俺を召喚したのは神じゃなくて魔王かよ!

オグリギャップ

文字の大きさ
52 / 72
新たな仲間編

52 拾った冒険者

しおりを挟む
さあ、6階層だ。何が出るかな?何が出るかな?ジャジャジャジャン♪う~む、懐かしい。

出て来たのは・・・・キャタピラーってヤツ?芋虫のでっかいヤツだ。俺の前に6階層に入った冒険者が戦っていた。キャタピラーってザコだと思っていたけど、6人も居る冒険者が苦戦している。何でだ?
戦いをジッと見ていると、成る程と思った。キャタピラーはクチから粘着性の糸を吐き出し、敵を絡め取ってクチに運んでいる。冒険者もキャタピラーの体に攻撃を加えているが、皮膚がブヨブヨ過ぎて決定打が入らない様だ。ん?あれ?冒険者達の武器が溶けてる?キャタピラーの体液って酸で出来てるのか?キャタピラーって、魔法使いか、長槍を持って無いと倒すのに苦労するのね。
キャタピラーの特性見れたので先に進む。冒険者を助けないのかって?知るか!そんなもん。
さて、ボスは何かなぁ。扉を開けるとキャタピラーが3匹いた。なーんだ、ガッカリだ。もっと強いのが居ると思ったのに・・・・。サクッと倒して下層へ。7、8、9階層もサクサクッと終わらせて10階層へ。

10階層のボスは火蜥蜴だった。ここも5階層と同じで、道中で出て来た魔物と違った。道中はでかいゴブリンだったもんな。もしかしたら、5階層毎に強い魔物がボス部屋に出現するのかも知れない。
このボスはサラマンダーとか言うヤツなのかも知れない。大きく無いが5匹も居る。大体50cm位か。動きは遅い。これなら水レーザーで一発だと思ったんだけど、攻撃が届く前に蒸発してしまった。不味いね・・・・どうしようか?俺が考えてる最中なのに、溶岩みたいな物をクチから飛ばして来る。ウゼェ。
火にはやっぱり水だよな。少量の水だと蒸発してしまうなら、大量の水で攻めればいいんじゃない?
そう思ったから1匹に大量の水の玉をぶつけてみた。そしたら『ドバン!』って爆発したぞ!?ビックリしたぁ!な、何だ?アッチィ!!
これは水蒸気爆発ってヤツか?サラマンダーも跡形も無く飛び散った。こりゃ、纏めて水を掛けたら大変な事になるな。仕方無い、1匹づつ倒していくか。俺は自分の前にアースウォールを立てて、熱い水蒸気が掛からない様に準備して1匹づつ片付けた。

それからも順調に下層へ進めた。14階層に来た時に壊滅寸前の冒険者パーティーを見つけた。でかい虎の魔物2匹と戦っている。残りは3人だ。元は何人居たんだろうな。バラバラになってて分からない。これは完全に虎に遊ばれてるな。あっ、また1人殺られた。あーあ、終わったな。すぐにあとの2人も殺られるだろう。・・・・うん、思った通りだ。1人は頭から喰われ、もう1人は腕を喰い千切ぎられ、腹に虎の爪が刺さっている。それにしてもでかくて美しい虎だな。色も白黒でホワイトタイガーと呼ぶに相応しい。城に飾ろうかな。額に水レーザーを撃ち込んで2匹を倒し、アイテムボックスに収納した。あっ、そういえば、冒険者にアダマンタイトは何処で取れるのか聞いて置けば良かったな。しまった・・・全滅しちゃったしな・・・・周りを見渡すとバラバラの死体が転がっている。ん?最後にやられたヤツが動いたか?確かめに行くと、まだ微かに息がある。ラッキー!俺は回復魔法で腹の傷を治した。腕はどうするかな・・・・喰われて無いし。まっ、傷だけ塞げばいいか。腕の傷も塞いで冒険者を鳥籠の中に放り込んだ。

