231 / 253
5章 第5部 ゆきの決意
225話 廃工場の迷路
しおりを挟む
「ハッ!? ここは!?」
気が付くとそこは工場地帯の入り口あたり。ちょうどマナや花火と別れた場所に立っていた。
ただどうやら同じ場所ではないらしい。あちこち窓ガラスが割れ、壁や天井が崩れている廃墟風の工場が目の前に広がっている。しかし空は赤黒く、不気味な雰囲気があたりを支配していた。その感じは少しブラックゾーンにいたときのようであり、思わず寒気が走りだす。ちなみに後方は空間の端にあたるのか途切れており、先に進めそうになかった。
「さっきのやつらがいない? それはそうとゆきは!?」
一見ゆきの姿が見当たらず、辺りを見渡す。
おそらくレイジたちはバグが生み出した空間に、飲み込まれたみたいだ。レイジでは改ざんで調べられないため、それができる彼女に状況把握をしてもらいたかった。
「ひぃぃぃ!? もういやだぁ……、帰りたい……」
するとすぐ近くでうずくまっているゆきの姿が。彼女は両手で頭を抱えながら、震えていた。
「ゆき、そんなところにいたのか。早くこの状況を改ざんで調べてくれ」
「そうだぁ。これは夢に違いない。こんな悪夢、早くさめてぇ……」
だがゆきはおびえたまま。よほどさっきの人形に囲まれた光景が怖かったのだろう。
しかしいつまでもこのままでは困る。なので彼女の肩に手を置き、揺さぶりながらうったえた。
「現実逃避してる場合じゃないだろ。早くしないとさっきのやつらが、また来るかもしれないんだぞ?」
「ひぃぃ!? それはまじごめんだぁ!? あんな不気味なのあれ以上見てたら、本当に夢に出てくるよぉ!? すぐにここから脱出しないとぉ!?」
ビクッと飛び上がり、涙目で必死に改ざんを始めるゆき。
「それも大事だが、バグに関する情報も頼んだぞ。ここまで来て手ぶらで帰るわけにはいかないんだからな」
「――わ、わかってるよぉ……。――えっとぉ……」
(それにしてもあの建物の壊れよう、まるで大きななにかが通ったあとのような)
ゆきが調べてくれている間に、工場の方を見る。そこで気になることが。というのも建物の壁の一画に、不自然な大きな穴があいていたのだ。それは廃墟風の仕様というよりは、まるで故意的に破壊されたような。
「うわぁ、そうきたかぁ……」
「なにかわかったのか?」
「この先、ずっと入り組んだ工場地帯になってるっぽいー。しかも地形データーとかもろとも、調べられないように強力なジャミングとかかけてあるしー。こうなってくるともう完全に、巨大な迷路だねぇ」
「つまりこの先のどこかにあるバグの発生源を見つけるには、足を使って手当たりしだい探すしかないってことか」
「今のところはねぇ。しかも通信も届かないから、助けも呼べそうにないなぁ」
「先に進むか、まずはみんなと合流するかだけど、考える時間はどうやらくれそうにないらしいな」
今置かれている状況を理解し、どう行動するのが最善か思考をめぐらせたいところ。しかし気づいてしまう。レイジたちを取り囲むように、怪しい影がうごめきだしていることに。
「え? どうしたんだぁ?」
「ははは、手厚い歓迎がきたみたいだぞ」
そして現れる先ほど見た、等身大サイズの簡易的な構造の人形たち。彼らはボロボロの武器を持ち、相変わらず糸で操られているかのように、カタカタと不気味な挙動をしていた。
「ひっ!? またでた!? くおん! なんとかしろぉ!」
ゆきがレイジにしがみつきながら、人形たちをブンブン指さし命令を。
「了解、お手並み拝見させてもらおうか!」
刀をさやから抜き前へ。
それと同時に人形たちが武器を振りかざし、突撃してきた。
「あそぼ! あそぼ!」
「速い!?」
案外とろそうに見えて、人形たちの動きは俊敏。でたらめな軌道を描きながら、突っ込んでいるのだ。そのさまはまるで乱暴に放り投げられているかのよう。ボディの負担など完全に無視した、操作性の動きであった。
もしこれがガーディアンなら、その無茶な操作の反動によりダメージを受け壊れていたところだろう。
「だがその程度じゃ、オレはやれねーぞ」
