甘味処のお兄さん

糖裏彗刀

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第一章

    出会いは軒下から(2)

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「取り敢えず、服は俺のを貸し出すから、、あ、タオル持ってくるからそこで待っといて。」

大学生になった時に一人暮らしのために借りた1Kの部屋。
テレビもタンスもソファもなく、あるのはローテーブルと座布団と趣味で育てているトマトの苗だけだ。
この部屋に呼んだことがあるのは両親と仲のいい友人のみ。
そんな殺風景な家に今、どえらい美少年がいる。
なんとか平常心を保ちながら風呂場からバスタオルを一枚取ってくると彼に渡す。

「ある程度拭いたら靴下脱いで部屋に上がっといて、どこにも座るなよ。服取ってくるから。」
「、、、ありがとうございます。」

ドタバタとタンスを開け彼に来てもらう服を見繕う。
奥にしまった高校時代のジャージを見つけると玄関に向かう。

「って、お前全然拭いてないじゃん」

先程タオルを渡したときと同じ格好で、同じ様子でタオルを持ったまま呆然と玄関に立ち尽くす彼を見て大きなため息が出る。
と、同時に彼はびくっ、と大きく肩を揺らした。

「あ、あのっ、、」
「はいはい、大人しく拭かれてなって」
「わっ」

苦虫を潰したような顔で俺に物を言う彼の顔をタオルで覆い強制的に喋れなくする。
ガシガシと濡れた髪を拭きながらこの少年を観察する。

身長は俺よりも低く顔はびっくりするくらい整っている。
亜麻色の髪と瞳は多分両親のどちらかが外国の方なのだろうか。
制服を着ているということは中学生か高校生のどちらか。
手荷物はポケットに入っているものと手提げバッグの中の物のみ。

ある程度拭き終わると彼の頭からタオルを離す。

「ははっ、すっげぇボサボサじゃん。」
「えっ、」

しっとりと濡れていた髪は、タオルで拭いたことによりぱやぱやと毛が舞っている。
慌てて髪を手で抑える彼に俺は笑みが止まらなかった。

「わ、笑わないでください」
「いやっ、なんか可愛いな~って思って」
「かっ!!??」

ボッ、と頬を赤く染める彼に又もや笑みが止まらない。
手を伸ばし彼の頭を撫でると頬をぷくっと膨らませた。

「からかわないでください、、」
「はいはい。これ、俺の高校時代のジャージだから、すぐそこに脱衣所あるから適当に体拭いて着替えてくれる?」
「わかりました。」

彼の手にジャージをもたせると脱衣所に入れる。
脱衣所の扉を締め向かい側のキッチンで湯を沸かす。
「こういうときは紅茶とかホットミルクが一番!」という人が多いが俺は緑茶が一番好きだ。
もちろんコーヒーや紅茶も飲むが少しの苦みと飲むとホッとするような味が俺の心を落ち着かせる。

キッチンの引き出しから茶葉を2人分取り出すとコップの中に入れる。
そろそろ湯が湧く頃だ。
その間にビニール袋の中から余り物のみたらし団子と三色団子を取り出す。
トレーの上に置くと丁度後ろから扉の開く音がした。

「お借りしたタオルはどうすればいいですか?」
「脱衣所のかごの中に入れといてくれない?」
「わかりました。」

やかんがグツグツと言い始めたところで火を留めコップに注ぐ。
湯気がふわふわと立ち込め香ばしい緑茶の匂いが鼻をくすぐる。
コップに注ぎ終えるとトレイを持ちローテーブルの上に置く。
押し入れの中から座布団を一枚取り出しローテーブルの横に敷くと高校時代の俺のジャージを着た美少年が現れる。

「お、ちゃんと着替えれた?」
「はい。少し大きいですがなんとか」

そう言い腕を上げる彼の袖は幾分か余っている。
ズボンは丈が長いのかズルズルと引きずっていて妙な可愛さがった。

「じゃあ、そこに座って」

手でコップを持ちながら彼を俺の目の前に座らせると彼はぎこちないながらも俺の目の前にちょこんと座った。

「緑茶は好き?」
「はい。よく好んで飲んでいます。」
「よかった。じゃあこれ飲んで落ち着いて、そしたら色々話してくれる?」
「はい。」
「取り敢えずゆっくりお茶飲んで落ち着こうね」

そう言い微笑むと彼はおずおずとコップに口をつける。
コクリと一口飲むと彼はふわっと顔を綻ばせる。

「、、おいしいです」
「でしょ、俺のばあちゃんが作った茶葉。特製品種。」
「すごいですね。毎日飲みたくなります。」
「おかわりもあるよ。まぁ湯を継ぎ足すだけだけど。」
「飲み終わったらいただきます。」
「暑いから火傷しないでね。」

ふんわりと笑う彼は軒下で見た彼と違い人間らしさを感じる温かな笑みだ。

「そういえば、名前を聞いていなかったし話してなかったね。俺は高梁宗次郎たかはしそうじろう。大学三年生だよ。」


「俺は、、、、朔夜さよ

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