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ワプスハント!
1:オレたちが天敵だ!
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「おーおー、敵さんの数が一気に増えたよー」
嬉々としたアリエスからの通信。
キイロスズメバチの巣から10メートル圏内に接近したのだ。
だからと、彼らは防護服など一切着用していない。
そもそも人間自体が巣に接近していないのだから。
体長12センチ、重量150グラムの小型ロボット、Anti Pest、通称APを操縦しての接近中!
人型にして飛行も可能。
機体重量150グラムのロボット、APはドローンの中でも一際特殊な機種である。
「レオ、いい?私が敵を引きつけておくから、その隙に巣にスモークバンカーを撃ち込んできて」
再びアリエスからの通信。
「オレのAPが”槍キャラ”だからって、バンカー役はいつも俺じゃないか。たまにはお前が呼び出しをやれ」
反論しつつ向かってきたキイロスズメバチの胴に槍の一撃を食らわせる。
木本・伶桜が操るAP"ライオンさん”は、防御も攻撃力も速力も特に秀でたものはなく、いわば特化機のサポート役を務めるのが本来の役割である(注:特に改造を加えていない市販品故)。
彼ら”ワプスハンター”の仕事はチームで行われる。
防御役は襲い来るハチの群れを引きつける役割を担い、最悪袋だたきに遭うものの、持ち前の防御力と積載能力で持ちこたえる。
死神役はスズメバチから見れば真に死神であり、彼らは文字通りスズメバチを刈ってゆく(狩ってゆく)。ほとんどの場合ガード役に群がるスズメバチを個別で仕留めてゆくのが彼らの仕事である。
呼び出し役はスズメバチの巣にスモークバンカーと呼ばれる煙を吹き出す杭を打ち込み、巣全体を最大警戒態勢に導き、全てのスズメバチを巣から叩き起こす役割を担う。多くの場合、近づくまでに機能不全に追いやられるヤラレ役でもある。
そして、彼ら特化機を有するワプスハンターの仕事を円滑に進めるのが、素体機種にさほど手を加えていない補助役なのだ。
ほとんどの害虫駆除会社の場合、ガード、リーパー、コールに、それぞれにサポートを3機付けた9機で編成されている。
だが、規模の小さいチームは特化機を揃えられず、役割を兼任する、もしくは他の小チームと合流などして蜂の巣駆除に当たっている。
伶桜たちが所属しているチーム"タイラントホース”は実に小規模な6人チームながら(本人たちはカンパニーと呼んでいる)、他のチームとは合流することなく駆除に当たっている。
「せめて野球が出来る人数を揃えねぇと、また全滅して他のチームに手柄をかっさらわれてしまうぞ」「何か言った?レオ」
ささやかな呟きさえも許されない。
駆除作業は、巣の規模を読み間違えると失敗する事もあるのだ。
今回は助っ人バイトを2人付けての8機編成であるが、役割としては、あくまでもサポート役に留まっている。
「北を12時に、7時の方向から侵入してスモークを巣に3発ブチ込んで」
先程から命令してくるチームリーダーのアリエス(本名:本名・飛鳥)は、リーパー特化機”アシュラ”を駆る現役女子高生の"ひきこもり”だ。
在宅授業を受けつつも、学年成績は常に上位ランクインを果たしている、真面目に学校に通っている生徒からしたら、まさに忌むべき存在なのだ。
そんな彼女がタイラントホースに所属している理由は、彼女が”社長”様であり会社を立ち上げた張本人だから。実に単純な理由である。
彼らタイラントホースの繋がりは、単にテレワークによるものであり、ほとんどリアルで顔を合わせる事は無い。
「さぁさぁ、どんどん刈り取るよぉーッ!」
アシュラの装備は植木鋏のような姿をしたハサミで、刃は国の法定に従って刃渡り2センチ以内に収めている。
ガード役の"軍鶏"に群がるキイロスズメバチを捕まえては胴体を二分して墜としてゆく。まさに死神の所業だ。
キイロスズメバチに集られるシャモを駆るのはタウロス(本名不明)。声からして恐らく高校生男子だと思われる。理由は平日の仕事には参加せず、土日だけOKと限られたシフトでのみ参加してくれるから。
「アリエスぅ、早く墜としてくれぇ~。これ以上ハチに集られたら墜ちてシャモがおシャカになってしまうよぉ~」
防御力、積載能力に特化したガード特化機。
わざわざ敵を引き寄せるために、ハチが最も敵意を向ける黒に塗装された機体が多い。
