248 / 253
6章 第2部 レーシスの秘密
241話 よくできた後輩
しおりを挟む
次の日。レイジとアリスはクリフォトエリアのとある廃墟街の一角にきていた。現在この場所では、新規のための狩猟兵団の講習会のイベントが開かれている真っ最中。ガヤガヤと大勢の人々でにぎわっていた。
なぜこのイベント会場に来たかというと、アランに依頼の内容を聞くため。少し前に連絡を入れたところ、このイベント運営で手が離せないので会いに来てくれと言われたのである。なのでこうして出向いてきたというわけだ。
「ははは、なんだかすごいにぎわってるな。お祭りみたいだ」
見渡せば狩猟兵団の活動に興味をもったり、やりたいといった初々しい感じの新人たちを大勢見かける。ほかにもイベントスタッフ、新人向けの装備を露店形式で売っている商売人たち。さらにベテランの狩猟兵団の人たちも、けっこう来ているのだ。中にはベテランたちをターゲットにした情報屋、電子の導き手たちもちらほら。そんな会場内では様々な屋台や出し物などもやっており、みな思い思いに満喫していた。
「ええ、あちこちでドンパチやり合ってて、すごく楽しそう。アタシたちも混ざりに行きましょうよ!」
アリスが指さす先には、人だかりが。
どうやら中のほうで戦闘が繰り広げられ、それを見るためギャラリーたちが集まっているみたいだ。それはシティーゾーンでもよく見る光景。血の気の多い狩猟兵団の人間が集まっているのだから、なおさら起こりやすいのだろう。
「近々、アランさんからの大事な依頼があるんだから、ダメだ」
「少しぐらいいじゃない。ほら熱い戦いに感化されて、次々に凄ウデたちが名乗り出てるわよ」
よく見るとどんどん飛び入り参加して、ギャラリーたちが盛り上がっていた。
初めはいざこざからの小規模なケンカだったかもしれないが、すでに腕試しに代わりつつあるようだ。みな闘争心に火が付き、強い相手と戦える機会を存分に楽しんでいる様子。ちなみにあちこちでもこれと似たような人だかりができており、イベント会場は非常に盛り上がっていたといっていい。
「うわ、みんなはっちゃけてるな。運営側も止めたほうがいいんじゃないのか。このままだとイベント事態が腕試し会場になって、参加者が大幅に減るぞ」
「あら、ベテラン勢はそれを狙って、このイベントに参加してるんでしょ?」
「目的を持って来てるのが大半だろ。新規者の講師としてレクチャーしにきたり、いい人材をスカウトしにきたり」
今回のイベントの売りはベテラン勢から、レクチャーが受けられるというもの。いくつものグループに分かれ、戦闘訓練はもちろん、役立つ技術や経験談の講義など。そのため多くの名をはせた狩猟兵団の人間が、講師として招かれているらしい。
ほかにも狩猟兵団側の事務所関係も多そうだ。ここにはどこにも属していないフリーの人材が、山ほどいる。なので声かけや出し物をして自分たちの事務所を宣伝したり、見込みのありそうな新人を直接スカウトしにいったりするわけだ。そう考えるとああやって腕試し会場に乗り込み、目立ちながら事務所のアピールをするのも案外ありな手なのかもしれない。見物人には新規者も多く、実際に名乗りを上げるとき派手に宣伝している者も多かった。
「あと最後のほうには、凄ウデたちのエキビションマッチとかもやるみたいだから、その参加者や観戦目的とかさ」
エキビションマッチはレクチャーしに来てくれた教官だったり、高ランクの狩猟兵団の人間が数多くでるらしい。リストを見れば見知った相手や、ウワサで聞いたことのある強者の名前もちらほらあった。ちなみにレイジの師匠であるSSランクの叢雲恭一も、出るとのこと。これはぜひとも見なければ。内心、すごく楽しみにしていたという。
「なにそのすごく心惹かれる企画! 今からでも出れるかしら!」
アリスが目を輝かせ、すごい勢いで食いついてくる。
