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第一部
022「魔物の襲来(2)」
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矢のすぐ後に、黒い影が数体、素早くオレたちに襲いかかる。
一瞬心臓が大きく鼓動したけど、怖いという感情を押さえ込んで敵の動きに連動する。
そしてかなりの速さで接近して来たうちの一体に対して、大きく一歩前に出たオレが左足を踏み込んで、すれ違いざまに一気に切りつける。
「ギャウン!」
狙い違わず横にまっ二つに切り裂いた敵は、犬、いや狼だ。しかも少し魔力があり大柄なので、魔狼というやつだろう。
特殊な技はないっぽいが、瞳は赤く爪と牙がぼんやり魔力で光っている。噛み付かれたら、ただでは済みそうにない。
けど斬った後も、それを見ても、オレの心も動揺していない。
(行けそうだ)
そして自身を鼓舞するため、あえて強気の発言をした。
「ゴブリンが狼連れてるって、ホントだったんだな」
「ゴブリンライダーは定番だからね。ハッ!」
彼女も剣を振るって一匹仕留める。相変わらず軽やかで鮮やかな剣捌きだ。剣自体の切れ味もすごい。
狼の残りはあと2匹。弓矢との連携は悪くないが、彼女の先制攻撃がききすぎたんだろう。
おとといの事を知っている敵なら、襲いかかるには数が少なすぎる。
「けど、ゴブリンは乗ってないな」
「光の槍が、ライダーだけ仕留めたのかも」
それに弓兵しか残っていないのか後が続いてこない。
弓矢は散発的に降り注ぎ続けているが、この体の動体視力があれば避けたり剣で切り払うのも余裕だ。
その気になれば、手で掴むのも難しくなさそうだ。汚なそうだからしないけど。
残りの魔狼を切り伏せる頃になると、ようやく第二陣が現れる。
そして現れなかった理由も分かった。ゴブリンよりも大柄で足が遅かったからだ。
しかもうち2体は別個体だ。
「アレって何だ? ちょっと強そうだな」
「雑兵は『ダブル』がホブゴブリンって言う大矮鬼。リーダーっぽいのは矮鬼の直接の上位種の上矮鬼。羆(ひぐま)より大きいのが食人鬼ね。どっちがリーダーかしら」
「食人鬼ってオーガか。やっぱ人を食うのか?」
「肉なら何でも食べるわ。人にとって危険だから優先排除対象ね。けど、手練の騎士並みに強いから気をつけて」
オレたちが話している間も、敵は距離を詰めてくる。
ホブゴブリンが左右に展開して包囲の輪を作り、中央の二体をメインとしてオレたちを相手にするようだ。
弓兵ゴブリンも姿を現し、さらに後ろから包囲の輪を厚くする。
合わせて13体。
「あれ? シャーマンがいないわ。魔狼を操る為に必ずいる筈なのに」
「ゴブリンの魔法使いか? 先に倒したんじゃないのか」
「確かに『光槍陣』は魔力の高いやつに向かいやすいけど」
そう言って彼女は少し考え込む。
それでも全く隙はない。
「先に倒したのどれぐらいだ?」
「全弾命中ならちょうど1ダースね。食人鬼も1体だけって事もない筈だから、命中ガチャがよかったんだと思うわ」
「命中ガチャって、酷いガチャもあったもんだな」
「アラ、こっちにしてみれば大漁じゃない。さ、そろそろあっちの次の準備が終わったみたいよ。今度は期待していい?」
「どうかな。けど、がんばってみるよ」
「情けないわね。こういう時は、任せとけとか言うものでしょ」
彼女の声は十分余裕がある風なのがオレにも分かる。
怖じ気づかなければ大丈夫と教えてくれていた。
「了解。じゃあ、任せろ!」
気合いを入れて、先制攻撃で一番のデカブツへ飛ぶように突撃する。
相変わらず、この体は高スペックに動いてくれる。まるでハリウッド映画のワイヤーアクションみたいだ。
対するオーガの装備はこん棒。というより木の幹の柄の部分を掴みやすいように石斧か何かで粗く削ったような感じだ。しかしまともに命中すれば、普通の人間なら骨をバラバラにされてしまうだろう。
