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ミカエルの技を僕以上に理解していて、組み合わせて使う技も、他の天使が一人としていない今、僕にしか悪魔が倒せない世界に変わってしまったから。
逃げてばかりの僕を庇って死んでいった仲間たち。
ハーツの大人達は僕のことを表立って責めないのは、僕が戦うことを放棄してしまえば人類が滅んでしまうから。
タイムリミットは後一年。
そのうちにどうにかして悪魔を倒さなければならない。
「モモ、僕は君が笑ってくれる世界が存在するなら守りたいって思ったんだ」
弥生に聞かれたら誤解されるかもしれないけど。
一度だけ禁忌に触れる。大天使ミカエルにだけ許された特権。
助けられたら直ぐに戻って来ればいい。
モモは言った。
古代兵器というものは愛しき人を守るために神様がくれたもの。
誰にでも扱えないのはその力が強大だからだと。
人類の勝利は一人の少女の命と引き換えに得られたものだと誰が知っている。
ミカエルの操縦者として連日行く先々に神のように崇められたのは僕だ。
あの時僕は操縦していない。
だからこうして君を鏡の向こう側から見ることが出来るんだ。
「また、ココに来ていたの」
静かな声には責める感情も何も感じない。
機械仕掛けのような声。
小さいころからずっと一緒に居たから分かる。
彼女は僕が毎日ここに来ることを嫌がっていることも。
居候していた彼女がこんな目にあっても情の一つも移っていない冷めた婚約者。
「居ちゃ、悪いのかよ」
ガラス一枚の距離は大きい。
近くに言って触れ合うことすらできないのに。
あの時ミカエルに乗っていたら恐らく僕が命を落としていた。
奴には命を懸けることでしか人間は敵うことができない。
「モモは戻らないわよ」
寝ているモモに向けている弥生の表情は冷たくて、どうして弥生がモモをそこまで毛嫌いしているのか分からなかった。
初め僕のサポートをしていたのは弥生だったが、モモが来てから立場が変わったことを怒っているのかもしれない。
婚約者とは名ばかりの歪な僕らの関係。
「聞いているよ」
ミカエルと悪魔が相打ちして、悪魔の消滅を確認してからハーツの組員がミカエルの操縦席に僕がいると思って駆けつけてくれた。
けれど僕は外で泣くばかりで操縦席からは血まみれのモモが出てきた。
陽だまりのように笑う彼女。
モモは決して弥生のことを悪くは言わなかった。
冷徹な態度を取られようと、懐いていた。
時折姉妹のように見える時があるほどに二人は仲良く過ごしていたと思っていたのに。
弥生はそっと僕の隣に立ち、ガラス越しのモモと僕とを見比べる。
僕が生きていることを確認しているかのようで腹が立つ。
どちらかが死ななければいけない運命を、天秤にかけた女が目の前にいるように感じてしまう。
ハーツの組員である弥生も知らないミカエルの技。
どんなに研究で治癒に関して名を馳せたとしても弥生の力をもってしてもモモは助からないのだ。
自然に息が止まるのを待つか、己の手で息の根を止めることが彼女にとっての救いなのか分からない。
世界に抗う力を古代兵器だとするのなら僕は力を保持していて良かったと思ったのは初めてだった。
逃げてばかりの僕を庇って死んでいった仲間たち。
ハーツの大人達は僕のことを表立って責めないのは、僕が戦うことを放棄してしまえば人類が滅んでしまうから。
タイムリミットは後一年。
そのうちにどうにかして悪魔を倒さなければならない。
「モモ、僕は君が笑ってくれる世界が存在するなら守りたいって思ったんだ」
弥生に聞かれたら誤解されるかもしれないけど。
一度だけ禁忌に触れる。大天使ミカエルにだけ許された特権。
助けられたら直ぐに戻って来ればいい。
モモは言った。
古代兵器というものは愛しき人を守るために神様がくれたもの。
誰にでも扱えないのはその力が強大だからだと。
人類の勝利は一人の少女の命と引き換えに得られたものだと誰が知っている。
ミカエルの操縦者として連日行く先々に神のように崇められたのは僕だ。
あの時僕は操縦していない。
だからこうして君を鏡の向こう側から見ることが出来るんだ。
「また、ココに来ていたの」
静かな声には責める感情も何も感じない。
機械仕掛けのような声。
小さいころからずっと一緒に居たから分かる。
彼女は僕が毎日ここに来ることを嫌がっていることも。
居候していた彼女がこんな目にあっても情の一つも移っていない冷めた婚約者。
「居ちゃ、悪いのかよ」
ガラス一枚の距離は大きい。
近くに言って触れ合うことすらできないのに。
あの時ミカエルに乗っていたら恐らく僕が命を落としていた。
奴には命を懸けることでしか人間は敵うことができない。
「モモは戻らないわよ」
寝ているモモに向けている弥生の表情は冷たくて、どうして弥生がモモをそこまで毛嫌いしているのか分からなかった。
初め僕のサポートをしていたのは弥生だったが、モモが来てから立場が変わったことを怒っているのかもしれない。
婚約者とは名ばかりの歪な僕らの関係。
「聞いているよ」
ミカエルと悪魔が相打ちして、悪魔の消滅を確認してからハーツの組員がミカエルの操縦席に僕がいると思って駆けつけてくれた。
けれど僕は外で泣くばかりで操縦席からは血まみれのモモが出てきた。
陽だまりのように笑う彼女。
モモは決して弥生のことを悪くは言わなかった。
冷徹な態度を取られようと、懐いていた。
時折姉妹のように見える時があるほどに二人は仲良く過ごしていたと思っていたのに。
弥生はそっと僕の隣に立ち、ガラス越しのモモと僕とを見比べる。
僕が生きていることを確認しているかのようで腹が立つ。
どちらかが死ななければいけない運命を、天秤にかけた女が目の前にいるように感じてしまう。
ハーツの組員である弥生も知らないミカエルの技。
どんなに研究で治癒に関して名を馳せたとしても弥生の力をもってしてもモモは助からないのだ。
自然に息が止まるのを待つか、己の手で息の根を止めることが彼女にとっての救いなのか分からない。
世界に抗う力を古代兵器だとするのなら僕は力を保持していて良かったと思ったのは初めてだった。
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