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【神アカシ篇】(1項目)
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報道部、部室前。
廊下に風紀委員たちが集まって来ていた。
報道部はいい加減なニュースと盛大すぎるビラ配りが有名で、風紀を乱すということで廃部に追い込まれている。
「ちょっと通してくれるかな?」
「せ、生徒会長!」
「申し訳ございません、大棟梁!」
生徒たちがザワついて、一斉に脇に避けて敬礼する。
僕の目の前に道ができた。
その道を進んで部室をノックする。
すると部長の子が扉を開けた。
「なんの用でっか~? 生徒カイチョさん」
頭にハート型の眼鏡を乗せたポップな印象の女生徒だ。
「この写真って、まだ他にもあるのかな?」
夜の魔術師の写っているビラを指さす。
「ありますぞ~。見たいんでっか?」
「見せてくれると助かるなぁ」
「ほにゃらば、カイチョさんだけどぞ~♪」
「えっ? トキワちゃん!」
僕の後ろからずっとついてきていた、アリスが声を上げる。
「悪いでんが、ここから先は風紀委員は立ち入り禁止でっせ!」
風紀委員と報道部は勿論仲が悪い。
締め出しをくらうアリスを無視して、僕は部室に入り込む。
部室には機材が沢山あり、パソコン部の部員たちも一緒にいた。
報道部部員が撮ってきたスクープを、パソコン部部員が記事にして紙にコピーしているのだろう。
そのほうが効率的だし、報道部とパソコン部はほぼ一緒に活動していると聞いていた。
が、報道部部長の隣りにいる男子――。
パソコン部部長の状態を見て僕は絶句した。
首にベルトを付けられ、その先には長い鎖が付いている。
さらにその鎖をつかんでいるのは報道部部長だ。
美少女フィギュアを手にして、大量の涙を流しまくるパソコン部部長。
その隣りで、一見可愛らしい外見の報道部部長が嬉しそうに笑っていた。
何だか凄く異様な光景だ。
「ぶひ~~ん!」
泣きじゃくるパソコン部部長。
この二人の関係は一体……。
考えても分からないというか面倒くさいので、何も見ていないフリをする。
すると、作業場から少し離れたテーブルに案内された。
しばらくして報道部部長の子が、沢山の写真を持ってきてくれた。
一枚ずつじっくりと見ていく。
どれも馬鹿馬鹿しいくらいに間近で、堂々と犯人の姿が写し出されている。
やはり……。
これがどんな物であれ、僕はもう信用するしかなかった。
最初に見た時にもそう思った。
なぜなら……この写真に写っている夜の魔術師という人物を、僕は知っているからだ……。
「ありがとう。 この写真借りて行ってもいいかな?」
「構わないでんが、タダでは借せないでっせ~」
言うと報道部部長は脚を組み、パソコン部部長の背中を椅子代わりに腰かけた。
「ぎゃふんっ」と声を上げて、四つん這いでぷるぷる耐えるパソコン部部長。
とりあえず気付かないフリをする。
「わかってるよ。 風紀委員が何と言おうと、報道部は廃部にしたりしないさ」
これが狙いだろうと分かっていた。 風紀委員は僕も嫌いだし。
「なんとまあ、さすがはカイチョさん~! 話しが早い!」
「その代わりに、一つお願いがあるんだけど……」
僕は部長の耳元で小さく話す。
「そんなことでいいんでっか? お安いご用でっせ!」
部長がカメラを手にファインダーを覗く。
「あたしはスクープが撮れれば何でもかまわないがや~。
張り込み、頑張らせてもらうでっせ♪」
可愛い笑顔でウインクをされた。
僕も笑顔を返したが、あまりにもパソコン部部長が不憫に思い、つい訊ねてしまった。
なんのプレイなの?