タウロスが駆るシャモも例に漏れる事無く全身黒に染め上げられている。
APは基本的に外装甲をABS樹脂で形成されており、スズメバチに噛まれても破損する事は無い。例えあっても機体が破壊される心配は無い。
ところが、ハチに集られ重みによって墜落したら、即ゲームオーバーだ。
墜ちてしまえば、人力で回収に向かうしかない。
ただし、回収に向かうには蜂の巣のスズメバチを全滅させていなければ命の危険にさらされる。
ワプスハンターの仕事は、従来の害虫駆除の業者と同じく、危険に満ちたものなのだ。
「サポート!しっかりレオを守ってあげて!彼の機体、そんなに頑丈じゃないから」
伶桜のAP”ライオンさん”はサポートに付いたバイト機(市販品)と同じく個性を持たない機体だ。
ただ個性といえば、ライオンを模した頭部を持っていることくらい。しかし。
「レオさん、もうちょっとゆっくり飛んで下さい。くっ、このぉ!」
サポート機は迫り来るキイロスズメバチの応戦に必死だ。
護衛するはずのサポート機が付いて行けないほどに、ライオンさんは俊敏に、軽快にスズメバチの攻撃をかわして、ひたすら巣を目指す。
木本・伶桜は、操る機体は平凡でも、操作スキルはとびきり秀でたAPライダーなのだ。
ブスッ、ブスッ、ブスッ。
立て続けに3発巣にスモークバンカーを打ち込む。
すかさず撤収だ。
巣の穴から勢いよく煙が吹き出すと同事に一斉に巣の中のスズメバチが飛び出してくる。
そして、雲のような一群となって外敵を仕留めようと向かってくる。
「来た来た来たぁーッ!」
アリエスのアドレナリン分泌量が一気に増す。
一度敵と見なした相手には執拗に向かってくるスズメバチではあるが、警戒時に比べると冷静さを失っているせいか、攻撃パターンは実に単調なものとなる。
そもそもスズメバチの攻撃手段は人間を含む動物に対しては、取り付いてからの、執拗なまでの腹の針による攻撃。
また、昆虫に対しては強力なアゴによる噛み付きでしかない。
小さなAP相手の場合、後者となるので、取り付きさえさせなければ脅威にはならない。
しかも取り付けば、他のAPの格好の標的となってしまうため、スズメバチにとっては非常に不利な戦いを強いられる事になる。
こうなれば、巣から出たスズメバチにもはや勝ち目は無い。
さぁ、オレたちが天敵だ!
+ + + +
数日前、ネットの闇サイトでは、ある募集スレッドが立てられていた。
スレッド名は、『☆☆首相襲撃計画☆☆』。
嬉々としたアリエスからの通信。
キイロスズメバチの巣から10メートル圏内に接近したのだ。
だからと、彼らは防護服など一切着用していない。
そもそも人間自体が巣に接近していないのだから。
体長12センチ、重量150グラムの小型ロボット、Anti Pest、通称APを操縦しての接近中!
人型にして飛行も可能。
機体重量150グラムのロボット、APはドローンの中でも一際特殊な機種である。
「レオ、いい?私が敵を引きつけておくから、その隙に巣にスモークバンカーを撃ち込んできて」
再びアリエスからの通信。
「オレのAPが”槍キャラ”だからって、バンカー役はいつも俺じゃないか。たまにはお前が呼び出しをやれ」
反論しつつ向かってきたキイロスズメバチの胴に槍の一撃を食らわせる。
木本・伶桜が操るAP"ライオンさん”は、防御も攻撃力も速力も特に秀でたものはなく、いわば特化機のサポート役を務めるのが本来の役割である(注:特に改造を加えていない市販品故)。
彼ら”ワプスハンター”の仕事はチームで行われる。
防御役は襲い来るハチの群れを引きつける役割を担い、最悪袋だたきに遭うものの、持ち前の防御力と積載能力で持ちこたえる。
死神役はスズメバチから見れば真に死神であり、彼らは文字通りスズメバチを刈ってゆく(狩ってゆく)。ほとんどの場合ガード役に群がるスズメバチを個別で仕留めてゆくのが彼らの仕事である。
呼び出し役はスズメバチの巣にスモークバンカーと呼ばれる煙を吹き出す杭を打ち込み、巣全体を最大警戒態勢に導き、全てのスズメバチを巣から叩き起こす役割を担う。多くの場合、近づくまでに機能不全に追いやられるヤラレ役でもある。
そして、彼ら特化機を有するワプスハンターの仕事を円滑に進めるのが、素体機種にさほど手を加えていない補助役なのだ。
ほとんどの害虫駆除会社の場合、ガード、リーパー、コールに、それぞれにサポートを3機付けた9機で編成されている。
だが、規模の小さいチームは特化機を揃えられず、役割を兼任する、もしくは他の小チームと合流などして蜂の巣駆除に当たっている。
