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80. 大団円
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手を上げて発言の許可を求めた王太子に対して、国王陛下が「良い。」と述べると、彼はリチャードとルーフェスを交互に見やった後、陛下に向かって進言したのだった。
「貴族たちが双子を畏れる事については、私に考えがあります。取り敢えず暫くは二人を物理的に離して、一緒に居る所を見せないようにしましょう。王都の結界の維持に必要なリチャードは今まで通り王都の警備を。高魔力で魔物の討伐にこの上なく適性があるルーフェスには辺境の地の警備をそれぞれ任せるのはどうでしょうか。」
そう提案してみるも、国王陛下は表情を変えずに黙ったままなので、王太子は更に話を続けた。
「二人が一緒に居る所を見せなければ、貴族たちもそこまで不安に思わないでしょうし、彼らの働きぶりを知ったら、この二人がこの国には必要な人材であると自ずから認めるはずです。何故なら彼らは本当に我が国に無くてはならない貴重な人材なのだから。」
そう話すと王太子は視線をルーフェスに移ひて、今度は彼に向かって問いかけた。
「さて、ルーフェス。君は私の配下になる訳だけども、私が君に望んでる事は分かるかい?」
「……魔力を活かした国防でしょうか?」
ルーフェスは質問の意図を図りかねながらも、そう答えた。すると王太子は満足げに微笑むと、彼の返答を肯定するかの様に頷いたのだった。
「うん、そうだね。君の魔力は末恐ろしいからね。期待してるんだよ。」
「恐れ入ります。」
「そこで、だ。君には色々と私の手足になってもらうつもりなんだが、手始めに、西の魔の森の監視をして貰おうと考えている。どうも最近、不安要素が多くってね。」
それから王太子は、森の魔物がどうやら増えている事と、最近では森の奥深くではなく街道にまで姿を見せている事、それから、魔の森を挟んで反対側にある隣国の動きも何やらきな臭いという、西側地方が抱えている問題を手短に説明したのだった。
「と、まぁここまで聞いてしまったのだから君にはもう拒否する権利は認められないんだけれど良いよね?元より今の君の立場だと受け入れるしか選択肢は無いしね。」
王太子は、脅しにもとれる笑顔をルーフェスに向けて確認した。
殿下は、極秘事項とも言える国の治安に関する情報を聞いてしまったのだから、断ったらどうなるか分かるよね?と暗に言っているのだ。
そもそも、本日呼び出されている理由は、リチャードとルーフェスには王家に反逆する意思がない事と、彼らの王家への忠誠が本物である事を示す為でもあったので、最初から王太子の命令に背く事など出来るわけがなかった。
それに、この王太子の命令は、ルーフェスにとって願っても無い申し付けだったので、これを断るなどという考えは、彼には一切浮かばなかった。
「はい。謹んで拝命いたします。」
ルーフェスは迷いなく返答した。
西の魔の森は、アンナの領地であるラディウス領に隣接していて、そこを守るということは、すなわち爵位を引き継いだアンナの側で、彼女を助けることになるのだから。
「陛下、どうでしょう?リチャードは王都、ルーフェスは西側地区でそれぞれの愛する女性の側で、各々の責務を全うして貰うのが、私は国にとって一番の利になると思います。それに危険が多く王都から離れた西側地方に配置したとなると、彼らに厳罰を望む貴族たちも、それが彼らに下された処罰と捉えて納得するのでは無いでしょうか。」
王太子はルーフェスの意思を確認すると陛下に向かって再び進言をし、それからもう一度リチャードとルーフェスに向き合って彼らにこの命令の意図を明かした。