……じゃあなくて、
「二人はどういう関係なの?」
報道部部長はにっこりと答えた。
「幼馴染みでっせ~♪」
その言葉に一瞬、背筋がヒヤッとした。
廊下ではアリスがくしゃみをしていた。
僕もアリスにはなかなか頭が上がらない?けど、こんな関係にだけはなりたくないな。
と、眉間にシワを寄せてため息をついた。
それから、報道部を廃部にしない代わりに、
これからは僕の意向に従ってもらうという指示で、その場を丸く収めたのだった。
廊下に風紀委員たちが集まって来ていた。
報道部はいい加減なニュースと盛大すぎるビラ配りが有名で、風紀を乱すということで廃部に追い込まれている。
「ちょっと通してくれるかな?」
「せ、生徒会長!」
「申し訳ございません、大棟梁!」
生徒たちがザワついて、一斉に脇に避けて敬礼する。
僕の目の前に道ができた。
その道を進んで部室をノックする。
すると部長の子が扉を開けた。
「なんの用でっか~? 生徒カイチョさん」
頭にハート型の眼鏡を乗せたポップな印象の女生徒だ。
「この写真って、まだ他にもあるのかな?」
夜の魔術師の写っているビラを指さす。
「ありますぞ~。見たいんでっか?」
「見せてくれると助かるなぁ」
「ほにゃらば、カイチョさんだけどぞ~♪」
「えっ? トキワちゃん!」
僕の後ろからずっとついてきていた、アリスが声を上げる。
「悪いでんが、ここから先は風紀委員は立ち入り禁止でっせ!」
風紀委員と報道部は勿論仲が悪い。
締め出しをくらうアリスを無視して、僕は部室に入り込む。
部室には機材が沢山あり、パソコン部の部員たちも一緒にいた。
報道部部員が撮ってきたスクープを、パソコン部部員が記事にして紙にコピーしているのだろう。
そのほうが効率的だし、報道部とパソコン部はほぼ一緒に活動していると聞いていた。
が、報道部部長の隣りにいる男子――。
パソコン部部長の状態を見て僕は絶句した。
首にベルトを付けられ、その先には長い鎖が付いている。
さらにその鎖をつかんでいるのは報道部部長だ。
美少女フィギュアを手にして、大量の涙を流しまくるパソコン部部長。
その隣りで、一見可愛らしい外見の報道部部長が嬉しそうに笑っていた。
何だか凄く異様な光景だ。
「ぶひ~~ん!」
泣きじゃくるパソコン部部長。
この二人の関係は一体……。
考えても分からないというか面倒くさいので、何も見ていないフリをする。
すると、作業場から少し離れたテーブルに案内された。
しばらくして報道部部長の子が、沢山の写真を持ってきてくれた。
一枚ずつじっくりと見ていく。
どれも馬鹿馬鹿しいくらいに間近で、堂々と犯人の姿が写し出されている。
やはり……。
これがどんな物であれ、僕はもう信用するしかなかった。
最初に見た時にもそう思った。
なぜなら……この写真に写っている夜の魔術師という人物を、僕は知っているからだ……。
「ありがとう。 この写真借りて行ってもいいかな?」
「構わないでんが、タダでは借せないでっせ~」
言うと報道部部長は脚を組み、パソコン部部長の背中を椅子代わりに腰かけた。
「ぎゃふんっ」と声を上げて、四つん這いでぷるぷる耐えるパソコン部部長。
とりあえず気付かないフリをする。
「わかってるよ。 風紀委員が何と言おうと、報道部は廃部にしたりしないさ」
これが狙いだろうと分かっていた。 風紀委員は僕も嫌いだし。
「なんとまあ、さすがはカイチョさん~! 話しが早い!」
「その代わりに、一つお願いがあるんだけど……」
僕は部長の耳元で小さく話す。
「そんなことでいいんでっか? お安いご用でっせ!」
部長がカメラを手にファインダーを覗く。
「あたしはスクープが撮れれば何でもかまわないがや~。
張り込み、頑張らせてもらうでっせ♪」
可愛い笑顔でウインクをされた。
僕も笑顔を返したが、あまりにもパソコン部部長が不憫に思い、つい訊ねてしまった。
なんのプレイなの?
……じゃあなくて、
「二人はどういう関係なの?」
報道部部長はにっこりと答えた。
「幼馴染みでっせ~♪」
その言葉に一瞬、背筋がヒヤッとした。
廊下ではアリスがくしゃみをしていた。
僕もアリスにはなかなか頭が上がらない?けど、こんな関係にだけはなりたくないな。
と、眉間にシワを寄せてため息をついた。
それから、報道部を廃部にしない代わりに、
これからは僕の意向に従ってもらうという指示で、その場を丸く収めたのだった。
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