「ははは、もう締め切りは終わってるみたいだから、あきらめろ」
「あら、残念ね」
がっくり肩を落とすアリス。よほど出たかったらしい。
「それにしてもここまで新規者が来るなんて、驚きだわ」
「このイベントはこれから狩猟兵団に入る人にとっては、すごく魅力的だからな。ベテラン勢がいろいろレクチャーしてくれて、この会場限定で使える装備用の割引クーポンとかももらえるらしいし。それにスカウトや、周りの狩猟兵団の人間からいろいろ聞けるとなればな」
新規者にとっては非常に充実した内容の数々。そのほかにも今ライセンスをとったら様々な特典が、みたいな感じのキャンペーンも数多くあるのだとか。運営側は新規者参入に、かなり力を入れていたといっていい。
「あとやっぱり今の若い第二世代は、ゲーム感覚でこっち側に来ることも多いそうだ。戦っても死にはしないし、リスクも緊張感があっていいとか。刺激があって金も稼げて、ずっとゲームできるみたいな感じで、すごく魅力的に映るんだと」
エデンでのフルダイブ系のゲームを得意としている者たちにとって、デュエルアバターの操作は相性がいい。さらに第二世代だとなおさら演算力などが高いため、高ランカーになりやすいのだ。そのためゲーマーの人間が小遣い稼ぎもかねて、よくこちら側に参入してくるのだとか。
「なるほどね」
「そしてそういった人間は、エデン協会よりも狩猟兵団に入る傾向が強いらしい。こっちの方が戦える機会が断然多いからな。エデン協会だと敵が来ず、ヒマな時もあるし。だからゲーム感覚でやってる人間からすれば、おのずと刺激あふれる狩猟兵団側ってな」
「レイジ先輩、アリス先輩!」
そうこうしていると狩猟兵団レイヴンに所属する、西ノ宮光が声をかけてきた。
「あら、ヒカリじゃない」
「おっ、光も来てたのか」
「はい、ステラさんが講師として呼ばれてて、その付き添いで」
「へー、ステラさんも来てるのか」
ステラさんとは狩猟兵団レイヴンに所属するSSランクのデュエルアバター使いであり、流水の錬金術師としての異名をもつ人物。アリスと共に小さいころからなにかと世話になっており、姉貴分といっていい第二世代の女性である。
「それにしても、あはは」
光がレイジたちを見て、心底嬉しそうに目を細める。
「どうした?」
「いえ、レイジ先輩とアリス先輩が一緒にいるの、すごくしっくりくるなって。やっぱり二人はこうでないと!」
「そんなになのか?」
「それはもちろん! あれだけ四六時中一緒にいたお二人ですよ! それにほら見てください! アリス先輩のこの生き生きとした表情! レイジ先輩が出て行ってから、こんなアリス先輩ずっと見てなかったんですから!」
光はアリスに手を向け、はしゃぎだす。
「フフフ、ヒカリったら大げさなんだから」
「うーん、オレにはいつものアリスで、違いが……」
「もういっそのこと、レイジ先輩のところでお世話になってきたらどうです?」
首をひねっていると、光がアリスへ意味ありげにほほえみかけた。
「あら、ヒカリまでボスみたいなことをいうのね。そんなにみんなアタシを追い出したいのかしら?」
「そんなわけないじゃないですか! レイジ先輩に続き、アリス先輩まで出ていっちゃったらどれだけさみしいことになるか! 本当はこのままずっといてほしいけど、今のアリス先輩を見てたら、そのほうがやっぱりいいのかなって……」
両腕を胸元近くでブンブン振りながら、必死にうったえてくる光。そして目をふせ、切なげに言葉を紡いだ。
もはやアリスのことをどれだけ思っているのかは明白。自身の一緒に居たい感情をこらえ、アリスにとって最善(さいぜん)の方向へ導こうとしていた。
「うーむ、もしそうなったら光がかわいそうだな。レイヴンに引き入れた身としては、さすがに放っておくわけには……。そうだ。光もこっちに来るか? 那由多たちにはオレから話をつけとくからさ」
