R18『クズアルファはぐずぐずに尽くし巣を作る』 #溺愛アルファの巣作り

ああいああこ 【ゆる腐わ女子】

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『クズアルファはグズグズ起きず一人勃つ』 #ルクイユのおいしいごはんBL

◇アルファ視点◇

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素敵な企画ありがとうございました。

【鬼畜社長小クズα】×【食堂店主ぽっちゃりΩ】
夫夫ほのぼのです(当私比)

◇◇◇



 どんなに抱き潰されていても、私の番の朝は早い。
 夫夫のベッドから弾むように元気に躍り出る。洗面所などは飛び抜かし、丸い体をいそいそと揺らしてキッチンへ向かう。

 私は一人、シーツとオメガフェロモンの残り香にくるまったまま。
 パンをオーブンで焼く香ばしい匂いが、枕元へ届いてくる。今朝は何だろう。
 一から設計させた平屋建ての新居は、どこにいても番の直の香りを感じられるように、空間がなだらかに繋がっている。ゆえに、見えずとも音も匂いもよくわかる。

 冷蔵庫を漁る音が聞こえる。大衆食堂をワンオペで営む直は、手際がいい。
 いぶりがっこという燻した沢庵を刻んでいる。トントンと小気味いいリズム。とすると、解凍ポテサラとたっぷりマヨネーズで和えて、今日はきっとサンドイッチだろう。
 二つ目の常備菜のタッパーを開ける音。多分、きんぴらにチーズを足した和風サンドも、だな。
 玉子焼きの甘い匂いがしてきた。厚切りトーストに挟んだ、三種類目のサンドイッチ。
 成人男体オメガにしては量が多い。だが、ふっくらした直の美しい曲線を維持するためには、必要なカロリーだ。

 ザクッザクッと十字に切り分ける音。
 私は朝は食べない。珈琲一杯で充分だ。四分の三は直の朝食。四分の一切れは、ゴールデンウイークも仕事の私の昼食になるだろう。

 バタバタといくつか開閉音がして、揚げ物が始まる。
 更に、唐揚げか!
 直は昨日職場の厨房で下味を仕込んだ肉を持ち帰っていたが、今晩の夕飯用ではなかったのか。

 油とスパイスの匂いに、直のフェロモンが混じって漂ってくる。ああ、幸せの香り。

「勃った」

 作ることも食べることも大好きな直。陽気な鼻歌のように、自然とフェロモンが溢れ出る。
 組み敷いた時の発情フェロモンとは、また違う。だが、これも美味そうだ。昨晩あんなに抱いたのに、今再び柔らかな肢体を喰い尽くしてしまいたい。

「……直……」

 小さく呟くが、楽しいクッキングの邪魔はしない。油が跳ねるピチピチという音が、途切れることなく延々と続いている。
 私も大らかな番に感化され、随分と丸くなったようだ。性欲処理相手でしかなかったオメガ性に、こんなに穏やかな気持ちを向けるようになるとは。運命の番とはドラスティックなものだ。
 時々上がる『アチッ』という声。耐えきれずつまみ食いか。愛らしい。

 蕩けるような番の香りに導かれ、利き手を己の下肢に伸ばす。昂りに添えると、多幸感に包ま……
「明広! 今日ピクニック行こ! ……あ」

 視線がピタリと定まっている。直はヘヘッと笑い、唇に唇を勢いよくぶち当てる。

「終わったら、起きろよな!」

 キッチンへ小走りで戻っていく。

 近隣の繊維工場は、大型連休は軒並み機械を止める。お得意様の工員に合わせ、直の食堂は休業だ。
 私が経営する服飾ブランドは、実店舗一割、通販がメイン。年中無休二十四時間営業だ。無論、祝日の今日も。むしろ繁盛期だ。

 唇のむにっとした感触を反芻する。
 よし、唐突だが休むか。社長特権だ。他社から引き抜いた優秀な社畜に、全て押しつけてしまおう。
 
 トトト、トトト。野菜を刻むまな板の音。
 グズグズとベッドに横たわりながら、今度こそ幸せの香りに身を委ねた。



 ポケット状のピタパンに、唐揚げと刻んだ野菜。更におまけで、サンドイッチに挟まりきらない余り具材までギュウギュウに詰め、頬張る直。
 私はぽっちゃりした太腿を膝枕にしながら、時折落ちてくるキャベツの欠片を番の口に戻すのに忙しい。

 近所の川原の砂地に大きなゴザを敷き、長閑なピクニックだ。
 渡る風はさらりと肌に優しいが、日差しは早くも夏を思わせる。遮蔽物の無い田舎の青い空。ふんわり流れゆく雲。既に空っぽのサンドイッチの籠。番のリズミカルな咀嚼音。
 遠くに、気の早い水遊びに興じる親子連れが見える。はしゃぎ回る高い声が、せせらぎに切れ切れに響く。

「なあ、直。そろそろ赤ちゃんを作ろうか」
「えっ、いいの?」

 喜びに慌ててモグモグする頬を、ツンと撫でる。
 今日はこどもの日。十月十日後、素敵なバレンタインプレゼントができそうだ。



【終】
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