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羽化
その十三
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密閉された部屋の空気が変わるのがわかる。
鳥肌立つような気配は最近感じた物と似ていた。
あの精霊の領域だ。
多重に重なった巨大な魔法陣は、それぞれがそれぞれの方向へ回転していて何がなんだかわからない。
唯一の一般人である武部部隊長は、顔色が酷いことになっているんだが、大丈夫か?
もはや怪異としか見えない姿の冒険者の男は床に横たえられ、その少し上に藁人形が浮いている。
非常にシュールな絵面だ。
ちょっと怖い。
それを十重二十重に取り囲む巨大な魔法陣が灼熱したような朱金の色に輝いていた。
アンナ嬢は唇をほとんど開かずにうっすらと開けた状態で喉を震わせて詠唱する呪言を紡いでいる。
由美子によると呪文や祈りを唱える真言というやつらしい。
「ぐっ」
おおい、やべえ武部部隊長さん真っ青じゃないか。
気づいた由美子がこっそりと守護陣を発動したのが見える。
大丈夫なのか? こんな大規模に魔法が動いている場所でそんなの発動して。
やがて宙に浮いた藁人形の気配が濃密になって来た。
いわゆる悪霊と言われる物に似た気配だ。
怪異となるといわば全く別の生き物のような感じになるが、この霊と呼ばれるような存在はもっと生々しい人間っぽい物だ。
その藁人形が身悶えして、「ギチギチ……」というどっから出ているのかわからない音か声みたいな物を発しているのはちょっと悪夢的だな。
「天に座す我らが父よ、この哀れなる貴方の子を悪魔の手より救いたまえ」
呪文から祈りにアンナ嬢の言葉が変化する。
と、天井の方から一筋の金色の光が降り注ぐ。
神霊降臨。
霊格上位の『神』と呼ばれる精霊が、俺たちの感じているこの世界と直接接続する荒業だ。
普通の自然神なら無茶もいい所だが、これが人工の神の便利な所で、ある一定以上の資格を持つ聖職者ならまず失敗しないらしい。
そもそも元々一人一人の信徒と彼らの神とは直結している。
彼らの神と信徒の関係は、互いが親であり子である関係と言っていいだろう。
信徒一人一人の祈り自体には奇跡を起こす力は無いが、それが束ねられた先に神が居るのだ。
その光を浴びた冒険者の男の容貌がみるみる変わり始める。
体の表面をびっしりと覆っていた黒く硬い毛は抜け落ちて煙のように消えていった。
突き出た鼻と口が人間の範囲に収まり、鉤爪のようになっていた指先もゴツくてでかいが、人間の男の手の範疇に縮む。
広がっていた耳も人間の物に戻り、痩せていながら筋肉質の倭人の男の姿となった。
「おお……」
それまで青白い顔で吐きそうな様子だった武部部隊長さんが感嘆の声を上げて身を震わせている。
今度は別の意味で大丈夫か?
いきなりアンナ嬢の足元に跪いて信者にならないだろうな?
大きな魔法陣が消えていく中、前後左右と天井方面の魔法陣が縮んでいく。
そのまま藁人形を取り囲むと、ふいに底辺に白い魔法陣が浮かび上がり、蓋をするようにその藁人形を封じ込めた。
「終わりました」
アンナ嬢の声が響く。
まるで異界にでもいるかのようだった空気が、元の冷えたコンクリの、閉じた室内の空気に戻った。
気づいたら俺まで汗だくだ。
精霊の気配というものは普通の人間にとっては毒となる。
互いの存在が異質すぎるため、上位種である高位精霊に人間は押しつぶされてしまうのだ。
その存在を常態で受け入れることが出来るのは巫女だけである。
アンナ嬢の白い儀式用らしき服も汗で身体に張り付いて、ちょっと目のやり場に困る状態になっていた。
妹よ、その目はなんだ?
俺はガン見とかしてないからな。
「呪い解除? まるで悪霊祓いのよう」
その妹がアンナ嬢にさっそく質問を発している。
お前のその知識欲はすげえが、明らかに疲れている人を質問攻めにするのはどうかと思うぞ。
「ええ、普通の呪いなら施した術者に繋がりを辿って還すことが出来ます。でもこの呪いは本人の内側から来た物、還す場所などないのです」
「なるほど。でも、なぜ? 貴女の国ではこんなことがよく起きてる?」
「いいえ。でも、私にとっては馴染み深い病と似ているのです」
「病?」
場の空気など読まない由美子が尚も食い付こうとしたが、アンナ嬢はちらりと視線を武部氏に送って口を閉じる。
血族に関することなのか?