「身も蓋もない言い方をすれば、護りたいと思う人の側の方が、有事の際に君たちが実力以上の力を出してくれると思ってね。まぁ、ルーフェスの想い人が西側地区のラディウス男爵であったのは本当に偶然だけれど、それはこちらにも都合が良かったし、誰にとっても悪い話じゃないだろう。」
確かに、王太子の提案はリチャードとルーフェスにとってはこれ以上ない程の好条件であったし、彼の思惑による利害の一致も納得できるものだった。
二人は目配せをして恭しく頭を下げると、リチャードが代表して「殿下の御心遣いに感謝いたします。」と申し上げて、そしてそのまま国王陛下の最終的な判断を待った。
陛下は王太子の話を聞いても尚、難しい顔をして居たが、やがてその顔から険が取れると、彼らの処遇を決断したのだった。
「……よかろう。王太子の申し出を認めるとしよう。クライトゥール家の兄弟は、王太子の命令に従い、兄リチャードは王都の警備を、弟ルーフェスは西の魔の森の監視の任務につく事。それによってお前たち兄弟の王家への忠誠を認める事とし、今回の件、お前たちは降爵のみで赦すとしよう。」
「寛大なご配慮、心より痛み入ります。」
こうしてリチャードとルーフェスの処遇が決まった。最悪もっと行動が制限される事もありえると予測していた二人にとって、それは、遥かに良い結果であった。
***
国王陛下への謁見から一週間が経った。
今日、遂にアンナはエヴァンと共に自分達の領地へと帰還する。
家を逃げ出してから五年、どんなにこの日を待ち望んでいたか。アンナは胸のブローチに手を当てると、感慨深げに王都の空を仰いだ。
「やぁ、もう支度は整ったのかな?」
声をかけられて後ろを振り向くと、そこにはリチャードとリリアナがあった。彼らはアンナ達の門出を見送りに来たのだ。
「リチャード様。本当に、何から何まで有難うございました。」
アンナは、リチャードの姿を見ると彼に深く頭を下げて御礼の言葉を述べた。
この一週間の衣食住と身の安全の確保だけでなく、アンナ達がラディウス領へ帰る為の馬車の手配や、叔父の動向の調査、それから、アンナ達姉弟がこれから領地で生きていく上で必要な情報の仕入れなど、みんなクライトゥール家がやってくれたのだ。
「そんなこと全然気にしなくていいよ。私たちが君から受けた恩に比べたら大した事じゃ無いさ。」
恐縮して頭を深く下げるアンナに対して、リチャードは、むしろお礼を言うのは自分たちの方だと言って彼女の頭を上げさせたのだが、アンナは彼が一体自分の何に感謝しているのか分からず、不思議そうな顔で見返してしまった。
「私、そんなに何か大それた事しましたっけ……?」
「あぁ。我々を公爵の呪縛から解き放ってくれたよ。」
リチャードは晴れ晴れとした顔でそう言うと、隣に立つリリアナの方をちらりと見た。すると今度は、リリアナが一歩前に出て、アンナに別れの挨拶をしたのだった。
「せっかく仲良くなれたのに、もうお別れだなんて寂しくなるわ。」
「リリアナ様、領地に戻ったら手紙を書きますわ。それに、私たちはどこにいても友達ですよ。」
リリアナが潤んだ瞳でアンナを見つめると、彼女の手を取って両手できゅっと握り締めたので、アンナもまた、握られた手をきゅっと握り返すと、お互いににっこりと笑った。
「えぇ。私も手紙を書くわ。それから、ラディウス領へも必ず伺うわ。だから私が訪れた時には、アンナさんの領地を案内して下さいね。いきなりの領地運営は大変だと思いますけど、応援していますわ。」
「有難う、頑張るわ!」
こうしてアンナとリリアナは未来の約束をすると、最後に別れを名残り惜しむかのように、ぎゅっと抱きしめ合ったのだった。
「それじゃあ道中、気をつけてね。」
「はい。リチャード様も、リリアナ様もお元気で。」
馬車の出発時刻になり、アンナは二人に最後の別れの挨拶をして馬車に乗り込んだ。