人形のまるで嵐のような攻撃の数々であったが、どれも刀ではじいたり受け流したりして対処しきる。敵の攻撃はなかなか鋭かったが、しょせんは操られているだけの意思のない人形。戦いの駆け引きなどとくになく、動きがただただ単調で読みやすかったといっていい。なのでわりとなんなく凌げていた。
「攻撃ってのはこうやるもんだぜ」
そしてレイジはすかさず攻撃に転じる。人形たちとのすれ違いざまに、次々と刃を振るい切り刻んでいった。それは吹き抜ける一陣の風のごとく。容赦なく確実に敵を切り伏せていく。
「よし、普通に倒せる。これなら大した脅威にはならなさそうだ」
斬り捨てられた人形たちは、粒子となって消えていく。もし四肢の部位を一つ、二つ切り落としても、ひるまずひたすら襲いかかってきたらどうしようかと思ったが、普通のガーディアン仕様らしい。決められた体力ゲージさえ削ればいいみたいなので、割と楽に片づけられそうだ。
「そういうわけだから、ゆき。おびえてないで、ちゃっちゃと片づけちまおうぜ」
「あー、もぉ! わかったよぉ! 人形どもぉ! さっさとゆきの視界からきえろぉ! 夢に出てきたらどうしてくれるんだぁ!」
残りの襲いかかってくる人形たちに対し、ゆきはぎゅっと目をつぶりながらさけぶ。
すると次の瞬間、彼女の念動力のアビリティによって操られた七本の細身の剣が、敵めがけて牙をむく。剣は縦横無尽に踊り狂い、次々と人形たちに風穴を開けて破壊していった。
「はぁ、はぁ、あんなホラーな敵、ごめんだよぉ……」
最後の一体を倒し、ゆきはヘナヘナとその場に崩れ落ちる。
どうやらよほどメンタル面に、ダメージを受けたみたいだ。
「ははは、でも倒せるだけマシだろ?」
「――それはそうだけどさぁ……」
ぐったりしながら涙をはらうゆき。
「はっ!? ゆき、あぶない!」
「え?」
きょとんとする彼女の方に走りながら、レイジは刀を振るう。
「まずは一人」
「させるかよ」
ゆきの背後から音もなく接近し、急所に斬撃を放とうとする人影。
その暗殺者のごとき精確無慈悲な剣閃を、レイジは間一髪のところではじいた。
「あーあ、あと少しで斬り伏せられたのに」
ナツメはいったん距離をとり、ため息交じりに刀をかまえる。
「わぁ!? なんでこいつらがいるんだぁ!?」
ゆきはすぐさま立ち上がり、臨戦体勢を。
「どうやら先を越されてたみたいだな。となるとやつらはもうだいぶこの迷宮を進んでることになるぞ」
「そんなぁ! 急いで追いかけないとぉ!」
「ここから先は通さない。あなたたちはナツメが全員切り捨ててあげる」
刀をきらめかせ、残忍な笑みを浮かべるナツメ。
「ゆき、ここはオレが食い止める。だからおまえは」
「このうすきみわるい中を一人でいけってぇ!? さっきのやつらも出てくるだろうし、むりむり!」
ゆきは首をブンブン横に振ってうったえてくる。
「やるしかないだろ。エデン財団側がなにをたくらんでいるか知らないが、ろくでもないことに違いない。なんとしてでもバグをやつらより先に見つけるんだ」
代わりに行ってやりたいところだが、レイジだと完全に闇雲に探すことになる。なので改ざんで効率的に探せるゆきが適任であった。
「あぁー、わかったよぉ! だけど早く追いかけてきてねぇ!」
「ああ、善処するさ。あとさっきのでかいオオカミもどこかにいるはずだから、気をつけろよ」
ここからでも見える建物内の大きな穴は、おそらくあの大型オオカミによってつけられたものだろう。今はどこにいるかわからないが、見つかったら即座に襲いかかってくるはずだ。
「なんかますますホラーゲーム展開になってきてるなぁ。かまってるヒマないし、エンカウントしないように進まないとぉ……」
ゆきはビクビク震えながらも、建物内へと走っていく。
妨害してくると思いきや、ナツメは見送るだけ。完全にレイジだけを標的に定めていた。
「行っちゃった。でもいいか。あなたの方が斬りがいありそうだし、あっちの小さいのはロウガにくれてやる。さあ、楽しませてよ!」
そして刀を振りかぶり、襲いかかってくるナツメなのであった。