由美子も何かを悟ったようにそれ以上はしつこく質問したりはしなかった。
「ところでその男はもう安全なのか?」
本人にとってか、他人に対してかは言わずに、武部部隊長がそう尋ねる。
アンナ嬢は複雑な顔を見せた。
「今は、と答えておきます」
「今は? ということは今後また同じ状態になると?」
「ええ、条件が揃えば」
「条件だと?」
噛み付くようにアンナ嬢に迫る武部部隊長を俺はその肩を軽く掴んで止めた。
「待った。この手の術は術者の体力を奪うと相場が決まっているんだ。彼女を休ませたほうがいい」
「っ! あ」
まるで敵を尋問する軍人そのものになっていた武部部隊長は、そこでようやく我に返ったらしい。
鼻白んだ顔になって俺の手を振り払うと、アンナ嬢に向かって深く頭を下げた。
こんな時だが軍人さんは礼が綺麗だな。
「申し訳ない。助力をいただいたのに失礼な態度を取ってしまった。休憩場所を用意しますのでそちらで休んでいただきたい」
「いえ、私は宿のほうに戻ります」
アンナ嬢は謝罪を受け入れたのか受け入れないのかわからない態度でそっけなくその申し出を断った。
まぁここではゆっくり休めないのはわかる。
「そう言わず、ちょっとだけでも休ませて貰えよ。今戻るとそのまま倒れるんじゃないか?」
「そんな無様は晒しません」
俺の言葉にアンナ嬢はむっとした顔になってそれを否定した。
だが、ちょっと考える仕草をすると、武部部隊長のほうに向かって軽く会釈をしてみせる。
「わかりました。少し休憩をさせていただけますか?」
「承りました。こちらへ」
武部部隊長はドアを開くとそのまま外へと彼女を連れ出す。
俺たちもそれに続くことにした。
今転がっているこの冒険者に何かを尋ねるのは無理そうだし、それならアンナ嬢と話がしたい。
「なんだ、お前たち」
部屋を警備していた兵士に何事か指示を出し、更に歩きながら通信機でやりとりをしていた武部部隊長殿は、ぞろぞろと後をついて来る俺たちに気づくと、不審そうにこちらを見た。
「お茶のご相伴にあずかろうかと」
「なぜ茶を出すことが前提なのだ?」
「仕事を手伝ってくれた外国の要人をもてなしもせずに送り返す訳ないですよね?」
「貴様という奴は」
俺の言葉に武部部隊長殿はむっとしたような顔になる。
と、同じ言葉に別の感銘を受けたらしい声が後ろから聞こえた。
「お菓子、出る?」
うんうん、それ大事なところだよな、妹よ。
ニコニコ笑って頷いたら、なぜか浩二が俺の足を後ろから蹴飛ばして来た。
なぜだ?
鳥肌立つような気配は最近感じた物と似ていた。
あの精霊の領域だ。
多重に重なった巨大な魔法陣は、それぞれがそれぞれの方向へ回転していて何がなんだかわからない。
唯一の一般人である武部部隊長は、顔色が酷いことになっているんだが、大丈夫か?
もはや怪異としか見えない姿の冒険者の男は床に横たえられ、その少し上に藁人形が浮いている。
非常にシュールな絵面だ。
ちょっと怖い。
それを十重二十重に取り囲む巨大な魔法陣が灼熱したような朱金の色に輝いていた。
アンナ嬢は唇をほとんど開かずにうっすらと開けた状態で喉を震わせて詠唱する呪言を紡いでいる。
由美子によると呪文や祈りを唱える真言というやつらしい。
「ぐっ」
おおい、やべえ武部部隊長さん真っ青じゃないか。
気づいた由美子がこっそりと守護陣を発動したのが見える。
大丈夫なのか? こんな大規模に魔法が動いている場所でそんなの発動して。
やがて宙に浮いた藁人形の気配が濃密になって来た。
いわゆる悪霊と言われる物に似た気配だ。
怪異となるといわば全く別の生き物のような感じになるが、この霊と呼ばれるような存在はもっと生々しい人間っぽい物だ。
その藁人形が身悶えして、「ギチギチ……」というどっから出ているのかわからない音か声みたいな物を発しているのはちょっと悪夢的だな。
「天に座す我らが父よ、この哀れなる貴方の子を悪魔の手より救いたまえ」
呪文から祈りにアンナ嬢の言葉が変化する。
と、天井の方から一筋の金色の光が降り注ぐ。
神霊降臨。
霊格上位の『神』と呼ばれる精霊が、俺たちの感じているこの世界と直接接続する荒業だ。
普通の自然神なら無茶もいい所だが、これが人工の神の便利な所で、ある一定以上の資格を持つ聖職者ならまず失敗しないらしい。
そもそも元々一人一人の信徒と彼らの神とは直結している。
彼らの神と信徒の関係は、互いが親であり子である関係と言っていいだろう。
信徒一人一人の祈り自体には奇跡を起こす力は無いが、それが束ねられた先に神が居るのだ。
その光を浴びた冒険者の男の容貌がみるみる変わり始める。
体の表面をびっしりと覆っていた黒く硬い毛は抜け落ちて煙のように消えていった。
突き出た鼻と口が人間の範囲に収まり、鉤爪のようになっていた指先もゴツくてでかいが、人間の男の手の範疇に縮む。
広がっていた耳も人間の物に戻り、痩せていながら筋肉質の倭人の男の姿となった。
「おお……」
それまで青白い顔で吐きそうな様子だった武部部隊長さんが感嘆の声を上げて身を震わせている。
今度は別の意味で大丈夫か?