そうして、アンナ達を乗せた馬車がゆっくりと進み出すと、リチャードとリリアナは笑顔で手を振って、その姿が見えなくなるまで見送ったのだった。
***
「それで、何でさも当たり前のように、貴方がうちの馬車に乗ってる訳?」
アンナ達の乗った馬車は、クライトゥール家の館を出発し、王都の外へと向かって進んでいたのだが、その車内では、当然のようにアンナの横に座っているルーフェスに対して、エヴァンが納得いかないといった顔で不満を漏らしたのだった。
「この馬車を用意したのはクライトゥールだよ。」
「くっ……、それはそうだけども……」
「それに、道中僕がそばにいた方がいいだろう?君たちの叔父さんが、いつまた襲ってくるか分からないしね。」
「……」
悔しいけれども正論なので、エヴァンは文句の一つも返せなかった。ルーフェスがいつもの笑みを浮かべたまま、全く悪びれもなくそう言うので、エヴァンは苦虫を噛み潰したような顔を彼に向けたのだった。
「それにしても良かったわ。エヴァンもすっかりルーフェスと打ち解けたみたいね。」
「今の会話でどうしてそうなるの?!姉さんの目は節穴なの?!!」
「だって、エヴァンが遠慮なしにずけずけと物申してるんだもの、親しくないとそんな事出来ないでしょう?」
アンナまで、弟の心底嫌そうな表情にも意を介さずに嬉しそうにそう言うので、エヴァンは色々と諦めて、一人溜息を吐いたのだった。
(しかし結局、収まるところにおさまったのか……)
目の前に座る仲睦まじい二人を眺めながら、エヴァンは感慨に耽った。
この二人の立場から、共に歩んでいく事は難しいとばかり思っていたが、今こうして、アンナとルーフェスは寄り添って笑い合ってるのだ。
姉が笑顔で居てくれるのならば、エヴァンはどんな結末でも祝福するつもりではあったが、まさかこんな風に、丸く収まってしまうとは露にも思っていなかった。
そしてエヴァンは、そう遠くない未来にこの男を義兄と呼ぶようになるのではないかと思うと物凄く癪だが、けれどもそうなった時にはちゃんと二人を祝福しようと思ったのだった。
——
#
これにて本編は完了です。
お読みくださりありがとうございました。
この後少しだけ閑話をアップいたしますので、そちらも引き続き読んでいただけると嬉しいです。
「貴族たちが双子を畏れる事については、私に考えがあります。取り敢えず暫くは二人を物理的に離して、一緒に居る所を見せないようにしましょう。王都の結界の維持に必要なリチャードは今まで通り王都の警備を。高魔力で魔物の討伐にこの上なく適性があるルーフェスには辺境の地の警備をそれぞれ任せるのはどうでしょうか。」
そう提案してみるも、国王陛下は表情を変えずに黙ったままなので、王太子は更に話を続けた。
「二人が一緒に居る所を見せなければ、貴族たちもそこまで不安に思わないでしょうし、彼らの働きぶりを知ったら、この二人がこの国には必要な人材であると自ずから認めるはずです。何故なら彼らは本当に我が国に無くてはならない貴重な人材なのだから。」
そう話すと王太子は視線をルーフェスに移ひて、今度は彼に向かって問いかけた。
「さて、ルーフェス。君は私の配下になる訳だけども、私が君に望んでる事は分かるかい?」
「……魔力を活かした国防でしょうか?」
ルーフェスは質問の意図を図りかねながらも、そう答えた。すると王太子は満足げに微笑むと、彼の返答を肯定するかの様に頷いたのだった。
「うん、そうだね。君の魔力は末恐ろしいからね。期待してるんだよ。」
「恐れ入ります。」
「そこで、だ。君には色々と私の手足になってもらうつもりなんだが、手始めに、西の魔の森の監視をして貰おうと考えている。どうも最近、不安要素が多くってね。」
それから王太子は、森の魔物がどうやら増えている事と、最近では森の奥深くではなく街道にまで姿を見せている事、それから、魔の森を挟んで反対側にある隣国の動きも何やらきな臭いという、西側地方が抱えている問題を手短に説明したのだった。