気が付くとそこは工場地帯の入り口あたり。ちょうどマナや花火と別れた場所に立っていた。
ただどうやら同じ場所ではないらしい。あちこち窓ガラスが割れ、壁や天井が崩れている廃墟風の工場が目の前に広がっている。しかし空は赤黒く、不気味な雰囲気があたりを支配していた。その感じは少しブラックゾーンにいたときのようであり、思わず寒気が走りだす。ちなみに後方は空間の端にあたるのか途切れており、先に進めそうになかった。
「さっきのやつらがいない? それはそうとゆきは!?」
一見ゆきの姿が見当たらず、辺りを見渡す。
おそらくレイジたちはバグが生み出した空間に、飲み込まれたみたいだ。レイジでは改ざんで調べられないため、それができる彼女に状況把握をしてもらいたかった。
「ひぃぃぃ!? もういやだぁ……、帰りたい……」
するとすぐ近くでうずくまっているゆきの姿が。彼女は両手で頭を抱えながら、震えていた。
「ゆき、そんなところにいたのか。早くこの状況を改ざんで調べてくれ」
「そうだぁ。これは夢に違いない。こんな悪夢、早くさめてぇ……」
だがゆきはおびえたまま。よほどさっきの人形に囲まれた光景が怖かったのだろう。
しかしいつまでもこのままでは困る。なので彼女の肩に手を置き、揺さぶりながらうったえた。
「現実逃避してる場合じゃないだろ。早くしないとさっきのやつらが、また来るかもしれないんだぞ?」
「ひぃぃ!? それはまじごめんだぁ!? あんな不気味なのあれ以上見てたら、本当に夢に出てくるよぉ!? すぐにここから脱出しないとぉ!?」
ビクッと飛び上がり、涙目で必死に改ざんを始めるゆき。
「それも大事だが、バグに関する情報も頼んだぞ。ここまで来て手ぶらで帰るわけにはいかないんだからな」
「――わ、わかってるよぉ……。――えっとぉ……」
(それにしてもあの建物の壊れよう、まるで大きななにかが通ったあとのような)
ゆきが調べてくれている間に、工場の方を見る。そこで気になることが。というのも建物の壁の一画に、不自然な大きな穴があいていたのだ。それは廃墟風の仕様というよりは、まるで故意的に破壊されたような。
「うわぁ、そうきたかぁ……」
「なにかわかったのか?」
「この先、ずっと入り組んだ工場地帯になってるっぽいー。しかも地形データーとかもろとも、調べられないように強力なジャミングとかかけてあるしー。こうなってくるともう完全に、巨大な迷路だねぇ」
「つまりこの先のどこかにあるバグの発生源を見つけるには、足を使って手当たりしだい探すしかないってことか」
「今のところはねぇ。しかも通信も届かないから、助けも呼べそうにないなぁ」
「先に進むか、まずはみんなと合流するかだけど、考える時間はどうやらくれそうにないらしいな」
今置かれている状況を理解し、どう行動するのが最善か思考をめぐらせたいところ。しかし気づいてしまう。レイジたちを取り囲むように、怪しい影がうごめきだしていることに。
「え? どうしたんだぁ?」
「ははは、手厚い歓迎がきたみたいだぞ」
そして現れる先ほど見た、等身大サイズの簡易的な構造の人形たち。彼らはボロボロの武器を持ち、相変わらず糸で操られているかのように、カタカタと不気味な挙動をしていた。
「ひっ!? またでた!? くおん! なんとかしろぉ!」
ゆきがレイジにしがみつきながら、人形たちをブンブン指さし命令を。
「了解、お手並み拝見させてもらおうか!」
刀をさやから抜き前へ。
それと同時に人形たちが武器を振りかざし、突撃してきた。
「あそぼ! あそぼ!」
「速い!?」
案外とろそうに見えて、人形たちの動きは俊敏。でたらめな軌道を描きながら、突っ込んでいるのだ。そのさまはまるで乱暴に放り投げられているかのよう。ボディの負担など完全に無視した、操作性の動きであった。
もしこれがガーディアンなら、その無茶な操作の反動によりダメージを受け壊れていたところだろう。
「だがその程度じゃ、オレはやれねーぞ」