そんな健気な光を見ていると、いたたまれなくなってしまう。なので彼女のことも誘ってみることに。
レイジからの推薦ということで那由多たちに頼み込めば、なんとかなるだろう。光はいい子なので、みんなもきっと気に入ってくれるはずだ。
「ありがとうございます。でもせっかくのお誘いですけど、止めておきますね。アリス先輩だけでなくワタシも抜けたら、さすがにレイヴン側の戦力に大きな穴が開いちゃいますから。そしたらあの大戦の依頼にも支障が出て、さすがにボスも困ってしまうはず。だからお二人の分もレイヴンでがんばります! ワタシを快く迎え入れてくれたみなさんへ、恩を返さないと!」
光は胸に手を当て、まっすぐに告げてきた。どうやら決心は固いようだ。
「――光……」
「それにこの戦いにはワタシも思うところがありますし、美月のことだって……。そういうわけですからワタシのことは気にせずに!」
「そっか。光、なにかあったらいつでも頼ってくれていいからな」
「アハハ、レイジ先輩とは一応敵同士ですよ?」
光はレイジの顔を下からのぞきこみながら、おかしそうに笑ってくる。
「ははは、オレのかわいい後輩に代わりはないだろ? なんなら話だけでもさ。光にはこの一年アリスの世話をまかせっきりだったわけだし、その礼にいくらでもメシとかおごるぜ」
彼女の髪をなでながら、ほほえみかける。
「あはは、ありがとうございます。でもアリス先輩のお世話に関しては、全然苦じゃなかったので。むしろあこがれの先輩にいろいろ尽くせて、すごく満足といいますか」
光はほおに手を当て、なにやらうっとりしだす。
まさかあの大変なアリスの世話を迷惑がらず、ここまで快くやってくれるとは。もはや感謝せずにはいられなかった。
「なんていい後輩なんだ」
「ええ、ほんとうにね。レージがいない間は引き続き、光に全部やってもらわないと」
「いや、いつまでも後輩に迷惑かけてないで、少しは自立しろよ」
反省の色を見せないアリスに、あきれるしかないレイジなのであった。
なぜこのイベント会場に来たかというと、アランに依頼の内容を聞くため。少し前に連絡を入れたところ、このイベント運営で手が離せないので会いに来てくれと言われたのである。なのでこうして出向いてきたというわけだ。
「ははは、なんだかすごいにぎわってるな。お祭りみたいだ」
見渡せば狩猟兵団の活動に興味をもったり、やりたいといった初々しい感じの新人たちを大勢見かける。ほかにもイベントスタッフ、新人向けの装備を露店形式で売っている商売人たち。さらにベテランの狩猟兵団の人たちも、けっこう来ているのだ。中にはベテランたちをターゲットにした情報屋、電子の導き手たちもちらほら。そんな会場内では様々な屋台や出し物などもやっており、みな思い思いに満喫していた。
「ええ、あちこちでドンパチやり合ってて、すごく楽しそう。アタシたちも混ざりに行きましょうよ!」
アリスが指さす先には、人だかりが。
どうやら中のほうで戦闘が繰り広げられ、それを見るためギャラリーたちが集まっているみたいだ。それはシティーゾーンでもよく見る光景。血の気の多い狩猟兵団の人間が集まっているのだから、なおさら起こりやすいのだろう。
「近々、アランさんからの大事な依頼があるんだから、ダメだ」
「少しぐらいいじゃない。ほら熱い戦いに感化されて、次々に凄ウデたちが名乗り出てるわよ」
よく見るとどんどん飛び入り参加して、ギャラリーたちが盛り上がっていた。
初めはいざこざからの小規模なケンカだったかもしれないが、すでに腕試しに代わりつつあるようだ。みな闘争心に火が付き、強い相手と戦える機会を存分に楽しんでいる様子。ちなみにあちこちでもこれと似たような人だかりができており、イベント会場は非常に盛り上がっていたといっていい。