「と、まぁここまで聞いてしまったのだから君にはもう拒否する権利は認められないんだけれど良いよね?元より今の君の立場だと受け入れるしか選択肢は無いしね。」
王太子は、脅しにもとれる笑顔をルーフェスに向けて確認した。
殿下は、極秘事項とも言える国の治安に関する情報を聞いてしまったのだから、断ったらどうなるか分かるよね?と暗に言っているのだ。
そもそも、本日呼び出されている理由は、リチャードとルーフェスには王家に反逆する意思がない事と、彼らの王家への忠誠が本物である事を示す為でもあったので、最初から王太子の命令に背く事など出来るわけがなかった。
それに、この王太子の命令は、ルーフェスにとって願っても無い申し付けだったので、これを断るなどという考えは、彼には一切浮かばなかった。
「はい。謹んで拝命いたします。」
ルーフェスは迷いなく返答した。
西の魔の森は、アンナの領地であるラディウス領に隣接していて、そこを守るということは、すなわち爵位を引き継いだアンナの側で、彼女を助けることになるのだから。
「陛下、どうでしょう?リチャードは王都、ルーフェスは西側地区でそれぞれの愛する女性の側で、各々の責務を全うして貰うのが、私は国にとって一番の利になると思います。それに危険が多く王都から離れた西側地方に配置したとなると、彼らに厳罰を望む貴族たちも、それが彼らに下された処罰と捉えて納得するのでは無いでしょうか。」
王太子はルーフェスの意思を確認すると陛下に向かって再び進言をし、それからもう一度リチャードとルーフェスに向き合って彼らにこの命令の意図を明かした。
「身も蓋もない言い方をすれば、護りたいと思う人の側の方が、有事の際に君たちが実力以上の力を出してくれると思ってね。まぁ、ルーフェスの想い人が西側地区のラディウス男爵であったのは本当に偶然だけれど、それはこちらにも都合が良かったし、誰にとっても悪い話じゃないだろう。」
確かに、王太子の提案はリチャードとルーフェスにとってはこれ以上ない程の好条件であったし、彼の思惑による利害の一致も納得できるものだった。
二人は目配せをして恭しく頭を下げると、リチャードが代表して「殿下の御心遣いに感謝いたします。」と申し上げて、そしてそのまま国王陛下の最終的な判断を待った。
陛下は王太子の話を聞いても尚、難しい顔をして居たが、やがてその顔から険が取れると、彼らの処遇を決断したのだった。
「……よかろう。王太子の申し出を認めるとしよう。クライトゥール家の兄弟は、王太子の命令に従い、兄リチャードは王都の警備を、弟ルーフェスは西の魔の森の監視の任務につく事。それによってお前たち兄弟の王家への忠誠を認める事とし、今回の件、お前たちは降爵のみで赦すとしよう。」
「寛大なご配慮、心より痛み入ります。」
こうしてリチャードとルーフェスの処遇が決まった。最悪もっと行動が制限される事もありえると予測していた二人にとって、それは、遥かに良い結果であった。
***
国王陛下への謁見から一週間が経った。
今日、遂にアンナはエヴァンと共に自分達の領地へと帰還する。
家を逃げ出してから五年、どんなにこの日を待ち望んでいたか。アンナは胸のブローチに手を当てると、感慨深げに王都の空を仰いだ。
「やぁ、もう支度は整ったのかな?」
声をかけられて後ろを振り向くと、そこにはリチャードとリリアナがあった。彼らはアンナ達の門出を見送りに来たのだ。
「リチャード様。本当に、何から何まで有難うございました。」
アンナは、リチャードの姿を見ると彼に深く頭を下げて御礼の言葉を述べた。
この一週間の衣食住と身の安全の確保だけでなく、アンナ達がラディウス領へ帰る為の馬車の手配や、叔父の動向の調査、それから、アンナ達姉弟がこれから領地で生きていく上で必要な情報の仕入れなど、みんなクライトゥール家がやってくれたのだ。