デカイは正義だ。
そして見た目の期待にそぐわず、大きく振りかぶると豪快に振り下ろしてくる。けどその速度は、スローモーとは言わないまでも十分対処出来る速度だ。
しかもオレの体は、相手のどこが急所かも見抜いており、体が半ば勝手に動いてくれる。
オレは体に大まかな命令だけを下して、それを見続けるのが仕事のようなものだ。
後で聞いた話だけど、慣れると普通に体を操作、制御できるようになるそうだ。当たり前の事だけど、これが意外に時間がかかるらしい。そしてこういう点も、ゲームのようだと言われる所以となっている。
「ドッ!」
オーガの攻撃を避けつつ振り下ろした剣は、狙い違わずオーガを袈裟切りにした。
しかも敵に対して高さが足りないので、飛び上がってそのまま振り下ろす。
普通の体だと全然無理ゲーな動きだけど、この体だと余裕だ。
相変わらず手には生き物を切る感触があり、どす黒い血とその他諸々の臭いも吹き出してくるが、オレのヘタレな心は何とか耐えられそうだった。
というか、彼女の期待に応える為にも自分を鼓舞した。
(男の子としては、格好悪いところばっかり見せられないからな)
巨体を持つオーガは、さすがに人の持つ剣の一太刀では崩れないので、そのまま二太刀目を別の急所に叩き込む。
すでに避ける余裕のないオーガは、モロに喰らって力つき瞳の輝きを失っていく。
さらに、崩れ落ちていくオーガを尻目に、そのまま次のターゲットへと突進する。
距離は3メートルほど。そいつは彼女を相手にしようとしていたところを、横合いからオレに切り込まれた形だ。
装備は他のどれよりも良く、唯一金属製の剣を持っている。とはいえ、どこかで拾ったものみたいで、手入れもあまりされていない。
(大したことなさそうだな)
と思ったが、少しばかり相手を侮っていた。
切り結ぶ直前にこちらに反応し、オレに向けて『何か』を放ってきた。小さな魔法陣が浮かんでいるので何かの魔法だ。
とっさに、間合いを取り直そうとする。
しかし『何か』を完全には避けきれず、右の二の腕が少しやられている。カマイタチか空気の塊のようなものらしく、服とその下の皮膚が少し切れていた。
けど、まずはハルカさんがかけた防御魔法で大きく威力が減殺され、さらに当たる直前にオレの体表でも減殺された感じだった。
だからそのまま相手が魔法を発動させた時に若干動きを止めた隙をつき、ステップを踏み形で間合いを詰めてそのまま斬り伏せる。
人と同じぐらいの背丈の体が、一刀で崩れ落ちていく。
残りは雑魚ばかり。と言っても、昨日殺されかけた相手より強い筈なので、勢いに任せつつも油断なく、なるべく1対1になるようにして順番に切り結んで、そして倒していく。
矮鬼より一回り大柄で力もありそうだけど、リーダー格が続けざまに倒されたこともあってか、士気も崩れているようだ。
動きが鈍いし連携がない。それにスピード、パワーが段違いに違うので、一刀ずつで斬り伏せることができた。
気がつくと、周りの敵は全て倒れていた。
オレの周りには後方で祖末な弓を持っていたゴブリンが倒れていて、シュウシュウと黒っぽくて臭い湯煙のようなものをあげつつ息絶えている。
周囲の魔力の濃さも、少し強まっているように感じた。
「お疲れ様。やっぱり、やればできるじゃない。けど、次は連携プレイの練習しないとね」
少し離れた位置から、彼女が賞賛と批評の言葉を同時にくれる。その彼女の周りにも数体のホブゴブリンが倒れて、同じように湯煙のようなものをあげている。
位置関係などから推測すると、オレが戦いやすいように余分な敵を倒してくれていたようだ。そしてそのことに、戦闘中のオレは全然気づけていなかった。
「うっ。確かにハルカさんの言う通り、連携がなっていなかったみたいだ。ごめん。いや、ありがとう」
