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適応していく世界
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驚くべきことに、世界はこの状況に三日で慣れた。
正確に言えば、正月三が日の内に基本方針と、非常事態時法令が制定されたのだ。
この非常事態時法令というのは、今の異常な世界情勢下のみに適用される法律ということだった。
つまりこの状態が解消されたら非常事態時法令は適用されなくなる。
さらに、現在までに例の夜空に描かれた言葉以外の犯行声明は出されていない。
どこの誰の仕業かわからないということだ。
また、各地のゲームサーバの状況もわかって来た。
EOMなどの代表的なVRMMO、狩人の天地などの人気VRMOのサーバは、特殊なフィールドに囲まれていて、接触が不可能になっていた。
しかも電源をストップしてもどうやら稼働しているらしい。
どう考えてもそれらが原因の一端だが、誰も近づくことが出来ず、あらゆる攻撃が通じない状態とのこと。
とんでもない話だ。
どうやら年末から正月にかけての、管理者が少ない時期を狙って今回のテロは決行されたのではないか? というのが捜査筋の見解だった。
まぁ誰が見てもそうだろうけど。
さて、肝心の非常事態時法令の中身だが、大きなものとして魔法職の登録制が挙げられるだろう。
登録者以外は魔法を使うことは出来ないと決まった。
属性武器持ちの物理職についてどうするのか? という話はまだ出ていない。
アキラはしめしめと思った。
「法律に含まれていないからって暴れたらやっぱり逮捕されちゃうから気をつけてね」
「え~、法律違反じゃなきゃ逮捕の理由がないじゃん」
楽しげなアキラに母が釘を刺す。
アキラの反論に母の代わりに父が答えた。
「バカだなお前、武器持って暴れてたら元々の法律で逮捕されるだろ」
「ああああ! 非日常になったのに日常が俺の足かせになる!」
「ふっ、我が息子ながら愚か者め」
アキラは帰って来た中二病状態の父を睨んだ。
「まーまー、二人共。それよりほら、日常生活にはこっちが大切よ」
母の指し示すタブレットには地図が表示されていて、そこに青い丸が入っている。
それぞれ何々商店と何々グループの合同店舗とか、臨時食堂、屋台などと記されていた。
これは、緊急避難場所として認知されていた場所がセーフティゾーンとなっていたことが確認されたので、セーフティゾーンのなかでも学校の校庭や公園などの広場を利用して仮店舗を開設しようという試みだった。
店舗兼住居ならホーム設定で安全ゾーンになるが、一般店舗は安全ゾーンとしての設定が不可能であることが確認されたのだ。
しかしお店がないと一般の人の日常生活が脅かされる。
そこで考え出された苦肉の策だ。
だが、一般の人はそもそも外に出ること自体が危険だ。
たかが買い物のために命を賭ける訳にもいかないだろう。
そのために登場したのが、騎乗スキルや乗り物スキル持ちの魔法職による移動商店だ。
「父さんも騎乗スキル持ちだから安全に移動出来るんだよな。ずりぃ」
「おい、家族のためにがんばる父さんに対してもっとやさしくしようよ」
「大丈夫よ、あなたは私が守るから」
「くっ、ミコト!」
「ハヤトさん……」
「やめろ、多感な年頃の息子の前でいちゃつくな」
一緒に狩りをすることで常にパートナーとしての絆を確かめ合っている(本人たち談)夫婦のノリは、アキラには理解出来ないたぐいのものであった。
「それにしても意外と魔法職多かったんだな。魔法部隊がそれなりの規模でびっくりした」
「ええっと、一般の警官で五割、交通機動隊で七割が魔法持ちだったらしいな」
「当分はそれぞれの職務のなかで魔法を使って活動するって書いてある」
「現場は動いているのに再編で今から訓練なんか始めてたら間に合わんからな」
とりあえずいろいろやってみて現場に合わせて法律を作っていくような感じらしい。
法律と言えば、国会議事堂はセーフティゾーンに含まれていなかったらしく、緊急議会の最中にモンスターの襲撃を受けていた。
テレビで観ると特撮映画のようだったが、それが現実となると、被害者が出ないことを祈ることしか出来ない。
「国会議事堂を襲ったモンスターは、確かカリテンのやつだよね。翼竜モデルの」
「あー、狩人の天地か。あれ、魔法使えないから父さん遊んでないんだよな」
狩人の天地というのは日本のゲームメーカーが開発したVRMOゲームだ。
VRMOゲームというのはVRMMOと違い、広いフィールドで自由に遊ぶのではなく、依頼を受けて限定されたフィールドに少人数で挑むタイプのゲームだ。
ダンジョンものと考えるとわかりやすいかもしれない。
「もうあれ怪獣だよね」
「最近リバイバルされた怪獣映画を彷彿とさせたな」
そう、現実化したのは何もEOMだけではない。
VRで人気のあったいくつかのゲームが現実化していた。
それでシステムが混乱しないのは、プレイヤー用の機能が制限されていることと、それぞれの人間が特に遊んでいたゲームに能力が適応されているからだ。
検証掲示板には全部を遊んでいたというプレイヤーもいたが、その人によると、一番プレイ時間の長いゲームの能力が引き継がれたらしい。
それにしてもまだ異変からたった三日だと言うのに、人類は今の状態に慣れ始めている。
「まぁインフラが断絶しないし、思ったよりも死者が少なかったというのが大きいよね」
