甘味処のお兄さん

糖裏彗刀

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第一章

第一話 甘味処「晴風」

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爽やかな春の風が入り込み、扉の前のが気持ちよさそうに揺れている。
軒下の椅子には常連客の叔母様方が楽しそうに話している。
そんな様子をボケーっと何も考えずに眺めると視界に茶色い物体が見えた。

「いらっしゃいませ~」

カウンターに預けていた体を起こしエプロンのシワを伸ばす。
緑色のエプロンには左胸にネームプレート、その少し下に「晴風」とプリントされてある。

「ご注文は何にいたしますか?今はこの三色団子が人気で、、、」
「みたらし団子を一つください」

へらっとした笑顔で備えられた文を言い終わる前に注文を済ませるこのお客。
凛とした声と佇まい。綺麗に整えられた髪と制服。

「はぁっ、朔夜さよくんはさぁ最後まで聞こうと思わないの?」

ショーケースの上に肘を乗せ目の前の男を見る。
亜麻色の髪は癖一つないストレートで襟足はない。
髪の毛の亜麻色よりも少し色素の薄い瞳は長い睫毛で覆われて、どこか儚げな雰囲気をだしている。
肌は透き通るような白さで鼻も控えめながらもすっと通っており唇もぷるぷる。
どこをとっても「美」な彼は老若男女問わず人目を引く。
そんな男が今、俺の目の前でみたらし団子を注文している。

「俺はみたらし団子を食べに来たので。」

「早く出してくれ」とでも言いたげにこちらを見る彼は普段見せるようなツンとしたものではなくどこか幼さの残る可愛らしい表情だ。

「店内でお召し上がりで?」
「あそこで食べる。」

彼の指の指す方向を見るとそこは和傘の立て掛けてある特等席だった。

「わかりました~。届けるので外でお待ち下さい。」

そう言い俺はたれのたっぷりかかった団子に追いだれをしてみたらし団子を作る。
団子を皿に載せるとエプロンのポケットからペンを取り出し近くのメモ用紙にペンを走らせる。

「よし、と」

紙を折りたたみお盆と皿の隙間に挟むとカウンターを離れのれんを潜る。
彼は和傘の下の椅子に座り退屈そうに足をブラブラとさせていた。

「みたらし団子のお客様~、どうぞ~」
「ありがとうございます」
「120円です」
「ん、これで」

手のひらに差し出されたのは五十円玉二枚と十円玉二枚。
百円玉ではないのはいけ好かないがピッタリ払う彼はきっと几帳面なのだと思う。

「ごゆっくりどうぞ~」

彼の隣にトレイを置くとそくさくとカウンターに戻る。
別に彼といるのが嫌な訳では無い。新しい客が来たからだ。
観光客の相手を終え軒下を見る。
みたらし団子を美味しそうに頬張る彼は文句無しの美少年だ。

名前は確か、


朔夜さよ


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