「うんうん、お礼が言える子は私好きよ。けど、とりあえず移動しましょうか」
少し嬉しそうに首を上下させる。
けれどそれも一瞬で、周りを軽く見渡す。
「そうだな、魔物の死体だらけだもんな。この臭さだと、ここはしばらく誰も使えないな」
「え? 大丈夫よ。ここで倒したのは全部魔物だから、2、3日もしたら完全に消えてなくなるわよ」
「そういうもんなのか? 確かにネットにもそんな話あったけど、本当なんだな」
「ええ。魔力の影響で現出する魔物は、一見普通の生き物っぽいけど、殺すと体内の魔力が霧散して、生き物が普通に腐るよりずっと早く崩壊して消えていくわよ。それでも、今みたいに半日くらいは臭いわね。ゲームみたいに一瞬で消えてくれればいいんだけど」
そう言うと彼女は鼻を押さえる仕草をする。
ただ慣れているのか、本当に押さえているわけじゃない。
「亡者、アンデッドは一瞬で崩壊するんだけっけ?」
「ええ。ゾンビやスケルトンは死体が残るけどね」
「けどそれだと、魔物からはドロップアイテムは取れないんだな」
「一部なら倒してすぐに切り離せば残る部位もあるわよ。それに強いモンスターの核にある魔石が残ることは多いわ」
「こいつらは?」
そう言って、オーガを指差す。
「食人鬼と上位の矮鬼は魔石がちょっと取れるかも。けど、取れてもたいしたことないと思うわ」
「そうか。じゃあ、襲われるだけ襲われ損だな」
「そんな事ないわよ。魔力を溜め込んでいる敵を倒すと、その分たくさんの魔力が得られるわよ」
言われてみれば、魔物からは何かもやのようなものが漏れ出している。
「アイテムはないけど、経験値は多いモンスターって事になるのか」
「ええ。だから矮鬼は初心者『ダブル』に大人気」
「オレの魔力も増えたかな?」
「私はもう増えにくいけど、ショウ君は一昨日と合わせてると多少は増えたんじゃないかしら? 実感ない?」
「全然」
「じゃあ、今日はその辺も実感できる『チュートリアル』試しましょうか」
たいして寝ていないであろうハルカさんは、今日もオレをしごくらしい。
一瞬心臓が大きく鼓動したけど、怖いという感情を押さえ込んで敵の動きに連動する。
そしてかなりの速さで接近して来たうちの一体に対して、大きく一歩前に出たオレが左足を踏み込んで、すれ違いざまに一気に切りつける。
「ギャウン!」
狙い違わず横にまっ二つに切り裂いた敵は、犬、いや狼だ。しかも少し魔力があり大柄なので、魔狼というやつだろう。
特殊な技はないっぽいが、瞳は赤く爪と牙がぼんやり魔力で光っている。噛み付かれたら、ただでは済みそうにない。
けど斬った後も、それを見ても、オレの心も動揺していない。
(行けそうだ)
そして自身を鼓舞するため、あえて強気の発言をした。
「ゴブリンが狼連れてるって、ホントだったんだな」
「ゴブリンライダーは定番だからね。ハッ!」
彼女も剣を振るって一匹仕留める。相変わらず軽やかで鮮やかな剣捌きだ。剣自体の切れ味もすごい。
狼の残りはあと2匹。弓矢との連携は悪くないが、彼女の先制攻撃がききすぎたんだろう。
おとといの事を知っている敵なら、襲いかかるには数が少なすぎる。
「けど、ゴブリンは乗ってないな」
「光の槍が、ライダーだけ仕留めたのかも」
それに弓兵しか残っていないのか後が続いてこない。
弓矢は散発的に降り注ぎ続けているが、この体の動体視力があれば避けたり剣で切り払うのも余裕だ。
その気になれば、手で掴むのも難しくなさそうだ。汚なそうだからしないけど。
残りの魔狼を切り伏せる頃になると、ようやく第二陣が現れる。
そして現れなかった理由も分かった。ゴブリンよりも大柄で足が遅かったからだ。
しかもうち2体は別個体だ。
「アレって何だ? ちょっと強そうだな」
「雑兵は『ダブル』がホブゴブリンって言う大矮鬼。リーダーっぽいのは矮鬼の直接の上位種の上矮鬼。羆(ひぐま)より大きいのが食人鬼ね。どっちがリーダーかしら」