人形のまるで嵐のような攻撃の数々であったが、どれも刀ではじいたり受け流したりして対処しきる。敵の攻撃はなかなか鋭かったが、しょせんは操られているだけの意思のない人形。戦いの駆け引きなどとくになく、動きがただただ単調で読みやすかったといっていい。なのでわりとなんなく凌げていた。
「攻撃ってのはこうやるもんだぜ」
そしてレイジはすかさず攻撃に転じる。人形たちとのすれ違いざまに、次々と刃を振るい切り刻んでいった。それは吹き抜ける一陣の風のごとく。容赦なく確実に敵を切り伏せていく。
「よし、普通に倒せる。これなら大した脅威にはならなさそうだ」
斬り捨てられた人形たちは、粒子となって消えていく。もし四肢の部位を一つ、二つ切り落としても、ひるまずひたすら襲いかかってきたらどうしようかと思ったが、普通のガーディアン仕様らしい。決められた体力ゲージさえ削ればいいみたいなので、割と楽に片づけられそうだ。
「そういうわけだから、ゆき。おびえてないで、ちゃっちゃと片づけちまおうぜ」
「あー、もぉ! わかったよぉ! 人形どもぉ! さっさとゆきの視界からきえろぉ! 夢に出てきたらどうしてくれるんだぁ!」
残りの襲いかかってくる人形たちに対し、ゆきはぎゅっと目をつぶりながらさけぶ。
すると次の瞬間、彼女の念動力のアビリティによって操られた七本の細身の剣が、敵めがけて牙をむく。剣は縦横無尽に踊り狂い、次々と人形たちに風穴を開けて破壊していった。
「はぁ、はぁ、あんなホラーな敵、ごめんだよぉ……」
最後の一体を倒し、ゆきはヘナヘナとその場に崩れ落ちる。
どうやらよほどメンタル面に、ダメージを受けたみたいだ。
「ははは、でも倒せるだけマシだろ?」
「――それはそうだけどさぁ……」
ぐったりしながら涙をはらうゆき。
「はっ!? ゆき、あぶない!」
「え?」
きょとんとする彼女の方に走りながら、レイジは刀を振るう。
「まずは一人」
「させるかよ」
ゆきの背後から音もなく接近し、急所に斬撃を放とうとする人影。
その暗殺者のごとき精確無慈悲な剣閃を、レイジは間一髪のところではじいた。
「あーあ、あと少しで斬り伏せられたのに」
ナツメはいったん距離をとり、ため息交じりに刀をかまえる。
「わぁ!? なんでこいつらがいるんだぁ!?」
ゆきはすぐさま立ち上がり、臨戦体勢を。
「どうやら先を越されてたみたいだな。となるとやつらはもうだいぶこの迷宮を進んでることになるぞ」
「そんなぁ! 急いで追いかけないとぉ!」
「ここから先は通さない。あなたたちはナツメが全員切り捨ててあげる」
刀をきらめかせ、残忍な笑みを浮かべるナツメ。
「ゆき、ここはオレが食い止める。だからおまえは」
「このうすきみわるい中を一人でいけってぇ!? さっきのやつらも出てくるだろうし、むりむり!」
ゆきは首をブンブン横に振ってうったえてくる。
「やるしかないだろ。エデン財団側がなにをたくらんでいるか知らないが、ろくでもないことに違いない。なんとしてでもバグをやつらより先に見つけるんだ」
代わりに行ってやりたいところだが、レイジだと完全に闇雲に探すことになる。なので改ざんで効率的に探せるゆきが適任であった。
「あぁー、わかったよぉ! だけど早く追いかけてきてねぇ!」
「ああ、善処するさ。あとさっきのでかいオオカミもどこかにいるはずだから、気をつけろよ」
ここからでも見える建物内の大きな穴は、おそらくあの大型オオカミによってつけられたものだろう。今はどこにいるかわからないが、見つかったら即座に襲いかかってくるはずだ。
「なんかますますホラーゲーム展開になってきてるなぁ。かまってるヒマないし、エンカウントしないように進まないとぉ……」
ゆきはビクビク震えながらも、建物内へと走っていく。
妨害してくると思いきや、ナツメは見送るだけ。完全にレイジだけを標的に定めていた。
「行っちゃった。でもいいか。あなたの方が斬りがいありそうだし、あっちの小さいのはロウガにくれてやる。さあ、楽しませてよ!」
そして刀を振りかぶり、襲いかかってくるナツメなのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる