ラノベ風に明治文明開化事情を読もう-クララの明治日記 超訳版

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お逸とユウメイ、回顧するのこと

ラノベ風に明治文明開化事情を読もう-クララの明治日記 超訳版第14.5回  お逸とユウメイ、回顧するのこと

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【クララの明治日記  超訳版第14.5回】
「改めまして。クララの日記の中では“お逸”として登場する勝逸子です。父様は幕臣の勝海舟。その三女になります」
「キム・ユウメイ。北京出身のわたくしを養女にして下さった義父のディビィ・マッカーティーは宣教師で、日本では開成学校で語学教師などをしておりますわ……って、どうして総集編までこんな“痛い”形式で致しますの!?」
「いやー、メイも随分慣れてきたしなー、って」
「そんな下らない理由ですの!?」
「真面目に云うと、問答形式の方が読みやすいからだけどねー」
「……もう好きになさい」
「さてさて、ことの始まりは後に文部大臣などを歴任する薩摩藩出身の森有礼氏が、日本初の欧米流商法&簿記を教える学校の開設を構想したところから始まりまして、その所長として白羽の矢がたったのがクララの父、ウイリアム・ホイットニーだったわけで」
「……そうして出来た商法講習所が、今日の一橋大学ですわね」
「でも、そう上手く話はいかなかったわけで。当時十四歳だったクララは、父、母(アンナ)、兄(ウイリィ)、妹(アディ)と共に、1875年(明治8年)8月3日に横浜に上陸したのだけれど、二週間後のクララの日記は森氏に対する怨嗟の声が充ち満ちています」
「……こういうところはストレート過ぎますわね、クララ。もっとも130年以上経ってからこんな風にネタにされるなんて当の本人は夢にも思わなかったでしょうけれど」
「日記なんて他人に読まれることを前提にしてないもんね。だから素直な気持ちって云えば素直な気持ちなんだろうけど。このごたついていた商法講習所設立問題解決に必死に奔走したのが元幕臣の大鳥圭介氏や慶應義塾の福沢諭吉氏で、そして最終的にホイットニー家救済と商法講習所設立のために千ドル――現在の価格だと大体1億円――寄付したのがうちの父様だったわけで♪」
「とはいっても、最初に商法講習所が設置されたのは、銀座尾張町2丁目の鯛味噌屋の二階ですけれどね。ちなみにこの跡地には、現在の銀座松坂屋デパート前になりますわ」
「流石にそれでは狭すぎということで、丁度前回分のところで引っ越しの話が出てきてたよね。クララ達が明治9年5月現在、住んでいる木挽町の敷地に」
「これは今の東銀座あたり、歌舞伎座のある付近になるようですわ。ここまでのクララの日記はこの屋敷を中心に、クララと様々な人たちとの交流、そしてクララ達が出かけた先の当時の東京の模様が描かれています」
「とはいっても、私はまだクララの家に行ったのは数度だけだし、メイに至っては名前しか出てきてないけどねー。とりあえず、今のところの主な登場人物の紹介宜しく」
「家族以外の最多登場は後の日本銀行第二代総裁、富田鉄之助氏の夫人縫さんですわね。日記には明確に描かれていませんけれど、鉄之助氏が勝提督の門下生であったことからも、ホイットニー家の通訳兼世話係として勝提督から手配されたのでしょうね」
「ちなみに富田夫人の実家は杉田家。杉田玄白の後裔、しかも本家だったりします。もっとも猶子で直接の血縁はないんだけど。同じようによく出てくる“杉田夫人”というのは、日記に直接の言及はないんだけど、縫さんの兄弟の奥さんの事だと思う」
「と思う……って、随分いい加減ですわね」
「仕方ないでしょ? 日記なんて本人にとって自明のことはわざわざ詳しく解説したりしないんだから。同じようによく分からないうちに、ホイットニー家に出入りしているようになっている人に“三浦夫人”がいるけど……って書こうとしたら、旦那さんの名前でググったら、あったよ、これが。流石はグーグル先生。
旦那さん、元武士だったのに牧師さんになっちゃってるのね。ググった先には書いてないけど、これ、絶対アンナ先生の影響もあるよね。ちなみにこの三浦夫妻の孫は、三木内閣で民間人閣僚として文部大臣に任命されたらしいよ……流石にそんな昔の政治家なんて全然知らないけど」
「話が逸れるからそこまでにしておきなさい、お逸。
 一方、よく登場する男性はといえば、前述の勝提督、福沢諭吉氏、大鳥圭介氏以外だと、報知新聞論説委員の小野氏、後に銀行家となる中原国三郎氏、桑名藩主松平定敬氏、その家臣で商法講習所助教授でもあった高木貞作氏、後は富田夫人の実家である杉田家の方々ですわね」
「これから徐々に大物も増えていく予定ですので、お楽しみにー。で、上に上げた人たちはクララのお父様やお母様の人脈なんだけど、クララ自身も生徒を持つことになって、現れた生徒が最強お嬢様」
「おやおさんとお付きのおすみですわね」
「元美作津山藩主にして、慶喜公の後に徳川宗家を継がれた家達様の後見人にして将軍家斉公の実子である松平確堂公の養女、というのだから、徳川家以外だと最高の格式だもんね。そうそう、掲載当初分からないと書いてたおやおさんの実のお父様が分かったんだよー。おやおさんの本名が八百子ってのは想像ついたけれど、お父様は出雲松平藩主松平定安公なんだって」
「出雲松平藩というのは、有名な文化人である松平不昧公の治めていた?」
「そだよー。だけどこちらも実は養子で、元は津山松平藩出身なんだけど」
「??? ……ひょっとして、それ、家斉公の子供が津山松平藩を嗣いで、津山松平藩を本来嗣ぐ筈だった人間が出雲松平藩を嗣いだ、ということじゃありませんの?」
「なんという見事な鉢植え人事! ……って、事はそこまで単純じゃないと思うんだけど、完全否定も出来ないなあ。とりあえず重要なのは容姿端麗で振る舞いにも品位があり、美しくて柔らかな声のおやおさんは“皆の嫁”ってことで♪」
「同じ美人でも、おやおさんは愛らしい、とクララも書いてますわね、確かに」
「ああ、ストップストップ。それはまた日記が進んでから、ということで。それでは、また次回ー」
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