「うわ、みんなはっちゃけてるな。運営側も止めたほうがいいんじゃないのか。このままだとイベント事態が腕試し会場になって、参加者が大幅に減るぞ」
「あら、ベテラン勢はそれを狙って、このイベントに参加してるんでしょ?」
「目的を持って来てるのが大半だろ。新規者の講師としてレクチャーしにきたり、いい人材をスカウトしにきたり」
今回のイベントの売りはベテラン勢から、レクチャーが受けられるというもの。いくつものグループに分かれ、戦闘訓練はもちろん、役立つ技術や経験談の講義など。そのため多くの名をはせた狩猟兵団の人間が、講師として招かれているらしい。
ほかにも狩猟兵団側の事務所関係も多そうだ。ここにはどこにも属していないフリーの人材が、山ほどいる。なので声かけや出し物をして自分たちの事務所を宣伝したり、見込みのありそうな新人を直接スカウトしにいったりするわけだ。そう考えるとああやって腕試し会場に乗り込み、目立ちながら事務所のアピールをするのも案外ありな手なのかもしれない。見物人には新規者も多く、実際に名乗りを上げるとき派手に宣伝している者も多かった。
「あと最後のほうには、凄ウデたちのエキビションマッチとかもやるみたいだから、その参加者や観戦目的とかさ」
エキビションマッチはレクチャーしに来てくれた教官だったり、高ランクの狩猟兵団の人間が数多くでるらしい。リストを見れば見知った相手や、ウワサで聞いたことのある強者の名前もちらほらあった。ちなみにレイジの師匠であるSSランクの叢雲恭一も、出るとのこと。これはぜひとも見なければ。内心、すごく楽しみにしていたという。
「なにそのすごく心惹かれる企画! 今からでも出れるかしら!」
アリスが目を輝かせ、すごい勢いで食いついてくる。
「ははは、もう締め切りは終わってるみたいだから、あきらめろ」
「あら、残念ね」
がっくり肩を落とすアリス。よほど出たかったらしい。
「それにしてもここまで新規者が来るなんて、驚きだわ」
「このイベントはこれから狩猟兵団に入る人にとっては、すごく魅力的だからな。ベテラン勢がいろいろレクチャーしてくれて、この会場限定で使える装備用の割引クーポンとかももらえるらしいし。それにスカウトや、周りの狩猟兵団の人間からいろいろ聞けるとなればな」
新規者にとっては非常に充実した内容の数々。そのほかにも今ライセンスをとったら様々な特典が、みたいな感じのキャンペーンも数多くあるのだとか。運営側は新規者参入に、かなり力を入れていたといっていい。
「あとやっぱり今の若い第二世代は、ゲーム感覚でこっち側に来ることも多いそうだ。戦っても死にはしないし、リスクも緊張感があっていいとか。刺激があって金も稼げて、ずっとゲームできるみたいな感じで、すごく魅力的に映るんだと」
エデンでのフルダイブ系のゲームを得意としている者たちにとって、デュエルアバターの操作は相性がいい。さらに第二世代だとなおさら演算力などが高いため、高ランカーになりやすいのだ。そのためゲーマーの人間が小遣い稼ぎもかねて、よくこちら側に参入してくるのだとか。
「なるほどね」
「そしてそういった人間は、エデン協会よりも狩猟兵団に入る傾向が強いらしい。こっちの方が戦える機会が断然多いからな。エデン協会だと敵が来ず、ヒマな時もあるし。だからゲーム感覚でやってる人間からすれば、おのずと刺激あふれる狩猟兵団側ってな」
「レイジ先輩、アリス先輩!」
そうこうしていると狩猟兵団レイヴンに所属する、西ノ宮光が声をかけてきた。
「あら、ヒカリじゃない」
「おっ、光も来てたのか」
「はい、ステラさんが講師として呼ばれてて、その付き添いで」
「へー、ステラさんも来てるのか」
ステラさんとは狩猟兵団レイヴンに所属するSSランクのデュエルアバター使いであり、流水の錬金術師としての異名をもつ人物。アリスと共に小さいころからなにかと世話になっており、姉貴分といっていい第二世代の女性である。