「食人鬼ってオーガか。やっぱ人を食うのか?」
「肉なら何でも食べるわ。人にとって危険だから優先排除対象ね。けど、手練の騎士並みに強いから気をつけて」
オレたちが話している間も、敵は距離を詰めてくる。
ホブゴブリンが左右に展開して包囲の輪を作り、中央の二体をメインとしてオレたちを相手にするようだ。
弓兵ゴブリンも姿を現し、さらに後ろから包囲の輪を厚くする。
合わせて13体。
「あれ? シャーマンがいないわ。魔狼を操る為に必ずいる筈なのに」
「ゴブリンの魔法使いか? 先に倒したんじゃないのか」
「確かに『光槍陣』は魔力の高いやつに向かいやすいけど」
そう言って彼女は少し考え込む。
それでも全く隙はない。
「先に倒したのどれぐらいだ?」
「全弾命中ならちょうど1ダースね。食人鬼も1体だけって事もない筈だから、命中ガチャがよかったんだと思うわ」
「命中ガチャって、酷いガチャもあったもんだな」
「アラ、こっちにしてみれば大漁じゃない。さ、そろそろあっちの次の準備が終わったみたいよ。今度は期待していい?」
「どうかな。けど、がんばってみるよ」
「情けないわね。こういう時は、任せとけとか言うものでしょ」
彼女の声は十分余裕がある風なのがオレにも分かる。
怖じ気づかなければ大丈夫と教えてくれていた。
「了解。じゃあ、任せろ!」
気合いを入れて、先制攻撃で一番のデカブツへ飛ぶように突撃する。
相変わらず、この体は高スペックに動いてくれる。まるでハリウッド映画のワイヤーアクションみたいだ。
対するオーガの装備はこん棒。というより木の幹の柄の部分を掴みやすいように石斧か何かで粗く削ったような感じだ。しかしまともに命中すれば、普通の人間なら骨をバラバラにされてしまうだろう。
デカイは正義だ。
そして見た目の期待にそぐわず、大きく振りかぶると豪快に振り下ろしてくる。けどその速度は、スローモーとは言わないまでも十分対処出来る速度だ。
しかもオレの体は、相手のどこが急所かも見抜いており、体が半ば勝手に動いてくれる。
オレは体に大まかな命令だけを下して、それを見続けるのが仕事のようなものだ。
後で聞いた話だけど、慣れると普通に体を操作、制御できるようになるそうだ。当たり前の事だけど、これが意外に時間がかかるらしい。そしてこういう点も、ゲームのようだと言われる所以となっている。
「ドッ!」
オーガの攻撃を避けつつ振り下ろした剣は、狙い違わずオーガを袈裟切りにした。
しかも敵に対して高さが足りないので、飛び上がってそのまま振り下ろす。
普通の体だと全然無理ゲーな動きだけど、この体だと余裕だ。
相変わらず手には生き物を切る感触があり、どす黒い血とその他諸々の臭いも吹き出してくるが、オレのヘタレな心は何とか耐えられそうだった。
というか、彼女の期待に応える為にも自分を鼓舞した。
(男の子としては、格好悪いところばっかり見せられないからな)
巨体を持つオーガは、さすがに人の持つ剣の一太刀では崩れないので、そのまま二太刀目を別の急所に叩き込む。
すでに避ける余裕のないオーガは、モロに喰らって力つき瞳の輝きを失っていく。
さらに、崩れ落ちていくオーガを尻目に、そのまま次のターゲットへと突進する。
距離は3メートルほど。そいつは彼女を相手にしようとしていたところを、横合いからオレに切り込まれた形だ。
装備は他のどれよりも良く、唯一金属製の剣を持っている。とはいえ、どこかで拾ったものみたいで、手入れもあまりされていない。
(大したことなさそうだな)
と思ったが、少しばかり相手を侮っていた。
切り結ぶ直前にこちらに反応し、オレに向けて『何か』を放ってきた。小さな魔法陣が浮かんでいるので何かの魔法だ。
とっさに、間合いを取り直そうとする。
しかし『何か』を完全には避けきれず、右の二の腕が少しやられている。カマイタチか空気の塊のようなものらしく、服とその下の皮膚が少し切れていた。