いきなりアンナ嬢の足元に跪いて信者にならないだろうな?
大きな魔法陣が消えていく中、前後左右と天井方面の魔法陣が縮んでいく。
そのまま藁人形を取り囲むと、ふいに底辺に白い魔法陣が浮かび上がり、蓋をするようにその藁人形を封じ込めた。
「終わりました」
アンナ嬢の声が響く。
まるで異界にでもいるかのようだった空気が、元の冷えたコンクリの、閉じた室内の空気に戻った。
気づいたら俺まで汗だくだ。
精霊の気配というものは普通の人間にとっては毒となる。
互いの存在が異質すぎるため、上位種である高位精霊に人間は押しつぶされてしまうのだ。
その存在を常態で受け入れることが出来るのは巫女だけである。
アンナ嬢の白い儀式用らしき服も汗で身体に張り付いて、ちょっと目のやり場に困る状態になっていた。
妹よ、その目はなんだ?
俺はガン見とかしてないからな。
「呪い解除? まるで悪霊祓いのよう」
その妹がアンナ嬢にさっそく質問を発している。
お前のその知識欲はすげえが、明らかに疲れている人を質問攻めにするのはどうかと思うぞ。
「ええ、普通の呪いなら施した術者に繋がりを辿って還すことが出来ます。でもこの呪いは本人の内側から来た物、還す場所などないのです」
「なるほど。でも、なぜ? 貴女の国ではこんなことがよく起きてる?」
「いいえ。でも、私にとっては馴染み深い病と似ているのです」
「病?」
場の空気など読まない由美子が尚も食い付こうとしたが、アンナ嬢はちらりと視線を武部氏に送って口を閉じる。
血族に関することなのか?
由美子も何かを悟ったようにそれ以上はしつこく質問したりはしなかった。
「ところでその男はもう安全なのか?」
本人にとってか、他人に対してかは言わずに、武部部隊長がそう尋ねる。
アンナ嬢は複雑な顔を見せた。
「今は、と答えておきます」
「今は? ということは今後また同じ状態になると?」
「ええ、条件が揃えば」
「条件だと?」
噛み付くようにアンナ嬢に迫る武部部隊長を俺はその肩を軽く掴んで止めた。
「待った。この手の術は術者の体力を奪うと相場が決まっているんだ。彼女を休ませたほうがいい」
「っ! あ」
まるで敵を尋問する軍人そのものになっていた武部部隊長は、そこでようやく我に返ったらしい。
鼻白んだ顔になって俺の手を振り払うと、アンナ嬢に向かって深く頭を下げた。
こんな時だが軍人さんは礼が綺麗だな。
「申し訳ない。助力をいただいたのに失礼な態度を取ってしまった。休憩場所を用意しますのでそちらで休んでいただきたい」
「いえ、私は宿のほうに戻ります」
アンナ嬢は謝罪を受け入れたのか受け入れないのかわからない態度でそっけなくその申し出を断った。
まぁここではゆっくり休めないのはわかる。
「そう言わず、ちょっとだけでも休ませて貰えよ。今戻るとそのまま倒れるんじゃないか?」
「そんな無様は晒しません」
俺の言葉にアンナ嬢はむっとした顔になってそれを否定した。
だが、ちょっと考える仕草をすると、武部部隊長のほうに向かって軽く会釈をしてみせる。
「わかりました。少し休憩をさせていただけますか?」
「承りました。こちらへ」
武部部隊長はドアを開くとそのまま外へと彼女を連れ出す。
俺たちもそれに続くことにした。
今転がっているこの冒険者に何かを尋ねるのは無理そうだし、それならアンナ嬢と話がしたい。
「なんだ、お前たち」
部屋を警備していた兵士に何事か指示を出し、更に歩きながら通信機でやりとりをしていた武部部隊長殿は、ぞろぞろと後をついて来る俺たちに気づくと、不審そうにこちらを見た。
「お茶のご相伴にあずかろうかと」
「なぜ茶を出すことが前提なのだ?」
「仕事を手伝ってくれた外国の要人をもてなしもせずに送り返す訳ないですよね?」
「貴様という奴は」
俺の言葉に武部部隊長殿はむっとしたような顔になる。
と、同じ言葉に別の感銘を受けたらしい声が後ろから聞こえた。
「お菓子、出る?」
うんうん、それ大事なところだよな、妹よ。
ニコニコ笑って頷いたら、なぜか浩二が俺の足を後ろから蹴飛ばして来た。
なぜだ?
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