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追憶~【ユメノ・ナイト】~白兎

第二羽

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見知らぬ少女は、ワタクシの体を包み込むように抱きかかえた。

小学生くらいだろうか。
髪をふたつ結びにした、とても小さな女の子だ。

こちらを覗き込んでいる。

「おうちにくる? ぬいぐるみちゃん」

優しく微笑みかけてくる。
が、返事をかえしたくても声が出ない。

「いっしょに行こうねっ」

なし崩し的に彼女の家へつれて行かれることとなった。



バシャーー。

家に着くなり熱湯のシャワーを浴びせられた。

とても熱い。 熱すぎる。 熱くて体が痛い。

「ええと、せっけんせっけん……」

ワタクシの体がみるみるうちに白い泡に包まれていく。

「じっとしててね~」

そう言われても動けない。

「ぬいぐるみちゃん、黒かと思ったら白なんだね」

おかげで体の汚れは真っ白に落ちていた。

ブオーー。

ふわふわしたタオルに包まれながら、今度はドライヤーをかけてもらう。

これまた熱い。 だが、抵抗したくても体が動かない。
ただのぬいぐるみの様にされるがままになるしかなかった。

「乾いたら、やぶれたところも縫ってあげるねっ!」

嬉しそうに笑う。

……その言葉に背筋がゾッとした。

彼女はワタクシを抱きかかえると、トントンと2階へと続く階段を上がっていく。

どうやら彼女の部屋らしい。
中に入ると……ギョッとした。

カーテンはフリフリのピンク、ベッドもピンク、家具もすべてピンク色だった!
なんというか……乙女チックな部屋だ。

可愛いぬいぐるみ達も沢山飾られている。

思わずその者達と自分の出で立ちを見比べてしまう。

場違いもいいところだった。

ぬいぐるみ達はみんな、華麗なドレスやキラキラしたアクセサリーを身に着けている……。

なのにワタクシの体はボロボロでこんなところに居ていいものかと、急に居心地が悪くなってくる。

――そんなことを考えていると、ふと、窓辺に置かれている小さなツリーに気がついた。

チカチカ光る色とりどりのイルミネーション。

汚れきったワタクシにとって、

あまりに美しく感じられて……

目が釘付けになった。

「……綺麗でしょ?
……今日はクリスマス・イヴなんだよ……」

……彼女の瞳が、ユラユラしていた。

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