14階層のボスのホワイトタイガー3匹をチャッチャッと片付けて15階層へ。15階層はイエティー?なのか?3m位の毛むくじゃらのゴリラだった。面倒臭いから戦わない。ボスは何だろな。発表!ボスは・・・・アラクネさんでした!人間の上半身と蜘蛛が合体した魔物だ。驚いた事に、人間の部分を破壊してもまだ生きていた。蜘蛛の胴体の部分を破壊してやっと沈黙した。心臓が2つあるって事か。このダンジョンに入ってから何時間経ったのだろうか。分からないけど、腹が減ったから階段で食事を食べる事した。

俺はアレを試したくて仕方無かった。そう、インスタントスープを試したかったのだ!どんな味なんだろ。冒険者に大人気って書いてあったし。
早速鍋に水を入れて火にかける。沸騰した所でインスタントスープの素を入れてみる。香りは豚骨ラーメンのスープの様な感じだ。色も白濁している。味は・・・・・・・・・微妙。不味くは無いんだよ。でも、おお!これは!って程でも無い。一般の冒険者や、馬車を持たない旅人なら嬉しいのかも知れないな。こう言うヤツらは出来るだけ荷物を減らしたいだろうしな。それでこの味なら文句は無いだろう。出汁が効いてる塩味ってとこだ。俺はスープにキャベツと大根とオークの肉を入れて煮込んでみた。野菜を入れた事で獣臭さが和らいで、甘味がスープに加わった感じで美味しくなった。これなら文句無い。旨い!成る程ね。食材を入れる事で味が変わって完成するのね。

俺は半分程鍋を食べた所で、冒険者を回収してた事を思い出した。アイツ食べるかな?鳥籠の中から冒険者を出してみたが、まだ気を失っていた。それにしても血塗れで汚いな。階段の中段まで運んで水魔法をシャワーにして洗ってみた。あれ?コイツ女か?胸に2つの膨らみがある。顔と短い髪に付いた血糊を洗ってみると女性の顔が見えて来た。

「くわっ・・・・ブホッ、ガフ、ガフ、ゴホッ」

なんか汚い咳をして目覚めた。

「お、目覚めたか。傷はどうだ?」

「・・・・・・・ッ!?う、腕が!!・・・・そ、そうだ・・・魔物に喰われ・・・・・ま、魔物!魔物は?仲間は?」

混乱し始めたぞ。まぁ、そうだろうな。あんな状況だったし。

「魔物か?俺が倒した。仲間?全滅してたぞ?覚えて無いのか?」

「・・・・・・そう・・・・・・みんな死んだのね・・・・・・」

傷の痛みは大した事無いみたいだな。

「ッ!!ブフッ・・・な、何を?」

びしょ濡れだった女を風魔法で乾かしている。ドライヤーだな。立って貰わないと背中が乾かせ無いな。

「ちよっと立ってくれ。背中が乾かせん。」

女は立ち上がろうとして、バランスを崩して階段を転がって落ちて行った。そうか、頭の意識にはまだ左腕があると思っていて、重心のバランスが取れなかったのか。

「おーい、大丈夫か?」

「・・・・だ、大丈夫・・・・イタッ!」

もう・・・・面倒臭いヤツだな。折角治してやったのにまた怪我したのかよ!俺は女に歩み寄り、面倒臭いから全身に回復魔法を掛けた。

「・・・・・痛く・・・・無い?」

「気を付けて上まで上れ。まだ体のバランスが取れて無いからな。」

女は言われた通り足元を見てバランスを取りながら上って行く。先程まで食べていた鍋の所で立ち止まった。

「まあ、そこに座れよ。食うか?」

「・・・・いいんですか?」

体の回復で、エネルギーをかなり使ってるから腹は減ってる筈だ。俺はスプーンを渡して食べろとゼスチャーする。

「い、頂きます。」

女はおそるおそるスープを一口クチに運ぶと、目に少し光が戻り、大根や肉を頬ばった。
これなら大丈夫だろう。後はアダマンタイトがどの階層にあるか聞き出すだけだ。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

処理中です...