伶桜たちが所属しているチーム"タイラントホース”は実に小規模な6人チームながら(本人たちはカンパニーと呼んでいる)、他のチームとは合流することなく駆除に当たっている。
「せめて野球が出来る人数を揃えねぇと、また全滅して他のチームに手柄をかっさらわれてしまうぞ」「何か言った?レオ」
ささやかな呟きさえも許されない。
駆除作業は、巣の規模を読み間違えると失敗する事もあるのだ。
今回は助っ人バイトを2人付けての8機編成であるが、役割としては、あくまでもサポート役に留まっている。
「北を12時に、7時の方向から侵入してスモークを巣に3発ブチ込んで」
先程から命令してくるチームリーダーのアリエス(本名:本名・飛鳥)は、リーパー特化機”アシュラ”を駆る現役女子高生の"ひきこもり”だ。
在宅授業を受けつつも、学年成績は常に上位ランクインを果たしている、真面目に学校に通っている生徒からしたら、まさに忌むべき存在なのだ。
そんな彼女がタイラントホースに所属している理由は、彼女が”社長”様であり会社を立ち上げた張本人だから。実に単純な理由である。
彼らタイラントホースの繋がりは、単にテレワークによるものであり、ほとんどリアルで顔を合わせる事は無い。
「さぁさぁ、どんどん刈り取るよぉーッ!」
アシュラの装備は植木鋏のような姿をしたハサミで、刃は国の法定に従って刃渡り2センチ以内に収めている。
ガード役の"軍鶏"に群がるキイロスズメバチを捕まえては胴体を二分して墜としてゆく。まさに死神の所業だ。
キイロスズメバチに集られるシャモを駆るのはタウロス(本名不明)。声からして恐らく高校生男子だと思われる。理由は平日の仕事には参加せず、土日だけOKと限られたシフトでのみ参加してくれるから。
「アリエスぅ、早く墜としてくれぇ~。これ以上ハチに集られたら墜ちてシャモがおシャカになってしまうよぉ~」
防御力、積載能力に特化したガード特化機。
わざわざ敵を引き寄せるために、ハチが最も敵意を向ける黒に塗装された機体が多い。
タウロスが駆るシャモも例に漏れる事無く全身黒に染め上げられている。
APは基本的に外装甲をABS樹脂で形成されており、スズメバチに噛まれても破損する事は無い。例えあっても機体が破壊される心配は無い。
ところが、ハチに集られ重みによって墜落したら、即ゲームオーバーだ。
墜ちてしまえば、人力で回収に向かうしかない。
ただし、回収に向かうには蜂の巣のスズメバチを全滅させていなければ命の危険にさらされる。
ワプスハンターの仕事は、従来の害虫駆除の業者と同じく、危険に満ちたものなのだ。
「サポート!しっかりレオを守ってあげて!彼の機体、そんなに頑丈じゃないから」
伶桜のAP”ライオンさん”はサポートに付いたバイト機(市販品)と同じく個性を持たない機体だ。
ただ個性といえば、ライオンを模した頭部を持っていることくらい。しかし。
「レオさん、もうちょっとゆっくり飛んで下さい。くっ、このぉ!」
サポート機は迫り来るキイロスズメバチの応戦に必死だ。
護衛するはずのサポート機が付いて行けないほどに、ライオンさんは俊敏に、軽快にスズメバチの攻撃をかわして、ひたすら巣を目指す。
木本・伶桜は、操る機体は平凡でも、操作スキルはとびきり秀でたAPライダーなのだ。
ブスッ、ブスッ、ブスッ。
立て続けに3発巣にスモークバンカーを打ち込む。
すかさず撤収だ。
巣の穴から勢いよく煙が吹き出すと同事に一斉に巣の中のスズメバチが飛び出してくる。
そして、雲のような一群となって外敵を仕留めようと向かってくる。
「来た来た来たぁーッ!」
アリエスのアドレナリン分泌量が一気に増す。
一度敵と見なした相手には執拗に向かってくるスズメバチではあるが、警戒時に比べると冷静さを失っているせいか、攻撃パターンは実に単調なものとなる。
そもそもスズメバチの攻撃手段は人間を含む動物に対しては、取り付いてからの、執拗なまでの腹の針による攻撃。
また、昆虫に対しては強力なアゴによる噛み付きでしかない。
小さなAP相手の場合、後者となるので、取り付きさえさせなければ脅威にはならない。
しかも取り付けば、他のAPの格好の標的となってしまうため、スズメバチにとっては非常に不利な戦いを強いられる事になる。
こうなれば、巣から出たスズメバチにもはや勝ち目は無い。
さぁ、オレたちが天敵だ!
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