AIメイドは悪役令嬢を救えますか? 回答:まずお嬢さまが言うことを聞きません!

マーシャル

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第1章 魔法学園 入学準備号

幕間 独白お嬢さまと女子会メイド

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 セシリアは窓辺に立ち、外を眺める。
 ガラスに映るのは、少しむくれた顔。
 期待していたのに。

 神にも等しい知恵?
 世界を見通す力?
 全部、このわたくしのものだと思っていた。
 それが使えない、ですって。
「ふふ……笑えないわ」
 自分でも分かるくらい、声が拗ねていた。

 思い出すのは、さっきのこと。
 光、衝撃、それから
 痛かった。
 転がって、声が勝手に出て、
 止めようとしても止まらなくて。

 あの時、ルナリアは言っていた。
 治療魔法は、激痛を伴うことがあると。

「……」

 ふと、胸の奥がざわつく。
 母から痛みを受けた最初の記憶
 あの時のお母様の必死で不安そうな表情

 治したい
 ただそれだけで。
 いいえ、まだ決めつけるのは早いわね。
 窓に映る自分が、少しだけ大人びて見えた気がした。

「……まったく」
 メイドしかできない、なんて。
 あんな顔で言うものだから。
 思わず、口元が緩む。

 ――おやすみ、ルナリア。


 ――――
 
 ――ごめんなさい お嬢さま!
 寝てないです。
 何せ頭の中に女の子3人詰まってるからね。
 1人でもキャッキャッと女子会できちゃうんですよ。

 まあ相手はロボとAI娘なんだけどね。
 それなら、お前だって女の子って歳かよってセルフでツッコミ。
 まあそんなわけで、今は1人で自室。
 
 ルナリアは、新しいビクトリアンスタイルのメイド服が気に入ったのか、姿見の前で1人ファッションショー中。
 
 クルッと回ってスカートの裾を指でつまんで、ニッコリ。フリルフワフワ太ももばっちりのフレンチメイドとは、安心感が違うよね。

 脳内会議の方では、私がおしゃべり担当。
 だってお嬢さまの部屋を追い出された後、よく考えたら行くところがなかったんだもの。
 ドアの前で泣きつく覚悟を決めた、その時。

「――執事長のセバスだ」
 
 ……どこから出てきた?!
 
 執事長っていうからおじいちゃん想像したのにセバス様ってばロマンスグレーの短髪に口髭。眼光がどこか鋭くて執事長っていうより軍人さん。
 
「部屋まで案内する。こっちだ」
 
 口調も軍人さんだ。
 
「先ほど職務上仕方なく、部屋でのやり取りを聞かせていただいた」
 
 えっ!あれ聞かれたの ドキッとする
 《センサーに盗聴の形跡無し、A +以上の潜伏スキル保有者と推定》
 やっぱりダンボール箱に隠れる系じゃない!
 
「スキルが使えない事情は把握した」
「安心しろ。このことを口外するつもりはない」
 
 ちょっと安堵

「ただお前がセシリア様を守ると言ったのを聞いて」
「盗み聞きを隠しておくべきではないと、思っただけだ」
 
 えっ! さっきの声に出てたの恥ずかしい

「着いたぞここがお前の部屋だ」
 
 セバス様にお礼を言おうと向き合うと
 
「セシリア様にはお前のようなものが必要なのかもな」
 
 そう言って、セバス様が目を細めて少し微笑んだ
 
 その笑み反則!

 あんな執事がいるとかアーネスト家侮れないわ。それにしても渋いおじ様だったな 声もダンディだったし
 
 (ねえ プラムもそう思うでしょ)
 《好感度の高いタイプと統計上分類致します》
 (そうよね あの声で「待たせたな!」とか言ってもらいたい)
 
 《ところで透香、一つ質問があります》 
 (なーに? プラム)
 《透香の記憶野にはこの世界をゲームとして作ったというログがあります》
 (確かにあるわよ。んで?)
 《軽いですね で今後どう振る舞うつもりですか》

 ……少し、考える。
 
(正直ね、最初は転生ものの王道どおりに救おうと思ったのよ)
 (破滅エンド回避、チート全開でね)
 《ゲーム脳ですね》
 (うっさい)

 (でも今日、セシリアを見て思ったの)
 (あっこの子、ちゃんと生きてるって)
 (考えて、選んで、怒って、笑うんだってね)
 (それを「知ってる未来」で縛るの、違う気がするんだよね)
 《では、どうするのです》
 (んーそれよね……)
 
 (そうよ、ゲームなんて忘れる!)
 (セシリアの選択を隣で見て、メイドとしてできることをする)
 (決めたわ! セシリアと一緒にわたしも全力でこの世界を楽しむ)
 
 《いい案ですね》
 なんかAIって必ず肯定から入って、まずは褒めるよね。
 でも今は感謝!

『疲れたー。もう寝るー』
 ルナリアAIが姿見の前から帰ってきた。
 
 うん私たちも寝ようか
 
 《わたしは睡眠を必要とは致しません》
 いいな、それ
 
 (じゃあみんなおやすみ―)

 ――おやすみなさいセシリア
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