天パの心得

つづみゆずる

文字の大きさ
11 / 14

夏はアップに

しおりを挟む
夏のドライヤーはきつかったです。クーラーかけてましたがもう社会人。学生ではないのです。何事もお金、料金が発生することを知ってる社会人です。そう、電気代が気になり出しました。
髪下ろしてると暑くて汗かくし。

で、アップスタイルにしたら真っ直ぐ延ばす必要がない為後ろドライヤー分時短になりました。
捻って持ち上げてバンスクリップで留めるだけです。半乾きの方が綺麗にアップできるので少し濡らして…まとめるだけに整髪料買うのもなぁと手近にあったスプレー式の化粧水を使ってみました。肌に使うには水っぽすぎて物足りなく、大体前髪にかかったらまずいのでろくに使えず持て余していたものでした。
この化粧水の保湿成分が大正解だったのです。
肌に使う水っぽい名前でスプレー式の。缶ではなくてペットボトル的な。今もその辺に売ってますね。
アップして毛先を散らして。いつもなら水気でチリつく毛先が、時間が経っても綺麗にくるくるっといい具合に散らされてるのです。
毎日綺麗にセットしてるねとよく褒められました。スプレーシュッシュして摘んで右に左にと散らしてるだけなのに。
年齢重ねたせいか髪の重みでなのか、手入れがわかってきたのか、思春期の時よりウェーブが大きくなってました。
それでも何もせず乾かしただけでは天パ特有のチリつきと広がりで、短い前髪はチリチリ、後ろはメデューサです。

*まとめる時や後れ毛、散らしたい時はスプレー式の化粧水を適当にシュッシュして適当に毛束をつくって散らします。天パ、癖毛特有のくるくる感に動きが出ます。

天パあるあるですが、ゴムで縛るだけの髪型はすごく嫌いでした。ゴムに引っ張られて普通真っ直ぐなはずのところがウネウネっと揃ってて。手を置くと全部の指がジャストフィットするのがとても嫌でした。
だからまとめ髪は捻りアップにするしかなかったのです。毛束でうねりが隠れて散らした毛先で元の方のうねりも誤魔化せます。

仕事から帰ってきて髪をほどくと、なんか髪が落ち着いてて大きなウェーブでチリつかずいい感じになってました。化粧水成分のおかげでしょうか。
前髪が一番強い天パなので、前髪だけはドライヤーは外せませんが、後ろ髪は自分で見えないせいもあり、アップしてれば気にならないし、何より時短です。毎日髪の毛相手に1時間も格闘する事が馬鹿馬鹿しくなってきました。

天パをカミングアウトする前に交際破局していた私ですが、この時の交際は珍しく長続きしていたので、まぁ色々あって天パであることをカミングアウト。当然雨の日に会ったりもしていたから気づいていたのか、彼は大して驚きもしなかったですね。そこに甘えて後ろ髪くるくるも見せたけど、彼は全く動じませんでした。

私はかなり肩の荷が降りたというか。手間的にも精神的にも、とても楽になりました。

ストレートへの憧れは消えませんが、自分を偽る事を少しやめられたのです。


とある日の事です。後ろくるくるのままデートして職場の近くを通った時、たまたま同僚に見られていました。
次の日いつものように後ろはアップして出社すると、昨日見かけたと言われました。当然私はナンデスト状態で。職場の人には髪くるくる見せた事なかったから動揺しまくりましたが…
パーマもいいじゃないですか。って。似合ってましたよって。 

似合ってましたよ
似合ってましたよ
似合ってましたよ

衝撃受けました。
だって彼氏が動じなかったのはお互い好きで交際してるわけだから、恋は盲目じゃないですか、だから全て受け止めようとしてくれてるんだと思っていたから。
職場の人ですよ、同僚ですよ、特に人の髪型なんて気にもしないしいちいち感想も言わないじゃないですか。

彼氏に楽にしてもらって、同僚に背中を押してもらって、思い切って後ろくるくるのまま出社してみました。(仕事柄まとめ髪でなくてもOKだったので)友達でなく身内でもなく彼氏でもない、他人がどう反応するのか。

結果、誰も気にしないんですよね。今日はパーマ?くらいは言われましたが、特に追及するでもなくまじまじ見られるもんでもなく。
恐らくロングだったので髪の重みでチリチリしてなかったからだと思いますが。これが突然メデューサになっていればもっと何かしら言われたのでしょうが。

*結局天パは何もしないより何かしら手をかけないとダメです。
そこがストレートの人のパーマへの憧れと、天パの憧れの違いですね。ストレートは何もしなくても、それこそ雨でも気にならないけど、天パは何もしないでいられないとか雨だとか…とにかく障害が多い!夏は涼ミストマジやめて欲しい!汗にも気を遣ってるのに。何用のトラップですか。


…今でも昔ほど頑張ってないけど前髪ドライヤーは絶対だし。

考えてみれば、自分も人の髪型なんて気にしてない事に気付きました。いや、自分の事で精一杯な私だけかもしれませんが。
真っ直ぐでも癖毛でも禿げてても、知らない人は関係ないし、知ってる人は人となりがわかって知り合いでいるわけだし。
結局人にどんな印象を持たれるか、より良く見せたいというだけの自己満足ですよね。

や、でも印象は大事なので、良く見せようとする自己満足も大事だと思います。自分をより良く見せる為にできる限りの努力をして身綺麗に。
でも偽る必要はないんですよね。
憧れを追求しつつ、自分らしさも大事にしつつ。

その後、意外にも色んな人に髪を褒めてもらいました。いつもパーマかけて綺麗にしてるねと。
いやいや天パなんですよ、地毛です。とさらりと抵抗なく答えるようになっていました。

やっと自分を、自分の髪を認められるようになったのです。

ほんといい出会いをしました。ありがとうございました。

なんかいい話になってしまいましたが、それでも憧れは憧れのままです。未だ羨ましいです。ストレート。

それに、前髪だけはチリつきも酷く、上手くくるくるにさせてみても広いデコッパチには受け入れがたく…おでこを出すのも嫌です。やはり印象を考えて私の3種の神器は手放せません。

ショートにしてみた事もあります。流石にドライヤーなくては生きられず、後ろもハネるし、雨の日は帽子しかなく。職場で帽子ってわけにはいかなかったので、私には向いてませんでした。
今後もショートだけはしないと思います。ってかできねぇ。

ロングの方が重みでウェーブも少し大きくなりますね。

職場は大きく動く事もなかったので耳掛けだけでいられましたが、普段はトップだけ捻りアップのハーフアップにしていました。毛量も少なく見えて広がってもさほど気になりません。

*気になった時ぱぱっと全部アップにしたりと、鏡見なくてもできる捻りアップにバンスクリップはとても便利です。


そして、その時の彼氏と結婚しました。

あ、ありがとうございます。


ちなみに、出会った頃の私の髪がストレートだったことはあんまり覚えてないそうです。
なんでや。超頑張ってたのに。


まぁ髪で惹かれたわけではないと思っとこう。


*誰も人の髪なんか気にしない。でも、ですよ。自分が嫌なんですよね、自分がどうしたいか。それは大事だと思います。悩んで悩んで理想を追求しましょう。

私は…前髪だけは真っ直ぐさせたい。ストレートでなくてもいい。チリチリぐるぐるデコッパチだけは嫌。
これはずーっと変わりません。
正面から見える分、印象がかかってる分譲れないのです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...