「そんなこと全然気にしなくていいよ。私たちが君から受けた恩に比べたら大した事じゃ無いさ。」
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「私、そんなに何か大それた事しましたっけ……?」
「あぁ。我々を公爵の呪縛から解き放ってくれたよ。」
リチャードは晴れ晴れとした顔でそう言うと、隣に立つリリアナの方をちらりと見た。すると今度は、リリアナが一歩前に出て、アンナに別れの挨拶をしたのだった。
「せっかく仲良くなれたのに、もうお別れだなんて寂しくなるわ。」
「リリアナ様、領地に戻ったら手紙を書きますわ。それに、私たちはどこにいても友達ですよ。」
リリアナが潤んだ瞳でアンナを見つめると、彼女の手を取って両手できゅっと握り締めたので、アンナもまた、握られた手をきゅっと握り返すと、お互いににっこりと笑った。
「えぇ。私も手紙を書くわ。それから、ラディウス領へも必ず伺うわ。だから私が訪れた時には、アンナさんの領地を案内して下さいね。いきなりの領地運営は大変だと思いますけど、応援していますわ。」
「有難う、頑張るわ!」
こうしてアンナとリリアナは未来の約束をすると、最後に別れを名残り惜しむかのように、ぎゅっと抱きしめ合ったのだった。
「それじゃあ道中、気をつけてね。」
「はい。リチャード様も、リリアナ様もお元気で。」
馬車の出発時刻になり、アンナは二人に最後の別れの挨拶をして馬車に乗り込んだ。
そうして、アンナ達を乗せた馬車がゆっくりと進み出すと、リチャードとリリアナは笑顔で手を振って、その姿が見えなくなるまで見送ったのだった。
***
「それで、何でさも当たり前のように、貴方がうちの馬車に乗ってる訳?」
アンナ達の乗った馬車は、クライトゥール家の館を出発し、王都の外へと向かって進んでいたのだが、その車内では、当然のようにアンナの横に座っているルーフェスに対して、エヴァンが納得いかないといった顔で不満を漏らしたのだった。
「この馬車を用意したのはクライトゥールだよ。」
「くっ……、それはそうだけども……」
「それに、道中僕がそばにいた方がいいだろう?君たちの叔父さんが、いつまた襲ってくるか分からないしね。」
「……」
悔しいけれども正論なので、エヴァンは文句の一つも返せなかった。ルーフェスがいつもの笑みを浮かべたまま、全く悪びれもなくそう言うので、エヴァンは苦虫を噛み潰したような顔を彼に向けたのだった。
「それにしても良かったわ。エヴァンもすっかりルーフェスと打ち解けたみたいね。」
「今の会話でどうしてそうなるの?!姉さんの目は節穴なの?!!」
「だって、エヴァンが遠慮なしにずけずけと物申してるんだもの、親しくないとそんな事出来ないでしょう?」
アンナまで、弟の心底嫌そうな表情にも意を介さずに嬉しそうにそう言うので、エヴァンは色々と諦めて、一人溜息を吐いたのだった。
(しかし結局、収まるところにおさまったのか……)
目の前に座る仲睦まじい二人を眺めながら、エヴァンは感慨に耽った。
この二人の立場から、共に歩んでいく事は難しいとばかり思っていたが、今こうして、アンナとルーフェスは寄り添って笑い合ってるのだ。
姉が笑顔で居てくれるのならば、エヴァンはどんな結末でも祝福するつもりではあったが、まさかこんな風に、丸く収まってしまうとは露にも思っていなかった。
そしてエヴァンは、そう遠くない未来にこの男を義兄と呼ぶようになるのではないかと思うと物凄く癪だが、けれどもそうなった時にはちゃんと二人を祝福しようと思ったのだった。
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