「それにしても、あはは」
光がレイジたちを見て、心底嬉しそうに目を細める。
「どうした?」
「いえ、レイジ先輩とアリス先輩が一緒にいるの、すごくしっくりくるなって。やっぱり二人はこうでないと!」
「そんなになのか?」
「それはもちろん! あれだけ四六時中一緒にいたお二人ですよ! それにほら見てください! アリス先輩のこの生き生きとした表情! レイジ先輩が出て行ってから、こんなアリス先輩ずっと見てなかったんですから!」
光はアリスに手を向け、はしゃぎだす。
「フフフ、ヒカリったら大げさなんだから」
「うーん、オレにはいつものアリスで、違いが……」
「もういっそのこと、レイジ先輩のところでお世話になってきたらどうです?」
首をひねっていると、光がアリスへ意味ありげにほほえみかけた。
「あら、ヒカリまでボスみたいなことをいうのね。そんなにみんなアタシを追い出したいのかしら?」
「そんなわけないじゃないですか! レイジ先輩に続き、アリス先輩まで出ていっちゃったらどれだけさみしいことになるか! 本当はこのままずっといてほしいけど、今のアリス先輩を見てたら、そのほうがやっぱりいいのかなって……」
両腕を胸元近くでブンブン振りながら、必死にうったえてくる光。そして目をふせ、切なげに言葉を紡いだ。
もはやアリスのことをどれだけ思っているのかは明白。自身の一緒に居たい感情をこらえ、アリスにとって最善(さいぜん)の方向へ導こうとしていた。
「うーむ、もしそうなったら光がかわいそうだな。レイヴンに引き入れた身としては、さすがに放っておくわけには……。そうだ。光もこっちに来るか? 那由多たちにはオレから話をつけとくからさ」
そんな健気な光を見ていると、いたたまれなくなってしまう。なので彼女のことも誘ってみることに。
レイジからの推薦ということで那由多たちに頼み込めば、なんとかなるだろう。光はいい子なので、みんなもきっと気に入ってくれるはずだ。
「ありがとうございます。でもせっかくのお誘いですけど、止めておきますね。アリス先輩だけでなくワタシも抜けたら、さすがにレイヴン側の戦力に大きな穴が開いちゃいますから。そしたらあの大戦の依頼にも支障が出て、さすがにボスも困ってしまうはず。だからお二人の分もレイヴンでがんばります! ワタシを快く迎え入れてくれたみなさんへ、恩を返さないと!」
光は胸に手を当て、まっすぐに告げてきた。どうやら決心は固いようだ。
「――光……」
「それにこの戦いにはワタシも思うところがありますし、美月のことだって……。そういうわけですからワタシのことは気にせずに!」
「そっか。光、なにかあったらいつでも頼ってくれていいからな」
「アハハ、レイジ先輩とは一応敵同士ですよ?」
光はレイジの顔を下からのぞきこみながら、おかしそうに笑ってくる。
「ははは、オレのかわいい後輩に代わりはないだろ? なんなら話だけでもさ。光にはこの一年アリスの世話をまかせっきりだったわけだし、その礼にいくらでもメシとかおごるぜ」
彼女の髪をなでながら、ほほえみかける。
「あはは、ありがとうございます。でもアリス先輩のお世話に関しては、全然苦じゃなかったので。むしろあこがれの先輩にいろいろ尽くせて、すごく満足といいますか」
光はほおに手を当て、なにやらうっとりしだす。
まさかあの大変なアリスの世話を迷惑がらず、ここまで快くやってくれるとは。もはや感謝せずにはいられなかった。
「なんていい後輩なんだ」
「ええ、ほんとうにね。レージがいない間は引き続き、光に全部やってもらわないと」
「いや、いつまでも後輩に迷惑かけてないで、少しは自立しろよ」
反省の色を見せないアリスに、あきれるしかないレイジなのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる