと思ってな。そしてもう一つ、陣、カナメ、生徒会に入る気はないか?」
大和はシンヤたちへと手を差し出し、たずねてくる。
「ふふふふ、今生徒会は人手不足でね。だから優秀なキミたちをスカウトしようかなって」
「オレはパス。そういうみんなのためがんばるみたいなの、性にあってないんで。あと神代側の仕事や事務所の依頼で忙しいし、辞退させてもらうよ」
「そうか、わかった」
陣の主張に、大和はあっさりうなずく。
カナメもその流れに乗ろうと、断ろうとするが。
「ボクも遠慮しておこうかな。自分の時間を大切にしたいし」
「いや、一応聞いてはみたが、カナメはもう生徒会入り確定してるぞ」
だが大和はさぞ当たり前のように告げた。
「え!? どういうことだい!?」
「陣は神代側の人間で、いろいろ忙しいのは知ってるからな。さすがに無理強いはできん。だがカナメはどうせ放課後とかもフラフラするだけで、ヒマを持てあましているだろ」
「そ、そんなことないよ。ボクもボクで最近忙しくてさ、ハハハ」
「いや、カナメはヒマ人だろ。放課後とか毎度毎度オレの事務所に入り浸って、だらだらしてるじゃないか」
図星を突かれあたふたするカナメに、ツッコミを。
「陣!? 話を合わせてくれよ!?」
「やはりな。中等部のころは見逃してやったが、今回は逃がさん」
「――くっ……、そもそもなんでボクなんだい?」
「この学園に通っていたら、魔法や星詠み関係のいざこざが多々あるだろ。基本風紀委員が対応してくれるが、生徒の代表として生徒会も介入しないといけない場面もある。そのとき力と権力を有していれば、向こうも怖じ気づきことがスムーズに進むものだ。カナメは力はもちろん雨宮家の権力も持っている。これほど適した人材はそういない」
「大和さんやディオナさんがいれば、その話は十分だと思うんだけど」
「今の神代側、レーヴェンガルト側の動きがかなり怪しくなっている。さらにレイヴァース当主であるクレハも来たことで、この先なにが起こるかわからん。戦力が多いに越したことはないということだ」
大和はまっとうな理由をかたり、カナメの逃げ場をなくしていく。
「でもボクも案外いい加減なところがあるからさ! 生徒会役員は、向いていないような気がするんだけど」
「なにを言っている。むしろ一番向いていない人間がここにいるだろ。俺はみんなが知っての通り、情熱などほとんど持ち合わせていない無気力極まりない男だ。本来ならめんどくさい生徒会の業務など、もってのほか。放課後はなにもせず、草むらに寝ころびボーとしていたいというのに」
なんとか逃げようとするカナメに対し、大和はさぞうんざりしたように本音を漏らす。
そう、彼は非常に無気力で怠惰的。めんどうごとも大っ嫌いであり、人の上に立つ性格ではないのだ。そのためよく蓮杖家の次期当主に選ばれたことを、嘆いていたという。
「ははは、大和さんが生徒会に入ったって初めて聞いたとき、一瞬耳を疑ったぐらいだからな」
「ワタシも、あのめんどうごと大嫌いな大和さんがってなった」
「父上が勝手に学園側に根回ししててな。蓮杖家の次期当主なら、生徒会長ぐらいの肩書きは当たり前だと。気づけば生徒会の席が用意されてたというわけだ。本来なら頼まれても絶対やらんというのに」
苦虫を潰したような顔で、愚痴をこぼす大和。
もはや心の底から嫌がっているのが見て取れた。
「ははは、大和さんも苦労してるんすね」
「だからカナメ、生徒会に入り業務を手伝え。弟分のおまえなら、気兼ねなく仕事を押し付けられる。俺が少しでも楽できるように、がんばってくれ」
「おおい、大和さん!? もしかして自分が楽したいから、ボクを無理やり生徒会に入れようとしてないかい!?」
「むろんだ」
「平然と言ってのけた……。ディオナさん、助けてよー」
カナメはあまりのひどい扱いに、ディオナへと泣きつきだす。
「ごめんね、カナメくん。キミは人気者だから、生徒会のイメージアップにもつながる。それになにより、気兼ねなく仕事量を増やせる人手がほしいんだ。大和さんは生徒会長のくせにあまり仕事をしてくれないから、私大変で大変で」
しかしディオナはほおに手を当て肩をすくめながら、同情心を誘ってくる。
どうやら助け船は出すつもりはなく、カナメをなんとしてでも生徒会に加入させる気のようだ。
「――最後の頼みの綱が切れた……」
「ははは、生徒会入りおめでとう、カナメ。応援してやるぞ」
「フフフ、がんばりなさい、カナメ。大和さん、ディオナさんの力になってあげて」
陣とクレハは彼の両肩に手を置き、おもしろがりながらエールを。
これには悔しそうにうったえてくるカナメ。
「陣、クレハ、キミら他人事だと思って!」
「では生徒会はカナメを快く受け入れる」
「くわしい話は放課後にするから、カナメくんはまたここに来てね♪」
大和とディオナは涼やかな笑みを浮かべ、話を進めていく。
「――はぁ……、わかったよ……」
カナメは逃げられないと諦め、肩を落しながらうなずいた。
「話は以上だ。戻っていいぞ」
「陣くん、クレハちゃん、ヒマなときは生徒会に遊びにおいで。キミたちならいつでも歓迎するよ!」
ディオナはにっこりほほえみながら、手を振り見送ってくれる。
「また遊びにくるね」
「ははは、カナメがまじめに仕事してるところもみたいしな」
「くー、陣、覚えてろよー」
カナメを茶化しながら、生徒会室を出ようとすると。
「そうだ。陣、最後に一つ。ようやく望んだ輝きを手に入れたようだが、あまり表立って魔道の求道をするなよ。俺が断罪者として出向くことになったら、蓮杖家の次期当主として手加減は許されん。本気で仕留めにいかねばならん」
「そうだね。私ならうまくうやむやにしてあげられるけど、大和さんはさすがにそうはいかないものね」
「まあ、そうなったら死ぬ気で逃げろ。おまえを殺したくはないからな」
大和とディオナが真剣な面持ちで、陣の身を案じてくれる。
実際のところもしこの二人と戦うことになった場合、今の創星術師になりたての陣では勝ち目が薄いといっていい。それほどまでに彼らの力量はすさまじく、神代側から要注意人物として恐れられているのだ。とくに断罪者トップに君臨する蓮杖家の次期当主である大和は、ほかとケタ違いの創星術師らしい。
「ちょっと二人とも、断罪者としてあるまじき発言をしてる自覚がある?」
クレハは二人にいぶかしげな視線を向ける。
「えー、そうはいってもクレハちゃんだって、かなり陣くんに肩入れしまくってるでしょ。この前の件とか陣くんのために必死に手を回して、大事になるのを避けてたし」
ディオナがニヤニヤしながら、ツッコミを入れた。
「――べ、別に必死になってなかったし!?」
「ふふふふ、クレハちゃんはかわいいねー」
顔を真っ赤にしてそっぽを向くクレハ。
ディオナはそんな彼女の頭をなでながら、ほほえましそうにする。
「陣くん、あまりクレハちゃんに心配かけないようにね」
「まあ、一応善処はするよ」
「もう、陣ってば人の気も知らないで!」
陣の適当な返事に、クレハはムッとしだす。そしてそのまま彼女はぷんすかしながら、生徒会室を出ていってしまった。
「陣くーん」
恵奈がジト目でなにやらうったえてくる。
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