出来損ないのΩ王子は、完璧と名高いα王子の寵愛を受ける

夢野ぴり

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「アリレザ様、おはようございます。朝食をお持ちしました。入室させていただいてもよろしいでしょうか」

 そんなメイドの言葉と共に、なんとも言えない空気感の中朝食となった。
 朝は大体質素なことが多い。パンとバター、短いペンネの入ったスープに牛乳、そして蜜柑1個。アルフォンスも同じ内容だった。

「……こちらの食事には慣れたか?」
「そうだね。美味しいよ」

 隣接している国かつ実質占領地でもあった関係で、食事の味付けはそう遠くない。地域特有のものというのも当然あるが、そんなに違和感もなく食事は受け入れられていた。

「パーティーに参加したとき、すごく食事が美味しかったという記憶があるんだ。だから、こちらの食事が合わなければどうしいうかと心配していたんだ」
「いつも美味しい料理を作ってもらえてるよ。アルフォンスから伝えられるようだったら、シェフたちにありがとうって伝えて欲しい」

 誰がどんな感情を抱いているのかもわからない。
 もし憎悪や嫌悪を抱いている相手に話しかけて厄介なことになったら困ってしまう。

『情報は得ろ。しかし近付きすぎはするな、あくまで我々の敵だ』

 そんな父の言葉を思い出す。未だに積年の恨みを晴らすべく執念を燃やす父はそう言った。
 相手国だって同じような感情を持っていたっておかしくないのだから、せめて遠回しにでも伝えたい。もしかしたらそれさえ嫌がられてしまうかもしれないが。

(まあ、それはそれで仕方がないかな……)

 内心で小さなため息をつく。日頃の感謝を伝えることさえ自由にはできない。

「アリレザの頼みなら。確実に伝えよう」

 やけに息巻いているアルフォンスに思わず声をかける。

「そんな気張ることじゃないよ」
「頼まれごとはちゃんと果たしたい。それに、シェフたちも自分達の料理を褒められたら嬉しいはずだ」
「俺の言葉じゃ、どうだろう」

 その言葉にアルフォンスは眉間にシワを寄せた。
 彼自身も、アリレザが回りからどう扱われているかは実際に見ているから言葉がつまってしまう。

「……だが、シェフたちは自分の料理に自信を持っている。評価されることに違いはないし、人種はそこには関係ない。必ず伝える」
「そうだね。ありがとう、アルフォンス」

 王族お抱えともなれば、国中のなかでもトップの人々。そこに誇りを持っていなければなることだって不可能なはずだ。

(喜んでくれると良いけどな)

 自国の第一王子が伝えた伝言ともなれば、少しは魅力的な言葉になるだろうか。
 食後に薬を飲んで、長い休日の一日が始まった。
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