アキラは地球の王者である人類の実力を実感していた。
正確に言えば、正月三が日の内に基本方針と、非常事態時法令が制定されたのだ。
この非常事態時法令というのは、今の異常な世界情勢下のみに適用される法律ということだった。
つまりこの状態が解消されたら非常事態時法令は適用されなくなる。
さらに、現在までに例の夜空に描かれた言葉以外の犯行声明は出されていない。
どこの誰の仕業かわからないということだ。
また、各地のゲームサーバの状況もわかって来た。
EOMなどの代表的なVRMMO、狩人の天地などの人気VRMOのサーバは、特殊なフィールドに囲まれていて、接触が不可能になっていた。
しかも電源をストップしてもどうやら稼働しているらしい。
どう考えてもそれらが原因の一端だが、誰も近づくことが出来ず、あらゆる攻撃が通じない状態とのこと。
とんでもない話だ。
どうやら年末から正月にかけての、管理者が少ない時期を狙って今回のテロは決行されたのではないか? というのが捜査筋の見解だった。
まぁ誰が見てもそうだろうけど。
さて、肝心の非常事態時法令の中身だが、大きなものとして魔法職の登録制が挙げられるだろう。
登録者以外は魔法を使うことは出来ないと決まった。
属性武器持ちの物理職についてどうするのか? という話はまだ出ていない。
アキラはしめしめと思った。
「法律に含まれていないからって暴れたらやっぱり逮捕されちゃうから気をつけてね」
「え~、法律違反じゃなきゃ逮捕の理由がないじゃん」
楽しげなアキラに母が釘を刺す。
アキラの反論に母の代わりに父が答えた。
「バカだなお前、武器持って暴れてたら元々の法律で逮捕されるだろ」
「ああああ! 非日常になったのに日常が俺の足かせになる!」
「ふっ、我が息子ながら愚か者め」
アキラは帰って来た中二病状態の父を睨んだ。
「まーまー、二人共。それよりほら、日常生活にはこっちが大切よ」
母の指し示すタブレットには地図が表示されていて、そこに青い丸が入っている。
それぞれ何々商店と何々グループの合同店舗とか、臨時食堂、屋台などと記されていた。
これは、緊急避難場所として認知されていた場所がセーフティゾーンとなっていたことが確認されたので、セーフティゾーンのなかでも学校の校庭や公園などの広場を利用して仮店舗を開設しようという試みだった。
店舗兼住居ならホーム設定で安全ゾーンになるが、一般店舗は安全ゾーンとしての設定が不可能であることが確認されたのだ。
しかしお店がないと一般の人の日常生活が脅かされる。
そこで考え出された苦肉の策だ。
だが、一般の人はそもそも外に出ること自体が危険だ。
たかが買い物のために命を賭ける訳にもいかないだろう。
そのために登場したのが、騎乗スキルや乗り物スキル持ちの魔法職による移動商店だ。
「父さんも騎乗スキル持ちだから安全に移動出来るんだよな。ずりぃ」
「おい、家族のためにがんばる父さんに対してもっとやさしくしようよ」
「大丈夫よ、あなたは私が守るから」
「くっ、ミコト!」
「ハヤトさん……」
「やめろ、多感な年頃の息子の前でいちゃつくな」
一緒に狩りをすることで常にパートナーとしての絆を確かめ合っている(本人たち談)夫婦のノリは、アキラには理解出来ないたぐいのものであった。
「それにしても意外と魔法職多かったんだな。魔法部隊がそれなりの規模でびっくりした」
「ええっと、一般の警官で五割、交通機動隊で七割が魔法持ちだったらしいな」
「当分はそれぞれの職務のなかで魔法を使って活動するって書いてある」
「現場は動いているのに再編で今から訓練なんか始めてたら間に合わんからな」
とりあえずいろいろやってみて現場に合わせて法律を作っていくような感じらしい。
法律と言えば、国会議事堂はセーフティゾーンに含まれていなかったらしく、緊急議会の最中にモンスターの襲撃を受けていた。
テレビで観ると特撮映画のようだったが、それが現実となると、被害者が出ないことを祈ることしか出来ない。
「国会議事堂を襲ったモンスターは、確かカリテンのやつだよね。翼竜モデルの」
「あー、狩人の天地か。あれ、魔法使えないから父さん遊んでないんだよな」
狩人の天地というのは日本のゲームメーカーが開発したVRMOゲームだ。
VRMOゲームというのはVRMMOと違い、広いフィールドで自由に遊ぶのではなく、依頼を受けて限定されたフィールドに少人数で挑むタイプのゲームだ。
ダンジョンものと考えるとわかりやすいかもしれない。
「もうあれ怪獣だよね」
「最近リバイバルされた怪獣映画を彷彿とさせたな」
そう、現実化したのは何もEOMだけではない。
VRで人気のあったいくつかのゲームが現実化していた。
それでシステムが混乱しないのは、プレイヤー用の機能が制限されていることと、それぞれの人間が特に遊んでいたゲームに能力が適応されているからだ。
検証掲示板には全部を遊んでいたというプレイヤーもいたが、その人によると、一番プレイ時間の長いゲームの能力が引き継がれたらしい。
それにしてもまだ異変からたった三日だと言うのに、人類は今の状態に慣れ始めている。
「まぁインフラが断絶しないし、思ったよりも死者が少なかったというのが大きいよね」
アキラは地球の王者である人類の実力を実感していた。
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