けど、まずはハルカさんがかけた防御魔法で大きく威力が減殺され、さらに当たる直前にオレの体表でも減殺された感じだった。
だからそのまま相手が魔法を発動させた時に若干動きを止めた隙をつき、ステップを踏み形で間合いを詰めてそのまま斬り伏せる。
人と同じぐらいの背丈の体が、一刀で崩れ落ちていく。
残りは雑魚ばかり。と言っても、昨日殺されかけた相手より強い筈なので、勢いに任せつつも油断なく、なるべく1対1になるようにして順番に切り結んで、そして倒していく。
矮鬼より一回り大柄で力もありそうだけど、リーダー格が続けざまに倒されたこともあってか、士気も崩れているようだ。
動きが鈍いし連携がない。それにスピード、パワーが段違いに違うので、一刀ずつで斬り伏せることができた。
気がつくと、周りの敵は全て倒れていた。
オレの周りには後方で祖末な弓を持っていたゴブリンが倒れていて、シュウシュウと黒っぽくて臭い湯煙のようなものをあげつつ息絶えている。
周囲の魔力の濃さも、少し強まっているように感じた。
「お疲れ様。やっぱり、やればできるじゃない。けど、次は連携プレイの練習しないとね」
少し離れた位置から、彼女が賞賛と批評の言葉を同時にくれる。その彼女の周りにも数体のホブゴブリンが倒れて、同じように湯煙のようなものをあげている。
位置関係などから推測すると、オレが戦いやすいように余分な敵を倒してくれていたようだ。そしてそのことに、戦闘中のオレは全然気づけていなかった。
「うっ。確かにハルカさんの言う通り、連携がなっていなかったみたいだ。ごめん。いや、ありがとう」
「うんうん、お礼が言える子は私好きよ。けど、とりあえず移動しましょうか」
少し嬉しそうに首を上下させる。
けれどそれも一瞬で、周りを軽く見渡す。
「そうだな、魔物の死体だらけだもんな。この臭さだと、ここはしばらく誰も使えないな」
「え? 大丈夫よ。ここで倒したのは全部魔物だから、2、3日もしたら完全に消えてなくなるわよ」
「そういうもんなのか? 確かにネットにもそんな話あったけど、本当なんだな」
「ええ。魔力の影響で現出する魔物は、一見普通の生き物っぽいけど、殺すと体内の魔力が霧散して、生き物が普通に腐るよりずっと早く崩壊して消えていくわよ。それでも、今みたいに半日くらいは臭いわね。ゲームみたいに一瞬で消えてくれればいいんだけど」
そう言うと彼女は鼻を押さえる仕草をする。
ただ慣れているのか、本当に押さえているわけじゃない。
「亡者、アンデッドは一瞬で崩壊するんだけっけ?」
「ええ。ゾンビやスケルトンは死体が残るけどね」
「けどそれだと、魔物からはドロップアイテムは取れないんだな」
「一部なら倒してすぐに切り離せば残る部位もあるわよ。それに強いモンスターの核にある魔石が残ることは多いわ」
「こいつらは?」
そう言って、オーガを指差す。
「食人鬼と上位の矮鬼は魔石がちょっと取れるかも。けど、取れてもたいしたことないと思うわ」
「そうか。じゃあ、襲われるだけ襲われ損だな」
「そんな事ないわよ。魔力を溜め込んでいる敵を倒すと、その分たくさんの魔力が得られるわよ」
言われてみれば、魔物からは何かもやのようなものが漏れ出している。
「アイテムはないけど、経験値は多いモンスターって事になるのか」
「ええ。だから矮鬼は初心者『ダブル』に大人気」
「オレの魔力も増えたかな?」
「私はもう増えにくいけど、ショウ君は一昨日と合わせてると多少は増えたんじゃないかしら? 実感ない?」
「全然」
「じゃあ、今日はその辺も実感できる『チュートリアル』試しましょうか」
たいして寝ていないであろうハルカさんは、今日もオレをしごくらしい。
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