6 / 253
序章 女神と世界を統べる者たち
6話 レイジVS謎の少女
しおりを挟む
(――クッ、ここまで気配を消せるなんて、そうとうやばい相手だ……。下手するとやられるぞ、これは……)
レイジは近づいて来る人物を察知。すぐさまポケットに入れていた護身用の折りたたみ式ナイフをつかみ、いつでも後ろを振りかえられるように。それは今後ろにいる人物がただ者ではないと、判断したゆえの行動だ。
エデンでの戦場だとその地形の構造上どこに敵が潜んでいるのかわからないので、常に周りを警戒しなければならない。そのためこういう感覚は常人より研ぎ澄まされているのだ。それなのに今までレイジは後ろにいる人物の気配を、まったく感じられなかった。こうして気付けたのも後ろにいる人物がさらに一歩レイジに近づいて来たので、なんとか察知できたのである。
今だ気配を消してレイジの様子をうかがっている状況から、相手はなにかを狙っているのだろう。もしこれが暗殺者ならばレイジは次の瞬間やられることになる。狩猟兵団はわりと恨みを買う職業。なので今の世の中、いくら過剰なまでの治安体制が敷かれているとはいえ、決してありえないとはいいきれないのだ。
(――仕方ない。ここは打って出るしかないか……)
それゆえにレイジは先に行動することにした。一歩後ろに下がると同時にすぐさま姿勢を低くして振り返り、相手の方向に向かってナイフを振りかぶろうとする。当てるつもりはなく、直前で止める気だった。
戦いにおいての技術はエデンでの戦闘経験で十分身体にしみついており、たとえ現実であろうともある程度なら同じ動きが可能。なのでレイジの動作はまさに一瞬の出来事。いくら相手が凄ウデでも決して遅れを取るはずがない。
しかしレイジが振り返って目にした光景は、スカートのポケットから手に収まるぐらいの小型拳銃を慣れた手つきで取り出しかまえる、赤い髪の制服を着た少女の姿。この瞬間レイジは負けをさとり動きを止めるしかない。
なぜなら少女の動きはあまりにも早く、完璧といっていいほどの銃さばきだったから。どう見ても幾多の戦場を駆け抜けた者だけができる技量であり、それが意味するのはレイジと同じく凄腕のデュエルアバター使いということに。条件が同じなら武器の性能上、かなり分がわるいのは目に見えていた。
結果レイジは、謎の少女に小型拳銃を向けられる状況におちいってしまう。
「うわー、危ない、危ない! さすがはあの有名な久遠レイジさんですねー。あと少しでも反応が遅れていたら、やられるところでしたよ!」
「――あんた何者だ? その銃さばき、ただ者じゃないだろ」
赤い髪の少女はほほえみながら、フランクに話しかけてくる。そこには敵意や殺意はなく、なにげない会話を楽しんでいるようであった。しかしその小型拳銃をかまえている姿には、まったくの隙がない。おそらくレイジが少しでも危害を加えるようものならば、慣れた手つきですぐさま引き金を引いてくるのだろう。
レイジは近づいて来る人物を察知。すぐさまポケットに入れていた護身用の折りたたみ式ナイフをつかみ、いつでも後ろを振りかえられるように。それは今後ろにいる人物がただ者ではないと、判断したゆえの行動だ。
エデンでの戦場だとその地形の構造上どこに敵が潜んでいるのかわからないので、常に周りを警戒しなければならない。そのためこういう感覚は常人より研ぎ澄まされているのだ。それなのに今までレイジは後ろにいる人物の気配を、まったく感じられなかった。こうして気付けたのも後ろにいる人物がさらに一歩レイジに近づいて来たので、なんとか察知できたのである。
今だ気配を消してレイジの様子をうかがっている状況から、相手はなにかを狙っているのだろう。もしこれが暗殺者ならばレイジは次の瞬間やられることになる。狩猟兵団はわりと恨みを買う職業。なので今の世の中、いくら過剰なまでの治安体制が敷かれているとはいえ、決してありえないとはいいきれないのだ。
(――仕方ない。ここは打って出るしかないか……)
それゆえにレイジは先に行動することにした。一歩後ろに下がると同時にすぐさま姿勢を低くして振り返り、相手の方向に向かってナイフを振りかぶろうとする。当てるつもりはなく、直前で止める気だった。
戦いにおいての技術はエデンでの戦闘経験で十分身体にしみついており、たとえ現実であろうともある程度なら同じ動きが可能。なのでレイジの動作はまさに一瞬の出来事。いくら相手が凄ウデでも決して遅れを取るはずがない。
しかしレイジが振り返って目にした光景は、スカートのポケットから手に収まるぐらいの小型拳銃を慣れた手つきで取り出しかまえる、赤い髪の制服を着た少女の姿。この瞬間レイジは負けをさとり動きを止めるしかない。
なぜなら少女の動きはあまりにも早く、完璧といっていいほどの銃さばきだったから。どう見ても幾多の戦場を駆け抜けた者だけができる技量であり、それが意味するのはレイジと同じく凄腕のデュエルアバター使いということに。条件が同じなら武器の性能上、かなり分がわるいのは目に見えていた。
結果レイジは、謎の少女に小型拳銃を向けられる状況におちいってしまう。
「うわー、危ない、危ない! さすがはあの有名な久遠レイジさんですねー。あと少しでも反応が遅れていたら、やられるところでしたよ!」
「――あんた何者だ? その銃さばき、ただ者じゃないだろ」
赤い髪の少女はほほえみながら、フランクに話しかけてくる。そこには敵意や殺意はなく、なにげない会話を楽しんでいるようであった。しかしその小型拳銃をかまえている姿には、まったくの隙がない。おそらくレイジが少しでも危害を加えるようものならば、慣れた手つきですぐさま引き金を引いてくるのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる